みなさんは「人生を変えられたゲーム」ってありますか? 私にとって、それは『ファイナルファンタジーXV』です

 みなさんは……「人生を変えられたゲーム」ってあったりしますか?

 これはあくまで「その作品に触れた人間」の受け手側の話でしかありませんが、創作物には、人間ひとりの価値観やその後の人生を左右してしまうほどの力がある。それは美術作品も、映画も、アニメも、漫画も同じ。きっとゲームでも、「あのゲームのあのキャラクターのようになりたい」と思った人や、「こんな素敵なゲームを作ってみたい」と制作者を目指した人もいるはずです。

 私にとって、そんな人生を左右した作品は、『ファイナルファンタジー XV』(以下、『FF15』』でした。 

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 『FF15』……「ファイナルファンタジー」シリーズの15作目にして、一国の王子であるノクティス・ルシス・チェラムが従者と共に世界を覆う闇を払う物語。

 私は『FF15』がなければ、今こうして公のメディアで仕事をしていないかもしれません。私は『FF15』がなければ、今こうして地方から都内には出てきていないかもしれません。『FF15』が生まれなければ……私の人生はこんなに楽しい物にはなっていなかったかもしれません。

 そのくらい、私にとって『FF15』は大事な作品なのです。なんでここまで『FF15』に対する思いが強いのかというと……どうしても気になった方は「ジスロマック 『FF15』」で検索してみてください。えっ? ここじゃないメディアの記事が出てくる……? ま、まぁ細かいことはお気になさらず!

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 ……とか言いつつ実は私、『FF15』の追加DLCでもあるエピソードグラディオラス、プロンプト、イグニス、アーデンの4つをプレイしていなかったのです。
 今回は「その4つのDLCを遊んだよ!」という、プレイ日記的な感じの記事となっています。私が『FF15』の本編をクリアしたのが2年前くらいなので……およそ2年越しの再プレイというわけです。DLC、ずっとやりたかった!

 そしてこちらの記事はソニー・インタラクティブエンタテインメント様と、スクウェア・エニックス様にもご協力をいただいております。「ゲームライターとして仕事を始めたからには、どこかで一度『FF15』で仕事をしたい」と、ずっと思い続けていたのですが、ついに夢が叶いました「『FF15』で仕事させろーーーッ!!!」という私のワガママを聞いてくださって、本当にありがとうございます……。

 では早速参りましょう!

文/ジスマロック
編集/実存

※この記事には『FF15』の追加DLCでもある「エピソードグラディオラス、プロンプト、イグニス、アーデン」と、『FF15』本編のネタバレがかなり多く含まれています。とにかく『FF15』のネタバレを見たくない方は、お気を付けください。


王の盾 ~Theme of EPISODE GLADIOLUS~

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 ノクトたちの仲間のひとり、グラディオラス。

 彼はメインストーリーで一度ノクティスたちのパーティーから途中離脱してしまうのですが、エピソードグラディオラスでは「彼は途中離脱している間に何をしていたのか」という幕間の話が描かれます。

 何気にメインテーマの「王の盾 ~Theme of EPISODE GLADIOLUS~」『ドラッグオンドラグーン3』『NieR:Automata』でもお馴染みの世界の岡部啓一氏が作曲を担当しています。今回紹介するDLCはアベンジャーズじみた豪華ゲストコンポーザーも必見

 離脱していたグラディオラスが帰ってきたと思ったら、いきなりカップヌードルのことを熱く語り始めて「急にどうした!?」と驚いた方もきっと多いことでしょう。エピソードグラディオラスではそこの謎も明かされ……明かされ……?

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 やっぱカップヌードル食ってるやん!!!

