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「描きたかったものは、世界一特別な恋」──赤坂アカが手がける初のビデオゲーム『カミとミコ』。謎解きと物語がシステムとして完全一致している意欲作はいかにして生み出されたのか?【開発者インタビュー】

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赤坂アカ×SCRAP×集英社ゲームズのトリプルタッグで贈る、世界創造謎解きアドベンチャーゲーム『カミとミコ』

赤坂アカ×SCRAP×集英社ゲームズ『カミとミコ』開発者インタビュー:描きたかったものは、世界一特別な恋_001

『【推しの子】』(原作)、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の赤坂アカと、リアル脱出ゲームで知られるSCRAPが作ったゲームと聞いて「どうせビッグネームを借りて作った軽いゲームなんでしょ?」と思ったあなた、それは大きな勘違いです。かくいう筆者もプレイするまで思い違いをしていました、ごめんなさい。

プレイしていただければその誤解はすぐに解けるはず。アドベンチャーゲームでありながら”人類を導く神様ゲー”的な楽しさがあり、神様ゲー的な楽しさがありながら恋愛ゲーム的なヒロインとのコミュニケーションがあり、ヒロインとのコミュニケーションがありながらカタルシスが得られる謎解きがある。そしてなにより、ヒロインのミコが超かわいい。

もう一度言おう、ヒロインのミコが超かわいい。

赤坂アカ×SCRAP×集英社ゲームズ『カミとミコ』開発者インタビュー:描きたかったものは、世界一特別な恋_002

ゲームシステムと物語の見事な融合もさることながら、ドットルックの出来栄えもすばらしく、おじさんのたとえで申し訳ないが、約38年前にPC98で遊んだ『プリンセスメーカー』を初めてプレイしたときの感覚を思い出した。

それは、言葉を交わさずにプレイヤーが「見届ける」という部分であったり、ディスプレイ越しに娘を育成して思い通りになったり、ならなかったりという感覚。

とにかく、ぜひ一度プレイをしていただいてその魔力を体験してもらえればと思うのだが、4月初旬、電ファミニコゲーマー編集部は、本作のシナリオ・キャラクターデザインを手がけた赤坂アカ先生、ディレクターを務めたSCRAP代表の加藤隆生氏、共同製作である集英社ゲームズのミヤザキユウ氏にインタビュー取材が行える運びとなった。

赤坂アカ先生とSCRAP代表 加藤氏、ふたりのクリエイターの組み合わせがいかにしてケミストリーを生み出したのか。そして、赤坂アカ先生がビデオゲームで描きたかった「世界一、特別な恋ってどんなことだろう」という着想が言語化される様子をぜひご覧いただきたい。

※インタビューは『カミとミコ』発売前に実施。赤坂アカ先生はリモートでの取材参加。

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写真右からSCRAP代表 加藤隆生氏、赤坂アカ先生(リモート参加)、集英社ゲームズ ミヤザキユウ氏。

聞き手・文/豊田恵吾
撮影/永山 亘


「世界を創造するゲームを作りたい」『カミとミコ』の制作は、中華料理屋でのおしゃべりから始まった

── 本日はよろしくお願いします。まず『カミとミコ』の企画の立ち上げからお話を聞かせてください。公式が運用している”カミ様レター”(メールマガジン)の「企画誕生秘話」にて、加藤さんと赤坂先生が中華料理屋で食事をしているときに「作りたいゲームありますか?」という会話があり、その際に赤坂先生が「世界を作るゲーム」と答えたことがきっかけだったと記されていましたが……。

加藤隆生氏(以下、加藤氏):
僕はもともとアドベンチャーゲームがすごく好きで、40年前くらいから『ポートピア連続殺人事件』など、コマンド選択型のアドベンチャーゲームを遊んでいました。『弟切草』『 逆転裁判』など、テキストベースのゲームのインタラクションが進化していくことに、長い時間をかけてこっそりと興奮していて……。なにか自分でつぎの発明ができたらうれしいなと妄想する時間が……10年ぐらいあったんです。

やがて謎解きゲームを自分が作るようになり、「ぎゅうぎゅうに言葉で埋めて、論理や理屈とかをたくさん詰めて埋め込んで唯一解を出す」みたいなゲームをこの19年間作ってきました。ただ、何となくそれにも疲れ始めているというか、もう少しシステムとして整備されているけど、感覚的に回答、ひらめきが導き出せるような新しい仕組みはないかなと思っていたんです。

そんなときに出会ったのが、ピクトグラム【※】。世界中の人たちがパッと見て理解できる記号みたいなものが、いつかゲームになったらおもしろいのではないかと、けっこう前からぼんやりとしたイメージを持っていて。海外に行ったときにも何となくピクトグラムを収集するというか、「これで駐車場を表現しているんだ」とか、「これが危険っていう意味なの?」というのをずっと見ていました。

