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「日本人の考える欧米ファンタジー」すぎるゲームブックRPG『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』は真面目なのにどこかヘンで面白い。”コロシアムで7年間無敗だった”異常経歴ゴリマッチョヒーローの物語がいま始まる

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日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH」(ビットサミット パンチ)が、2026年5月22日から24日の3日間にわたって京都市勧業館みやこめっせにて開催中だ。

今回はそんなBitSummitに出展中のインディーゲームブースの中から、奈良に拠点を置くジギタリス出版が開発するゲームブック風ロールプレイング・アドベンチャーゲーム『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』の試遊レポートをお届けしていこう。

ちなみにゲームブックをご存じない方に説明しておくと、ゲームブックとは読者の選択によって読み進めるページを変え、これにより展開や結末が変わっていく「ゲームとして遊べる小説本」のことである。

いま四十代の筆者も小学生時代には『ゲームブックドラゴンクエスト』などで遊んだものだが…ゲームブック、いまではなかなか見かけなくなったワードだ。懐かしい。

そんなゲームブック風のストーリーを令和の時代に体験できるという本作。令和最新の味付けはどんなものか……と遊んでみると、そこには「典型的な欧米ファンタジーへの幻想」と「日本産らしい丁寧さ」をミキサーにかけて混ぜ合わせたような、古い時代特有のシュールさと現代のリッチさが同居する、不思議な冒険物語が広がっていた。

ゲームブックRPG『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』試遊レポート:日本人の考える欧米ファンタジーで、真面目なのにヘンで面白い_001

文/司破ダンプ
編集/うきゅう

※本レポートは開発元より事前に提供された試遊ビルドをプレイして執筆しています。そのため現地で提供される試遊版とは一部内容が異なる場合があります。


「魔女に拾われるも生き別れ→奴隷商に買われ奴隷剣闘士に→コロシアムで7年間無敗→賞金で自分を買い戻す」主人公は設定盛り過ぎゴリマッチョ、でも選択肢次第で意外とすぐ死ぬ

あらためて『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』は、剣と魔法の世界を舞台に展開される、昔懐かしい雰囲気のゲームブック風ロールプレイング・アドベンチャーゲームだ。

さきほど本作の大きな要素に「典型的な欧米ファンタジーへの幻想」があると述べたが、その要素はゲーム開始のボタンを押した瞬間から、容赦なくプレイヤーを殴りつけてくる。なにしろ試遊をはじめてまもなく見ることになる、主人公のハヴェロックのビジュアルからしてこんな感じだ。

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いかにも欧米ファンタジーのヒーローといった感じの、絵に描いたような筋肉モリモリのマッチョマン。現代ではなかなかお目にかかれないだろう。

ちなみにこのシーンの裏では流暢な日本語のナレーションが流れており、私は「ナレーションの丁寧さが日本産であることを示すいっぽう、絵面の濃さが日本産であるということへの理解を拒む」という、カオスな感情をのっけから味わうことになった。

ちなみにこのハヴェロック、ただのマッチョマンではない。冒頭で語られたところによると、彼は幼少期に魔女・イヌボーグによって拾われ、彼女に剣術や馬術などを仕込まれたのちに生き別れて。奴隷商人に捕まって売られたものの、クソ強かったので奴隷剣闘士となったコロシアムで7年間無敗を貫き、賞金で自分を買って自由を手にしたという経歴の持ち主らしい。

えっ……?

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いやいや強すぎだろ! なんだよコロシアムで7年間無敗って!? 欧米ファンタジーのヒーローでも流石にそんなに盛らないと思うよ!? あと魔女に育てられて、なぜか魔術よりも剣術を仕込まれてるのも謎だよ!!! なんだその山盛りのプロテインみたいな経歴は!!!!?

……えー、というワケでここまでだけでも、本作には「典型的な欧米ファンタジーへの幻想」が多分に含まれているというのがおわかりいただけたことと思う。たぶん狙ってやっているのだろうけど、もう冒頭だけでお腹がいっぱいになりそうだ。しかし、まだ物語は始まってすらいない。

ともかく、そうして自由を手にしたハヴェロックは、あるとき「生き別れた魔女イヌボーグが王都で謀反を起こした」という話を聞きつける。育ての親の乱心の噂ははたして本当なのか? かくして真実を確かめるべく、彼は一路、王都へと向かうことになる……というのが物語の始まりとなっている。

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さて、そうしてついに物語が始まった。王都に向かう道中でなんとなくシカと遭遇し、とくに何もなく通りすぎるというイベントも起きつつ(『スタンド・バイ・ミー』のオマージュだろうか?)、王都の門前にたどり着くと、そこにはゴーレムと戦っている見知らぬ魔法使いの姿が。

ここで初の選択肢だ。加勢するならば4ページに、様子を見るならば13ページに飛ぶとのこと。うーん、とりあえずはどっちが敵ともわからないし、いったん様子をみてみようか……。

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……と様子を見続けていたところ、そのうち魔法使いがゴーレムに潰されそうになったので、今回はギリギリのところで加勢を選択した。戦闘だ!

戦闘はサイコロを使ったバトルとなる。ステータス欄にはHPなどが鉛筆で書き込まれていく演出があるのだが、このアナログな感じが懐かしくもあたらしい、なんとも不思議な感じだ。

その昔、リアルでゲームブックを遊んだときはダメージログを文庫本の紙に直接書いたり消したりを繰り返して、どんどんページが汚れていったっけなぁ……。

さあ、攻撃だ!おらーっ!(コロコロ……)

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ガキィーン!数回の攻防のあと、難なく勝利!
コロシアムで7年無敗の男をナメるなよ!