 やはり『FF15』においてカップヌードルは必要不可欠。カップヌードルなくして『FF15』なし。カップヌードルもノクティスたちのもうひとりの仲間。プレイ中に「コル将軍もヌードル食うんかい!!」と叫んでしまいました。

 ……まぁカップヌードルは一旦置いときましょう。ニフルハイム帝国との戦いの中で自らの「王の盾」としての力不足を実感したグラディオラスが、主たるノクティスを守ることができる力を身につけるために初代王の盾「剣聖ギルガメッシュ」が眠る試練の地へと赴く……のがエピソードグラディオラスのメインストーリー。

 『FF15』にて描かれる「先代からの力の継承」が、ルシス王家のノクティスだけでなく王の盾のグラディオラスにも行われるのがこのエピソードグラディオラス。初代と今の王の盾を通じて、「かつての英雄たちが、次代の人間に力を受け継ぐ」という今作の文脈をちゃんと踏まえているのが個人的に嬉しいところです。

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▼グラディオラスが身体に彫っている鳥のタトゥーは一説によると、初代王の盾であるギルガメッシュの相棒の翼竜「エンキドゥ」が起源になっている……らしいです。

 「FFのギルガメッシュ」というと、やはり『FF5』に登場した赤いアイツの印象が強い方が多いでしょう。その時の世界観によってモンスターの見た目も大きく変わるのがFFシリーズのお約束(?)なのですが、ギルガメッシュはその人気の高さもあり、FF5以外のシリーズであっても、あの赤いギルガメッシュがそのまま登場してくることが多い……と思います。

 しかし、『FF15』のギルガメッシュはまさかのあのギルガメッシュではないギルガメッシュなのです!

 初代王の盾でもある剣聖ギルガメッシュは隻腕の鎧の騎士。いつもの八本腕の武器コレクターからガラッと印象が変わり、クールでスタイリッシュな未知のギルガメッシュ。この「世界観に合わせてモンスターも変わる」のはFFシリーズの本当に良いところだと私は思っています。いや、マジで。逆にシリーズによって見た目が変わってないと安心しないまであるかもしれません。

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 比較的『FF5』からのギルガメッシュのイメージに忠実な『FF14』のギルガメッシュと、『FF15』のギルガメッシュを並べてみました。いかがでしょう?

 もちろんお馴染みのギルガメッシュのデザインも好きなのですが、私としては『FF15』のギルガメッシュもこれはこれでカッコいいと思います。……とか言いながら剣聖ギルガメッシュもボス戦の時はちゃんと「ビッグブリッヂの死闘」の『FF15』アレンジが流れます。この自由さ、まさにファイナルファンタジー! 愛しい!!

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 エピソードグラディオラス独自の面白さ、それは「重厚なアクション」。元から『FF15』のアクション面は面白いと思っていたのですが、本DLCでは大剣を振るうグラディオラスに合わせてチューンナップされた豪快かつダイナミックなアクションが楽しめます。

 全体を通して「敵の攻撃をガードする」ことが重要なアクションとなっており、敵の攻撃をジャストタイミングでガードしてパリィ的なアレを決めるのが必須となってくる箇所がいくつもあります。特にギルガメッシュ戦での強烈な一太刀を浴びせてくる剣聖との一撃必殺の間合いをくぐり抜ける剣戟アクションは、ファイナルソウルファンタジーとでも言える緊張感!

 ギルガメッシュのビジュアルがちょいダークな感じなのも、もしかしてこのアクションに合わせてだったりするのでしょうか? 知り得たか、ルシスの刃、ギルガメを。

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 個人的には洞窟の中に設置されている石柱をそのまま引っこ抜いて、米俵みたいに担いで振り回すアクションがお気に入りです。このデカさの石柱を神輿みたいに担げるグラディオの膂力が一番恐ろしいです。

 しかもこの石柱、やたらと火力が高いのも面白い。質量と重量の暴力でブンブン振り回してるだけで敵が吹っ飛んでいきます。

 いや……グラディオお前……その石柱本編にも持ってきてくれよ!!

