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40歳が生活のすべてを『ぽこ あ ポケモン』に全振りして遊んでいたら、己の体のリカバリーに10万円かかってしまった話

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筆者はいま、『ぽこ あ ポケモン』に夢中になりすぎて完全に生活が終わっています。もう40歳だというのに。

本来この年齢であれば、自分を律することができる年齢ではないでしょうか。食事に気を配り、じゅうぶんな睡眠をとり、適度な運動を習慣づける。筆者もそれなりに “ちゃんとした生活” を送っていました。

『ぽこ あ ポケモン』を始める前までは。

気がつけば寝る時間も運動する時間も削りに削り、業務時間以外の時間のほぼすべてを『ぽこ あ ポケモン』に捧げるようになっていました。その “生活の代償” は残酷で、鏡に映るのは不摂生が生んだボロボロの身体。とくに肌荒れが目立ちます。そして、画面の見すぎで首も痛い。あまりにも自業自得です。

しかし、ここでやめないのが大人の特権。なぜなら大人には「財力でねじ伏せる」という選択肢があるからです。

ボロボロになった身体は高級課金で補えばいい。そこでまず肌荒れ対策に、最近の美容界隈において再評価されているSK-Ⅱのスキンケアをフルで揃えるなど鉄板アイテムを購入しました。その金額10万円ほど。大丈夫、必要経費です。

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伝家の宝刀SK-Ⅱ(上記で8万5000円くらい)※筆者私物
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実際にSK-Ⅱを使ってみたらクリームはObagiのほうが好みだったのでObagiにシフト & 信頼のアスタリフトのアイクリームで目元もカバー(上記で1万5000円くらい)※筆者私物

画面の見すぎで悲鳴をあげていた首も、整形外科に行ってレントゲンを撮ってもらいました。その金額5000円ほど。大丈夫、必要経費です。

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骨は異常なしとのこと(一時的に炎症を起こしているらしく湿布を処方される)※自業自得の極み

結果として己の体のリカバリーに10万円くらいかかってしまいましたが、まったく問題ありません。それよりもポケモンたちを幸せにするほうが絶対に大事だから

そこで本稿では、生活の質を投げ捨てて得た圧倒的な多幸感こと『ぽこ あ ポケモン』の魅力について紹介したいと思います。

文/柳本マリエ


ポケモンたちを勝手に愛猫と重ねてしまう

筆者がなぜここまで『ぽこ あ ポケモン』に夢中になっているのかというと、ポケモンたちの置かれている状況に激しく胸を打たれたからです。ニンゲン(トレーナー)たちがいなくなってしまった世界で気丈に振る舞う姿に涙が止まりませんでした。

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『ポケットモンスター』シリーズといえば、プレイヤーがトレーナーとなりポケモンとの絆や信頼関係を築きながら最強のトレーナーを目指して冒険やバトルを繰り広げていたと思います。

ところが『ぽこ あ ポケモン』は荒廃した世界が舞台で、そこにニンゲンの姿はありません。

なぜニンゲンたちがいなくなってしまったのかについてはストーリーを進めると断片的に明かされていきます。しかしポケモンたちからすると「目が覚めたらニンゲンたちがいなくなっていた」という状況。そのため「こうすればニンゲンが戻ってきてくれる(気づいてくれる)かも」と健気に待ちます。

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ニャースから「オイラが寝てる間にみんなどっかに引っ越しちゃったみたいだぞ」と聞いたときは、愛猫を重ねてしまいむせび泣きました。

猫と一緒に暮らしている身として、その状況は本当に緊急事態だと思います。トレーナーだったら、ポケモンを置いていく選択肢なんてないはず。「そうせざるを得ない深刻な理由があったから」以外に考えられません。トレーナーたちがどんな思いでポケモンを残して去っていったのかと思うと筆者の情緒がおかしくなりました。

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いっぽうで、ニンゲンがいなくなった世界は平和そのもの。争いごとはなく、豊かな自然と潤沢な物資があり、仲良く暮らすポケモンたちを見ていると「ポケモンにとってはむしろニンゲンがいないほうがいいのかも」と考えさせられます。いつだって問題を起こすのはニンゲンですからね。

とはいえ、それでもやっぱり、ポケモンたちはニンゲンに会いたいのではないでしょうか。筆者は一緒に暮らす猫を心から愛していますが、同じくらい愛されている実感があります。

そのため、たとえどんなに平和な世界だったとしてもポケモンたちの「ニンゲンに会いたい」という気持ちは、きっとニンゲンに会うまで満たされない。

だったら!筆者が!
“トレーナー以外のすべて” を埋める!

