アクションゲームをプレイしていると思ってたら、畑でゾンビを収穫していた。
すごい、ゾンビに名前もつけられる。4回も雷に打たれたマイケル、なかなか強そうじゃん。
いやそんなことはどうでもいいんだ。マジでどうでもいい。問題は俺が一体何のゲームをやらされてるのかってことなんだ。
本作『ROMEO IS A DEAD MAN(ロミオ・イズ・ア・デッドマン)』は、生と死の狭間を生き、MS5(マジで死にかけ5秒前)のヒーロー・デッドマンとして、宇宙の平和を乱すゾンビどもを倒していくバイオレンスアクション。制作するのはあの奇才・須田剛一氏率いるグラスホッパー・マニファクチュアだ。
その名前をよく知る人なら、この時点で「あっ……」と察したかもしれないが、まさに本作はそうした期待にバッチリ応えてくれる怪作だ。筆者もプレイ中は心のポ〇ナレフの困惑が止まらなかった。
“須田ゲー”らしい血沸き肉躍る(文字通り)ケレン味あふれるバイオレンスアクションに、ほとばしる熱いパトス、こんがりきつね色に揚がるとんかつ、FBI時空警察に時空指名手配された運命の女性。なんで俺はFBI時空警察の宇宙船内でとんかつ揚げてるんだ!?というかFBI時空警察って何!?
これでもかと差し込まれるパロディやオマージュに、嵐のように吹きすさぶトンデモ設定の数々と、特に理由もなく展開される謎のミニゲーム。率直に言ってやりたい放題である。なお本作のモチーフはウィリアム・シェイクスピアの不朽の名作『ロミオとジュリエット』とのこと。いい加減なことを言うな。
今回は来年2月に発売予定の本作について、序盤を先行プレイさせて頂く機会を得たので、その狂気とカオスに満ちた魅力をお伝えさせていただこう。

半死半生のヒーローとなったロミオが、時空指名手配されたジュリエットの捜索に挑む!……どうしてこうなった!?
冒頭でも少し言及したように、本作『ロミオ・イズ・ア・デッドマン』は三人称視点で展開される3Dアクションアドベンチャーだ。
プレイヤーは主人公のデッドマンこと「ロミオ・スターゲイザー」を操り、行く手を阻むゾンビ「ロッター」を斬り倒しながら、各チャプターの終盤で待ち構えるボスの撃破を目指していくことになる。
そんなロミオの最終目的は、偶然の出会いから恋に落ちた記憶喪失の女性「ジュリエット」との再会だ。
しかし、本作でロミオが愛してしまったジュリエットという女性は、様々な時代の町に時空ロックによる分裂と消失(?)をもたらす時空漂流者という名の特異点(?)。FBI時空警察に時空指名手配(?)されている、AAA級の危険人物(?)だったのだ!
ちょっと何言ってるか分からない。
ロミオはジュリエットのもたらした歪みが生んだ「白い悪魔」の襲撃で瀕死の重傷を負ってしまい、彼の祖父で天才科学者でもある「ベンジャミン・スターゲイザー」の手によって「デッドマン」へと(有無を言わさず)トランスフォーム。
なんやかんやで白い悪魔を倒したロミオはFBI時空警察にスカウトされ、あらゆる時代と時空を跨ぎ、ジュリエットを捜索する任務に就いたのである──。
なんかちょっと原作ロミジュリっぽい「悲劇の恋人たち」みたいな雰囲気を出そうとしているような気もするが、特異点とか、FBI時空警察とか時空指名手配とか、特撮イズム全開の謎ワードを連発しながら言われても、カオスすぎて全然そう見えない。深刻そうなフォント使って説明してても騙されないからな。
とにもかくにも、このような経緯を経てロミオはジュリエットを捜索し、再会するために奮闘するのだが、ロミオのジュリエット捜しには、祖父のベンジャミンを始めとする家族のほか、彼をスカウトしたFBI時空警察の捜査官たちも協力してくれる。
FBI時空警察の面々は宇宙船「ラストナイト号」に搭乗しており、ゲーム本編には彼らとのブリーフィングなどを行う幕間パートも用意されているのだが、なぜかこのシーンではゲーム画面がいきなりクラシカルな見おろし視点のドット絵グラフィックに変貌。特に理由の説明はない。
幕間パートでは、戦闘に用いる武器の強化や開発、ロミオのステータス強化といった戦闘準備などが可能。そのほかにも、食べることで(なぜか)一定時間特殊な能力を得られるカツカレーを作ったり、戦闘中にロミオをサポートしてくれるゾンビ兵士を栽培したりもできる。
なおこの「ゾンビを栽培する」というのは比喩でもなんでもなく、本当に畑からゾンビが採れる。種(?)を撒き、成長を見守り、育ちきったゾンビはうんとこしょ、どっこいしょと引っこ抜いて収穫することになる。特に理由の説明はない。
『ロミオ・イズ・ア・デッドマン』世界において、ゾンビとは農作物なのである。そんなわけがあるか。