帰るべき場所 ~Theme of EPISODE PROMPTO~

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 続いてはエピソードプロンプト。ノクティスたちとの旅の途中、列車から転落してはぐれてしまったプロンプトが、再びノクティス一行と合流するまでに何があったのかを描くストーリー。こちらもグラディオラス同様、「本編で途中離脱していた間、このキャラは何をしていたのか?」を掘り下げるDLCとなっています。

 本編では明るいムードメーカーな印象が強いプロンプトですが、エピソードプロンプトはそんな彼の過去と、表には出さないまま抱え続けていた苦しみが明かされます。『ブラザーフッド ファイナルファンタジーXV』【※1】ではプロンプト回が一番好きだったので、このDLCも個人的にかなりお気に入り。

※1「ブラザーフッド ファイナルファンタジーXV」
A-1 Pictures制作による『FF15』の外伝的アニメーション作品。ゲーム本編では語られなかったノクティスたちの少年期のエピソードが描かれている。想像の倍くらい現代的な王都インソムニアも必見。エピソードプロンプトはこの作品を見ているとより楽しめると思います。

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 列車から転落し、雪原をさまよい、その果てに帝国兵に捕まり幽閉されるプロンプト。この雪原をさまよっているところが本当に寒そう! 私も一時期北国で暮らしていたから、この猛吹雪の中を歩かなければいけない辛さはよくわかる!! 通学路とかホントにキツイ!! 人間が住む土地じゃない!! 人間は極寒の中を進もうとすると……死ぬんです!!!

 もうとにかくプロンプトが悲惨な目に遭い、段々と心も不安定になっていく彼の姿を見届けなければならない。本編の明るくて優しいプロンプトの姿を知っているからこそ、ノクティスたちには決して見せなかった彼の暗い部分を描くエピソードプロンプトは面白いのだと思います。雪国に放り出されると心も凍てつくとはよく言ったものです。

 エピソードプロンプトのアクションもグラディオラスに引き続き独自のものとなっており、彼が得意とする「銃火器」を中心としたバトルが展開されます。

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 ハンドガン、短機関銃、狙撃銃、閃光弾にロケットランチャー……TPSのフォーマットでそのままファイナルファンタジーを遊んでいるこの独特な感覚が意外とクセになってきます。さらにはひっそりと敵に近付き、そのまま短刀で静かに殺めるスニーキング要素もあり、さながらファイナルソリッドファンタジーとでも言える仕上がり。

 基本的にエピソードプロンプトは帝国基地内での屋内戦を繰り広げることが多く、敵から武器を奪取したり、戦いながら武器を調達するような緊張感のあるゲリラ戦闘も本編では中々味わえない面白さでした。

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▼プレイ中は「これもうソリッドやん」という思いが先行して何とも思いませんでしたが、あの心優しいプロンプトがスニークキルをおっ始めるインパクトも中々すごい気がします。
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 エピソードプロンプトを通して重要となってくる言葉、それは「過去との決別」

 実はプロンプトはルシス王国とは敵対するニフルハイム出身であったこと。プロンプトはニフルハイムが作り出した魔導兵のクローンベビーであったこと。プロンプトには自分を迎え入れてくれる優しい両親も、温かい故郷も、存在していなかったこと。

 ……そんな悲惨な過去が次々と明かされ、プロンプト自身も自らの出生を追体験する形でその事実を知り、もう弱音を吐き続けなければ耐え切れなくなってしまうほど追い詰められる。愛も、優しさも、温かさも、享受できずに育ってきたプロンプト。

 彼は……幼い頃から奪われてばかりの人生だった。いや、最初から全てを奪われていた。それでも彼は仲間の前では夜明けの太陽のように明るく振る舞う。そんな彼を受け入れてくれる仲間こそが、彼の居場所でもあった。

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 本当は自分はノクトたちから奪う側の存在であった……。帰る場所を失ったその事実に耐え切れず、プロンプトは自らの手首にあるクローンの刻印を焼き切ろうとすらしてしまう。

