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来場者数35万人、配信は累計11億ビュー。リアルとデジタルの両輪で描く超巨大ゲームイベント「gamescom」の狙いを運営トップ2人に聞いた

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2026年8月26日から30日にかけて、ドイツ・ケルンにて世界最大級のゲームイベント「gamescom 2026」が開催される。

2009年より続く本イベントでは毎年、現地の巨大な会場にて新作ゲームの試遊やコスプレイベント、さまざまなアクティビティが開催される。世界中のゲームファンが駆け付けるという、単なるゲームの見本市にとどまらないまさに「ゲームの祭典」といった雰囲気の一大イベントだ。

「gamescom」運営者インタビュー。リアルとデジタルの両輪で描く超巨大ゲームイベントの狙いを聞いた_001
(画像はgamescom公式サイトより)

昨年の「gamescom 2025」では128か国から約35万7000人が来場し、出展社は72か国1568社と、数字の面で見てもかなりの規模を誇っていることがうかがえる。

さらに、開催の幕開けとなる25日「Opening Night Live」をはじめとするオンライン配信イベントも年々注目度を上げつつある。聞けば、配信の累計ビュー数は2022年の20万強から2025年には11億超という伸びを記録したとのこと。

成長を続ける巨大イベントに、運営者はどのような思いを持って携わっているのか。今回、電ファミではgamescomディレクターのTim Endres氏、共同主催者のStefan Heikhaus氏へのメールインタビューを実施。

開催をひかえた今、まさに「リアルとデジタルの両輪」で進化を続ける超巨大イベントへ込めた思いについてお聞きした。

取材・文/海ソーマ


世界中のファンにコンテンツを届ける。来場者数がすべてではないgamescom 2026の狙い

──昨年のgamescom 2025は128か国・35万7000人という過去最大規模を記録しました。それを踏まえ、今年のgamescom 2026ではどのようなテーマや方向性を掲げているのでしょうか。現時点で語れる範囲で、規模感や見どころを教えてください。

Tim Endres氏:
実は来場者数の記録は2019年のもので、37万3000人でした。ですが、gamescomは来場者数だけがすべてではありません。デジタル面では、2022年の20万強のビュー数から、2025年には11億ビュー超へと増加しました。

まず追求しているのは、「ハイブリッドイベント」として世界中のより多くのファンにコンテンツを届けることです。業界の顔とも言えるジェフ・キーリー【※】が新作・話題作を発表するプレミアムオープニングショー「gamescom Opening Night Live」や、今年初めてIGNが制作を担当する「gamescom awesome indies」ショーなどの配信を予定しています。加えて、英語・ドイツ語に加え、日本語・中国語に特化したコンテンツも、gamescomスタジオから毎日配信していきます。

さらに今年は初めて「gamescom GDQ」というプログラムを開催します。これは米国のチャリティ・スピードラン団体Games Done Quickとの提携により実現するもので、彼らにとってヨーロッパ初開催となります。これによりゲームコミュニティにおける新たな拠点が生まれ、世界中の人々がgamescom 2026に参加するもうひとつのきっかけになると考えています。

そしてここまで挙げてきた取り組みに加え、カプコン、CD Projekt RED、任天堂、XBOXといった、すでに出展を発表している素晴らしい出展社たちが、今後のゲームについて改めて披露してくれることも忘れてはいけません。

※ジェフ・キーリー…ゲーム業界のイベントプロデューサー・司会者。年末の授賞式「The Game Awards」やONLの司会で知られる。

──皆さんから見て、2026年のゲーム業界にはどのような流れや勢いがあるとお考えでしょうか?

Stefan Heikhaus氏:
gamescomの共同主催者として、ゲーム業界ではさまざまな動きが見られます。最近は厳しいニュースも多く聞かれましたが、業界は常に素早く自らを再構築してきました。

gamescomの好調な数字は、その勢いが戻ってきていることの最も明確な証です。パブリッシャーが自社タイトルの未来に投資しているということは、各社が成功に向けて着実に歩みを進めているということです。実際、すでに多くの出展社がgamescomへの登録を済ませていることも良い兆候だと感じています。

もうひとつの傾向として、ゲームの多様化が進んでいることが挙げられます。特にインディーゲームがこの流れを大きく牽引していますね。ここ数か月だけでも、非常に多くのプレイヤーを魅了した優れたタイトルが次々と登場しました。この成功の背景には、開発者の卓越した創造性、ツールの進化、そして世界中のプレイヤーに届く流通チャネルへのアクセスなど、いくつもの理由があります。

プレイヤーと開発者双方のニーズに応えるべく、私たちは「gamescom awesome indies」ショーをイチから見直しました。そこに投資を行うことで、gamescomに出展するインディーゲームがさらに世界的な認知を得られるようにすることを決めたのです。gamescomというプラットフォームが、あらゆるパブリッシャー・出展社にとって最適な場所であり続けられるよう、適切なパートナーとともに、そのための環境づくりに取り組んでいます。

※動画は昨年のawesome Indies配信

“累計11億ビュー”が示す情報発信の場としての進化

──2019年から始まったOpening Night Liveは、ショーケースとしての注目度も年々上がってきています。gamescomは巨大なリアルイベントですが、情報を発信する場としての可能性はどう考えているのでしょうか?

