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『ときめきメモリアル』リマスター版、めちゃくちゃ快適。既読テキストの高速表示機能により光の速度で高校生活を送れる。でも当時と変わらない遊び心地。相変わらず藤崎さんは一緒に帰ってくれない

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あの『ときめきメモリアル』が30年ぶりにリマスター版として発売される──。その発表を聞いて、衝撃を受けた方は多かったのではないでしょうか。

30年前、夢中になって過ごした虹色の青春。学校生活を彩った愛の軌跡。時代が流れ、旅立ちを迎えた今でも、きらめき高校で巡り合えたドラマは忘れようがありません。

リマスター版のタイトルは『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』。コンセプトは「当時と変わらない手触り・遊び心地」だそうです。

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新キャラクターイラストも追加。もちろんオリジナル版と切り替え可能。相変わらずいっしょに帰ってくれない藤崎さん。

そんな本作が、2025年5月8日に発売されるわけですが、本誌では発売に先駆けて『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』を先行プレイするという、いい巡り合わせに恵まれました。

じつは筆者自身、30年前にオリジナル版を購入した際には、2週間ほど「現実世界の女の子と会話がなくなる」くらいにはハマっていまして……。筆者はもう、KONAMIさんに足を向けて寝ることはいたしません。

今回は約2時間の先行プレイでしたが、新キャラクターイラスト(切り替え可能)の実装や、女の子たちが「声」でプレイヤーの名前を呼んでくれるEVS機能が搭載されていたり、さらには既読テキストの高速表示機能もあって……

なんかめちゃくちゃ快適に学校生活を送れる!!

しかも、遊び心地は30年前に体験できたオリジナル版そのままなんです。感動です……これがタイトルにある「エモーショナル」の意味だったのか。かつて『ときめきメモリアル』に青春を捧げた我々を殺し(いい意味で)にきてます……!

文/澤田アツシ
編集/竹中プレジデント


30年前と変わらない手触りが心地よい。今回のプレイでは古式さんに猛アタックをすることに

「好きとか、嫌いとかぁ〜♪」

先行プレイのため本体を受けとった筆者の耳に飛び込んできたのは、親の小言の500倍くらいは聴いた懐かしのあの曲(『もっと!モット!ときめき』)。

30年という月日が流れてもオープニングは当時のまま。それがいま、筆者の手の中(Switch)で動いている……なんだか感慨深いです。

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あらためて紹介すると、本作は1995年にプレイステーション向けに発売された『ときめきメモリアル~forever with you~』のリマスター作品。公式サイトのイントロダクションによると、「当時と変わらない手触り・遊び心地を大切に残した」作品となっているとのこと。

プレイヤーは「きらめき高校」に入学して、勉強や運動、遊びなどで自分を磨きながら、卒業式の日に意中の女の子から告白されることを目指します

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あのころと変わらない手触りが心地よい。

筆者はPS版からの参入組なんですが、発売日から2週間は「人との会話がゲーム中の女の子たちとだけ」になるくらいには熱中していました。ちゃんとプレイするのは30年ぶりなので、なんだかドキドキしちゃう。

しかし、実際にゲームをスタートすると、さっきまでのメランコリックな気分はどこへやら。頭の中は「どの女の子と仲良くなろうか」と、攻略のことでいっぱいに。

勉強したり、運動したり、容姿を磨いたり……30年前のことを思い出しながら学校生活を送っていると、さっそくテニス部の古式ゆかりとの出会いが発生しました。

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ゆったりとしたしゃべり方の天然系癒し女子。

そうそう、こんな感じで条件を満たすことで女の子が登場するんだった。考えなしに女の子をたくさん登場させた結果、彼女たちのご機嫌をとる(爆弾の管理)のに忙しい高校生活をおくることになったプレイヤーも多いのではないでしょうか。

さて、正直なところ、30年前プレイしたときには、そこまで好みど真ん中ストライクではなかった古式さん。でも今みるとかわいい。癒し系の女の子……しかもお金持ちの令嬢だ。

「いいんじゃな〜い」

何がいいのかは不明ですが、こうして出会ったのもなにかの縁。テニス部へ入部して古式さんに猛アタックすることに決めました。

誕生日に「はにわ」をプレゼントしたら家宝にされる。古式さんと結婚したら一生飽きることはなさそう

「3年間、自己研鑽しまくりで必ずや添い遂げたる!」

そう意気込んだものの、部活の練習日を忘れてサボってしまい秒でテニス部を退部させられるわ、せっかく取り付けた古式さんとの約束をすっかり忘れてデートをすっぽかすわ……ポンコツプレイを連発してしまいます。

あれれ、当時はもう少しうまくプレイできていた気がするのに……。な、なにが起きているんだ?