 ノクトとプロンプトの関係は言わば……「友人同士」でしかない。「でしかない」と言うと冷たい言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、幼い頃からノクティスに仕えてきたイグニスや、王の盾としての責務があるグラディオラスと比べると、彼とノクティスは王家も何も関係ない「友人」なのです。

 ……でも私は、「友人のために命すら懸けられる」人間は、本当に美しい人なのだと思います。友人、友達、友情なんてものは、家族や兄弟の血の繋がりに比べたら不確かで希薄なものでしかない。「血の繋がり」という社会的責任が存在しない以上、自分の利益のために利用すらできるし、不要になったら切り捨てることもできる。

 好きか、嫌いか……そんなあやふやで論理的ではない感情だけで決まる友情なんてものは、湖面を覆う薄氷よりも不安定で、すぐに壊れてしまうもの。でも、だからこそ……ただの友達でしかない相手に、血の繋がりも、家の繋がりもない相手に、「友達だから」「好きだから」で自分の全てを投げ出すことのできる人は、本当に美しい。そんな愛しくて、愚かで、損得を考えられなくて、優しい人間は……きっと報われるべきです。

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 彼の友達でもあり、仕えるべき王は、とっくにそんなことはわかっていた。だって、友達じゃん! 好きな友達を助けたり、手を差し伸べることって、当然だよ! 僕は君が人間として好き。だから困った時は、不安な時は、必ず手を握ってあげる。それ以上に理由なんて必要ない!

 ここでニフルハイムに属する敵でもあったアラネアがプロンプトを助けに来ること自体が、「仲間であることに生まれや境遇なんて関係ない」ことの示唆にもなっているのが上手いと思います。

 生まれた時から全てを奪われていたプロンプト。そんな彼には、友達ができた。両親よりも大切で、故郷よりも暖かい、大切な仲間ができた。降り積もる雪のように、吹き荒ぶ吹雪のように、冷たく閉ざされていた彼の過去は……夜を振り払う日の出によって融け出した。だからだろう、だから……彼がレンズ越しに残した旅の思い出は、あんなにも眩しいのだ。

友として、兄として━━

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 続いてはエピソードイグニス。舞台は水の都、オルティシエ。

 ルナフレーナ・ノックス・フルーレがその命を賭して神凪の巫女としての使命を果たす『FF15』の大きな山場の舞台裏では一体何が起きていたのかを、イグニスの視点から掘り下げるストーリーとなっています。

 本DLCメインテーマの「EPISODE IGNIS – The Main Theme」や戦闘BGMの「双剣の軍師」『クロノ・トリガー』やゼノシリーズでお馴染みの光田康典氏が手掛けており、光田氏の美麗かつ疾走感のある楽曲で戦乱のオルティシエを駆け抜ける。

 私は音楽に関しては完全に門外漢なので例えが漠然としてしまいますが、個人的にエピソードイグニスの楽曲は『クロノ・クロス』『ゼノブレイド2 黄金の国イーラ』に近しい雰囲気の光田さんなのが嬉しいです。

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 エピソードイグニスを通して重要になる要素のひとつ、それは「兄弟」

 先代国王のレギス・ルシス・チェラムから、「友として、兄として王を支えてやって欲しい」と託されていたイグニス。ノクティスが幼い頃から仕え、またある時は兄のようにノクティスを支えてきたイグニス……決して血が繋がっていなくとも、きっと彼らは兄弟だった。

 そして、エピソードイグニスで同行キャラクターとして加勢する仲間がレイヴス・ノックス・フルーレ。ニフルハイム帝国に属する敵でもある彼が……まさかの味方キャラとして参戦。

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 彼もまた、神凪の巫女であるルナフレーナ・ノックス・フルーレの「兄」。だからこそ、今まさに危機に瀕するノクティスとルナフレーナを救うために、ふたりの兄が共同戦線を結ぶ。