Tim Endres氏:
その可能性は年々大きくなっています。先ほども触れた通り、gamescomコンテンツの累計ビュー数は11億に達しており、私たちのイベントへの認知や関心はこれまでにないほど高まっています。しかもこの数字は2025年8月末時点までの集計であり、実際の数字はさらに伸びています。

とはいえ、この成功は偶然の産物ではありません。私たちは毎年、会場開催からデジタル展開まで、あらゆる取り組みを振り返り、評価しています。何がうまくいき、何に改善の余地があるのかを見極める。そうして毎年学びを重ね、業界とプレイヤーのニーズに適応してきました。

この継続的な改善こそが、私たちのイベントの成功を支えているのです。そして、そのひとつひとつのハードルを毎年高めてきたチームこそが、すべての土台にあります。

だからこそ、gamescomに出展すること、私たちのショーの一部になることは、これまで以上に大きな可能性を秘めています。ぜひ世界最大のゲームイベントの一員になっていただくか、あるいはこの壮大な祭典をケルンで体感しにきてください。

※動画は昨年のOpening Night Live

──Opening Night Liveのプレゼンスが上がっていく中で、よりビッグな発表を行うなど情報発信の面を強化していきたいという考えはあるのでしょうか?

Stefan Heikhaus氏:
これまでの年と同様、私たちはジェフ・キーリーとそのチームと緊密に連携し、gamescom Opening Night Liveのために最高のプログラムを届けられるよう取り組んでいます。

現時点で番組の内容についてお伝えできることは多くありませんが、今年もまた素晴らしいショーになると確信しています。放送は8月25日(日本時間では8月26日午前3時)ですので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。

単なるイベントではなく、あらゆるコミュニティがゲームを祝う「世界の集会場」

──gamescomは128か国から人々が集う規模にまで成長し、「世界のゲーム産業全体を反映すること」を目標に掲げてこられました。改めて、グローバルなゲームコミュニティの拠点としての立ち位置を、開催を控えたいまどのように考えていますか。

Tim Endres氏:
昨年の純粋な数字を見るのが、この問いに答える一番の近道だと思います。128か国から35万7000人の来場者。日本、米国、カナダ、中国からの伸びが特に大きく、3万4000人を超える商談来場者。72か国から1568社の出展社。これらの数字自体、非常に印象的です。

そしてこれを俯瞰すると、明確な姿が見えてきます。gamescomは単なる巨大イベントではありません。コスプレイヤーやコアゲーマーから、商談来場者やジャーナリストまで、あらゆるコミュニティが集う世界の集会場なのです。gamescomは業界全体が一堂に会し、ゲームを祝う場所です。

「gamescom」運営者インタビュー。リアルとデジタルの両輪で描く超巨大ゲームイベントの狙いを聞いた_004
(画像はgamescom公式サイトより)

──昨年のインタビューでは商談のための来場者のなかでアメリカや中国、カナダ、そして日本からの参加が大きく伸びていたとうかがっています。アジア、とくに日本のゲーマーや企業にとって、gamescomはどのような価値を持つイベントになっていきそうでしょうか。

Tim Endres氏:
gamescomは新たなオーディエンスにリーチし、コミュニティと本物の関係を築くのに絶好の場所です。2009年の初開催以来、『モンスターハンター』『ファイナルファンタジー』『ゼルダの伝説』といった日本を代表するIPは、来場者を惹きつける大きな成功を収めてきました。それらは常に、日本企業がファンと出会い、新作をアピールするための入り口となってきたのです。

そしてこれはあくまでAAAタイトルの一例に過ぎません。インディーからAA、AAAまで、あらゆるゲームがこのイベントや私たちのデジタルショーケースでファンを魅了する可能性を持っていると私たちは信じています。同時に、商談来場者は無数のプロジェクトやプロフェッショナルにアクセスでき、それが意義あるビジネス関係、パブリッシング契約、投資機会につながることもあります。

gamescomと、そこに集う人々がもたらす可能性は計り知れません。日本のゲーマーや企業の皆さんには、ぜひこの機会を逃さずイベントに参加していただきたいです。

──近年、gamescomではインディーゲームの存在感が年を追うごとに増しているように感じます。gamescomが毎年インディーに力を注ぎ続けるのはなぜなのか、その思いをお聞かせください。

