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大陸横断鉄道で7日間を繰り返すADV『クワイエット急行909号室』が、いい意味で想像と違う(歓喜)。癒やし系に見せかけたゴリゴリの「ループものミステリー」だった

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2026年5月22日から24日まで、京都みやこめっせでインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH」が開催されている。

さまざまなジャンルのゲームが集まる本イベントだが、筆者が特に大好きなジャンルはアドベンチャーゲーム。鋭いアイデアが光るものから、作者の性癖全開のテキストADVまで、その幅広さには毎度驚かされる。そんな作家性剥き出しの個性的な作品が並ぶ中、ひときわ注目を引くアドベンチャーゲームゲームを見つけたので紹介しよう。

『クワイエット急行909号室』レビュー・感想・評価:癒やし系に見せかけたゴリゴリの「ループものミステリー」だった_001

『クワイエット急行909号室』という作品だ。

電車で旅をしながらストーリーを追うタイプのゲームである。柔らかな色使いのキービジュアルも相まって、なんだかチルい雰囲気が溢れている。

「癒しゲーなのかな?」と思って気軽に試遊の席に座ると、そこで私を待っていたのは、なんと謎が謎を呼ぶ「ループモノのファンタジー系ミステリー」だった……。

文/植田亮平
編集/柳本マリエ

【ご注意】
本稿には「ループのきっかけ」について言及しています。まっさらな状態でプレイされたい方はお気をつけください。


クワイエット急行に乗り込み、7日間の旅路が始まる

ゲームの舞台となるのは、7日間かけて大陸を横断する列車、「クワイエット急行」。このクワイエット急行に乗り込み、さまざまな乗客と交流していくのがプレイヤーの目的となる。

今回の試遊ではいきなり7日目からスタートとなっており、車内は何やら不思議な雰囲気に包まれている。

本作のゲームプレイは、一人称で進むウォーキングシミュレーターのようなものとなっている。プレイヤーは電車の中を進み、道中で見つけたアイテムを集めたり、車内にいる乗客たちと会話をすることによってゲームを進めていく。

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中でも特徴的なのは、登場人物たちとの話題も「アイテム扱い」となっていること。

道中で目に入る小物や風景を調べれば調べるほど、インベントリにある話題が少しずつ増えていく。まさに会話デッキ。中には特定の話題が物語を進めるきっかけとなっているNPCもおり、こうしたパズル要素によって彼ら、彼女らのことを知っていくのがゲーム的に重要そうだ。

さらに、車両を移動して進んでいくと少々おかしなNPCに出くわすこともある。

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たとえば上記のこの娘は2等車両で出会った“かなり大きいサイズ”の女の子だが、必要なアイテムや話題が不足していると彼女と話をすることはできない。

さまざまな車両をくまなく散策して、イベントをスルーすることなく進めていくのが重要そうだ。

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また、ゲーム内では各車両が決められた順番で並んでいるのではなく、ある程度プレイヤーの好きなように配置できるのもおもしろい。

1日のゲームプレイは最後尾車両から始まり、各車両の先頭に辿り着くごとにつぎの車両が「何等車か」を選択することができる。そうして選んだ各車両の中に配置されたアイテムや登場人物たちとのイベントを回収していきながら、最後には先頭車両に辿り着き、1日のサイクルが終了……という流れになっている。

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穏やかなBGMに温かみのあるグラフィックがなんとも心地いい。

車窓を眺めてボーっとするもよし、ぐんぐん車両間を移動して探索を進めるもよし、王道のウォーキングシミュレーターっぽいので非常に良い体験ができる。

と、ここまでなら普通に雰囲気の良いゲームなのだが、7日目の最終日、先頭車両に辿り着いたとき、事件は起きる。

なんと、車両が事故を起こしてプレイヤーもろとも死んでしまうのである(!!)

え? ここでゲームオーバー? そんなエンディングありかよ、と思った矢先……。

『クワイエット急行909号室』レビュー・感想・評価:癒やし系に見せかけたゴリゴリの「ループものミステリー」だった_007

時間が巻き戻り、ゲームは再び1日目からスタートする。

そう、冒頭にも書いたとおりこのゲームは7日間を繰り返しながら物語の真相へと辿り着くループモノのアドベンチャーとなっていたのだ。

この事実がわかると、これまで説明したシステムに一気に合点がいく

まず、車両移動の際に何等車に行くかを選べるシステムは、フラグの構築と物語の分岐を兼ね備えたシステムであることがわかる。特定の車両に行って特定のアイテムを集めたり狙った登場人物と会話するためには、ほかのアイテムや登場人物を諦めなければならない。

そうしてイベントの取捨選択を繰り返しながら何度も何度もこの7日間をループすることで、最後にはこの「クワイエット急行」の真相、7日間を繰り返し続ける謎、そして「最終日に必ず訪れる事故」の秘密を、プレイヤー自身が解き明かすように設計されているというわけだ。

ということに気づいたあと、改めてストアページを確認してみる。するとストーリー説明の部分については下記のように書かれていた。

「クワイエット急行」の謎を解き明かしていくうち、あなたは少しずつ「909号室」の真実に近づくでしょう。
誰も存在を知らない「909号室」はどこにあるのか、かつてそこで何があったのか……
すべての謎を、あなたの手で解き明かしてください。

時間も限られている今回の試遊で私はなんの謎も解き明かすことができなかったが、少なくともこのゲームの本当の姿とタイトルの謎は解くことができた。一見ゆるい感じのアドベンチャーゲームに見えて、かなりの推理と謎解きが詰まったミステリー作品のようだ。

本作のリリース日は未定だが、これから露出の機会が増えるにつれて、さらにこの「ミステリー」の側面が強調されることになっていくのではないだろうか。不思議な世界が好きな方、何度もループしながら謎を解きて行くゲームプレイに惹かれた方、そして本作のビジュアルにビビッときた方は、ぜひともウィッシュリストに入れて、さらなる続報に期待してほしい。

『クワイエット急行909号室』はSteamでリリース予定だ。

ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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