 ゲーム本編ではあまり描かれていなかったルナフレーナとレイヴスの兄妹愛が描かれるのがこのエピソードイグニス。ある意味ではエピソードイグニス兼エピソードレイヴスとでも言えるかもしれません。

 しかし……『FF15』をプレイした方ならわかっていたことなのですが、ルナフレーナは神凪の巫女としての誓約を果たし、王にその全てを託してしまう。自らを待つ命運を知っていたとしても、それでもなお……彼女は神凪としての使命を投げ出さなかった。この恋が報われないと知りながら。この愛こそが世界を救うのだと知りながら。

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「わかっていた。使命を果たした、お前に後悔などないのだと。
 だが、わずかな間でも……愛する者の隣で笑う、ささやかな望みを叶えてやりたかった。綺麗な花嫁に……なっただろう。」

「神凪は死しても、その使命から解放されることはない。それすら後悔しないのだ、こいつは。
 逝くな! ルナフレーナ!!
 残されたオレは……!!」

 レイヴスは、たったひとりの愛する妹のためにその全てを賭していた。世界の命運というあまりに大きな願いを背負った妹の、ささやかな望みを叶えてあげたかった。世界に、民に愛されたルナフレーナが、愛する者の隣で笑う……たったそれだけの、小さくて大きな幸せを享受して欲しかった。

 『FF15』はある意味、「使命」を果たすために生きた人間の話なのだと私は思います。これは『FF13』から続く『ファブラ ノヴァ クリスタリス ファイナルファンタジーXIII』の文脈を踏まえている……と勝手に思ったり思わなかったりするのですが、とにかく『FF15』において「使命」はとても重要な物なのです。

 人間としての喜びを捨て、幸せを捨て、愛する者の隣に寄り添うささやかな望みすら捨てて……世界を救う使命を果たすためにその命を懸ける。世界のために自分の望みを捨てるって……こんなおかしい話あっていい訳がない。ルナフレーナも、ノクティスも、そんな使命のために生きようとする。そんな彼らに、「せめて人として幸せであって欲しい」と願ったのが、ふたりの兄でもあるのかもしれません。

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 そして、「オルティシエでの戦いの後に、何故イグニスは失明していたのか?」という疑問も詳細に掘り下げられます。アーデンの凶刃からノクティスを守るために、王家の人間しか扱えないはずの光耀の指輪をその人差し指に嵌めたイグニス。

 『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』【※2】にて王の剣がその身を犠牲に一時的に歴代ルシス王の力を借りたように、イグニスもその身を我が主に捧げるかのごとく、歴代の王の力を振るう。主を何としてでも守り通すのは仕えるものの責務であるし、弟を守るのは兄の役目でもある。

※2「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」
ニフルハイム帝国がルシス王国に直接進行し、陥落するまでの話をルシス王家の視点から描く映画作品。『FF15』を知らない状態で見ても結構面白い。今作の主人公こそが光耀の指輪を嵌めて戦った王の剣の一員。

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「結構たのしかったわ。だから、思い残すことなく、使命を果たせる。おまえらとルーナが守ってくれたおかげで……オレはここまで来れたんだ。」

「一人で行くんじゃねえよ。おまえらの思い出も一緒だ。イグニス……ありがとな。」

 『FF15』は、これまでの「積み重ねた思い出」が最後の最後に大切なものになるゲームです。

 『FF15』は、旅を通じてプレイヤー自身が彼らの5人目の仲間になる作品でもある……と言うと少し私個人の考えが強すぎるかもしれませんが、そのくらい、この世界で描かれる人間に感情移入できるゲームだと思います。だから……私も、このふたりが交わす握手が……まるで自分のことのように嬉しいし、まるで自分の兄弟であるかのように悲しい。

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 エピソードイグニス独自の要素、それはまさかの「ルート分岐」。初回クリア後にあるチャプターに新たな選択肢が登場し、『FF15』本編とは少し違った未来へと進む「ifルート」のようなものを見ることができます。イグニスが掴み取る未来とは? ついぞ王の命を守ることのできなかった家臣が選ぶ道とは?

