いま読まれている記事

ダンジョンの奥で壊れていた勇者たちから“ひとりだけ”選んで脱出するRPG『勇者パーティはぜんめつしました。』の道中が絶望的に息苦しい、だがそれがいい

article-thumbnail-2605202n

日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH」(ビットサミット パンチ)が、2026年5月22日から24日の3日間にわたって京都市勧業館みやこめっせにて開催中だ。

今回はそんなBitSummitに出展中のインディーゲームブースの中から、デス組合が開発するダンジョン探索RPG『勇者パーティはぜんめつしました。』の試遊レポートをお届けしていこう。

本作は、迷宮の奥深くで「詰み」になってしまった勇者パーティから“たったひとり”だけを選んで共に脱出する、という触れ込みの一作だ。

この触れ込みだけを見たときは、私にはまだゲームのコンセプトがいまひとつわからず、何かこう、シナリオ重視のゲームなのかなとも思っていた……。しかしいざ触ってみると、そこにはシナリオに留まらずゲーム全体を通して絶望的に息苦しく、しかしなぜか心地良い、勇者捜索隊と壊れた英雄の二人旅が待っていたのだった。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_001

文/司破ダンプ
編集/恵那

※本レポートは開発元より事前に提供された試遊ビルドをプレイして執筆しています。そのため現地で提供される試遊版とは一部内容が異なる場合があります。

ダンジョンの奥で壊れていた勇者パーティ、連れて行けそうなのはせいぜい一人。シナリオもゲームシステムもどこまでも息苦しい、だがそれがいい

本作の主人公は、ダンジョンに潜ったまま行方不明となった勇者を救出すべくそのあとを追った、捜索隊の兵士のひとりだ。ゲーム冒頭にて、主人公はダンジョン捜索のなかで魔物たちに襲われて次々に仲間を失い、部隊の最後のひとりとなってしまう。

しかしそれでも、引き返すことは許されない。勇者を捜してダンジョンの奥深くへと踏み入った主人公は、そこであるものを見つけるのだった。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_002

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_003

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_004

主人公がダンジョンの奥地で見つけたのは、なんとトランプに興じている行方不明の勇者パーティだった。「伝説の勇者たちが、なぜダンジョンに留まったままこんなことを…?」と、当然思うが、彼らがそうしているのには理由があった。

よく見ると、勇者は「はい/いいえ」しか話せなくなっており、うまくコミュニケーションが取れなくなっている。魔法使いは胸に巨大な杭を打たれ完全に魔力を失っており、戦士はその肉体を球体関節人形にされている。僧侶は本来の信仰を失い、彼が大いなる神と呼ぶなにかの狂信者となってしまっていた。

つまりは勇者パーティの誰もが”壊れて”しまっていたのだ。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_005

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_006

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_007

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_008

その後、さらに話を掘り下げて聞くと、彼らは自分たちの持つ「勇者の加護=死んでも復活できる能力」の対策として、何者かにこのような状態に貶められ、ダンジョンを出ようにも出られない状態にされてしまったということが判明する。

彼らの中の魔法使いはこう語る。勇者パーティはすでに「ぜんめつ」している、と。

かくして絶望的な状態で見つかった勇者たち。しかし主人公からしてみれば、それでも彼らは魔王に対抗できるパワーを秘めた数少ない存在であり、魔王の侵略により既にほぼすべての戦力を失った人々にとっての、最後の希望でもあったのだった。

勇者たちは誰もが破滅と隣り合わせの状態で、全員をまとめてダンジョンから連れ出すのは困難そうだが、ひとりずつならばケアしつつ脱出させることができるかもしれない。そこで主人公は勇者一行のなかの1名をパートナーとして選び、先行きの暗いダンジョン脱出作戦を始めることになるのだった。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_009

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_010

さて本作のダンジョン探索は、ルート探索型のローグライトRPG風味になっている。進むマスを選択しながら、戦闘や罠への対応、強化をこなしつつ進んでいくところは、ほぼローグライトのそれだが、道中でセーブ/ロードが可能で、死にやすくもリトライしやすい作りになっていることから、本作はあくまで”ローグライト風味”のダンジョン探索RPGということになっているようだ。

ゲームシステムのなかでも特筆すべきものは、武器を敵から奪い取り、現地調達しながら進んでいくバトルだ。本作の武器は基本的に使い捨てで、数回使うと壊れてしまうのだが、一定の条件下では敵の武器を奪うことができ、これにより新たな武器を調達できるようになっている。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_011

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_012

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_013

本作の戦闘では、画面上を流れるアイコンを表示されるバーのどこで止めるか、という攻撃のタイミングによって成否などが判定されるのだが、武器を強奪するには、これを目押しでピタリと止める必要がある。

失敗すると武器リソースがどんどん減っていって焦りを感じることになるのだが、この殺伐とした感じが、ストーリーの息苦しい雰囲気ともうまくシナジーを発揮していて、演出的にも面白く感じられた。

また道中では、罠のエリアに遭遇することもある。これを抜けるには、力や敏捷といったステータスを使ったルーレット判定を成功させる(もしくは回り道を行く)必要があるのだが、なかには平然と「死」と書かれたルーレットが登場したりもする。

これを当ててしまった出たら当然、即死だ。えげつないが、これもストーリーなどの暗い雰囲気と相まって、不思議と面白みや納得感を感じてしまうのは、演出の妙といえるだろうか。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_014

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_015

そうしてダンジョンを進んでいくと、冒険の合間合間でパートナーとの会話イベントも発生していく。

今回のプレイでは、勇者パーティの中でもとくに異常な精神状態である僧侶との冒険をともにしたのだが、道中では不穏な発言を繰り返し聞かされたり、彼の語る”大いなる神”の奇跡とやらで急に石を肉に変えてみせられたりと、終始不吉な雰囲気でストーリーが進み、奇妙な気分を味わい続けることになった。

おそらく製品版でも、彼との冒険はこういったジットリとした空気のまま、ある種の絶望的な空気が続いていくのだろうと思われる。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_016

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_017

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_018

と、そんな感じで『勇者パーティはぜんめつしました。』はシナリオに留まらず、ゲーム中のギミックにまで息苦しい空気が漂っているのだが、ゲーム全体を通してみるとそれらがうまく噛み合っており、道中のフィーリングが奇妙に心地良いという不思議なゲームになっていた。

気になった方はぜひ現地にて試遊し、その感覚を味わってみていただきたい。

『勇者パーティはぜんめつしました。』を出展中の「BitSummit PUNCH」は、2026年5月22日から24日の3日間にわたって京都市勧業館みやこめっせにて開催中だ。

『勇者パーティはぜんめつしました。』ビットサミット2026レポート|絶望的に息苦しいのに、それが心地よい
_019

ライター
85年生まれ。『勇者のくせになまいきだ。』シリーズの代表的プレイヤーとして名を馳せたツルハシの化身。 10代の頃、メックシューターゲーム『ファントムクラッシュ』とその続編『S.L.A.I.』の世界にハマり、 ディスプレイ越しに見た2071年に帰るべく日々を生きる。TCGとボードゲームも好物。
Twitter:@Dump29
編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