右も左も美男美女……でも、どいつも!こいつも!!悪人ばかり!!!
それが、今回紹介させていただく『無期迷途』というゲームです。文明崩壊レベルの危機に見舞われたこの世界で、頼れる戦力はもはや囚人だけ。とは言え、犯罪者を野放図に解き放つわけにもいきません。しっかりと手綱を握る必要があります。
ではどうするのか? 取り調べを通じて相手を“服従”させ、こちらの言うことを聞くようにするのです。
うーん、倫理観ゼロ。
犯罪者を「枷」で「服従」させて「取り調べ」をする……。こんなことをして、本当に仲間と言っていいのか? という疑問も湧き上がってきますが、そんな犯罪者と仲良く協力していくしかないくらい治安が終わっているのですから仕方がありません。
崩壊したビル街で暴れ回るマフィアに暴徒、人を狂わせ異形の怪物にしてしまう謎の病「狂瞳病」に立ち向かうためには、手段を選んでいる余裕はないのです。
なにより、凶悪犯罪者とのアブない交流を通じてその力を借り受けるという、まるで『羊たちの沈黙』のようなシチュエーションには、多くの方が興奮せざるを得ないでしょう。本作に登場するキャラクターたちは伝説のハンニバル・レクターとはまた違った方向性のセクシーさ、危険な魅力でプレイヤーを魅了してくれます。
今回は、その美しいビジュアルやキャラクターデザインとは対照的に退廃的かつ暴力的でありながら、どこかビジュアルの美しさに付随する儚さもあるという独自のフレーバーが演出されている『無期迷途』の魅力について語っていきたいと思います。
超人的な能力を持つ犯罪者を仲間にしなければ、生き残れない。筆者いち推しは見た目は可憐、中身は粗暴なヘラ。マジで口が悪い、超罵ってくる、ありがとうございます
全員悪人。
これが、『無期迷途』を端的にまとめた表現と言ってもいいでしょう。
本作は、美麗なイラストや妖艶な美しさを持つデザインのキャラクターが多く登場することが印象的なタイトルです。そのため、ゲームビジュアルを見ているだけでは、ある種のインモラルさは感じられたとしても、その裏に潜んでいる暴力的な要素を見出すことは難しいかもしれません。
しかし、『無期迷途』をプレイしてみると、その実情はかな〜りバイオレンス。
まず、主人公が、作中で「最悪と言える罪人たち」と形容される凶悪な囚人たちを収容する刑務所「ミノス危機管理局」の新しい「局長」であり、主人公とともに戦う仲間は、この施設に収容されている犯罪者です。
この時点でも暴力的で尖った設定ですが、これはまだ『無期迷途』の入り口に立っただけにすぎません。ここからは筆者いち推しのキャラクター「ヘラ」を通じて、本作の魅力をお伝えしていきましょう。

『無期迷途』を始めたばかりのプレイヤーに対して、本作がいかにバイオレンスなゲームであるのかを嫌というほど教えてくれるのが、ゲームの最序盤に登場し、主人公と行動をともにすることなる少女「ヘラ」です。
一見すると細く弱く儚そうな雰囲気を持つヘラとの出会いは、牢獄の中。彼女は牢獄の外側にいる主人公に対して、「ここから出して欲しい」と、甘えてくるような態度で話しかけてきます。
このシーンを見ているときは、ヘラに別段変わった印象は持たなかったので「なるほど、こういう感じのカワイイ系のヒロインキャラクターね」などと思いながら、ストーリーを読み進めていました。
しかし、画面をタップしてセリフを次に送ってみたところ、なんと、ヘラの表情と態度が豹変!