 彼は世界を守りたくて戦ったのではありません。愛する王を支えるために、その命を賭したのです。

Magna Insomnia

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 ついにやって参りましたエピソードアーデン!

 言わずと知れた『FF15』のラスボスでもある、アーデン・イズニア。彼の謎に包まれた過去に触れていくのがこのエピソードアーデン。これまでのグラディオラス、プロンプト、イグニスは「ゲーム内のメインストーリーの合間を描く」話だったのに対し、エピソードアーデンは数十年前の過去から彼の生涯を追うストーリーとなっています。

 もちろん操作キャラクターもアーデン。彼の強力無比なシガイの力と、鮮血のように赤く染まった武器召喚の力を駆使して戦うヒールアクションが最高! そもそも、「ラスボスを操作して戦える」こと自体が楽しいですよね……

 ノクティスたちが生きている現代と、数十年前の過去の2つの時代をアーデンの視点から描くエピソードアーデン。現代編では『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』にて描かれたルシス王国が陥落する様をアーデンの視点から楽しむ(?)ことができます。

 いや……改めて見るとめっちゃ「都市」してて面白いですね。目の前にインソムニア城がドン!!!と出てくるだけで一定の面白さがあるのはなんなんでしょう。

 もちろんこの王都を自由に駆け回ることもできます。現代的な王都インソムニアを好き放題に走り回れる感じ、だいぶファイナル如くファンタジーに片足を突っ込んでいる気もしてきます。

 いやミンウ薬局て!!!

 これからルシス王国が滅ぶというシリアスな状況ではあるんですが、それよりもインソムニアの街並みや異様に気合の入った飲食店街が気になって仕方がない。回復アイテムは自販機で買えるし、アーデンの帽子もその辺の帽子屋さんで買って気軽にイメチェンできたりする。

 実に『FF15』らしい(褒めてます)というか、実にアーデンらしい(褒めてます)というか……。『FF15』の特色のひとつでもある「王都インソムニアが思いっきり現代」が、ようやくゲーム内で最大限発揮された感じもします。

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 そんな現代編とは対称的に、過去編では「初代ルシス王」になるはずだったアーデンの姿が描かれる。アーデンの本名、その名もアーデン・ルシス・チェラム。本来であればルシス王国の最初の王座に就くはずだったが、歴史の闇に葬り去られた本当の初代国王にして、ルシスの禁忌こそがアーデン。

 ルシス及びイオスを襲った、生き物をシガイ化する寄生虫「プラスモディウム変異体」。大昔にルシス王国で流行したこの流行り病は、アーデンが寄生虫を自身の身体に取り込むことで感染者を治療していた。が、アーデンはこの寄生虫を取り込み過ぎたが故に不老不死の肉体を得てしまう。

 そのシガイの力を得たかのようなアーデンの存在を恐れた、歴史上に伝わる初代ルシス王にしてアーデンの弟「ソムヌス・ルシス・チェラム」は兄をルシスの禁忌として、二度とこの世界に出ることができないよう2000年もの間封印するのだった……。

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 そんなアーデンにも、愛する女性がいた。その名はエイラ・ミルス・フルーレ。フルーレの名から分かる通り、彼女こそがレイヴスとルナフレーナの先祖にあたる「初代神凪」

 初代ルシスの国王と、初代神凪の巫女。まさしく当代におけるノクティスとルナフレーナの関係。アーデンとエイラこそが、最初に愛し合ったルシス国王と神凪の巫女だった。そして彼もノクティスと同じく、愛する神凪の巫女を失う。倒すべき敵であったアーデンが「ノクティスとルナフレーナの有り得た可能性」として描かれていることに驚きました。