Stefan Heikhaus氏:
先ほども申し上げた通り、私たちはゲームの多様化という変化を実感しています。そしてその変化を認識するだけでなく、プレイヤーと開発者が求めるニーズに積極的に応えるべく、デジタルインフラへの投資と「gamescom awesome indies」ショーの最適化に取り組んでいます。

今年初めてIGNと共同でショーを制作することで、このショーケースの国際的なリーチを今後さらに拡大していきたいと考えています。これまでの学びを土台に、プレイヤーと開発者双方にとっての質を高めていきたいと思います。

インディー開発者にとってナンバーワンのプラットフォームであり、人々が次の大ヒット作を発見する場となることこそ、私たちが目指すところです。

「devcom」から「gamescom dev」へ。開発者イベントを本体に完全統合し一体感を狙う

──これまで開発者会議として親しまれてきたdevcomが、今年から「gamescom dev」と名を改め、gamescom本体により深く統合されると聞いています。この再編には、どのような狙いや背景があるのでしょうか。

Stefan Heikhaus氏:
gamescom dev(旧devcom)は、これまでもずっとgamescomウィークの一部でした。例えば、devcomのチケット保有者はgamescomへの入場権も得られる仕組みになっていました。この2つのイベントは非常に密接に結びついていたのです。

ですから、名称を「gamescom dev」に改めることは自然な流れでした。もともとメインイベントの一部だったものが、今回名前としてもそれが誰の目にも明らかになったということです。

そして今年はそれだけにとどまりません。gamescom devはgamescomビジネスアプリに完全統合され、ステージも共有し、ジャーナリストが両方のイベントに参加しやすいよう、アクレディテーション(取材許可)プロセスも一本化しました。私たちは単にイベント名を変更したかったわけではなく、来場者に本当にその一体感を感じてもらいたかったのです。これからは、gamescomウィークは月曜日のgamescom devからスタートします。

──ビジネスとフェスティバルを1週間のなかに束ねるgamescom全体の構想において、gamescom devはどんな役割を担っていくとお考えですか。

Tim Endres氏:
2009年の初開催以来、ビジネスと祝祭が共通の土台を分かち合う場を作るというビジョンは変わっていません。Stefanが見事に説明してくれた通り、gamescom devへの改名は、すべてのオーディエンスに対してひとつのメッセージを明確に伝える助けとなります。それは、gamescomは8月24日の月曜日から始まるということです。

一般来場者は8月26日まで待つ必要がありますが、開発者やプロフェッショナルの方々は、世界最大のゲームの祭典の一部に一足早く加わることができます。gamescomがこれほど多層的なプログラムとコンテンツを持つイベントであり、あらゆるコミュニティ、あらゆる来場者にとって最適な居場所が見つかるということが、これまで以上に明確になったと思います。

「gamescom」運営者インタビュー。リアルとデジタルの両輪で描く超巨大ゲームイベントの狙いを聞いた_005
2025年のdevcomの模様。(画像はgamescom dev公式サイトより)

アジアのポップカルチャーとチャリティという2つの視点

──gamescomは展示だけでなく、コスプレや音楽など「お祭り」としての多彩な体験を内包している点が大きな魅力です。今年はコスプレシーンやアジアのポップカルチャーといった文化面を、どのように強化していく予定でしょうか。日本の読者が心惹かれそうな要素があれば教えてください。

Stefan Heikhaus氏:
アジアのポップカルチャーは、ゲームおよびgamescomと深く結びついています。コスプレやアニメ、マンガに対してファンが抱く熱量を、私たちも肌で感じています。

今年は、アジアのポップカルチャーのファンに楽しんでいただけるいくつかの取り組みを実施します。ホール8隣の屋外スペースには、京都のような都市の桜祭りを思わせる「アジアン・ガーデン」を設けます。ソーシャルステージでは、クイズや音楽パフォーマンスなど、関連コンテンツをさまざまに展開します。

そしてこれはあくまで今年ご用意している内容のほんの一部にすぎません。会場ではさらに多くの企画があり、今後もこうした関連コンテンツを拡充していく予定です。日本の皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです。

──今年の大きなトピックのひとつが、チャリティ・スピードランで知られるGames Done Quick(GDQ)【※】のヨーロッパ初開催となる「gamescom GDQ」です。gamescomにおけるチャリティへの取り組みについてご説明いただけますか。

