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『トリッカル』開発チームが明かす“日本上陸ドタバタ劇”。「スピキミーム化」や「オリシナルクリアっアイル誤字事件」で話題を呼ぶその裏で──黒字化しても、新作が動き出しても、代表の家は抵当に入ったまま

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リリースから2時間でのサービス終了発表、そして代表の自宅を担保にした資金調達でのゼロからの作り直し。

韓国のゲーム会社EPID Gamesが手がける『トリッカル』が、日本を含むグローバル展開へと至る道のりは、文字通りの波瀾万丈だった。

そして、日本リリース後も、ゲームの中身以上に「ゲームの外側」のドタバタ劇が話題の中心になりがちだ。

その最たるものが、2025年末に突如現れた「スピキ」のネットミームだろう。「チョワヨーチョワヨー」「ウワァー!スピキデルジバゼヨ!」といった愛らしく舌足らずな韓国語ボイスと1枚の泣き顔画像は、未プレイの層まで巻き込む爆発的な人気を獲得した。

2026年7月9日~12日の期間に、上海で開催された「Bilibili World」への出展でも、『トリッカル』ブースは相変わらず「スピキ」で埋め尽くされており、遊び心に満ちた空間となっていた。

我々はこの会場で、本作の開発を担うEPID Gamesのハン・ジョンヒョン代表シム・ジョンソン副代表から直接お話を聞く機会を得た。

会社が黒字化を達成し、チームが35人から200人体制へ急成長を遂げ、新作が動き出した現在も、なぜ「代表の家は抵当に入ったまま」なのか。独自の歩みを続ける彼らの開発体制の実態をお届けする。

『トリッカル』開発チームインタビュー:
ハン・ジョンヒョン代表(左)とシム・ジョンソン副代表(右)。

取材・文/竹中プレジデント


「スピキミーム化」や「オリシナルクリアっアイル誤字事件」……日本上陸からのドタバタ劇

──日本でのリリース(2025年10月9日)から現在までを振り返ってみて、いかがですか?

ハン代表:
ひと言で表すと、まさに「ドタバタと転がるように」ここまで来ました。本当にいろいろな事件や問題が起きては、必死に解決していく毎日の連続で……。

今、こうして多くのユーザーさんに遊んでいただけている現状が、私たち自身にとっても不思議なほどです。感謝の気持ちでいっぱいです。

──これまでに起きた事件やトラブルの中で、とくに印象に残っているものはありますか?

ハン代表:
やはり、公式Xアカウントでの「誤字事件」です。「オリジナルクリアファイル」を盛大に誤字って「オリシナルクリアっアイル」と投稿されていたのを見たときは、とても驚きました。

結果としてユーザーのみなさんがおもしろがってくれたのは救いでした。……あ、じつはこの「オリシナルクリアっアイル」、公式グッズ化される予定なんです。ぜひ楽しみにしていてください。

──まさかの(笑)。失礼ながら、そういったトラブルすらも味方にしてしまうのが『トリッカル』らしさであり、ユーザーに深く愛されている理由な気がします。

ハン代表:
私たちの不手際や失敗が多いにもかかわらず、ユーザーのみなさんがそれを笑顔で受け入れてくださることは、ありがたいことです。

──リリースからを振り返ると、やはり「スピキ」のミームがかなり印象的でした。「スピキ」じたいをゲーム内にペットとして実装したり、「スピキ」の特別コインを作ったり。開発の動きが早いなと。

シム副代表:
私たちは開発において、なによりも「スピード感」を大事にしているんです。

だからこそ、ユーザーのみなさんの間で新しいミームが生まれたら、できるだけ素早く反応して、一緒に交流できるように心がけています。

開発チームは35人から200人へ。新作プロジェクトも始動。家を取り戻すより人を増やす

──2025年度の監査報告書で、EPID Gamesが黒字転換に成功したと報じられました。『トリッカル』が好調な要因というのはどのあたりにあると考えていますか?