ちゃんと言っておかないと忘れてしまいそうになるので改めて言っておくと、本作『ロミオ・イズ・ア・デッドマン』は三人称視点で展開される3Dアクションアドベンチャーです。
一体これがなんなのかは分からないが、どうしてこんな魔改造『ロミオとジュリエット』が爆誕してしまったのかの理由は比較的明快だ。もちろん須田剛一氏がいけないのである。須田氏ならやりかねないことは、過去作を知る人ならば先刻ご承知だろう。
逆に須田氏のゲームを知らない方々は「なにこれ!?」と戸惑ったかもしれないが、「そういうゲームなんです」としか筆者からは返す言葉がありません。異論はあるかもしれませんが、そういう作風なんです……。
返り血を浴びに浴びて必殺技を叩き出す──見た目はバイオレンスでスプラッターながら、爽快感抜群のバトルアクション
アクションゲームとしての作りも一見正統派なのだが、実は結構な狂気を含んでいる。
戦闘は刀剣による斬撃で立ち回る形で、須田氏の代表作である『ノーモア☆ヒーローズ』シリーズとほぼ同じスタイルだと言えば、経験者ならピンとくるだろう。ボタンに応じて弱攻撃・強攻撃が繰り出されるところも似ている。
攻撃のヒット時には非常にゲームっぽい打撃音が鳴り響くこともあって、アクションの爽快感は抜群の手触り。ちょっとありえん勢いで血しぶきが飛んでいくのでその手の表現が苦手な人は少しびっくりするかもしれない。
後述する弱点持ちの強敵を仕留めたときにも仰々しいヒットストップと同時に、「BINGOォォォ!」などの叫び声が上がり、かなり大きな手応えが得られる。アクションゲームに手触りの良さを求める人なら、きっと戦闘を少し体験するだけでも「これは間違いない」と確信できるはずだ。
とは言え、出血表現の激しさが物語る通り、人を選ぶ作風ではある。出血表現以外にも表皮のはがれた人間の顔がデカデカと映し出される場面があったり、ボスのデザインが生理的嫌悪感を煽るデザインである点は、苦手な人ならば拒否反応が出かねないところは少し注意が必要かもしれない。
血の表現とアクションが結びついている点として特徴的なのが、「ブラッディーサマー」なる必殺技だ。敵の返り血を浴び続けることで、それをパワーに変換して発動できるようになる一撃必殺の大技で、非常にバイオレンスでエクスタシーなシステムになっている。
しかも、この技で敵を倒すとロミオの体力も僅かに回復する。本作では敵を倒しても回復アイテムなどがドロップすることはなく、ブラッディサマーの発動を除けば、回復するには使用制限のあるアイテムを使うか、フィールドに点在するセーブポイント「時空薬局」をチェックするしかない。
そして「時空薬局」で全快を図ると『エルデンリング』の祝福よろしく、それまでに倒した敵が全員しれっと全て復活してしまう。そのため、なるべく敵の攻撃を避けつつブラッディーサマーの発動を狙っていくのが生存のための有効な戦略となる。
また、本作には近接攻撃以外にも銃による遠距離攻撃の手段も用意されている。
(Xboxコントローラ使用時)LTボタンを押すことでロミオが銃を構え、RTボタンを押すとエネルギー弾を撃てる。「ブラッディーサマー」はこの銃撃でも繰り出すことが可能で、状況によっては安全に回復を図るための一手にもなる。
さらに敵の一部には、青白い花の形をした弱点が設定されている。これを銃で狙い撃てば、普通に攻撃するよりも大きなダメージを与えられる。
射撃については弾数無制限で撃ち続けられるが、初期から使用できる銃は単発仕様&9発撃つとリロードによる隙が発生。ゲームが進行すると連射可能な武器も入手できるようになるが、特に序盤では撃てる弾の数を意識しながら使っていく必要がある。
このほか、前述した「カツカレー」や畑で採れるゾンビこと「バスターズ」なども戦術の幅を広げてくれる要素だ。特にバスターズは呼び出すことで援護射撃してくれたり、突貫&自爆による範囲攻撃を決めてくれるなど、使いどころによっては頼もしい活躍を見せてくれる。