Tim Endres氏:
社会的責任という観点から、私たちは「gamescom cares」というプラットフォームを実施しています。ここには、会場内の託児サービスから、サステナビリティの取り組み「gamescom goes green」、来場者同士の敬意ある交流を守る「セーファースペース・ポリシー」、NGO向けの出展スペース割引提供まで、さまざまな取り組みが含まれています。

「gamescom GDQ」は、今回新たに導入するプログラムで、いくつもの側面を持っています。ひとつは、会場来場者・デジタル視聴者双方に向けた新たなエンターテインメントとしての側面です。スピードランを新たな次元へと引き上げ、世界中の才能あるプレイヤーにスポットライトを当てる助けになります。

もうひとつは、視聴者から寄付を募り、「Gaming for Democracy」という取り組みを支援するという側面です。このチャリティ要素を加えることは、GDQの体験をgamescomにもたらすだけでなく、「ゲーマーは違いを生み出せる」という重要なメッセージを発信することにもつながります。これほど多くのゲーマーが集うgamescomという場だからこそ、その違いが明確になる場所であるべきだと私たちは考えています。私たちはこのプラットフォームを使って、その違いを生み出す一翼を担いたいのです。

※GDQ…スピードラン(RTA)による大型チャリティ配信イベントを運営する米国発の団体。配信を通じて視聴者から寄付を集め、慈善団体へ寄付する活動で知られている。

18回目を迎えても変わらない思いと、開催に向けた期待

──開催を控えたいま、運営チームとして2026年のgamescomでもっともワクワクしていることは何でしょうか。

Tim Endres氏:
ディレクターとして18回目のgamescomになりますが、変わらないことがひとつあります。それは、旧友や新しい友人たちと再会するのを楽しみにしているということです。個人的な交流、業界の仲間たちとの短い会話や長い語らい、思い出話──それこそが、私がいつも一番楽しみにしていることです。もちろん、大小さまざまなブースの光景も、いつ見ても圧巻です。

Stefan Heikhaus氏:
これまで話してきたすべての変化が実際に形になるのを見るのが、一番楽しみです。イベントのあらゆる角度から様子を見て、ファンや商談来場者の雰囲気を肌で感じ、2026年ならではの新しい取り組みを体験したいと思っています。探求すべきことも、交わすべき会話も、2027年に向けてさらに良くするためのメモも、たくさんあるはずです。

──最後に、現地参加・デジタル参加を問わず、開催を心待ちにしている日本のゲーマーへ向けて、メッセージをお願いします。

Stefan Heikhaus氏:
gamescomは、一度足を踏み入れると引き込まれてしまうような場所です。現地では、ブースやコスプレイヤーの数々、ステージコンテンツ、そして様々なコミュニティと交流できる無限とも言える機会に浸ることができる、没入感あふれる体験が待っています。ケルンへお越しになる方には、ぜひ時間をかけて各ホールを回り、じっくりとミーティングをしたり、まだ知らなかったゲームを体験したりしていただきたいです。

オンラインで参加される方にとっても、私たちの番組は年々充実してきています。IGNチームが制作する日本語のコンテンツもご用意していますので、多くの方にご覧いただければ嬉しいです。「gamescom GDQ」は見る価値のあるプログラムですし、デジタルショーの「gamescom Opening Night Live」と「gamescom awesome indies」も見逃せません。このインタビューをお読みいただいた皆さんに感謝するとともに、ケルンで、あるいは配信でお会いできることを楽しみにしています。(了)


gamescomは冒頭でもお伝えしたとおり、確かに来場者数も配信のビュー数も驚異的な数字を記録している。しかし、これは単なる偶然の産物ではない。

おふたりが本インタビューで語った通り、gamescomは世界中のゲーム会社とゲーマーたちを対象にして、ビジネスとエンタメ双方の面での盛り上がりを意図してイベントを計画しているのだ。

さらに、インディーへの投資やチャリティ施策の実施など、ゲームを通じて生まれるコミュニティも大切にしていることがうかがえた。まさにgamescomは「ゲーム文化のすべてを祝う場所」としての意味を持ちつつあるのではないだろうか。

だからこそ、ゲーム業界の成長にともなって、gamescomも規模や存在感を増してくるという結果につながっているといえるのかもしれない。開催が迫ったいま、今年はどんな驚きや盛り上がりを見せてくれるのか、いちゲーマーとして期待したい。

gamescom 2026は8月26日から8月30日まで開催、Opening Night Liveは日本時間8月26日午前3時に配信予定だ。

編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。最も脳を焼かれたゲームキャラは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。

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