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『Wizardry Variants Daphne』×『FFXI』コラボはいかにして実現したのか──ドリコム金山圭輔氏×スクウェア・エニックス藤戸洋司氏対談の模様を一部先出し

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7月30日、ダンジョンRPG『Wizardry Variants Daphne』(以下、『ダフネ』)にて『ファイナルファンタジーXI』(以下、『FFXI』)コラボが開始される。

『ダフネ』初となる他社IPとのコラボであり、『FFXI』とのシナジーに期待が集まっている。電ファミニコゲーマーではコラボの詳細をうかがうべく、ドリコム『ダフネ』統括ディレクターである金山圭輔氏と、スクウェア・エニックスの『FFXI』プロデューサー兼ディレクター藤戸洋司氏の対談を実施。

記事本編は近日中の記事掲載を予定しているのだが、本稿ではその内容の一部を抜粋し、先出しでお見せしていく。

文/豊田恵吾

コラボのきっかけについて

──『ダフネ』ユーザー目線からすると、「逆転の右手」で遺骨からキャラクターを蘇らせて仲間にするという独自のシステム的に、他社作品とのコラボは難しいのではないかと思っていました。

金山圭輔氏(以下、金山氏):
おっしゃるとおりです。ただ、私たちは基本的に「ほかがやらないような意外性のある部分」をあえて掘り進んでいかないと、この激しい市場で勝ち目はないと考えているんです。

だからいつも、一見すると実現不可能な無理難題にみずから突っ込んでいき、茨の道に入ってからスタッフ全員で血反吐を吐きながらゴールを目指す、そういう作り方をしてしまうというか(笑)。

今回も「ダークファンタジーの『ウィザードリィ』で他社コラボをするのは難しそうだ」という巨大なハードルをどう越えていくのか。どうファンの納得いく落としどころを探るか、という課題からスタートしました。でも、その高い壁を工夫と苦悩を重ね乗り越えて形にできたとき、プレイヤーの皆さんの「驚き」と「よろこび」は最大化されるはずだと。やっぱり、予定調和じゃつまらないですからね。

「プレイヤーに驚きと感動を与えたい」という一心で、アイデアを絞り出してなんとか実現にこぎつけました。

『Wizardry Variants Daphne』×『FFXI』コラボ対談の模様を一部先出し_001

藤戸洋司氏(以下、藤戸氏):
その熱意の中で、こちら側のわがままやこだわりもいろいろと汲み取って調整していただき、本当にありがとうございました。

──スクウェア・エニックスとしては、コラボの打診をいただいた際、スムーズにOKが出たのでしょうか。

藤戸氏:

最初にお話をうかがったときは、率直に「なぜいまこのタイミングで、数多あるタイトルの中から『FFXI』を選んでくれたんだろう?」と驚きました。ただ、お話を詳しくうかがっていくと、ドリコムの開発メンバーの皆さんがかつて『FFXI』を熱心にプレイされていた“ガチ勢”だらけだということがわかりまして(笑)。

じつは『FFXI』側としては、近年は他社さんとのコラボに対して、こちらから能動的に動くのが非常に難しい状況でした。先ほどもお話しした通り、開発リソースに余裕がないため、新しいデータを作るのがとにかくたいへんなんです。

もしコラボを行うとなれば、お相手の作品のキャラクターや装備品を『FFXI』内で高いクオリティで再現しなければなりませんが、それを用意すること自体が開発的に極めて高いハードルになってしまう。

「私たちのいまのリソース状況では、お相手のブランドに見合う十分なクオリティをお返しできないのではないか」、「こちらからコラボを提案するのは少し図々しいかもしれない」という控えめな思いもあり、結果として他社タイトルとのコラボにはほとんど関わってきませんでした。

そんな中、今回はドリコムさん側から「そちらの手間は取らせません。すばらしいものを作ります」と熱烈なオファーをいただいたんですね。しかも、作っていただけるのが「『FFXI』を誰よりも愛してくれている開発者たち」なのであれば、これほど信頼できる話はありません。そういった状況でしたので、「ぜひ前向きに検討させてください」とお返事させていただきました。

