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作り込みのすさまじさにコラボ先も驚嘆──『Wizardry Variants Daphne』×『FFXI』コラボが期間限定なのにジョブもキャラも武器も戦闘システムもワンオフで作り込まれた理由を両ディレクターに聞く

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24年もの歳月を紡ぎ、いまなお多くのプレイヤーを魅了し続けるMMORPG『ファイナルファンタジーXI』(以下、『FFXI』)。その偉大な歴史を持つヴァナ・ディール【※】の世界を、ダンジョンRPG『Wizardry Variants Daphne』(以下、『ダフネ』)へと落とし込むコラボレーションが実現した。

※ヴァナ・ディール……『ファイナルファンタジーXI』の物語の舞台となる世界の名称。プレイヤーは冒険者としてこの世界を旅する

いわゆる“期間限定コラボ”といえば、数体の記念キャラクターと、小規模な専用クエストが実装される程度を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、本コラボはこれまでの常識を覆す、異様な作り込みとなっている。

クエスト、キャラ、ボイス、武器、イベント、戦闘システム、専用ジョブなどなど、とにかくあらゆる要素を入れ込んでワンオフで作り込まれているのだ。その物量とクオリティの高さは、監修元のスクウェア・エニックスが「え?」と驚くほどだったという。

さらに驚くべきことに、これほど作り込んだ仕組みを期間限定のものにするというのだ。コラボ期間が終了すれば、ほぼ入手・体験できなくなってしまう仕掛けを、なぜドリコムはこれほど作り込んだのか?

その答えは、開発陣が掲げる「システムより先に、体験がある」というモノづくりの哲学にあった。プレイヤーに忘れられない「驚き」を届けるためなら、常軌を逸した手間や作り込みさえも厭わない。

全滅すらも、理不尽な死すらも、忘れられない「体験」として輝いていた、あのころの『FFXI』。それは『ダフネ』と共通するプレイヤー体験であり、『FFXI』と『ダフネ』だからこそ味わえる「冒険」なのである。

電ファミニコゲーマーは、スクウェア・エニックスの『FFXI』プロデューサー兼ディレクター藤戸洋司氏と、ドリコム『ダフネ』統括ディレクターである金山圭輔氏にインタビューを実施。

コラボ実現までの経緯や開発秘話、お互いのタイトルの印象などを深掘りして語り合っていただいた。

『Wizダフネ』&『ファイナルファンタジーXI』コラボ記念対談。期間限定なのにジョブも新システムもほぼ「使い捨て」の作り込み_001
写真左からスクウェア・エニックス藤戸洋司氏、ドリコム金山圭輔氏

聞き手・編集/豊田恵吾
文/kawasaki
撮影/永山 亘

※この記事は『Wizardry Variants Daphne』の魅力をもっと知ってもらいたいドリコムさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


──本日はよろしくお願いします。まずは今回の『FFXI』と『ダフネ』のコラボに至った経緯から話をお聞かせください。そもそもおふたりは、ご面識はあったのでしょうか。

金山圭輔氏(以下、金山氏):
直接の面識はありませんでした。今回のコラボで初めてお会いさせていただいて。

ただ、じつは自分も『FFXI』はサービス開始初日からプレイしていたので、今回のコラボが実現できて感慨深いです。

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──『FFXI』はゲーマーとしてプレイしていたのでしょうか? それとも、ゲームクリエイターとして「やっておかないと」という感覚だったのでしょうか。

金山氏:
いちユーザーとしてプレイしていました。初めて体験するMMOが『FFXI』だったんです。

サービス開始初日は仕事が忙しくて、朝方に帰ってきてからログインをひたすら試して、そのまま寝落ちする。それを繰り返していました。初めてヴァナ・ディールの世界に入れたときは、本当にうれしかったですね。

サンドリアからスタートしたので、周辺を走り回っていたのですが、「ほかのプレイヤーが画面の中にいる」ということに感動したのを、いまでも鮮明に覚えています。あれは、熱狂でしたね。

藤戸洋司氏(以下、藤戸氏):
ありがとうございます。

僕はサービス開始日は、会社の中からログインしていたんです。「みんな来るかな?」とドキドキしながらウィンダスで待っていたんですけど、誰ひとりとして入ってこない。「ぜんぜん来ないね」、「本当に始まったのかな?」と話していたら、ログイン障害が起こっていて一般の方は入れない状況でした(苦笑)。

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金山氏:
『FFXI』は仲間内でよくやっていました。仕事が忙しい時期だったので、いつも朝方に家に帰ってきて、寝るまでの少しのあいだだけログインしていたんですね。

そうするとだいたい、さっきまでいっしょに仕事をしていた連中が、みんなログインしているんです。「いるいる(笑)」とパーティーを組んで、3人ぐらいでちょっと遊んでから寝る。そんなことを繰り返していました。あのときは本当に楽しかったです。

水色の画面の中で動く『PlayOnline』接続中のUIは、いまも脳裏に焼き付いていますね。

藤戸氏:
当時はオンラインで繋がるだけで新体験という感じがありましたよね。

掲示板で意見交換する文化もちょうど社会現象になりつつあるタイミングでしたから、ログインできない状況をみんな掲示板で「入れた?」、「入れない?」と言い合っていて(笑)。

