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イラストレーター・いのまたむつみには「ド級の伝説」がありすぎる! パワフルだけど泣き虫で、とにかく絵を描くことが好きだった “むっち” を親友たちが偲ぶ【一周忌座談会】永野護×川村万梨阿×橋本正枝

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声優の妻・川村万梨阿による「『ときメモ』藤崎詩織アフレコ」で永野護が “落ちる”

橋本氏:
『バーチャ』以外でみんなでプレイしたのは『ときめきメモリアル』(以下、ときメモ)ですね……(笑)。

イラストレーター・いのまたむつみ 一周忌座談会【永野護×川村万梨阿×橋本正枝】_015

──えっ、『ときメモ』ですか!? ひとり用の美少女ゲームをみんなでプレイしたというのは、どういう経緯があったのでしょう。

永野氏:
僕は最初『ときメモ』のことを「こんなギャルゲー誰がやるんだ!」とバカにしていたんですよ。

そうしたらむっちが「そんなことないよ~、おもしろいんだよ~」と言うものだから、「お前がおもしろいって言うならロクなもんじゃないだろう」と返していたんです。

橋本氏:
そうそう(笑)。私たちは『バーチャ』の順番待ちのあいだに『ときメモ』をプレイしていたんですけど、ある日、万梨阿さんが声をあててくれたんです。主人公をクリスの名前にして「護くん……。」って呼んで。そしたらクリスが “落ちた” んですよ(笑)。

一同:
(笑)。

永野氏:
違う違う! みんなが隣の部屋で仮眠しているときにワイワイ盛り上がっているから「なにやってるんだお前らは」と見に行ったら、川村が僕の名前で勝手に『ときメモ』をプレイしていたんですよ。

──自分のあずかり知らぬところで『ときメモ』主人公の永野さんが誕生していたわけですか(笑)。

永野氏:
あのころの『ときメモ』って、セリフの部分に音声はついていても、主人公の名前は呼んでくれないじゃないですか。そこのところを川村が「護くん」と読み上げるんですよ(笑)。

川村氏:
うん、せっかくだからと思って(笑)。

橋本氏:
最初は「護くん」なんだけど、親密度が高くなったら「クリス……」に変わるんだよね(笑)。

一同:
(笑)。

永野氏:
「ふざけんなよお前ら……!」みたいな感じでしたよ。

橋本氏:
ふふっ、あのときのむっちゃんの「してやったり」の顔はよく覚えていますね(笑)。

川村氏:
最初は「評判のゲームだからやってみようかな」と思ってプレイを始めたんですけど、「主人公を女の子の名前にしてもな……」と思ったんです。「だったら永野護にしちゃえ」って。

そうしたら、当時の技術では名前までは読み上げてくれないことがわかったので、自分で呼んでみることにしたんです。それがそのうちだんだんおもしろくなってきちゃって(笑)。

イラストレーター・いのまたむつみ 一周忌座談会【永野護×川村万梨阿×橋本正枝】_016

永野氏:
藤崎詩織を攻略して親密度を上げていったんですけど、失敗してしまい、最後の告白のシーンにだれも来なかったというオチ(笑)。

川村氏:
そうそう、伝説の樹の下に誰も来なかった(笑)。

永野氏:
みっともないエンディングになってしまって呆然としていたら、むっちが「1年半前のセーブデータからやり直そう」と言うので、そこからは僕が自分でプレイすることになったんです。

見ているむっちたちは知識があるから、「そろそろ遊園地に行きたいな~」とか言われながらプレイしました。

僕が「このパラメーターでいいかな?」と言うと、「ちょっと待って、調べる」と言って『週刊ファミ通』の編集部に直接電話をすることもありました。あれはひどかったよね(笑)。

