超危険な犯罪者たちを「枷」で「服従」させて戦う。
犯罪者と仲良くなるしかないゲーム『無期迷途』の中を覗いてみると、そこに広がっているのは、かなり世紀末な世界です。
メインストーリーは中々にハードな内容で、マフィアとの衝突、様々な勢力の騙しあいなどが描かれ、中には思わず目をそむけたくなってしまうような文章表現があったりもします。
特に、人間の精神と肉体を蝕み、モンスターに変異させてしまう謎の病「狂瞳病」に関連する物語は、人々の様々な思いが交錯する切ない話も多く、引き込まれます。
人間の状態で主人公たちと出会っていたにも関わらず、物語の途中で急にモンスターへの変異が始まってしまい、愛する者への想いをうわ言のように呟きながら人間としての意識を次第に失っていったとあるキャラクターは、見ていて辛かったです。
狂瞳病に苦しんだ末に巨大で凶暴なモンスターと化し、すぐに主人公たちの手によって倒されてしまった彼の顛末には、「さっきまで普通の人間だったはずなのに、こんなにもあっけなく死んでしまうなんて……」という儚さがあり、非常に切なさを感じました。
こういった儚さが暴力性の奥に潜んでいるというのも『無期迷途』の魅力のひとつであり、モンスター化した人間の討伐や勢力間の血を血で洗うような激しい抗争が終わったあとに訪れる一抹の侘しさが、暴力で疲れてしまった心に爽やかなそよ風を吹かせ、物語への没入感を一層高めてくれるのです。
この儚さは、作中のビジュアルによって演出されている部分も大きく、本作の美しいイベントイラストを見ながら物語を読み進めると、儚いシーンはより儚く、暴力的なシーンはより暴力的に感じられ、物語に奥行きを与えているように感じます。
また、美しいイベントイラストから視線を移して背景イラストの方に意識を向けてみると、かつては大都市であったであろう街並みが廃墟と化していて、ディストピアを思わせるような儚さがあります。
かろうじて残っている建物も、外壁が落書きだらけだったり内部が荒れ果てていたりするため、「このゲームで綺麗な場所はどこ?」と聞かれて脳裏に思い浮かぶのは、主人公が犯罪者たちを収容している刑務所くらいしかありません。
犯罪者が外の世界に出ないように閉じ込めて管理する暗く冷たい施設が、本作で見られる数少ない綺麗で整った空間である。この事実こそが、『無期迷途』の舞台が非常に恐ろしい世界であるということを雄弁に物語っているように思います。
さて、建物や人間など、目に映るもののほぼ全てが荒れ果てている『無期迷途』では、「枷」で「服従」させた超危険な犯罪者たちを仲間にして戦います。
あらためて文字に起こしてみると、かなりアウト寄りな空気が漂ってきますが、これが公式設定です。私が勝手に誇張した表現を使っているというわけではありません。
具体的には、ステージのいちばん奥にいる主人公を守るような形で、「服従」させた犯罪者たちをフィールド上に配置し、戦闘開始と同時に大量に攻め込んでくる敵たちを主人公のもとに辿り着かせずに排除するというのが、『無期迷途』の戦闘の流れになります。
普通の人間では相手にならないようなバケモノを犯罪者たちに倒してもらうという、いわゆる「タワーディフェンス」ライクな戦闘システムで、近接攻撃・遠距離攻撃・防御・補助などに特化した役職に振り分けられた犯罪者たちを、どこにどのように配置して、各自が持つ技をどのタイミングで発動させるかが勝利の鍵を握っています。
基本的な攻撃は仲間たちが自動でやってくれるので、プレイヤーのやることが少なく、ゲーム初心者にもシステム周りが非常に分かりやすいというのも良いですね。
また、戦闘に連れて行った犯罪者たちは、戦闘終了後に「服従度」が上がっていきます。
それに加えて、ゲーム内で「証拠」と呼ばれるアイテムを集めることによって「取り調べ」が発生し、犯罪者のこれまでの経歴や裏にある物語、他の犯罪者たちとの関係性について知ることができます。
「取り調べ」では、ただただ危ないだけに見えていた仲間たちの辛い過去が語られることも多く、「こんなこと経験してたら、こんな性格にもあるか……」などと、プレイヤーのキャラクターに対する理解が深まります。