社内に対しても、単なるお祭りとしてではなく『ダフネ』という作品が持つ確かなクオリティと魅力を丁寧に説明し、承認を得ました。RPGの原点とも言える『ウィザードリィ』の血を引く作品に、日本のRPGを牽引してきた『ファイナルファンタジー』が本格的に絡んでいく。これはゲーム業界にとっても非常に歴史的なことだなと胸が熱くなり、正式にお受けさせていただいた、という経緯になります。

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──コラボ内容を見せていただいて、「ここまでやるか」という驚きがすごかったです。

金山氏:
お話ししたように、『ダフネ』にとっては今回が他社作品との初めてのコラボになります。

しかも、お相手が『FFXI』ですから、どこまで現実的に作れるかといった細かいことは一度置いておいて、「とにかくやりたいんです」という熱い想いをぶつけるために資料を作り上げました。やれることは全部やろうと。

本編の最初のダンジョンである「はじまりの奈落」でも、プレイヤーの皆さんには「この先、何が起こるんだろう」という驚きや発見があったと思うんです。それは、コラボでも提供し続けなければならない。中途半端な内容ではガッカリされますし、『ダフネ』のファンは目が肥えていらっしゃるので、手抜きはすぐに見抜かれてしまいます。

「『ダフネ』はコラボでもここまでやるのか」と感じてほしくて、ディテールにこだわって資料を作っていたら、いつの間にか物量が膨大になってしまいました(笑)。

キャラクターのイラストをどれだけ描き起こすかというところから始まり、コラボ用のシナリオを作成し、プロットを確認していただいて、物語を肉付けしていく……。そのすべての過程で、アイデアがどんどん増えていきました。「いっそ、いろいろな物語を混ぜてしまおうか」といった話も出てきたりして、最初の設計段階から本当にたいへんでした。

でもじつは、最初に想定したときの半分ぐらいのボリュームには減ったんですよ。

──藤戸さんは、ドリコムから提出されたコラボ内容をどうご覧になられていたのでしょうか。

藤戸氏:
通常ですと「当社の別タイトルが、こういうキャラクターをこういう形で出すので監修をお願いします」という形でいただくのですが、そのときのボリュームってあまり多くないですよ。絵はもちろん使う分だけ枚数も上がってくるんですが、クエストに注目した場合のテキスト量は、ファイル1個にまとめられるくらいの分量ですね。それくらいの出力を1回分として、それを複数回実施するようなケースが多いんです。

最初は、プロットの段階からしっかり確認させていただいて、そこに間違いがなければ、あとはテキストの最終修正を入れるだけで済むだろうと予想していたんです。そういう段取りを取らせていただいたんですけど、それだけだと済まない内容というか……今回は仕組みやUIなんかも作られた上に、FFXIにはない「音声」もあるわけじゃないですか。そういった意味ではこちらの見積もりが甘かったというべきか、監修側のこちらが最初に驚かされた感じになりました(笑)

期間としては半年弱、毎月の定例会議だけではなく、基本はSlack経由で「ああでもない、こうでもない」と、ずっと密にやり取りを続けていました。

コラボ内容について

──最初に物語をクエスト的に描いて、そこからキャラクターの選定に入っていったのでしょうか。

金山氏:
物語のテーマ性に沿うかという面と、あとは純粋に「どういうキャラクターが求められているか」というビジネス的な観点の両面からすり合わせて、最終的に誰を登場させるかを決めていきました。

──登場キャラクターは、すんなりと決まったのですか。

金山氏:
いえ、そこはかなり難航しました。作れるアセットの数に限りがある中で、ゲーム内の人気キャラクターやビジネス的な視点も含めて「これも出したい、あれも出したい」という候補の中から厳選しなければならなかったので。

──かつ、それを『ダフネ』のベースに落とし込まなければいけないわけですよね。

金山氏:
そうなんです。『ダフネ』とは職業も種族も異なるキャラクターたちなので、どうしてもゼロからフルカスタムで作ることになります。完全な新規起こしになるため、作る量がとんでもないことになっていて……。新しく作る量が多すぎて、現場はいま、うれしい悲鳴をあげ続けています(笑)。

