ソニー・インタラクティブエンタテインメントが4月30日に発売する、PS5/PS5 Pro Enhanced対応3D弾幕アクションゲーム『SAROS』。死すらキャラクターの成長に変えるシステムを搭載しており、怒涛の弾幕を吸収・パリィ・反撃で切り抜ける爽快なバトルが大きな魅力のタイトルだ。
開発を手がけるのは、『Returnal』をリリースしたヘルシンキのゲームスタジオHousemarque。本作はその精神的続編と位置づけられており、独特の世界観やアクションの肌触りを継承しつつ、死んでも成長が消えない永続的な強化システムやシールドを駆使した新たなバトルにも挑戦している。
今回、HousemarqueのクリエイティブディレクターであるGregory Louden氏と、アートディレクターのSimone Silvestri氏にゲームについて深く話を伺う機会を得た。本作の先行プレイレポート記事と合わせて、ぜひチェックしてほしい。

弾幕との戯れ方の拡張と成長が実感できるシステムを主軸に開発
──『SAROS』では、モディファイアで難易度の調整ができるとお聞きしました。こちらでさらに難しく調整することは可能なのでしょうか? その場合、何かメリットはございますか?
Gregory Louden氏:
スキルツリーである「アーマーマトリクス」とは別に、「カルコサモディファイア」というゲームプレイ難易度のカスタマイズが可能なシステムを導入しています。
このモディファイアには「プロテクションモディファイア」と「トライアルモディファイア」の2種類があり、「プロテクションモディファイア」はプラスの効果を、「トライアルモディファイア」はマイナスの効果を発動するものです。後者を使うことで、ゲームの難易度を上げることができます。
どちらかというと、このモディファイアはゲームプレイ体験の好みに合わせて難易度を調整するための機能です。
──具体的にモディファイアで調整できる内容の中で、ユニークだと思うものがあれば教えていただけますか?
Simone Silvestri氏:
特徴的な例としては、永続的なシステムをごっそり無効化するものや、1度だけ復活できる「セカンドチャンス」を使えなくするものなど、マイナス要素の「トライアルモディファイア」にそうした設定が用意されています。
このモディファイアの役割は、ゲームで直面する困難や亀裂を生む要素のうち、どれを維持してどれを無効化するかを選択できるようにすることです。自分のスキルレベルや好みに合わせて、何を活用し何を無効化するかを選べるシステムとなっています。
──『SAROS』ではスキルツリーによる成長要素や、バトル面ではシールドを使った攻守など、前作『Returnal』へのフィードバックを踏まえて導入された要素と思われるものがいくつかありました。まず、ゲームを開発する初期段階で、どのような作品にしたいと思ってプロジェクトがスタートしたのでしょうか?
Gregory Louden氏:
まず目指したのは、『Returnal』のような歯応えのあるアクションを維持しつつ、継続的な成長システムによって、1回のランで失敗して死んでも全部パーにはならない仕組みを取り入れることです。それに加えて、弾幕をただ避けるだけでなく、シールドで吸収するなど弾幕に向かっていくような立ち回りを可能にする新しい体験も盛り込んでいます。
こうした「弾幕との戯れ方の拡張」と、「歯応えがありつつも次につながる成長の実感」。このふたつを主軸として開発を進めていきました。
──『Returnal』は暗いシーンが多くて、ダークな空間を進んでいくゲームでした。しかし、本作では青い空が広がっていたり、日蝕になっても赤い空になっていたりするなど、比較的全体的に明るくなっており、『Returnal』との差別化を図っていると感じました。そうした空間やデザインの方向性はどのように進められていったのでしょうか?
Simone Silvestri氏:
『Returnal』では、独特の雰囲気をうまく作り上げることができたと思っています。そこで築き上げた我々の哲学は大切にしつつ、まったく新しい物語を描きたいと考えました。そのため本作では異なるアプローチが必要だったのです。
日蝕が、ストーリーやアートスタイル、ゲームプレイに至るまであらゆる要素に関わってきます。日蝕を際立たせるために、土台となる世界のトーンを設定し、日蝕によってそれをどう変化させるかを考えました。異なる色調にしたのもそのためです。特に意識したのは、プレイヤーにスケール感を味わってもらえるような世界を作ることです。
ゲーム序盤は落ち着いたトーンのバイオームから始まり、徐々にプレイヤーをカルコサという狂気の世界へと誘っていくように、ビジュアルデザインや色彩表現も過激になっていきます。カルコサの深部へと進むにつれて激化していく様子を、ぜひ楽しみにしていてください。最終的に、日蝕の存在がプレイ後まで強く印象に残ってほしいと願っています。
日蝕はアート面だけでなく、サウンドにも影響を及ぼします。作曲家サム・スレイターが手がけた音楽が様変わりする様子も楽しんでください。
──本作は新しいアクションとして、シューティングゲームの『斑鳩』のような、敵の弾に当たりに行って高火力攻撃を放つアクションが導入されているほか、PVではパリィアクションが導入されていることが判明しています。こうした新しいアクションに関して、前作と比較するとどのような体験を提供する狙いはあるのでしょうか?