それだけでなく、「取り調べ」を経ることによって、向こうもこちらに対して心を開いてくれるため、キャラとの仲が深まっていきます。

その名前こそ、仲間に対してつけられるパラメーターとは思えない「服従度」ですが、要は他のゲームで言うところの友好度や親愛度にあたるもの。
とても仲間に対してやることとは思えない「取り調べ」も、仲間との親睦を深めるために大切なイベントです。
途中で出てくる重要な選択肢をミスってしまえば、仲間が機嫌を損ねて心を閉ざして何も話してくれなくなり、取り調べは失敗に終わってしまいます。
このように、『無期迷途』では、「服従度」や「取り調べ」だけでなく、仲間を集めるための「ガチャ」は「逮捕」と呼ばれているなど、ゲームシステムを説明する用語が独自のものとなっていて、他のゲームにはないフレーバーが演出されています。
この細やかなゲームデザインが、ゲームの深みや面白さにつながっているのです。
犯罪者たちの中にまさかの参戦。怪盗「キャッツアイ」とコラボ
さて、犯罪者ばかりが登場する『無期迷途』ですが、2025年にDisney+で新作アニメが独占配信された『キャッツ♥アイ』とのコラボが3月13日からはじまっています。
アニメは、あの有名歌手・Adoさんが主題歌を熱唱したことでも話題になりましたよね。
『キャッツ♥アイ』は、表では喫茶店を営み、裏では美術品を専門に狙う怪盗“キャッツアイ”として世間を騒がす美人三姉妹を主人公とする作品です。華麗な盗みやアクションに加えて、怪盗と刑事のスリリングな恋模様を描いた、長年にわたって多くのファンに愛され続けている伝説的なタイトルでもあります。
ここまでお話してきたように、本作は、何件も犯罪を重ねていることがスタンダードという犯罪者だらけのゲームなので、その仲間たちの中に「怪盗」が入ってくるというのは、とても自然なコラボに感じられますね。
「まさかここに『キャッツ♥アイ』が入りこんでくるとは……!」という衝撃が別でありはしますし、三姉妹の次女・来生瞳の恋人でありキャッツアイを追う刑事・内海俊夫を差し置いて筆者が彼女たちを“逮捕”していいのか? というのは気がかりですが、その辺はこの際ちょっと脇に置いておきましょう。
このコラボでは、彼女たちを仲間にして戦うことができるのはもちろん、特別任務として、凶悪犯と勘違いされてしまった彼女たちと主人公の間で巻き起こる騒動を描いたストーリーを楽しむこともできます。
個人的な意見にはなってしまいますが、こういう既存作品とのコラボで、ただコラボ相手の作品の人気キャラが登場するだけではなく、物語まで用意されているのって、リスペクトが感じられてすごく良いですよね。それだけで「このコラボはプレイする価値があるんじゃないか」と思ってしまうほどです。
……ちなみにですが、キャッツアイが仲間になるということは、ゲーム上では施設に収容されているということでもあります。
なので、彼女たちのプロフィール画面に目を通してみると、それぞれの犯罪経歴やキャラクター設定を拝むことができたりもします。
もうひとつ面白かったのは、泪と瞳のお姉さん2人が最高ランクの「Sランク」、末っ子の愛がそれよりも低い「Aランク」に分類されていたということ。
地味なポイントではありますが、コラボキャラの中、しかも3人だけなのに明確な格差があるというのは意外と珍しいような気もします。こんなにシビアな査定じゃなくても良いのに。
……ま、愛はゲーム内の時系列だと高校生で、他の2人と比べて少し幼いですしね!
超人的な能力を持つ犯罪者を服従させて味方につけ、バケモノたちと戦う『無期迷途』は、その尖った設定と、シンプルなゲームシステムが面白いタイトルとなっています。
説明臭くなってしまうので、今回は細かい内容を割愛しましたが、本作は、ストーリーや世界観が非常に作り込まれているため、物語に没入して楽しむことができる作品でもあります。
『キャッツ♥アイ』とのコラボが実施されているこの機会に、是非プレイしてみてはいかがでしょうか。
