川村氏:
寝ていた人たちもみんな起きてきて、総出でね(笑)。

永野氏:
それで再チャレンジの最後、「木の下に誰かいる!」と思って見てみたら、詩織が立っていてそこでみんな大万歳。

川村氏:
スタンディングオベーションみたいに立ち上がってね。

永野氏:
それから「俺、家でもやるわ」と言ってソフトを買ったんだよね。

──最初はバカにしていた『ときメモ』にハマっていくことになったわけですね。

永野氏:
ちなみに『ときメモ』って、リマスター版がこの前リリースされたばかりじゃないですか。もうとっくに藤崎詩織でクリアしております(笑)。

一同:
おお〜(笑)。

永野氏:
さすがに一発クリアでございますよ(笑)。

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『ときめきメモリアル』リマスター版

『モンハン』は部位破壊やスキルの組み合わせを手書きで紙にびっしりまとめるほどの “ガチ勢”

永野氏:
俺がオンラインゲームにめちゃくちゃハマった時期があって『ディアブロ』『ウルティマオンライン』『ファンタシースターオンライン』『ファイナルファンタジーⅩⅠ』など遊んでいたんですけど、そのときむっちは『モンスターハンター』(以下、モンハン)をやっていたよね?

橋本氏:
ああ、『モンハン』もやってたね。

永野氏:
知り合いが「カプコンの新しいゲームがあるんですけど、やってみます?」と誘ってくれて、それをむっちと遊んだことがあったんだよ。

「原始人みたいなキャラクターを操作して、恐竜を倒して、肉を剥ぐんですよ」と言われて、「なにこれ?」と思って遊んだのが、初代『モンスターハンター』だった。

俺はそれっきりで『モンハン』はプレイしなくなっちゃったんだけど、むっちは「おもしろいじゃん」と言っていた。そこからずーっと『モンハン』をプレイしていたよね?

橋本氏:
『モンハン』のやりすぎでプレイステーション・ポータブル(以下、PSP)を5台くらい使いつぶしていましたよ。

──えっ、5台も……? それって、プレイのやりすぎでコントローラー部分がダメになってしまうということですか?

橋本氏:
そうですね。PSPはGUCCIの保護ケースを買って、その中に大切に入れてウキウキしていました。

永野氏:
2005年くらいだったかな。喫茶店とかに行くと高校生がよくPSPで『モンスターハンター ポータブル』を遊んでいたよね。

橋本氏:
そうそう。私たちもスタバでやっていたことがあって。気づいたら「閉店です!」と追い出されてしまったんですけど、「あともうちょっとなのに!」って(笑)。

一同:
(笑)。

──まさに高校生のようなエピソードですね(笑)。

橋本氏:
店外のガードレールに寄りかかって、続きをプレイしていました(笑)。

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──いのまた先生は『モンハン』もご自宅に人を呼んで一緒にプレイされていたのでしょうか。

橋本氏:
『モンハン』は私たちふたりでプレイすることが多かったですね。あっ、でもむっちはオンラインのマルチプレイもやっていましたよ。

──ええーっ、いのまた先生が野良で『モンハン』を!?

永野氏:
野良なんて荒れるのによくやるよ(笑)。

橋本氏:
……そうそう、これを見ていただきたいんですけど、むっちゃんは『モンスターハンター』の部位破壊やスキルのデータを自分でまとめていました。これでもほんの一部なんです。

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──えーっ、スキルの組み合わせまでご自身でまとめてらっしゃったんですね。ガチすぎる……。

橋本氏:
あとは『ゴースト・オブ・ツシマ』も熱心にプレイしていたね。3周くらいやってたよ。

永野氏:
3周も!? よくやったな(笑)。

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『ゴースト・オブ・ツシマ』(画像はSteam:Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUTより)

橋本氏:
主人公の愛馬が死んでしまうシーンで毎回驚いてた(笑)。

一同:
(笑)。

永野氏:
なんで!?