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携帯も持っていないので、すっぽかされたほうは待ちぼうけをくらうことに。それは怒るのも当然。

思えば、「Googleカレンダー」や「To Doリスト」のようなスケジュール管理ツールは30年前には存在せず、紙ベースで管理するのが当たり前の時代でした。

筆者も、かつては頻繁にスケジュール帳を確認する癖がついていたのですが、いまはスマホのリマインダーがないと何も管理できないようです。

「そりゃあデートもすっぽかすわ……」と、謎の言い訳をしつつ、気を取り直して古式さんの攻略を再開します。ただ、攻略法などすっかり忘れている。とりあえず満遍なく能力を高めつつ、ひたすら鬼電してデートに誘いまくる。これしかない!

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楽しい下校。男子校出身の筆者にとって、異世界転生くらいには馴染のないイベントだ。

古式さんはめちゃくちゃマイペースで、ゆっくりとした話しかたが特徴の女の子。キャラクターボイスがないSFC版では、文字表示をゆっくりにすることで雰囲気を表現していたようです。

若干、天然なところもあって、気があるんだかないんだか、よくわからないところも筆者的にはかわいいと思うんですが、どうでしょう?

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公園や動物園はお気に入りのようだ。

個人的にポイントが高かったのが、古式さんの誕生日が6月13日ってとこ。なんと筆者の翌日なのだ。……だからどうしたって話ですが、男女のお付き合いのフィーリングなんてそんなもんだと思うんですよ。

そんなわけで誕生日には気合を入れて「はにわ」をプレゼント。古式さんはもう大変な喜びようで「家宝にする」とまで言い出します。

家宝ってマジか……。古式さんと結婚した人は、絶対に飽きることはないと思う。

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パーティーでのドレス姿も似合う古式さん。なお、「用事があるので……」と塩対応をされてしまった。クリスマスパーティーに来ているのにパーティー以外の用事って一体何なんでしょう!?

そんな古式さんだが、じつは3年生の夏に一緒に水族館に行くと、イルカショーのハプニングでずぶ濡れになってしまうイベントがあるのを筆者は知っているのだ!

……なぜかそこだけは衰えない奇跡の記憶力。今回の先行プレイではそのイベントにたどり着くまでには至らなかったのが無念で仕方ない。

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正月にはふたりで初詣に。かわいい。

とにかく早く、とにかく快適。光の速度で駆け抜ける高校生活

それは高校1年目を終えたころでした。時計を見てみると、1時間も経っていないのです。30年前の記憶なので若干自信がないのですが、オリジナル版で初回プレイは10時間程度、慣れても6、7時間はかかっていたと思います。

それが、1年を1時間でプレイできる。スクショを撮影したり、メモをしたりだから普通にプレイするより時間がかかるはずなのに……。高校生活がめちゃくちゃ早い!

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光陰矢の如し。とにかくサクサク進む。

恐らくロード時間まわりが最適化されているんだと思います。サクサク進むので快適です。まさに光の速度で駆け抜ける高校生活。忙しい現代人にとってはありがたいですね。

しかも、このリマスター版では一度読んだテキストを高速表示できる機能も搭載。今回の先行プレイで使うシーンはありませんでしたが、2週目以降の高校生活を過ごすうえでお世話になりそうです。

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サイドにバイオリズムや今週の予定などを表示してくれる(ON・OFF可能)。地味にうれしい。

さて一見、順調に進んでいそうな古式さんとの学園生活。どうやら彼女は「あまり動かない動物が好き」だそうで、多分「ダイオウグソクムシ」だなってことを知った以外は、あまり進展していません。

うーん、脇目も振らず古式さんだけを見つめてきたというのに、なぜだろう……。

そんな満身創痍の筆者に、なんと「サッカー部の退部(2度目)」「デートのすっぽかし(2度目)」という更なる不運が立て続けに起こってしまったのです。え、不運じゃなくて自業自得?

