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小説を読んでいただけのはずなのに、いつの間にか怪異に巻き込まれる体験型イベント「放課後読書会」が超良かった。実際の廃校舎を会場に、真っ赤な部屋で渡されるのは梨氏の短編小説。怪談即売会「ホラーマーケット」内で7月12日まで開催

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「ホラーマーケット」会場で開催されているイベント「放課後読書会」がめちゃくちゃ良かった。

「よ、良ォォォォ!!!」の感情で脳が弾け飛ぶくらい良かった。

「ホラーマーケット 怪談即売会 第二夜」|レポート・感想_001

今回、私が言いたいことはこれだけです。みなさんこれだけ覚えて帰ってください。

まあこれだけだと「こいつ狂ってるのか?」と思われそうなので、自分が狂っていないことを証明するためにもう少し詳しく書くのですが、こちらは飯田橋のとある廃校跡で行われている怪談系同人誌の即売会「ホラーマーケット 怪談即売会 第二夜」内で行われる「本を読む」イベントです。

「ホラーマーケット 怪談即売会 第二夜」|レポート・感想_002

今回は7月11日(土)、12日(日)に行われる公演に先駆けたプレ公演に特別に参加させてもらったのですが、正直に言って、今回の参加者の中で自分が一番楽しんできた自信があります。

なにせ企画に関わってるのがあの“トキキル”で、そこで実際に読む小説を執筆しているのがあの“梨”。

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画像はホラーマーケット 怪談即売会 第二夜 | 星海社公式 怪談イベントより

舞台となるのは夜の廃校舎、かつて大勢の生徒たちが実際に通ったであろう教室のひとつ。百物語でも始まりそうな雰囲気のなかで行われるのは、梨氏が執筆した一本の短い小説の読書会。

もうこんなもの、どう考えたって何も起きないワケがねえだろうがよ。
そしてもちろん、この組み合わせで期待したものが100%出てきた感じです。

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そんなわけで、今回はいかに私がこのイベントに大興奮してきたかをご説明していこうと思うのですが、正直まだ会期も残ってるしチケットも残ってるらしい(7月10日時点)ので、可能ならここで情報をシャットアウトして「こわい感じなふんいきの読書会か〜」くらいのテンションで参加してきてほしいです。

なので、可能な限り前半は抑えつつご説明していきますので、なにかしらがビビッと脳内に奔った方は、即刻回れ右して公式サイトをチェックしてみてください。本稿はそういうチキンレースだと思ってください。

ちなみに先に書いたとおり、こちらのイベントのメインは「怪談系同人誌の即売会」。同人誌といっても、虚淵玄氏やアサウラ氏(『リコリス・リコイル』原案)、作家の清涼院流水氏など、そうそうたる作家陣が執筆に参加しており、おまけみたいに語っていいレベルじゃなく豪華です。

こちらについてもレポートしていくので、怪談系の作品が好きな方は、ぜひこの機会に飯田橋まで出向いてみてはいかがでしょうか。

取材・執筆/恵那

※本記事には「ホラーマーケット 怪談即売会 第二夜」内のイベント「本と恐怖。『放課後読書会』」に関するネタバレが一部含まれます。ご注意ください。

夜の校舎、単純に楽しい

「ホラーマーケット 怪談即売会 第二夜」は、その名前のとおり今回が2回目の開催となる怪談系同人誌の即売会イベント。初回は昨年10月に行われていたのですが、そのときの開催期間は1日のみ。それが3日開催にパワーアップして帰ってきました。

さて、こんな名前に「怪談」を謳うようなイベントが、真っ昼間から堂々やってたら興ざめですよね。
ということで、初日の金曜日開催は強気の18時開始・20時終了。なんとたったの2時間営業。コンセプトのためとはいえ、商売するはずなのに思い切りが良すぎでは?

※11日・12日の開催は日中の13時からたっぷり長めに開催されてます。

会場は東京・飯田橋にある、実際の校舎跡地。撮影したのは20時ごろだったのですが、場所だけですでになかなか良い雰囲気が出ております。

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当たり前ですが、建物の中もちゃんと学校として使われていたころの内装が残っており、正直夜の学校探検というだけでちょっとワクワクします。

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廊下の蛍光灯が照り返るリノリウムの床や、扉越しにも思い出せる化学実験室の気配──。

どこもかしこも架空の懐かしさが立ち上ってくるのですが、個人的にはトイレの上に「便所」って書いてあることに一番「昭和」を感じてテンションが上がってしまい、「便所だ!便所って書いてますよ!」と大興奮で写真を撮っていたのですが、書きながら冷静に考えてみると危ない人みたいだな……。

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今回は会場の2階では新刊を、地下で過去冊子のバックナンバーを販売。

