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『ギ・クロニクルif』退場a~無法

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『ギ・クロニクルif』退場a~無法_006
『ギ・クロニクルif』退場a~無法_007

 ……

 夜が終わった、

 ああ、くそ。

 それで結局、これか。

『ギ・クロニクルif』退場a~無法_008

【ゴニヤ死亡】

【3日目の夜明けを迎えた】

【生存】
ヨーズ、ウルヴル

【死亡】
フレイグ、ゴニヤ、ビョルカ、レイズル

「ムウ……朝か……
 
 うおォッ!?
 何じゃ、
 鉄砲なんぞ向けおって!!」

「──動くな。
 あと、見るな。何も。
 
 あんたが『狼』じゃないなら」

──私の脅しを無視して、
 ウルヴルは長銃を払いのけた。

『ギ・クロニクルif』退場a~無法_009

 そして見た。
 変わり果てたゴニヤを。

 ウルヴルは、叫んだ。
 絞り出すみたいに。
 頭掻きむしって。
 地団太踏んで。

 そして私に、
 怒りの目を向ける。

 演技か、これ?

 一応、ウルヴルが起きる前に、
 一通りは調べた。

 殺しの痕跡は、残ってない。
 ウルヴルにも、私にも。

 ゴニヤの周りには、
 足跡ひとつない。

 ただしゴニヤは、
 めちゃめちゃに死んでる。

 禁忌のことを置いても、
 自殺だとは思えない。

「私はやってない」

「だからワシじゃと!?
 ワシとてやっとらん!!
 きさまの言い分だけが
 通る状況でもあるまい!!
 
 きさまが──
 きさまがっゴニヤをっ!!」

「落ち着け。
 
 これはもう、
 私たちの善悪とか、意識とか、
 そういう段階の話、じゃない、
 かも」

「──なにを言うとるんじゃ!?」

「あー。あー。
 糞。糞尿。説明だる。
 
 ……私たちは、自分が『狼』と
 気付いてもないかも。
 夜だけ『狼』になって、
 殺してるかも。
 
 つまり、無意味。
 私らが、互いを疑っても、
 罵っても、憎み合っても。
 私ら両方、覚え無し。
 
 それで、殺し合う?
 不毛だけど」

「……そもそも、
 どうして殺し合える。
 
 ワシらには禁忌がある。
 『ヴァリン・ホルンの儀』
 他に、破る手立てがない。
 
 気付いとるか?
 
 残り2人になると、
 『ヴァリン・ホルンの儀』は
 機能せんようになる」

 ……それは、あれか。

 私がウルヴルを指さし、
 ウルヴルが私を指さすと、
 それ以上は決選も、
 何も起きない、ってこと。

「……手詰まりなんじゃ。
 もう、何もかも」

「そうとも限らない」

「なんじゃと?」

『ギ・クロニクルif』退場a~無法_010
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 (嫌いな発想ではない。
 しかし結局それは、
 破滅の形を選んで
 悦にひたっておるだけ。
 それでは『巡礼』は終わらぬ。
 我が望みは、そこにはない。
 
 ゆえに、譲る気もないが──
 
 ──救いが一つもないならば、
 こんなやり方もある、かの。
 
 うん、なんじゃ?
 疲れか? こんな時に……)

 私は、フレイグから引き継ぎ、
 首からかけてた
 『雪渡りの護符』を外して、
 雪の上に──

「──ビョルカが言ってた。
 『誰も犠としない』の選択を
 増やすのは、アリ」

「……そ、それが何じゃ。
 選んだところで、
 『儀』が失敗するのと
 何が違う……?」

「自分が『誰も犠としない』を、
 相手が自分を指させば、
 
 殺してもらえる。
 
 あー。つまり。
 これだと1対1で決選だけど、
 自分が嫌疑(けんぎ)をうけて外されて、
 改めて相手が自分を指さして、
 『犠』に決まるってことで……」

「……いいわい。
 言いたいことは分かっとる。
 
 ……じゃが、
 
 ヨーズ、おまえ、それは……」

「いいだろ。
 死にたくなきゃ、
 指さなきゃいい。
 『儀』が失敗するだけ。
 
 そしたら、別れようよ。
 もう一緒にいる意味とかない。
 
 めんどいのは、おわりで」

「……
 
 分かった……」

「うん。
 じゃ、いい?
 
 『我らを導く死体の乙女よ』
 
 ……なんだっけ。
 ま、いいか。
 
 血と肉と骨にかけて。
 
   みっつ。
 
     ふたつ。
 
       ひとつ──」

【ルート分岐:名案】

もう『狼』を見つける手も、殺す手もない。
気の利いた手なら、一つある。
『誰も犠としない』
これを選べば、禁忌にふれず己を滅ぼせる。
すごい名案。ウルヴルはそう思ってないけど。
さあ、どちらを指さす?

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