トレーナーの代わりにはなれないけど、せめてすべてのポケモンに快適な環境を用意したい。この気持ちになるまで時間はかかりませんでした。

そうして、ポケモンたちに不自由のない生活を送ってもらうために筆者の生活が崩壊していったわけです。

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ベッドがあるのにベッドで寝ないところも愛猫と重なる

自分の中の “ポケモン愛” に気づかされる

『ぽこ あ ポケモン』は、筆者の「人生のベストゲーム」になったかもしれません。というのも、30年前のプレイが前振りみたいになる体験が唯一無二だからです。

お恥ずかしながら筆者の『ポケットモンスター』歴は1996年に発売された『ポケットモンスター 赤・緑』のみ。じつは当時、そこまで思い入れもありませんでした。そのため「それでも楽しめるかな?」という不安があったことは事実です。

ところが、思い入れがないと思っていたのに、チュートリアルで「ゼニガメ」「フシギダネ」「ヒトカゲ」が出てくると、当時(30年前)の記憶が怖いくらい鮮明に蘇りました。

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お前たち~~~~~!!!

その後も、サワムラー、エビワラー、ストライク、カイロスといったお馴染みのポケモンたちが続々と出てくるので、もう同窓会のような気分です。3Dで動いている姿にも感動。ワンリキーやゴーリキーはあまりにも「人」っぽくてちょっと笑ってしまいました。

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この「ポケモンたちとの再会」は、想像していたより遥かにうれしいものでした。自分が思っていた以上にそれぞれのポケモンと思い出があり、目に入ったポケモンに対して手あたり次第に「元気だった?」「どうしてた?」という気持ちで話しかけてしまいます。

主人公がメタモン(ポケモン)ゆえに、ポケモンたちと会話でのコミュニケーションを取れるところがポイント。たとえば「ヒメリのみ」をあげると「もらっていいの?」と、とても喜びながら「もぐもぐ」などと言いながら食べてくれます。

テキストにするとシンプルに見えるかもしれませんが、実際に体験すると、たまらなく愛おしい。

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この笑顔を見てください

また、部屋づくりをしているとポケモンのお気に入り家具を回収してしまう場面も多々あります。すると間髪入れずに「ガーン」という反応をされてしまい、これがとにかく焦ります。ごめんて。

もしかしたら自分が思っている以上にポケモンのことが好きだったのかもしれません。そう思ったのは単にポケモンたちの愛らしさだけではなく、ゲーム内に散りばめられているセルフオマージュ(『ポケットモンスター 赤・緑』が元になっていると思われる演出など)にも反応できることが多かったからです。

「自分の中の “ポケモン愛” に30年という時を経て気づかされる」って、けっこう熱くないですか?

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『マイクラ』とも『あつ森』とも異なる楽しさ

本作はスローライフ・サンドボックスゲームですが、『マインクラフト』(以下、マイクラ)とも『あつまれ どうぶつの森』(以下、あつ森)とも異なる楽しさがあると感じました。なぜなら、“ボロさ” を表現できるから。

特定のアイテムに「荒廃版」が用意されており、朽ち果てた質感を意図的に設置することができます。

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本来なら忌避されるはずの “負の遺産” が、建築として機能する

筆者は『マイクラ』も『あつ森』も大好きでどちらも1000時間ほど遊んでいるものの、どこかで「綺麗すぎる世界」に物足りなさを感じていました。ゴミですら、つるんとしてるから。

下記の記事でも書いているとおり、筆者はゲームに生活感を求めるタイプ。生活している痕跡がほしいんです。具体的には「劣化した建築」がしたいと思っていました。

『ぽこ あ ポケモン』は荒廃した世界が舞台になっているため、下記のような素材を使って建築や部屋づくりをすることができます。

・こわれたてつのかいだん
・かけたアスファルトのみち
・かけたいしのゆか
・こわれたタブレット
・よごれたろんぶん などなど

つまり、ヒビの入ったコンクリートで道を作ることもできれば、机の上に壊れたタブレットを置くこともできるということ。求めていたものすぎる

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これらを設置すると、世界に実存感が宿ります。「完璧に整っている世界」ではなく「経年劣化もする世界」でポケモンたちと暮らせるなんて夢みたい。

そりゃあ、寝てる時間なんてなくないですか?


筆者は『ぽこ あ ポケモン』を始めてから、「ちゃんとした生活」と「10万円」を失いましたが、それを遥かに上回る圧倒的な多幸感を手に入れました。

40歳にもなってゲームに生活を全振りするのは、無茶をしすぎているかもしれません。しかし、30年という時を経て自分の中に眠っていた深いポケモン愛に気づかされた体験は、むしろ最高の贅沢ではないでしょうか。

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不摂生でボロボロになった身体は、大人の財力でねじ伏せて補えばいい。それよりも、ニンゲンがいなくなった世界で健気に待つポケモンたちに快適な環境を用意してあげることのほうが、筆者にとってはよっぽど大事

こんなに打ち込めるゲームに出会えることは人生でそう多くはないので、自分の限界を迎えるまで遊び尽くそうと思います。

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企画開発:株式会社ポケモン、株式会社ゲームフリーク、株式会社コーエーテクモゲームス

編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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