昨年の第1回の際には『レイジングループ』で知られるamphibian氏などが冊子を出していたことも話題になったのですが、さきほど軽く紹介したとおり、今回の執筆陣もそうそうたるメンバー。ここで出る冊子は通常の出版流通に乗らないため、本当にここでしか買えないものばかりです。

しかもなんか異様に豪華で、どの冊子も強烈に「学校」を感じる……!
どうみても大学ノートだったり、調べ物学習とかの時間に作った覚えしかないファイルだったり、同人誌なので当然といえばそうなのですが、「自分で好きにしていいよ♡」となった瞬間にリミッターを外して紙とか装丁とかに凝りまくる同人作家精神がすごい。

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個人的には清涼院流水氏と虚淵玄氏の冊子が目当てだったのですが、『おしえて!ギャル子ちゃん』の作者・鈴木健也氏が出していた『ある現場から見つかったひとりの女性の生涯が収められた写真アルバムについて』の装丁があまりにも良すぎて衝動買いしていました。

見覚えがありすぎる(平成育ちの感想)外側の写真注文用の袋もイケイケで最高なのですが、中身もこれなんですよ! これ思いついて作ってる最中、ものすごく気持ちよかっただろうな〜。みたいなことがビンビンに感じられます。これだから薄い本を買うのはやめられねえんだよな。

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ちなみに新刊販売の教室には長蛇の列ができていたのですが、結構な人たちが給食の配膳でも受け取るみたいな軽さで次から次へと冊子を重ねていっていたので、「あれ、もしかしてこの冊子って無料頒布品だったか……?」みたいな危ない錯覚が走りました。そんなわけないだろ。

あとになって売り場の方に聞いたところ、全冊子複数冊まとめて買っていくような猛者の方(おそらくお使い分)もいらっしゃったようです。これが限定販売のパワーだぜ。

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また、前回開催時に人気だったらしい「ノベみくじ」もしっかり新版が登場。こちらはおみくじにショートショートな怪談話がランダムで入っているというもので、ほんとにおみくじ引くような感覚で選べるのでこれも楽しい。これだけでも文学フリマとかで辻売りしてくれませんか。

こちら、1000円で4つまで引くことができるのですが、ただ完全ランダムなので当然「被り」が発生する可能性もあります。なので売り場を出たらその場で開けて「◯◯さん被りました!交換希望です!」をやってもいいと思います。というか実際にやってる方がいたらしいです。どうせまわりみんなオタクだから大丈夫だよ(ド偏見)。

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ちなみに「ノベみくじ」には大恐以外の運勢はありません。

こんな読書会はイヤだ!──なぜか最初に同意書を書かされる。

そしていよいよ本題の「放課後読書会」。
あらためて説明しておくと、こちらは企画がTales & Co.&トキキル&星海社で、小説の執筆は梨氏。

公式サイトのイベント解説によれば、この「読書会」では未完の小説が渡され、その顛末にふさわしい最終章をプレイヤー自身が選ぶ体験型読書会になっている、とのこと。

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画像はホラーマーケット 怪談即売会 第二夜 | 星海社公式 怪談イベントより

ご存じない方向けに説明しておくと、トキキルといえば「謎を解かないと買えない」という尖りすぎたコンセプトのアパレルブランド。デスゲームをモチーフにしたイベントなども開催していたりして、そこに梨氏を混ぜたということは、要するに絶対に何かしかけてくるつもりだってことです。

まあただの読書会なワケないわな、と思いながら受付に向かうと、いきなり同意書を書かされます。

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先生!コレ知ってます!なんか絶対に良くない使い方されるやつですよね!

読んでみるとごく普通のことしか書いてないけど、そんなワケない。とりあえず縦読みは試してみたけど、関係なさそう。なんかもうこの時点でだいぶ意味不明すぎて、ニヤけだすのを我慢できなくなってきたのですが、そのほかにもよく見ると「イヤこれなんで??」みたいなことがいろいろありました。

なんか案内してくれたスタッフさんはみんなこれから葬式でも行くんか?ってくらいブラックな衣装だし。しょっぱなの同意書のせいで、もう目に入るもの全部が怪しく感じる。

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で、なぜか10円玉を渡されます。おみやげかな?

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受付を済ませて、会場となる3年2組の教室へ入ろうとすると、今度は入る前にいきなり「手を消毒してください」とか言われます。

先生コレ知ってます!なんか絶対良く(略)

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会場はあか〜いランプがムーディな雰囲気を漂わせる広めの部屋。「机が並んでないと、教室って意外と広いな〜」とアホなことを考えていると、部屋の中央に「こっくりさん」みたいな紙が置いてあります。

念のため申し添えておくと、ここまでの写真はカメラのレンズに赤のフィルムを貼り付けたりしているわけではなく、マジでこういう色です。この部屋ほんとにすごい赤いんですよ。