いくら喋りかけても主人公がノーリアクションであることにブチギレた彼女は、暴言を吐きながら先ほどまでとは別人かのような鬼気迫る表情で強化ガラス窓を素手で殴りつけ、あろうことか、そこに大きなヒビを入れたのです。
先ほどまでのしおらしい態度はどこへやら。非力そうな見た目からは想像もつかないようなパワフルさに、度肝を抜かれました。彼女の力は明らかに普通の人間のそれとは異なっていて、猫をかぶっているとかいうレベルをはるかに超えています。
もちろん経歴も極悪。約10年の間に強盗26件、詐欺35件、誘拐5件、脱獄15件……いわば前科81犯の大物犯罪者なのです。この儚げな見た目からは想像もつきませんが……。
まぁ、「初対面が牢獄の中と外なのに、ヘラが普通のキャラなわけないだろ」と言われてしまえばそれまでなんですが、このシーンがとにかくインパクト絶大で、一気に身が引き締まりましたね。
美しいキャラクターイラストの甘美な香りに引き寄せられてみたら、痛い目にあわされてしまいました。こういうの、好き。
実は、『無期迷途』に登場する仲間たちは、人間を超越した能力を持つ「コンビクト」と呼ばれる存在で、ヘラについては、怪力だけでなく驚異的な治癒力も併せ持っていて、受けた傷はすぐに治ってしまいます。
彼女は暴力的な性格の持ち主でもあり、その言動はかなりエキセントリック。発言が気に食わないという理由で、すぐに相手を鉄パイプでぶん殴っているのが彼女の日常で、色々な意味で、味方として近くにいてもらうには怖すぎる人物であると言えます。
しかし、そんな人間として難がありすぎる激ヤバ犯罪者のヘラも、れっきとした主人公の頼れる仲間です。
これはつまり、彼女のような超危険な犯罪者でさえも味方につけないといけないくらい、『無期迷途』の世界は超危険な場所であるということを意味していると言っていいでしょう。
結果として、儚げな美少女(内面は超狂暴)に思いっきり罵倒してもらうバディ物の様相を呈してくるのが本作『無期迷途』です。……すんげえご褒美じゃん、ありがとうございます。
このゲームでは、お互いを口汚い言葉で罵っている場面が多く、「この✖✖✖✖!」といった感じの伏字になったセリフが結構な頻度で登場し、常日頃から会話のドッジボールが繰り広げられています。
こういった日常ではあまり耳にすることのない暴言も、ある程度聞き続けていると不思議と慣れてきてしまうものですが、さすがに、「✖✖✖✖この✖✖✖✖!クソ✖✖✖✖!」という、体感90%くらい伏字な暴言をモブキャラから浴びせられたときは驚きました。
字幕ではなくボイスの方を聞いてみても、伏字の箇所では「ピー」と規制音が流れているため、具体的にどんなことを言われたのかは皆目見当がつきません。ちょっと何言ってるか分からない。
どんな暴言を吐いたら、こんな伏字だらけになってしまうんですかね……。
全部が伏字というわけでもなく、元のセリフ自体はしっかりとありそうなのが、さらに想像をかき立てられます。
この治安の悪さこそが、本作の大きな魅力のひとつであり、それはゲームの様々な場面で見ることができます。
たとえば、一般的なゲームでは、キャラクターの生年月日や身長・体重などといった基本的な情報が書かれているプロフィール画面では、どんな犯罪をして刑務所に収容されることになったのかが詳しく記録されています。
実際に仲間たちの犯罪歴に目を通してみると、数十件の詐欺や不正競売に関わり、破産や家庭崩壊によって、間接的に十数名を死に追いやった金持ちの男や、
数多くの権力者たちを襲撃した地下組織のリーダーといったような、分かりやすい犯罪者がいたかと思えば、
紛争を煽り、周辺都市国家との関係を揺るがした、国家の根幹に関わるスケールの犯罪者がいたり、
超大作の撮影中に公共物の破壊と雑踏事故を引き起こしてしまった、引退済みの天才映画監督という、事故が発生した経緯と映画監督引退の経緯が両方とも気になりすぎてしまう犯罪者がいたりもします。
また、「K.K」という犯罪者は、先ほどまでの危険人物たちとは異なるベクトルで面白い犯罪歴を持っているキャラで、なんでも、過去に様々な犯罪に手を染めたにも関わらず、とある勢力への加入をきっかけに、社会奉仕活動しかしなくなったんだとか。
しかも、刑務所に収容されたあとも罪を犯す兆候はないらしく、彼女の背後に隠されたストーリーが、非常に気になります。ただただ凶悪な連中が集まっている施設というわけでもないのが、この刑務所の興味深いポイントですね。
