と、そんな感じでゴーレムも無事撃破し、助けた魔法使いも同行者となりつつ、ついに王都に到着したのであった。しかし、門をくぐってみると……どうにも街の中が静かすぎる。

何かがおかしい……? おや、あれは……

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ゾンビーだ!

突然のバイオハザード。どうにか、最初の一体を叩きのめすも、その後、次から次へと現れる亡者たち。どうやら街はこの生ける屍だらけになっているらしい……数が多すぎる! ここは先ほどの魔法使いと二手に別れ、追手のゾンビーを撒くことに。

ぜったい無事に生き延びろよ!あとで落ち合おう!(フラグ)

……逃げ込めそうな場所を探し、そこへ飛び込むハヴェロック。しかし、新たな選択肢を選んだ先に現れたテキストは……

「14へ」

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あっ……これって……

「14へ行け」とは:
ゲームブック『グレイルクエスト』シリーズにおいて、死亡イベント(14ページ)へ直行することを意味するメッセージである。

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グワーッ!
DEAD END。

はい。
このゲーム、選択肢をミスるとけっこう簡単に死ぬようです。いやー、だがこれがいい。いかにもゲームブックって感じがする。

ちなみに死亡してしまっても、死亡前に時間を巻き戻す選択肢が出るのでリトライは気楽におこなえるので安心だ。気をとりなおして時間を戻し、あらためて別の選択肢を進めてみると……ついに生存者を発見した。

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さらにその後、生存者を探していた剣士風の男とも合流。男いわく、街の北にある市壁で囲まれた区画は安全なのだという。なるほど、なるほど。では、皆でそこに向かおうじゃないか。

……と、思っているとここで特殊イベントが発生。

本から目を上げると、いかにも魔法使いという感じの爺さんが話しかけてきた。ここでわかったのだが、どうやらこのゲームは、ゲームの中でゲームブックをプレイしているという設定のようだ。

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そしてこの爺さんによると「この世界と本の中の世界は微妙につながっており、したがって本の中で急がんといかん場合はこの世界でも急がんといかん」とのこと。

つまりはどういうことかというと、ここでは3分以内にゾンビーの群れから逃げ延びつつ、北区画に向かう描写をこなさなくてはいけないらしい。リアルタイムで残り制限時間が減っていくので、テキスト音読したい勢としてはなかなか難度の高いイベントだ。

屋根を飛び移り、北区角に向かって家を渡り歩いていく。急げ急げ。

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そうしていると、ふと、通りがかりの家の中で本が目に入った。

残り時間が迫っているが……うーん、読むべきか、読まざるべきか。
いや、選択肢があるならば読まねばならない。それがゲーマーの流儀というものだ!

というワケで本を手にとってみる。えーと、なになに……?

いや長いよ。どんだけテキストあんの!?(実際のゲーム内では、テキストは画像のものよりももっと長いです)

そうしているうちにアッという間に3分が経過してしまい、やり直しに。なるほど、こういう罠もあるのね……迂闊だった。次からは気をつけよう……。

そうしてその後、2度目のチャレンジで時間制限エリアを素早く抜け…目的地である北区画へ抜けるための側防塔(そくぼうとう)にたどり着いたのだった。が、そこには兵士たちの生ける屍が……!

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さらに兵士の後ろからも、生ける屍たちがどんどん湧き出てくる。これは絶体絶命のピンチ……!

やがて屍たちに囲まれてしまい、さすがに「もうダメか……」と思ったその時……

突如として、無数の矢が亡者たちを刺し貫く!これは……援軍だ!

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助けに入ったのは、騎士隊隊長キリッツが率いる兵たち。というわけで、どうにか生き残った兵士たちとも合流し、安全地帯にたどり着くことができたのだった! よかったよかった。

ちなみにこの騎士隊隊長キリッツのCVはおそらく青山穣さん(最近でいうとアニメ『呪術廻戦』のレジー役などを担当された声優さん)だったと思う。このゲームは演出面がなかなかこだわった作りになっていて、転がるダイスロールや鉛筆の筆記演出もイイのだが、要所要所で聞けるボイスもクオリティが高くて心地良い。

そしてその後、かっこいいオープニングムービーもドーン。

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クラシックかつ、しっかり作り込まれたロゴ。いやーいいですねえ。

といったところで、いったん物語はひと区切り。

あらためて本作は「典型的な欧米ファンタジーへの幻想」と「日本産らしい丁寧さ」の同居する、不思議な体験を味わえるゲームだった。いま振り返るとちょっぴりシュールでもある古い時代の雰囲気と、現代的なリッチさを感じるこのブレンド、気になった方はぜひ現地試遊にて体験してみていただきたい。

また本作は文章が主体の物語であるため、メッセージをどんどん読んでいくよりも、一字一句をゆっくりと味わう、あるいは音読したりしながらプレイするとその体験がより芳醇に感じられるだろう。プレイの際には腰を落ち着けて、ぜひイメージを膨らませつつ遊んでみてほしい。

『ヴェリタステイルズ:暗黒城の魔女』は、京都市勧業館みやこめっせで2026年5月22日から24日の3日間にわたって開催中のBitSummit PUNCHに出展中だ。

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ライター
85年生まれ。『勇者のくせになまいきだ。』シリーズの代表的プレイヤーとして名を馳せたツルハシの化身。 10代の頃、メックシューターゲーム『ファントムクラッシュ』とその続編『S.L.A.I.』の世界にハマり、 ディスプレイ越しに見た2071年に帰るべく日々を生きる。TCGとボードゲームも好物。
Twitter:@Dump29
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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