「ピクトグラムで指示を出すアイデアの原型」を薄っすらと持っていた中で、赤坂さんと食事をしたときに赤坂さんが「世界を創造する、創生するゲームを作りたい」と話されたんです。それが「言葉が通じない人類に共通の何かを導き出す方法って何だろう」という問いかけに感じ取れて、いままでぼんやり温めてきた「ピクトグラムを使って誰かに指示を出す」というアイデアにリンクしたんですよね。その直後に書いた企画書が『カミとミコ』の原型です。

※ピクトグラム……言語、年齢、国籍などを問わず、誰でもひと目で情報や注意を理解できるように作られた「視覚的な図記号(絵文字)」。非常口やトイレなどで使われる単純化されたイラストが代表例。

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──その原型では、アドベンチャーゲーム以外のジャンルも含めて考えられていたのでしょうか?

赤坂アカ氏(以下、赤坂先生):
最初の僕の提案は「どちらでもいけるように」でした。密室や隠れた場所で展開する『AZITO』(アジト)系など、ほかにもいろいろなジャンルがありますが、「もの」を使って謎を解いていくタイプのゲームが僕は好きで、その形で『カミとミコ』ができるかも、と考えたんですね。

ただ、「舞台がビルの1室でもできるんじゃないか」という気持ちも、どこかにあったような気がします(笑)。

加藤氏:
じゃあそっちも作るか……。

赤坂先生:
(笑)。

── ビデオゲームにおいて、SCRAPの持ち味をどう活かそうと思われたのでしょう。

加藤氏:
その段階ではまだ謎に落とし込まなかったんですね。まずはゲームシステムを整理したかったのと、システムが物語を阻害しないものでありたいと思ったんです。ゲームとして楽しめる部分のシステムと物語が別々のゲームってあるじゃないですか。

そういうゲームも好きなんですけど、「謎を解き進めるためのシステムと物語とが完全に一致しているもの」でありたかったので、ぼんやりシステムができあがった段階で物語のプロットを完成させるほうに主軸を置いたんです。

本当にすごく雑なプロットを作って赤坂さんに持っていって「これ、どう思います?」と聞いたら「めちゃくちゃいいですね」と言ってくださって。赤坂さんが「ちょっと預かりますね」となり、後日戻ってきたら、ぜんぜん違うプロットになっていたという(笑)。

赤坂先生:
(笑)。

加藤氏:
でもそれが本当にすばらしかったので、今度はそのプロットにシステムを乗せていき、『カミとミコ』の原型ができたという感じです。

赤坂先生:
僕から言わせてもらうと、どんなシナリオになっても「SCRAPさんなら絶対にどんな謎でも作ってくれる」という圧倒的な信頼があったからこそですね(笑)。

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── 最初に加藤さんのプロットを見たときに、赤坂先生はどういう感想をいだいたのでしょうか?

赤坂先生:
きっかけはお酒の場で話したお題だったわけですが、ちゃんとわかってくれてるんだなと感じました。プロットを受け取って「僕のアイデアも足していいですか?」、「僕が持ってるいいところも足したい」と、先ほど話した流れになって。僕はやはりシナリオの人だと思っているので、やらせてもらえるならシナリオをやりたかった。

何があっても「イラストレーターとしては売り込まないぞ!」という強い気持ちで(笑)。「絵はほかに誰かいい人がいるでしょう」、「誰かに任せてもらえるだろう」と思って進めていったら、けっきょく僕がキャラクターデザインも担当することになっているという(笑)。

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── SCRAP、集英社ゲームズから「シナリオだけではなく、キャラクターデザインも赤坂先生に」とお願いがあったのですか?

加藤氏:
それはもう「やってください!」、「できるって知ってますよ、僕は」と(笑)。

── (笑)。

ミヤザキユウ氏(以下、ミヤザキ氏):
最初にいただいたものがよすぎて「赤坂先生以外、いったい誰がやるんですか?」と……。

赤坂先生:
一生こうなのかもしれない……(笑)。

100万年掛けて相手を見届ける“カミ”と、転生者として時代を超える“ミコ”の「世界で一番特別な恋」

── 赤坂先生の「世界を作るゲーム」という発言から生まれた企画ということですが、赤坂先生は以前から「世界創造」というテーマを構想としてお持ちだったんですか。

赤坂先生:
僕の中でもひとつ原点みたいなところがあったんです。「規模の大きい話を作ってみたい」、「世界一、特別な恋ってどんなことだろう」と思っていたんですね。

いまになって思うのは、僕は「地球規模のふたりが書きたかったんだな」って。週刊ヤングジャンプで読切マンガの原作もやらせていただいたんですけれど、そのときに出てきたワードが「地球一の女の子」だったんです。

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(画像はとなりのヤングジャンプ公式サイトより)

赤坂先生:
脚本を書いていくうちに「この子は特別、世界の中でもっとも特別」、「その子と恋愛をした神様、このふたりっていうのは世界一特別な恋」と思って書いていました。「みんなもそういう恋がしたかったんじゃないかな」とも思ったりして。

── ミコのデザインはすんなりと生まれたのですか?

