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『ギ・クロニクル』第四夜(End 02「罰」)

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Twitterスペースをお聞きの方へ:
本コンテンツはリアルタイムの興奮をみなさんと共有するため、声優さんにもあえて脚本を事前にお渡しせず、皆さんとおなじ画面を直接読んでいただいております。
そのため、つっかえや読み間違え等が発生することがあります。
ご不便をおかけしますが、コンテンツの性質としてご承知いただければ幸いです。

第五の分岐

選択肢:ほかの道もあるはず
が選択されました!

End 02に分岐します。

『ギ・クロニクル』第四夜(End 02「罰」)_061

 ……ゆるせない。
 ゆるしたくない。
 そんなふうに思ったそばから、
 とがったきもちがきえていく。

 ほんとは、
 ころしたくなんかない。

 『狼』へのいかりは、
 かわらずにある。

 でも、
 それをビョルカにむけるのは、
 なんだかちがう気がしてくる。

 ビョルカはほんとうに、
 『狼』なのかしら?

 ビョルカのいうとおり、

 リーダーがむのうでも、
 レイズルがしんだことには、
 せつめいがつかない……かも。

 でも、そうでなければ、
 だれが『狼』なのかしら。

「……何の言うこともなく、
 何の為(な)すすべもありませんか?
 
 ならば、
 『ヴァリン・ホルンの儀』にて
 ヴァルメイヤの手に全てを
 委ねるのみです」

「……ほかに、ないのかしら!
 
 ゴニヤも、ビョルカも、
 『狼』じゃなくていい、
 もっとべつの、こたえが……!」

「……な、
 
 何ですって?」

「だって!
 ビョルカが『狼』だなんて、
 ちょっぴり、くるしい気が
 してきたんだもの!」

「……
 
 …………いや、
 
 はあ、それはまあ、
 『狼』ではないですからね。
 私」

「まあ! ばかをみる目!
 
 わかっているわ!
 ビョルカからみれば、
 ゴニヤがあやしいと
 いうのでしょう!
 
 だからこそよ!
 魔法のちからなら、
 ゴニヤとビョルカのほかの
 だれかでも、
 わるさはできるでしょう!」

「……ふむ……
 
 確かですね。
 我々は魔術の知識に乏しい。
 何かをされて、気付いていない
 だけかもしれません。
 
 極論、私やゴニヤが、
 自分でも気づかぬうちに、
 『狼』にされるということも
 あり得ます」

「…………」

「あるいは、
 より自由な発想で考えれば……
 
 もっと単純な、
 真実が見えるのかも……」

「たんじゅんな、しんじつ……?」

「そう、例えば……
 
 フレイグがレイズルを殺し、
 その後、昨晩に自決をした、
 と考えてみては?」

──息がとまるかとおもった。

 なあにその、よくわからない、
 ひどいそうぞう。

 でも、それでいい。
 ああ、それがいい。

 そんなことを、ゴニヤは
 ほんのすこし思ってしまって、

 じぶんのおぞましさに、
 みぶるいしそうになって──

「──でも、それでいいですね。
 ……ああ、それがいいです」

 それで、
 ほんとうにいきがとまった。

「かわいそうなフレイグ……
 重責に耐えかねて、
 おかしくなってしまった
 のでしょうか……
 
 あまり悲しむのも非道ですね。
 
 もはや彼は、
 ヴァルメイヤの信仰から
 外れてしまったのですから。
 
 切り替えましょう。
 フレイグはもう、いりません」

 どうして、そんなふうに
 思うことができるの。

 ずっといっしょだったのに。

 あんな、ひどい死にかたを
 してしまったのに。

 そんなにあっさりと、
 切りすててしまえるの。

「いいでしょう。
 あなたを信じます、ゴニヤ。
 『狼』フレイグは死に、
 今度こそ我らは浄化された。
 
 うん、いいですね!
 ヴァルメイヤもきっと
 納得されるはずです!」

──ゴニヤには、わからない。

 わからなくなった。

 ビョルカのことが。

 ゴニヤたちがしんじてきた、
 『死体の乙女』のことが。

「ふふ、ゴニヤ、
 何をぼうっとしているの?
 
 あとはまだ日のあるうちに、
 人里へ辿り着くのみ!
 
 さあ進みましょう、
 皆さ────────」

『ギ・クロニクル』第四夜(End 02「罰」)_062

 言いきるかわりに、
 ビョルカは、血をはいた。

 おなかから、
 とがった剣の先がはえていて、

 そのうしろには、

 ちまみれの、

 かたちをとどめていない、

 フレイグ、だったもの、が、

 ゆらゆらと、たっている。


 
   え
     は
 
 
        ら
           な
             い」

 この世でないもの

 ひとめでわかる

 そして、りかいする

 それは、死そのもの

 せかいのこわさ そのもの

 ゴニヤの

 わたしのいのちをかりとるもの

 ああ

 でも

 でもね

「──だいじょうぶです
 
 血などなくとも、
 信仰の旅は、
 つづけられますよ、
 ゴニヤ」

 わたしには

 それがもっとおそろしい

『ギ・クロニクル』第四夜(End 02「罰」)_063

 死そのもの が 剣をふるう

 なにかがきりおとされる

 ビョルカがいう
 それもなくていい

 またなにかがきりおとされる

 ビョルカがまたいう
 それもこれもなくていい

 ばら ばら ばら ばら

 なのに

 まだ いってる

 なにをすてても
 しんこうからは
 のがれられないと

 こわい
 こわい
 こわい

 きづいたら

 わたしは

 鎌をじぶんにさしていた

 ああ いたい
 たぶん いたい

 よかった

 これでわたしは
 しんこうから
 のがれられるんだ

 さいごに
 じぶんのしたことが
 とてもうしろめたく
 おもえたけれど

 そのこころも
 めのまえのさんじょうも

 すべてわるいゆめのように

 ぼやけて きえたのでした。

『ギ・クロニクル』第四夜(End 02「罰」)_064

 【ビョルカ死亡】

 【ゴニヤ死亡】

 【巡礼者が全滅しました】

End 02「罰」

『ギ・クロニクル』第四夜(End 02「罰」)_065

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