連れて行けるのは4体までで、種類を増やすには「バスターズシードオリジナル」とかいう自分が特別な存在だと感じられそうな名前の種を入手する必要がある。栽培にはリアル時間の経過が必要だったりと制約もあるが(一気に収穫可能にする方法もある)、編成次第で独自の戦い方を編み出せたりと、見所の多い要素になっている。
なおゾンビが畑から生えてくる一方で、カツカレー作りに使うスパイスは、フィールド上の宝箱や大宇宙を漂うスペースデブリなどから抽出する。なんでそっちは畑で育てないんだ。
そもそもカツカレーを食べたら特殊効果を授かるという設定も、よく考えたら謎である。ゾンビが畑から採れる理由も不明だし、血まみれになったら必殺技が打てる理由も良くわからない。そういうものとして無理やり納得して進むしかない。
ゲームとしてのアクションの作り自体はかなり正統派でありながら、どうしてもクレイジーエッセンスを一滴垂らさないと気が済まないといったシェフのこだわりを感じてしまうのが、『ロミオ・イズ・ア・デッドマン』というゲームなのだ。
須田剛一氏でなければ作れない怪作ゲーム。この任務と激闘の果てに待つのは悲劇か喜劇か胸焼けか
今回の先行プレイできたのはChapter 2のボス戦までだったが、本作がいかに異様なアクションアドベンチャーゲームであるかは、ここまでのプレイでも嫌というほど痛感させられた。

正直言ってまだまだツッコミたいところも山のようにある。代表的なものをふたつあげるなら、まずロミオの任務をナビゲートする祖父のベンジャミン。
彼はロミオをデッドマンにトランスフォームさせたのち、白い悪魔に襲われて命を落としたのだが、その直前に超技術を駆使して『ド根〇ガエル』的発想で自らの意志をジャケットに人工装着。以降、文字通りの後方支援役を演じると同時にストーリーのナレーターも兼任するのである。なんてジジイだ。
もうひとつが宇宙船「ラストナイト号」のあれやこれや。いきなりドット絵になるとかカツカレーを作らされるとかゾンビを栽培するとかだけでも相当なものだが、それは氷山の一角に過ぎない。どうみてもミドリカワミドリ【※】な捜査官が出てきたときにはめまいがしそうだった。
※須田氏の過去作『ノーモア☆ヒーローズ3』などで登場したキャラクター。清掃員にして暗黒地獄姫。

他にもロミオのステータスを上昇させるために『パックマン』『クルクルランド』『ディグダグ』を足して3で割ったようなミニゲームをやることになったり、突然キラッとプリティなアイドル風ナースが現れるギャルゲー的会話シーンが発生したり、とにかく色んな意味で遊んでいて退屈するヒマがまるでないのだ。

色々とやりたい放題ではあるが、ここでしか得られない栄養……いや、毒を持ったゲームであるのは確かだ。須田氏の手がけるゲームが好きなファンは言うまでもなく、ツッコミどころの山とアクションゲームとしての作りに関心を抱いた人には、胸やけを覚悟しつつ、注目しておいていただきたい。
魔改造『ロミオとジュリエット』という名の怪作爆誕の瞬間を見逃すなかれ。
刮目せよ、デッドマン。すべての道はローマに通ず。