ハン代表:
国内(韓国)サーバーが1周年以降どんどん数値がよくなっていったこと、そしてグローバル展開もすばらしい波に乗れたことですね。

シム副代表:
一般的なモバイルゲームって、リリース直後や1周年がピークになりがちじゃないですか。でも『トリッカル』においては、韓国サーバーではとくに2.5周年のタイミングで過去最高の盛り上がりを記録したんです。

グローバル展開に関しても、リニュアイベント(2026年6月)で大きな反響をいただき、右肩上がりの成長を続けられています。

──ユーザーの熱量が落ちるどころか、むしろ右肩上がりに高まっている要因について、代表はどう分析されていますか?

ハン代表:
通常のゲームであれば、リリースから時間が経つにつれてアップデートの間隔が空いていく傾向にあると思います。しかし私たちは、むしろ「もっと早く、もっと早く」と、アップデートのスピードをさらに加速させていきました。

そうして一生懸命に働き、コンテンツを届け続けた姿勢をユーザーのみなさんが評価してくださったのかなと。

ただ、「スピキ」のブレイクのように、運が味方してくれた側面もあると思っています。

──「もっと早く」を実践するとなると、相応の開発体制が必要になりますよね。現在のチームの規模はどれくらいなのでしょう?

ハン代表:
韓国でリリースした当初は35人のチームでしたが、現在は200人体制で『トリッカル』の開発に臨んでいます。

もちろん、今の状況に満足することなく、さらに開発スピードを上げるために、今後もどんどん人を増やしていきたいと考えています。

──黒字化で得た利益の使い道として、とにかく「人を増やすこと」に資金を集中させていると。

ハン代表:
おっしゃる通りです。人を採用することがなによりも最優先です。

現在、私の家の担保(抵当)の利子はそこまで高くないので、それくらいなら利子を払い続けてでも、優秀な人材を採用してゲームをよりよくしていくほうが、会社として正しいと信じています。

──6月29日に公開された新作プロジェクト(『TRICKCAL PATIMA』)の発表に際しても、スタッフ募集をされていましたが、今後もさらに人員を拡大していく予定ですか?

ハン代表:
もちろんです。次回作のプロジェクトもすでに始動していますので、これからもどんどん人材を採用していく予定です。これこそが会社として最優先ですね。

──難しいかもしれませんが、現時点で新作についてなにかお話できることってありますか?

ハン代表:
正直にお伝えすると、新作プロジェクトは今まさに始まったばかりで、現時点ではまだなにも決まっていない状態なんです。「情報を隠したい」というわけではなく、私たち自身も未来の予測がつかないほど初期の段階なんですよ。

そのため、みなさんになにかしらの情報をお届けできるようになるのも、おそらく2〜3年後、早ければ2年後くらいになるのではないかと思っています。それくらいのスパンで気長に続報を待っていただけるとうれしいです。

Bilibili Worldのブースもスピキだらけ。その影で寂しく舌を回し続けるコミーへの愛を代表に語ってもらった

──組織が35人から200人へと急成長し、会社としての変化も大きいと思います。おふたり自身に変化はありましたか?

ハン代表:
本質的な部分はあまり変わっていません。35人の時もなにかしらの問題が起きては解決する日々のくり返しでしたし、200人になった今もそれは同じです。むしろ組織が大きくなったぶん、向き合うトラブルの量も増えています(笑)。

そんな風に、私たちが今でも変わらず現場で必死に走り回っているからでしょうか。最近、全社員で飲み会をした際、ある社員からこんなことを言われたんです。

「自分も毎日夜遅くまで必死にがんばっているけれど、代表や副代表はYouTubeにも出ているし、海外のイベントにも駆け回っていて、自分以上にハードに働いている。その姿を見ていると、“負けていられないな”と悔しくなる」と。

──社員の方々のモチベーションが非常に高いのですね。シムさんはいかがですか?