ただ、プレイヤーがみんな外部の掲示板で連絡を取り合うようになってしまったので「せっかくゲーム内にチャットシステムを入れたのに……。もう少しゲーム内でしゃべってほしいな」と思っていました(笑)。でも、「/Say」でしゃべるとログがどんどん流れてしまいますし、周囲のプレイヤーにも表示されてしまいますから、なかなかしゃべりづらかったとは思います。

──MMOのマナーもよくわかっていない時代でしたから(笑)。

藤戸氏:
マクロでウェポンスキルを撃つときにも、「俺の技を食らえ! ファストブレード!」といった具合に、みんなメッセージを入れてやっていた時代でしたから(笑)。

金山氏:
すごく自由でよかったですよね。MMOの常識がまだ浸透していなくて、知らない人も多かったから、みんな暗中模索というか。

藤戸氏:
まだ何もプレイヤー間のルールが決まっていないカオスな時代で、だからこそ唯一無二のおもしろさがありましたね。

──今回のコラボは、ドリコム側からスクウェア・エニックスへ打診されたのでしょうか?

金山氏:
はい、我々のほうからご提案をさせていただきました。

「ゲーム体験的にやり応えがあって、ユーザー層的にも合うんじゃないか」と『ダフネ』開発チームの中でもともと話していたんですね。だったらダメ元で声をかけてみよう、と。

せっかくやるからには、「プレイヤーにとって驚きのある良い作品と組みたい」というのがありました。その点、『FFXI』は波長といいますか、いろいろ『ダフネ』と合うという感覚があって。

藤戸氏:
『FFXI』は、装備を集めて自分のジョブの立ち回りに合うようにカスタマイズしたり、限界突破の試練をクリアしないとレベルキャップが上がらなかったり、そのうえ他人との協力が必須と、かなりシビアな内容になっています。

そのあたりは『ダフネ』と合致する部分だと思います。「スマートフォンタイトルでここまで負荷をかける理由があるんだろうか」と思いながら、こちらも『ダフネ』をプレイさせていただいていました(笑)。

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──藤戸さんご自身も『ダフネ』をプレイされていたのですか。

藤戸氏:
はい。ひとつのタイトルを遊び倒すようなことはあまりしないのですが、幅広く触るようにはしています。『ダフネ』に触ったときに、その設定とディテールが「最高だな」と感じました。

たとえば「逆転の右手」にせよ、ガチャと呼ぶのではなくて、「時間を戻したからキャラが骨から復活する」という設定になっている。キャラが重複することはあっても「それは骨がたくさんあるからそうなるんだな」と納得できる。さらに、その「逆転の力」を使って、ストーリーまで巻き戻してしまう。

ゲームの作り手として見ると、「無茶なことをしているな」と思うんですよ。だって、カースドホイールで物語を巻き戻したときのフラグ管理は、めちゃめちゃたいへんじゃないですか。ですから、自分としては「信じられないことをやってのけているタイトルだな」と思っていました。

今回のコラボのお話をいただいて改めてプレイしていて、いまはグアルダ城塞まで行ったんですけど、さすがにちょっと厳しくなってきたところですね。

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──そこは、ひとつの壁ですからね。

藤戸氏:
グアルダ城塞に至るまでの作りも、表現も、ゲームデザインも、「リスクを取る」というテーマが根底にあるゲームとなっていて、そのリスクの取り方や難易度の調整がすごくいいんですよね。

もちろん、基本プレイ無料+アイテム課金のビジネスモデルなので、ショートカット的なことも行える前提で設計されているわけですが、無課金でもかなり進めるじゃないですか。

「これはどうやってお金を稼いでいくつもりなんだろう?」と、他人事ながら思ってしまうほどで(笑)。

──同じゲーム業界の人から見ても、『ダフネ』は特異な作り方だと。

金山氏:
あまりお金を稼ぐつもりはなかったというか(笑)。

──でも『ダフネ』は現在まで盛り上がりが持続していますし、伝わるユーザーにはちゃんと伝わって、コミュニティもしっかり形成されている印象です。

藤戸氏:
作りが丁寧なんですよ。バトルも大味になりにくいですし。

雑魚戦は「このスキルを使ったらクリア」という面もありますけど、ボス戦は戦術をしっかり考えないと簡単には勝てないし、そこに至るまでのギミックも理解しないといけない。

押さえるべきポイントは、しっかりと押さえられている。そういう印象が強いタイトルです。

金山氏:
基本的に、昔のゲームが好きなんですよ。1980年代後半から1990年ぐらいのゲームというか。

「あのころのゲームってこうだったよね」という歯ごたえや冒険の雰囲気。そういったものを『ダフネ』で再現できたらいいなと思っています。

あと、最近のゲームへのアンチテーゼっぽいところもあって、どうしてもシビアになりがちです。でも、『FFXI』も大概だなと思いますけど(笑)。

──(笑)。『FFXI』もサービス開始から今年で24周年ですし、本当にすごいと思います。

藤戸氏:
20周年ぐらいまでは、これまで展開した拡張データディスクや、積み重ねてきたお客様からの信頼。そしてしっかりとしたコミュニティがあったので、支えていただき続けてこられた。でも、これ以上の新しい遊び方を提供する余地が、さすがになくなってきたんです。