橋本氏:
すごく没入してプレイするから、初めて見た気になるんですよ。毎回泣いてたもん。

──没入のあまり、毎回主人公になりきるわけですね(笑)。

橋本氏:
『ゴースト・オブ・ツシマ』は最初に私がやっていて、「すごくおもしろいからやってみなよ」と勧めたんです。そのときは「締め切りがあるからぜったい無理」と言ってたんだけど、ひとたび始めたら「なんでこんなにおもしろいゲームを教えたの」と怒られました(笑)。

一同:
(笑)。

永野氏:
まあね、傑作ゲームですよ(笑)。

川村氏:
むっち先生と電話で「永野が誉れを捨てました」っていう話をして……(笑)。

一同:
(笑)。

橋本氏:
『ゴースト・オブ・ツシマ』は最後の最後に、すごく重要な選択肢を選ぶ場面があるじゃないですか。あそこでも泣いていたんですよ(笑)。

川村氏:
(笑)。先生は本当に熱いですよね。涙なしにゲームを終えられない。

永野氏:
そこまで感情を込めるからすごいよね。

橋本氏:
ストーリー重視のゲームだけじゃなくて、スマホで遊ぶようなパズルゲームってありますよね。そういうのを遊んでいても「なんでアイテムを出してこないんだよ!」って怒ってた(笑)。

──本当にゲームがお好きだったんですね。

橋本氏:
大好きでした。なんでも好きなんです。

川村氏:
『パネルでポン』でひと晩中盛り上がったこともありましたよね。

永野氏:
あいつはそんじょそこらの半端なゲーマーじゃなくて、本物のゲーマーです。どこかのジャンルをメインにやるとかではなくて、おもしろそうだと思ったらなんでもやる。ゲームに関してまったく偏食がないんです。

アクションゲームも、格ゲーも、オンラインゲームも、パズルゲームも……。

橋本氏:
『ゴッドイーター』『ボンバーマン』もやってた。あと『ゴッド・オブ・ウォー』も大好きでしたね。「いまから神のしもべになるから電話には出られないよ」とか言って(笑)。

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『ゴッド・オブ・ウォー』(画像はゴッド・オブ・ウォー ラグナロク | ゲームタイトル | PlayStation (日本)より)

あとはやっぱり『ロックマン』(笑)。『ロックマン』と『バーチャ』は数えきれないくらいやってたから。

永野氏:
うん。『ロックマン』と『モンハン』はずっとやってるよね。『バーチャ』は『3以降はあんまり興味がなかった。

橋本氏:
たぶん、自分のなかの「ジャッキー像」があったからダメなんだと思う。

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アーケード版『バーチャファイター2』画面。左のキャラクターがジャッキー(画像はバーチャファイター2 – 株式会社セガより)

川村氏:
『3』のジャッキーは顔色がちょっと悪かったから、それが引っかかったんじゃないかな。

永野氏:
『4』とかも、アクセサリーシステムでどんどんカスタマイズできるから、キャラ性が弱くなってるんだよね。

橋本氏:
そういえば『モンハン』のキャラをジャッキーそっくりに作ったりしてましたね(笑)。

永野氏:
最近の『モンハン』ってかなりキャラメイクの自由度が高いでしょ。

橋本氏:
自由度が高くなっても、ずっとジャッキーなんですけどね。

川村氏:
それ、聞きました。せっかく一生懸命作ったのに、最初のムービーで吹き飛ばされるシーンがあって、ものすごく顔が変形して。「こんな顔に作ったつもりじゃないのに〜」と言っていて(笑)。

橋本氏:
最新作の『モンスターハンターワイルズ』ならものすごく再現度高く作れそうですけどね。いつもキャラメイクに丸々2日くらいかけてるんですよ。私は「早くゲームをやりたくならないのかな」と思っちゃう(笑)。