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わ、忘れてただけですやん。そんなご無体な……。

気づいたら「親のように彼女たちと向き合っていた」。30年の月日を感じる

プレイを進めていくと、さまざまな女の子たちと出会います。

本作に登場する女の子12人は、それぞれに個性があって魅力的。それでいて完璧じゃなくてどこか抜けているところがあって、人間味に溢れている。みんなじつに微笑ましい……。

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ん? なん……だと……「微笑ましい」? まるで子どもを愛でる親の感想じゃないか!

そうなんです。これが本作をプレイしていていちばん驚いたことでした。女の子たちに対する「自分」の感情が30年前とまるで違うのです。当然といえば当然かもしれません。当時は彼女たちと年齢も近かった筆者ですが、いまや子持ちの父親です。

でもこの感情はむしろプラスに働いている気がします。30年前とは違った感情で、彼女たちとの青春が味わえるわけですから

たとえ、狙ってない女の子に告白されたり、当たり屋レベルで廊下でぶつかられても、今の筆者ならすべて笑顔で受け入れられるでしょう。

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あの、何度も廊下でぶつかってくるの止めてもらっていいすか。

バブル以降の日本は「失われた30年」などと言われ、悲観的なムードが漂っていました。でもいまなら断言できる。日本は何も失ってなんかいない。ろくに学校にもいかないで屁理屈ばかり垂れていた筆者が、いまや結婚して子どももいる。

『ときメモ』に登場する女の子たちの見る目も変化し、彼女たちの新たな魅力に気づけるくらいには大人に成長した。立派かどうかは自信がないけど、少なくとも前に進んではいるのだ。

もうアラフォーゲーマーの涙腺は緩みっぱなしです。タイトルの「エモーショナル」は、こういう意味だったのか……。走馬灯のように蘇る当時の思い出。プレイしていると自然と懐かしさが洪水のように押し寄せてどこかに連れ去られてしまいそうです。

いやまだだ、まだ死ぬわけには行かない。藤崎さんを落とすまでは! ……あ、違う。今回狙っていたのは古式さんでした。

新グラフィック、プレイヤーの名前を音声で呼んでくれるEVS機能、懐かしいのに新しい

な〜んて、頭の中でひとりノリツッコミをしていると、あっという間にプレイ終了のお時間に。

2時間のプレイ時間の中で3年生の4月までプレイできましたが、結局、古式さんからの評価は「普通」止まり。でも大満足。おぼろげな記憶を手繰り寄せることで筆者は、30年間の自分の軌跡を見た気がしました。

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なお、今回の先行プレイの際に同席した編集者の最終的な「女の子からの評価」がこちら。

「当時のまま」をコンセプトにしている本作ですが、そもそも『ときメモ』のシステムは現在でもまるで色褪せていません。

新グラフィックに切り替えられたり、ゲーム速度の改善以外にもさまざまなプレイアビリティの向上が施されていたり、新作タイトルと比較してもなんら遜色のない出来栄えに驚かされました。

『ときメモ2』以降ではお馴染みの、プレイヤーの名前を音声で呼んでくれるEVS(エモーショナル・ボイス・システム)も初搭載。これ初代にはなかったっけ? と逆に思ってしまうくらい自然にシステムに組み込まれていました。

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初代には初のEVS搭載。イントネーションなど細かく設定できる。

新規のプレイヤーにとっては、1995年当時の空気を真空パックで閉じ込めたような感覚で追体験できる作品です。

現在の環境だと、どうしてもプレイするハードルが若干高い『ときメモ』。リマスター版の発売により、幅広い年代のプレイヤーが気軽に遊べるのはファンとしても純粋にうれしいです。みんな、『ときメモ』はいいぞ……!

そしてなんと、クリア特典の「フリートーク」は新規収録しており、まったく新しい内容に刷新されているとのこと。オリジナルよりも格段にプレイスピードが向上しているし、ぜひともコンプリートしたいところです。

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当時は収録されたミニゲームの多さに驚かされました。
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デラックス版にはイラストギャラリーなどの嬉しい特典を多数収録。

そんな『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』は2025年5月8日発売。対応プラットフォームはNintendo Switch。通常版(税込6600円)に加えて、デジタルコンテンツ特典のついたデラックス版(税込9680円)も発売されます。

ライター
フリーランス物書き。面白そうなことはとりあえずやってみる系ライター。趣味は子どもと遊ぶこと。子どもと一緒にゲームやって、ドーナツ食べて、バカみたいに笑うのが生きがい。コミュニティFM局「TOKYO854くるめラ」でパーソナリティーもしています。普段は塾講師。
Twitter:@Ashy256
編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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