 インソムニアに乗り込んだアーデンの目的、それは何一つとして揺るがない「復讐」

 最初に王座に就くはずだった真の王として、王都を守護する歴代の王を次々と撃ち滅ぼす。
 そして最後に殺すのは、偽りの初代国王……ソムヌス・ルシス・チェラムであると決めていた。

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 王都インソムニアの最終防衛ライン、第一魔法障壁「ナイツオブラウンド」

 こちらも『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』が好きな私にはたまらない演出。まさかゲーム内であの第一魔法障壁と戦えるとは……各地のガーディアンが鬼王や伏龍王などの歴代ルシス王を模しているのも熱いです。

 2000年の時を経て、自らの王国に凱旋する羅刹の聖者。それを迎え撃つのは、2000年に渡って偽りの王国を築き上げた夜叉の王。今果たされる2000年の復讐。

 民を愛し、神凪を愛し、そして何よりも人を愛した心優しき王。神より力を賜り、人々に愛される兄に羨望を抱いていた独りよがりの王。数千年に渡るルシス王家の全ての事の始まりが、たったひとりの人間の嫉妬や劣等感のような物から始まっているのも……とても私好みです。

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 悪のカリスマ的な魅力を持ちながらも、『FF15』本編では謎の多かったアーデン・イズニア。そんな彼のバックボーンが明かされるこのエピソードアーデンをプレイした上で、もう一度『FF15』本編に戻ると、また見え方が大きく変わってくる。

 『FF15』のラストバトルにて、インソムニア城の玉座に座り、ノクティスたちを待ち受けるアーデン。そこで彼はノクティスから「おまえに座る資格はない。そこは王の椅子だ」という言葉を投げかけられるのですが、彼こそが初代ルシス王になるはずだった男……という過去を踏まえると、この時のアーデンの意味深な表情の意図も汲み取れたような気がします。

 エピソードアーデン全体を通して、「救世主」と呼ばれるアーデン。それは王国の民をシガイから守った過去のアーデンのことでもあるのだろうけれど、私としては、「ノクティスを真の王として導き、結果として世界を救った」救世主でもあるのかもしれないと思いました。

 呪いを一身に受け続けた聖者、闇の中を生き続けた救世主……そんな背反した在り方こそ、彼の魅力でもあるのでしょう。そう気づくことができるストーリーでした。

APOCALYPSIS NOCTIS

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 さて……エピソードグラディオラス、プロンプト、イグニス、アーデンをお送りした今回の記事、いかがだったでしょうか。これ……宣伝として成立してるんですかね?

 私が「自分がここまで『FF15』が好きな理由」として考えているのが、「『FF15』の冒険が、まるで彼らと一緒に旅をしているようで最高に楽しい」ということ。一緒に写真を撮ったり、一緒にご飯作ったり、一緒にドライブしたり……そんな冒険の中のふとした楽しさが、振り返ればかけがえのない思い出になっている。

 『FF15』は、ある意味「ノクティスたちとの冒険を楽しむこと」にかなり振り切っているゲームだと思いますし、だからこそ『FF15』は意見がわかれやすいゲームなのだとも思います。だってこのゲーム、ノクティスたちが好きになれなかったら楽しめなくない!?

 もちろん私は楽しめなかった人を否定する気はありませんし、キャラを好きにならなくても『FF15』が楽しめた人のことを否定する気もありません。人には人の『FF15』があるべきですから。そして私は『FF15』が最も重きを置いているであろう、「彼らとの冒険」が最高に楽しかった。だから『FF15』が大好きなのです。

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 そして『FF15』は、私にとって「自分はこういう物が好きなのか」と気付かせてくれた作品でもあります。

 単刀直入に言ってしまえば……私は「人が好き」なのだと思います。

 人……笑っている人、悲しんでいる人、喜んでいる人、賢い人、愚かな人、利益のために他者を切り捨てることのできる人、自分よりも他者を省みることができる人、自分のために自分を偽れる器用な人、最後の最後まで自分だけは裏切ることができない不器用な人……良いところも悪いところも不徳も美徳もひっくるめて、私は人が好きなのでしょう。人は……どうしたって愛しいものですから。