永野氏:
『モンハン』はキャラメイクに失敗したら全部やり直しだからね。

川村氏:
むっち先生は、なにをしていても楽しそうでした。夢中になれるものがあんなにたくさんあるのって、すごいと思いましたもん。

永野氏:
そうだよね。「なにかおもしろいことないの」と聞くと、「いまはこれがおもしろい」って教えてくれるんだよ。

橋本氏:
きっと、おもしろくないときなんてなかったと思う。

『バイオハザード』レオン役のブラッド・レンフロ等身大ポップをずぶ濡れになりながら持ち帰る

川村氏:
そういえば『バイオハザード』の宣伝用の等身大ポップをおもちゃ屋さんからもらってきたことがありましたよね。

永野氏:
あった……(笑)。

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──えっ、『バイオハザード』のポップを……? どういうことでしょうか。

永野氏:
あのね、こいつらがどれだけどうしょうもないかっていうエピソードなんですけど。当時、初代『バイオハザード』をめちゃくちゃ遊んでいたんです。

その後、続編として超名作の『バイオハザード2』が出るじゃないですか。そのときカプコンのコマーシャルで、俳優のブラッド・レンフロがレオン役を演じていたんですよ。

そうしたらある日「レンフロをもらってきた」とむっちたちから電話があって。意味がわからないから「はぁ!?」となるじゃないですか。

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「レンフロをもらってきた」と、いきなり報告を受ける永野氏

──レンフロを……もらってきた……?

永野氏:
というのも、おもちゃ屋さんに置いてあった、ブラッド・レンフロの等身大ポップを店員さんに頼み込んでもらってきたらしいんです。しかもそれだけで終わらないの。「レンフロをもらってきたんだけど途中で雨が降ってきて……」と続くわけ(笑)

もう呆れながら聞くと、むっちと橋本先生のふたりでレンフロのポップを抱えて運んでいたら、雨が降ってきたんだって。

橋本氏:
そう。急に雨に降られたからコンビニで大きいゴミ袋を買って、お互いかぶって、レンフロにもかぶせて……。

川村氏:
レンフロにも(笑)。

橋本氏:
だってレンフロは紙だから。

永野氏:
お前らどうかしてるわ、本当に(笑)。

──レンフロはお店の人にお願いして譲ってもらったということでしょうか?

橋本氏:
はい。事前に「これってどうにかなりませんか?」と相談してみたら、「じゃあポップの入れ替えのときに来てくれたらあげるよ」と言われていて。

永野氏:
その経緯をわざわざ電話で教えてくるんですよ。

橋本氏:
ちなみに『鉄拳3』の仁【※】のポップもあります。

※風間仁
『鉄拳3』に登場したキャラクター。『鉄拳2』に登場した三島一八と風間準の息子。

川村氏:
遺品整理で先生のお宅に行ったときもまだレンフロがあって(笑)。「おお~、あのレンフロだ」と思いました。

永野氏:
当時もういい年したふたりがですよ、雨のなかブラッド・レンフロのポップを抱えてさ。どうかしてるでしょ(笑)。

川村氏:
いやいやいや。くれるならもらわないと。もらった以上は雨に濡らしたらダメですよね(笑)。

橋本氏:
そうですよ、だってレンフロは紙だから。

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編集長
電ファミニコゲーマー編集長、「第四境界」プロデューサー。 ゲーム情報サイト「4Gamer.net」の副編集長を経て、KADOKAWA&ドワンゴにて「電ファミニコゲーマー」を立ち上げ、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、サイトの設計など運営全般に携わる。2019年に株式会社マレを創業し独立。 独立以降は、編集業務のかたわら、ゲームの企画&プロデュースなどにも従事しており、SNSミステリー企画『Project;COLD』ではプロデューサーを務める。また近年では、ARG(代替現実ゲーム)専門の制作スタジオ「第四境界」を立ちあげ、「人の財布」「かがみの特殊少年更生施設」の企画/宣伝などにも関わっている。
Twitter:@TAITAI999
副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。
ライター
スパイスからカレー作っちゃう系の元バンドマン。占いも覚えたが占いたいことがないのですぐ忘れた。思い出のゲームは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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