赤坂先生:
SCRAPさんと最初のプロットの打ち合わせをしているときにホワイトボードにいろいろと書いたのですが、その隅っこのほうにすでに描いていました。「その時点でもういた」というか、そこが始まりですね。

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── ゲームを遊ばせていただいて感じたのが、ドットルックとの親和性と、ミコのリアクションの豊富さとかわいらしさでした。たとえが正しいかわかりませんが、娘を見ているような、恋人を見ているような……。

赤坂先生:
この感じで人間を見たことって、たぶんいままでにない体験なんじゃないかなと。生まれたところからじゃないですけれど、原始のピュアな存在から始まって、いろいろな酸いも甘いも知ってきて、時代がどんどん変わっていく。100万年の時をかけて誰かの姿を見届けるという経験ってないだろうし、皆さんにとって初めての体験になるんじゃないでしょうか。

── なるほど。ゲーム化に際して企画を持ち込むにあたり、数多あるゲーム会社の中から集英社ゲームズを選んだ決め手はなんだったのですか?

加藤氏:
そこも迷いがなかったですね。僕と赤坂さんの出会いのきっかけになったのも集英社さんに紹介していただいたことだったんです。ですので、まず誰かに相談するんだったら集英社さんに相談しに行こうと。ご相談後に集英社ゲームズさんに話が伝わって「やりましょう」となりました。

ミヤザキ氏:
以前、SCRAPさんと集英社ゲームズでご相談していた企画がありまして、それと並行する形で今回のお話をいただいたんですね。

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── 集英社ゲームズとしては企画をご覧になられたときに、どういった印象を持たれたのですか。

ミヤザキユウ氏(以下、ミヤザキ氏):
謎解きのある種すごくピュアな部分が「ド真ん中で来たな」と。人類の発展の過程って何かしらの閃きがありますよね。何かに気づいて「あ、こうすればいいんだ」というところで新しい発明がされていく。たしかに、それって「謎解きそのまんまじゃないか」と感じました。

目から鱗と言いますか、こんなド真ん中のことがこれまでほかでやられていなくて、しかもシナリオを赤坂先生が担当されるとなったら、「これはもうおもしろいに決まってる」と。そういった経緯からごいっしょさせていただく形になりました。

「ゲームをやっているあいだは孤独じゃない」転校続きだった赤坂先生の幼少期を支えた名作RPGの数々

── 改めて『カミとミコ』の座組みをおうかがいしたいんですけれど、シナリオ・キャラクターデザインを赤坂先生が手がけ、システムや謎解きの担当がSCRAP、という認識でよろしいのでしょうか。

加藤氏:
SCRAPはゲームデザイン全般、って感じですかね。

赤坂先生:
あと、僕の担当編集です(笑)。

加藤氏:
これはなかなかプレッシャーのかかる仕事ですけれど(笑)。

ミヤザキ氏:
集英社ゲームズは共同製作として携わっていますが、開発のメイン、開発の意思決定などはSCRAPさんとなります。開発中、集英社ゲームズがシナリオなどにコメントさせていただくこともありましたが、ブラッシュアップ的な確認です。あくまでもデジタルゲーム会社としてのマーケティング支援、という役割ですね。販売もSCRAPさんからとなります。

── ドットルックかつブラウザゲームというところが、本作の特徴のひとつだと思うのですが、当初からこの完成イメージはお持ちだったのですか。

加藤氏:
ブラウザゲームになったのは、なんとなく僕らがブラウザゲームにしか知見がなかったというのもあります(笑)。ドット絵にしたのは、赤坂さんからのご提案でした。

赤坂先生:
そうですね。僕はドットのゲームが大好きで。小さいころからドットのゲームをしては引きこもり、このような姿になってしまったという(笑)。ドット絵に強い思いがあるのは間違いなくて、「僕の思い入れが強いものはとにかく全部ぶち込んでしまえ」というところはありました(笑)。

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── 赤坂先生がゲーム好きという部分を深掘りしたいのですが、赤坂先生と加藤さんはこれまでどんなゲームを遊ばれてきたのですか?