Gregory Louden氏:
Housemarqueは、弾幕アクションゲームが大好きです。ですが、『Returnal』から今回変えたいと思ったのが、単なる「バレットヘル」と呼ばれる弾幕芸から、弾幕をただ避けるだけではなく、いろんな方法で対処する体験を届けたいと思いました。シールドを使って吸収したり、弾幕の間をくぐってパリィで弾き返したりといった、いろんなインタラクションの手段が今回は用意されています。
『Returnal』は、いわば弾幕による障害物コースみたいなものだったとすれば、本作は弾幕と触れ合う遊び場みたいな感じのものをイメージしています。弾幕という発射体が危険を表すものから、吸収できることによって弾幕をチャンスにできる。そうした変化をもたらしたいと考えました。
新古典主義とイタリア未来派の融合で生まれた独自のアートスタイル
──ビジュアル面では、日蝕を背後にして6本の手を持つ巨人みたいな敵や、日蝕に入るときに無数の手が集まったような気持ち悪いオブジェクトのようなもの、あとは壁などに埋めてある身をよじらせるような石像などがとても印象的でした。こういうデジタル的なアートに対して、どういうアプローチでこうなっていったのか、何からインスピレーションを得たのかお聞かせください。
Simone Silvestri氏:
『SAROS』では、異星の文明、それも日蝕の崇拝を軸とした文明を描くという話になり、そうした文明にマッチしそうな様式として、まず新古典主義(Neo Classicism)に目を向けました。これは、崇拝や神秘主義や壮大な建造物といった特徴をもっているからです。
ただし、新古典主義の建築はソフトで親しみやすい印象を与えがちです。そこで新古典主義への反動として生まれたイタリア未来派(Italian Futurism)も取り入れました。相反するこれらの様式を組み合わせることで、暴力的で鋭く、それでいて美しいスタイルを構築することができ、それがカルコサの凶暴な美しさの表現につながっています。
そこから日蝕による啓発を受けた文明を練り上げていくわけですが、コズミックホラー的な側面も取り入れたいと考えました。その結果として、歪んだ啓蒙とも言うべきおぞましき文明の有様が浮かび上がってきたのです。このように、新古典主義という自身がよく理解している様式を土台としながら、さまざまな要素を混ぜ合わせることで本作のアートスタイルを構築していきました。
また、日本のアニメや漫画も作品に取り入れた要素のひとつです。Housemarqueは奇妙・極端・異質なものが大好きで、この凶暴ながらも美しい文明を描くにあたって、さまざまなものを組み合わせていきました。
──開発者側でおすすめのウェポンやアビリティはございますか?
Gregory Louden氏:
一番好きなアビリティは後半に出てくるものなので、ネタバレを避けるため控えますが、リコシェ・ハンドキャノンの武器スキルで弾を反射する「バウンス・ラウンド」というのがあります。それが序盤で手に入る武器の中では気に入っています。
Simone Silvestri氏:
ショットガンが大好きです。近接でダメージを与えたり近接メレー攻撃でトドメを刺したりするなど、近接での戦闘スタイルが好みですね。
──バイオームを最初から順に進むことも、ファストトラベルを使用して途中からバイオームを再開することもできますが、ゲームを進行する上での違いはございますか?
Gregory Louden氏:
いずれの方法も有効ですが、最初のバイオームからプレイした場合は、道中で得られるアイテムや強化アイテムもそれだけ増えていきます。ボス戦に到達する頃には、ショートカットするよりも強くなっているといえます。
ボス戦で苦戦している場合は、ひとつ前のバイオームからプレイし直すことも有効な選択肢です。もちろん最後に到達したバイオームへ直接ファストトラベルすることも可能なので、自分のプレイスタイルやスキルレベルに応じて選んでいただければと思います。
──『Returnal』の物語は、自身に起きた謎を追っていく形になっており、それはそれで良かったと思います。本作では、とりあえず人を探しに行くような形で、ストーリーの序盤はすごくわかりやすくなっていると感じました。本作では、ストーリーラインに登場するエリア全てを達成していけば物語は一旦終了という形になるのでしょうか? それとも『Returnal』のように、また別のエンディングが用意されていたりするのでしょうか?
Gregory Louden氏:
本作の序盤は非常にわかりやすい導入になっています。ただし『Returnal』と同様に、奥深いミステリーや複数のレイヤーが重なるストーリーテリングは健在です。物語の途中にはひねりもありますし、エンドクレジット後もまだ解き明かすべき謎が残されています。『Returnal』のように考察しがいのあるストーリー構造を、ぜひ楽しみにしていてください。
──本作の武器はどのような意図で設計されているのでしょうか? 新しい体験を提供しているのか、それとも前作の内容を調整したものになっているのでしょうか?
Gregory Louden氏:
『Returnal』では基本的に異星の技術に基づく武器が登場しました。本作では地球製の武器と、カルコサ独自の異星技術を使った武器の2種類が組み合わさっており、使い分けができます。これによってより幅広いプレイスタイルが実現しています。ひとつの武器でも、例えばハンドキャノンには3種類あり、それぞれ武器スキルも異なるため、異なるプレイスタイルへとつなげることができます。本作では、そうしたより多様な体験を提供するようにしています。
──最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
Simone Silvestri氏:
ぜひプレイして楽しんでいただければと思います。本作では古きアーケードゲームや日本のゲーム、アニメ、漫画などさまざまな作品から影響を受けています。どんな作品から影響を受けたのかを、ゲームをプレイして実感してほしいですね。我々がこのゲームに込めた愛を感じ取っていただけると同時に、好奇心が赴くままにゲームを楽しんでほしいと思います。
Gregory Louden氏:
『SAROS』は我々にとって、夢のチームで作り上げた夢のプロジェクトです。歯応えのあるゲームでありながら、困難を乗り越えたときの達成感が十分に味わえる。そんなゲームを目指して作りました。
さまざまな奥深いミステリーがあり、心に残る物語がある。先ほどSimoneからもお伝えしたように日本のさまざまな作品から影響を受けており、そうした部分を感じ取っていただけると幸いです。
Housemarqueは、ヨーロッパの中では最も日本的なゲーム開発スタジオのひとつだと個人的に思っております。日本のゲーマーの皆さんに楽しんでいただけると幸いです。
──本日はありがとうございました。