 だからこそ、私は「人がぞんざいに扱われること」が許せません。物語の都合で適当に死んだりとか、舞台装置として動かすために性格が変わったりとか……ああいうのはあまり好きじゃありません。嫌いです。

 「『FF15』はそうじゃないのか?」と言われると、断言はできないかもしれませんが……物語の中とは言え、そこに生み出された人間は、人間として扱って欲しい。たとえその生き様や死に様に満足できなかったとしても、少なくとも最後まで、「ひとりの人間」として扱って欲しい。彼らの生きた証まで……嘘にしないで欲しい。

 だから私は、「人間を人間として描こうとしている作品」が大好きなのだと思います。テンプレートな型にはめたテンプレートなキャラクターじゃなくて、物語に登場する人間ひとりひとりに人生があり、思っていることがあり、死ぬべき場所があり、裏切ることのできないものがあり、愛するものがある。できれば、人はそうやって描かれていて欲しい。たとえそれが幻想であっても、そこに生きる人は夢幻なんかじゃない。

 『FF15』を遊んでいて、最も感じたこと。それこそが、「ああ、自分はきっと人が好きなのだろうな」ということでした。私は人と触れ合っていると、すごく心を引っ張られてしまうことが多いです。心の壁が薄いのでしょうか? 

 とにかく、キャンプで楽しそうにしているノクティスたちを見ていると私も楽しいし、喧嘩をしている彼らを見ていると私も辛いし、別れを告げる彼らの姿を見ていると……私だって別れたくない気持ちになる。やればやるほど、ノクティスたちのことを考えてしまう。だから本当は、『FF15』をクリアしたくなかったのかもしれません。別れたくなかった。友達なんだから……一緒にいたかった。もっと旅をしたかった。もっと……もっと……そばにいてあげたかった

 私は人が好き。だから……彼らを人として描いてくれた『FF15』が好きだし、人として描かれているノクティスたちも大好き。この冒険は、私の中で、ずっと大切なものであり続ける。私が年老いて死ぬその時が来ても、忘れることのない……大切な、大切な思い出なのです。「胸を張って生きろ」と言ってくれた我が王のことを、忘れられる訳がない。この記憶は、幻想でも、作り物でも、ゲームでもない……最後まで抱き続けていたい私の宝物です。

 この記事は、そんな『FF15』に感謝を伝えたい記事でした。私が好きなものに気付かせてくれた『FF15』、忘れることのできない宝物になってくれた『FF15』、私の人生を変えてくれた『FF15』……どれだけ感謝を伝えても、言葉だけじゃ足りません。この作品が世に出なければ、私の人生はこんなに素敵なものにはなっていなかったかもしれません。

 ……そんな人生を変えてしまうかもしれないゲーム、『FINAL FANTASY XV ロイヤルエディション』【※3】は、現在PlayStation Plus「ゲームカタログ」にて好評配信中! 忘れてません、忘れてませんよ、これがソニー・インタラクティブエンタテインメントさんとの企画であることを!!

※3「FINAL FANTASY XV ロイヤルエディション」
追加DLCやいくつかの新要素が追加された『FF15』の決定版。
今回紹介したエピソードグラディオラス、プロンプト、イグニスの3つのDLCは最初からロイヤルエディション内に追加されていますが、エピソードアーデンだけは別売りなのでご注意を。

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(画像はPlayStation Store –
FINAL FANTASY XV ROYAL EDITION 商品ページ
より)

 良い感じのオチがつきましたが、とにかくこのゲームでは、きっと素敵な出会いが待っているはずです。この冒険は、きっと忘れられない思い出になる。

 最後に、この言葉を……この言葉をずっと伝えたかったのです。

 ありがとう!

ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
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