加藤氏:
『スーパーマリオブラザーズ』で、周りのみんながゲームやり始めたタイミングで僕もゲームをやり始めました。冒頭にお話ししたとおり、『ポートピア連続殺人事件』を遊んで、その翌年の『ドラゴンクエスト』を遊んで……。

僕はすごく本を読む子どもだったんですけれど、それが小学校の高学年くらいになると、本を読むと悲しくなっちゃうっていう現象が起こったんですね。それは何かというと、本の中の人たちがみんなキラキラした冒険をしているのに、自分がそうではないと気づいたから。「本にいる人を応援することしかできない」ということがすごく悲しかったんです。

本の中の人たちが羨ましかったんですよ。そんなときに『ポートピア連続殺人事件』から始まって、『ドラゴンクエスト』が「自分が主人公になれるゲーム」、「自分が主人公を操れるゲーム」であることに、ものすごい衝撃を受けました。「このキャラクターとして生きていれば寂しくない」ということに気づいたんです。

この「自分が操ったキャラクターが物語を進めていくこと」に、異常に興奮したまま10代と20代を過ごしていき、さらに自分の肉体が主人公になれるゲームを作りたくなって30代でそれを作る(リアル脱出ゲームの発案・開催)ということになった。でも、ゲームの原体験としてはやはり『ドラゴンクエスト』の、「右を押したら右に動いて、話すボタンを押したら話をしてくれる」ということの衝撃でした。

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(画像はドラゴンクエスト宣伝担当公式Xより)

赤坂先生:
僕もけっこう近いことを思っていて、「ゲームをやっているあいだは孤独じゃない」というのはデカかったです。転校だらけの人生だったっていうのもあり、とくにノベルゲームとかRPG作品にハマっていったのですが、それはずっと遊べるからなんです。

アクションゲームだったらステージクリアで終わりになりますし、タイムアタックをすれば1時間でクリアできてしまうゲームがある中で、RPGは「20時間が保証されている安心感」がありました。ゲームを欲しいと言えばけっこう買ってくれる家だったのですが、欲しいと思ったゲームはいつもRPGでしたね。

──それは、赤坂先生のお父さんが『天地創造』、『ガイア幻想記』のプロデューサー【※】を務めていたという影響があったのでしょうか?

※『天地創造』、『ガイア幻想記』のプロデューサー:2012年、赤坂先生は自身のXにて「父が『天地創造』や『ガイア幻想紀』のプロデューサーやっていた」、「あのえぐいシナリオが人格形成にある程度の影響を与えたのは間違いないと思います」と投稿されている。

赤坂先生:
だいぶデカい影響だと思います。『クロノ・トリガー』とか、地球規模の話で言うと『クロノ・クロス』にもガッツリとハマりました。ずっとRPGばかりやっていたので、FPSとか格ゲーは一切通らずに来たので、その反動からか、30代を超えていきなりFPSとかをやり始める人間になったという(笑)。

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(画像はクロノ・トリガー@ChronoTriggerPR公式Xより)

──赤坂先生といえば『Apex Legends』【※】というイメージを持っている方が多いと思いますので、そういった方からするとギャップがあるように見えるかもしれません(笑)。

※赤坂先生といえば『Apex Legends』……赤坂先生は、かつて「このままだとエペでマスター目指す事だけが人生の目標という悲しきAPEXマシーンが誕生する」とXで投稿して話題に。「CRカップ」などの大会への出場や、VTuberやストリーマー、マンガ家仲間とともにゲームプレイ配信も行っている。

赤坂先生:
ギャップですね~。ひとりでいることが寂しくないためにRPGをやっていたのに、いまは多人数が集まって遊ぶ、まったく寂しくないゲームになったわけですから(笑)。

ただ、けっきょく「作品」っていうのはひとりでやるものが多いわけで、『カミとミコ』もひとりで遊ぶゲームですけれども、全人類が心のどこかに持っている孤独感とか、心に欠けている部分を埋めていくものになっています。

『カミとミコ』の恋愛観というのも、世界でいちばん特別な恋が欲しかった人々、きっと誰も手に入れていないだろうそれを、埋めるものなのかもしれません。「作品」が持っている役割って、そういうことなんだろうなと思いますし。

僕だって本当は「異世界転生して無双したかった」ですし、「ルイーダの酒場に行って、まず遊び人をつかまえて賢者にしたかった」(笑)。でも、みんな現実との折り合いをつけて生きていくわけですよね。決して手に入らない栄養、ビタミンが「作品」だと思うし、現代人のみんなに欠けているビタミンをねじ込んだのが『カミとミコ』。「『カミとミコ』には特濃のビタミンが入っている」、僕はそう思っています。

── さきほどおっしゃられた「世界一特別な恋」という言葉がとても響きました。

赤坂先生:
いま話していて思いましたが、いちばんしっくりくる言葉ですね。

加藤氏:
我々も聞いていてしっくりきていて……いまから宣伝プラン変えようか?(笑)

赤坂先生:
僕もいまちょっと「それ、これまで言えてなかったわ」と思いました(笑)。

世界・規模感が大きい話っていうのは、規模感が大きい恋愛を描きたかったんだ、というのが、いまになって自分の中で合致しました。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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