シム副代表:
海外出張の際の食事に少し変化がありました。以前は仕事漬けで、出張先でも満足に食事をとる時間すらなく、出張するたびに痩せてしまっていたんです。

しかし最近は少しだけ余裕ができて、現地のおいしい食事を選んで食べられるようになりました。おかげで最近は、代表も私も出張に行くたびに少し体重が増えています(笑)。

──今回のBilibili Worldの出張でも、ぜひおいしいものを食べてくださいね(笑)。ちなみに会場のブースの様子はご覧になりましたか? 「スピキ」だらけでしたが。

ハン代表:
開場前に見に行ってきたのですが、「スピキ」ばかりで圧倒されました。

もちろん、ここまで「スピキ」を愛していただけるのは心から感謝しているんです。ただ! 私は個人的にコミーが大好きなので、コミーのかわいさがまだ世界に伝わりきっていないのが正直もどかしくて……。

私の愛するコミーはブースの中にちんまりと置かれて、ただ寂しく舌を回していました。

『トリッカル』開発チームインタビュー:

──せっかくの機会ですし、代表がそこまでコミーを熱烈に愛する理由を教えていただけますか?

ハン代表:
一般的に、猫キャラクターというと猫耳を生やしたかわいい女の子だったり、純粋に愛くるしいデザインが多いですよね。ですがコミーは、デフォルメされた「猫の姿のまま」で、作中でもいろいろと悪いことをしでかす、とってもお行儀の悪い猫なんです。

でも、現実の猫もそうじゃないですか。悪さをしているのに、その憎めない姿がついつい愛らしくて許してしまう。それこそがコミーの魅力なんです。ただかわいいだけじゃない、ちょっとダークな裏の一面がある「ギャップ萌え」の塊ですので、日本のみなさんにもぜひ彼女の性格ごと好きになってほしいですね。

コミケ参戦に、グローバル専用ストーリーも追加。「スピキ」も大活躍する『トリッカル』の今後

──日本のユーザーに向けて、今後の展開で注目してほしいポイントがあれば教えてください。

ハン代表:
現在のグローバル版はストーリーの「シーズン1」ですが、今後展開される「シーズン2」では「スピキ」が大活躍しますので、ぜひ楽しみにしていてください。

また、今年の8月にはコミケ(コミックマーケット)への出展を予定しており、現地に『トリッカル』のブースをオープンします。

さらに、秋葉原を中心として、さまざまなオフラインイベントも準備中ですので、日本のみなさんにはぜひ期待していただきたいです。

──秋葉原を中心にさまざまなイベントを予定しているとのことですが、おふたりは実際に秋葉原に行かれたことはあるのですか?

ハン代表:
それこそ、何回行ったか数え切れないほど訪れていますよ。お気に入りのお店もたくさんあります。とくにお気に入りのチキン南蛮のお店があって、そこにはもう何十回と通い詰めています。

シム副代表:
代表は日本に行くとグッズを信じられないくらい大量に爆買いするんです。代表の自宅は、日本で買ったグッズで溢れかえっていますよ。

ハン代表:
「もうこれ以上、日本に行ってもグッズは買わないでおこう」と心に決めていた時期もあったんです。

ですが、最近アメリカに行く機会がありまして、あちらはグッズの価格が日本の3倍近く高かったんです……。それを見て「やっぱりグッズを買うなら日本が一番だな」とあらためて実感しました。

──集められたコレクションの中で、とくに思い入れのあるお宝グッズはありますか?

ハン代表:
ひとつに絞るのは難しいですが……『アークナイツ』の開発会社からプレゼントしていただいた、周年記念グッズやオーケストラのグッズはお気に入りですね。大切にしています。

シム副代表:
私は、『ブルーアーカイブ』のキム・ヨンハ統括PDからプレゼントしていただいた、サイン入りのポストカードがお気に入りです。

代表も持っているのですが、これはキム・ヨンハ統括PDに私たちがおいしいお肉とお酒をご馳走して、そのお礼としていただいたものなんです。

──それは開発会社同士の熱い交流ですね(笑)。では最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。

ハン代表:
今後のメインストーリーですが、シーズン1が完結したのち、「追加ストーリー」の実装を予定しています。こちらはグローバル版の特別な追加エピソードになりますので、ぜひ楽しみにしていてください。

その先に待っている1周年記念イベントも、非常におもしろい仕掛けをたくさん用意しています。これからの『トリッカル』の展開に、ぜひご期待ください。(了)


編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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