──3Dモデルをゼロから作成するだけでなく、武器もそれに合わせて作らなければならないわけですよね。

金山氏:
さらに言えば、技の見せ方にしても、ヴァナ・ディールと『ダフネ』では物理法則やリアリティの基準が異なっているんですね。そのため、『ダフネ』向けに再構築するにあたって「どこまでのアレンジなら許されるか」は、デザイナーと悩みながら作っていきました。

藤戸氏:
でも、本当に忠実に再現していただいていますよ。何と言っても『FFXI』本編よりもキャラクターが綺麗です。細密なポリゴンで作られていて、動きも驚くほどスムーズですから。今回は日本語だけではなく、英語のボイスまで付いているので、ものすごくリッチですよね。

金山氏:
英語ボイスに関しては、じつは再収録までやっているんです。一度は収録を問題なく終えたのですが、原作キャラの特徴や魅力を再現するにあたり、収録した音声を改めて確認したところ「ニュアンスが少し違うな」となり。

開発チーム内に熱心な『FFXI』ファンのスタッフがいて、彼がこだわってゴネてくれたおかげで、録り直すことになりました。良い意味でのこだわりですが……あ、ちなみに私は今回はゴネていないですからね(笑)。

藤戸氏:
(笑)。日本語ボイスは、『ディシディア ファイナルファンタジー』などで当時担当していただいた声優さんをベースにしているので、すごく「公式感」がある仕上がりになっています。

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両作品の共通点について

──どちらのタイトルも遊んでいる身からすると、共通して「冒険する楽しさ」が詰まっていると感じます。世界が少しずつ広がっていく感覚、「一歩ずつ先に進んでいる」という手応えが良いですよね。

金山氏:
『FFXI』の初期は、まさにそうでしたね。

未知の地へのフロンティアスピリッツを刺激されて、その先に何があるかわからない旅の末に船着き場(セルビナ)にたどり着いたり、ひとりで突っ走って、暗中模索のジャグナー森林を越えてジュノを見つけたときの感動といったら……。

当時のジュノはまだ少数のプレイヤーしか到達できていなくて、「自分もそこにたどり着けたんだ」という達成感と、「この先に何があるんだろう」という発見の連続が、本当におもしろかったんです。

藤戸氏:
「冒険とはまさにそれだよね」という話は、開発メンバーともよくしていました。どれだけ通い慣れた場所でも、新しいエリアが開放された瞬間に、みんな目を輝かせて駆け出していったわけですから。

未知のモンスターや風景、その先にある街やドロップアイテム……。そこに夢が詰まっているんですよね。行ってみて何もなかったとしても、可能性があるということ自体が冒険なんです。

『ウィザードリィ』も同じで、マッピングしていない闇の中に、もしかしたら階段があるかもしれないし、泉があって休めるかもしれない。答えがわからないからこそ、一歩進みたくなる。この探求心こそが「冒険」の原点だと思います。

この感覚は、両作に共通していると思います。

金山氏:
やっぱり、「発見」こそがいちばんの楽しみなんですよね。だからこそ、安易にマップを使い回すのではなく、苦労してでも新規で作りたくなる。

藤戸氏:
まあ、そればかりやりすぎると、開発現場が死んでしまうんですけどね(笑)。

金山氏:
ええ(笑)。でも、ただの行き止まりだと思ったらその先に道が続いていた、というような驚きをプレイヤーに届けたいんです。そのワクワクを我々開発者も知っているからこそ、つい欲張って続けてしまうんですよね。

──スクウェア・エニックス側から見て、今回のコラボでファンの方々にぜひ注目してほしい見どころはどこでしょうか。

藤戸氏:
難しい質問ですね……。というのも、見どころだらけなんですよ(笑)。

ストーリーの作り込みはもちろん、キャラクター全員にボイスが当てられているので、ぜひ耳を澄ませて楽しんでほしいです。

それから、コラボ内で手に入る装備品やアイテムも、『FFXI』の意匠をそのまま『ダフネ』風にリファインして落とし込んでくださっています。「えっ、こんなマニアックなものまで入れたの!?」という驚きもあると思います。

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と、本稿でお見せできるのはここまで。続きは近日中に掲載予定の記事本編をご覧いただきたい。

おふたりの会話からは、『ダフネ』と『FFXI』は共通点が多く、コラボの相性がすばらしくいいと感じていただけたはず。記事本編を楽しみにしていただければ幸いだ。

副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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