追加投資をして、いまいるお客様にプレイを続けてもらい、その場を維持するのか。それとも、もっと「上」を取りに行くのか。でも、上を取りに行くなら、いろいろと新しくしないと無理でしょう、と。

「古臭い」とか、「この部分は破綻している」など、改修を希望されるお客様からのフィードバックは重々認識しつつも、24年続いているMMOですから、直したくても直せないんですよね。

そこをどうするか悩み続けて、じつを言うとサービス終了の道を探った時期もありました。
自分がプロデューサー兼ディレクターになる直前【※】のころですね。2代目プロデューサーの松井(松井聡彦氏)も、『FFXI』の着地をどうするかをずっと気にかけていました。

※プロデューサー兼ディレクターになる直前……藤戸氏は2016年に『FFXI』ディレクターに就任。2023年3月よりプロデューサーも兼任している。

──歴史があるからこそ、その終わり方をどうするか、と。

藤戸氏:
そういった中、『FFXI』が20周年を迎えて、ひとつの良い区切りだったので、そこで着地するのが良いんじゃないか、という話もしていたんです。

ただ、その準備の過程で、『FFXI』の20周年記念サイト「WE ARE VANA’DIEL」を作ったんですね。『FFXI』の立役者の方々のインタビューや対談を掲載するという企画をずっとやっていたのですが、そこで接したOBの皆さんが「まだまだ続けてほしい」と言ってくださって。

またプレイ中のお客様の、記事をお読みになった反響からも、継続を強く希望される声が多く寄せられまして、「これは止めるわけにはいかない」という話になり、「もうちょっとだけやりましょう」となったんですね。

となると、サーバーが流石に古くなっているので、交換しないとあと1、2年で寿命を迎えてしまう。まずはこれをどうにかしないといけない。

それがきっかけで、方針として『FFXI』を続け、しかも膨らませていく方向でいかなければいけない、という話をしました。上長にも「積極的な施策で長期運営を視野に入れた安定運用を選ぶのか、それとも行けるところまでいって、続けられなくなる部分が見えるまで現状を維持する消極的な安定運用を選ぶのか、会社としてどっちをとるのが望ましいですか」と相談して。

最終的には「より長期に安定運用できる方でいこう」という話になり、もう直せるところはどんどん直して将来につなげられるようにしていこう、という方針で、現在の運営状況に至っている状況なんです。

他社コラボはほぼしてこなかった『FFXI』が、今回動いた理由

──7月3日にコラボの発表が行われました(編集部注:インタビュー取材は7月3日に実施)。

藤戸氏:
発表された直後から、Xでハッシュタグ「#FF11」や「#ウィズダフネ」をずっと追っていたのですが、とにかく反響がすさまじかったですね。皆さん、良い意味でパニックになって驚いていました。

金山氏:
意外というか、かなり衝撃的な組み合わせだったみたいですね。

──『ダフネ』が他社さんのIPとコラボレーションを実施するのは、今回が初めてですよね?

金山氏:
はい、初めてとなります。ロードマップとしては、最初は自社(ドリコム)の他タイトルとのコラボ【※】でワンクッションを挟んでから、満を持して他社さんとのコラボを本格始動させようと計画していたんです。

そこで「記念すべき最初の他社コラボは何にしようか」と考えた際、『FFXI』を選ばせていただきました。

※自社(ドリコム)の他タイトルとのコラボ……2025年3月18日〜4月7日に実施された、
蝸牛くも先生のダークファンタジー『ブレイド&バスタード』とのコラボ。

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──『ダフネ』ユーザー目線からすると、「逆転の右手」で遺骨からキャラクターを蘇らせて仲間にするという独自のシステム的に、他社作品とのコラボは難しいのではないかと思っていました。

金山氏:
おっしゃるとおりです。ただ、私たちは基本的に「ほかがやらないような意外性のある部分」をあえて掘り進んでいかないと、この激しい市場で勝ち目はないと考えているんです。

だからいつも、一見すると実現不可能な無理難題にみずから突っ込んでいき、茨の道に入ってからスタッフ全員で血反吐を吐きながらゴールを目指す、そういう作り方をしてしまうというか(笑)。

今回も「ダークファンタジーの『ウィザードリィ』で他社コラボをするのは難しそうだ」という巨大なハードルをどう越えていくのか。どうファンの納得いく落としどころを探るか、という課題からスタートしました。でも、その高い壁を工夫と苦悩を重ね乗り越えて形にできたとき、プレイヤーの皆さんの「驚き」と「よろこび」は最大化されるはずだと。やっぱり、予定調和じゃつまらないですからね。

「プレイヤーに驚きと感動を与えたい」という一心で、アイデアを絞り出してなんとか実現にこぎつけました。

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藤戸氏:
その熱意の中で、こちら側のわがままやこだわりもいろいろと汲み取って調整していただき、本当にありがとうございました。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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