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そもそもが廃校舎を会場にしているという前提+もう日も暮れていい時間になってる+色調補正間違えましたみたいなライトアップで、なんというか「うすきみわる〜い」くらいの雰囲気です。ガチで「怖ッ!」とはならないんだけど、「あったか〜い」でも「つめた〜い」でもなくて「ぬる〜い」くらいの温度感と言えばいいでしょうか。

車座に並んだ椅子には番号が振られており、自身の番号の場所へ向かうと、今回の読書会の課題本である小さな冊子「燐火 第13号」が置かれています。「梨」ってちゃんと書いてあってかわいいね。

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で、ここから何が始まるのかなと思っていたら、普通に読書会が始まります。

なんか会場のスピーカーから救急車のサイレンとか鉛筆で何かをガリガリしてる音とか、心臓の鼓動みたいな音とか、神経を素手で撫でさすってくる感じの音がするのがちょっと不快なくらい。

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あとは参加者の誰かが、もらった10円玉を床に落としたらしい「チャリーン」という音が急に響いたりしたのがちょっとドキッとしたくらいで、拍子抜けするくらい普通に読書会です。

まあ、もちろん単なる読書会のまま終わるはずもないのですが……。

【ネタバレ含】“読書会”、ついに始まる

今回のイベント、しっかり「体験型読書会」と銘打たれているとおり、参加者自身がそこで起こる出来事を体験していくというもの。

具体的なアレやコレやの話をするのはさすがに興ざめかと思うので、ふんわりお話ししていくと、リアル脱出ゲームとお化け屋敷を足して2で割ったようなイメージでしょうか。個人的な所感ですが、演出がたいそう良かったです。

ガチお化け屋敷では全然ないので、すげー怖い!というわけではないのですが、「うすきみわる〜い」くらいの温度感が、波のようにテンポよく押し寄せてくる。

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この辺の説明から一部ネタバレが入ってしまうのですが、もう少しだけ語ると「巻き込まれ感」の演出がすごく丁寧なんですよ。ちゃんと読書会としてスタートしつつ、なんか様子がおかしいな〜→いやこれ様子がおかしいな!→いつの間にかなんか始まってるぞ!という段階を踏みつつ攻めてくる。

最初に読むことになる「燐火」にもじつはちょっとした仕掛けがあり、ちゃんと注意深く読んでいれば誰でも気づくくらいのものなのですが、そこを実際に自分で踏みながら次のフェーズに入った瞬間に、「は、始まった〜〜!!」とアホなくらい脳汁が出る。背筋がぞわっとする感じとゲームっぽい体験としての面白さのバランスが、ちょうど良いんですなあ。

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実際に遊んでいて面白かったのが、最初は「読書会」としてスタートしたこともあって、参加者全員がずっと椅子に座っていたのですが、途中から全員が立ち上がってあちこち調べたり参加者同士で話し合いをしたり、「なんとかせんばいかん!」と物語にライドさせられちゃってたんですよね。

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イベントの解説でも書かれていたように、最終的には参加者全員がそれぞれ「とある選択」をしなければいけなくなるのですが、これもたいへん良い。

というのも、この選択によって自身の手元にある「燐火」の物語の続きが変わり、それによって異なる「続きの物語」を追加できるようになるんです。

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その仕掛けだけでも単純に面白いのですが、そうすると自分が選ばなかった選択肢がもっと気になる。私はイベントが終わった瞬間に「こっち選ばなかった人、ちょっとあとでその話も見せてください!」をやってました。

私が参加したプレ公演回では「がっつり楽しむぜ」と気合の入っていた方が多かった、ということもあったのかと思いますが、イベント終了後に「感想戦」みたいなものをすることもできて、良質なCoCのシナリオを一本終わらせたときのような気持ちよさがありました。
楽しかった〜〜〜。

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そんなこんなで、今回の「ホラーマーケット 怪談即売会 第二夜」および「放課後読書会」、筆者はたいへん楽しませていただきました。ちなみにイベント自体は7月11日(土)、および12日(日)も開催されており、まだ全然間に合っちゃうので東京近郊の方はぜひご検討ください。

実はこの「ホラーマーケット」では「放課後読書会」以外のトークイベントも予定されておりまして、個人的には「出版業界のちょっと怖い話。」がめちゃめちゃ気になっています。太田克史氏&萩原猛氏という出版に携わるガチの編集者の方が登壇されるらしいのですが、この「怖い話」って怪談のことなんですよね???

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画像はホラーマーケット 怪談即売会 第二夜 | 星海社公式 怪談イベントより

ちなみにイベント会場でもらえる(無料頒布)袋には、なんとお清めの塩がついてくる親切仕様になっています。やべーもんに触れてしまったかも……という方も安心して帰れそうです。

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なお筆者はこの手のイベントの運営の悪意(サービス精神?)を疑いすぎて、この「清め塩」の上についてる文字みたいなのって、なんかやべー言葉とかじゃないだろうな!?!?と思ってChatGPTまで使って調べましたが、普通にくずし字の「御」でした。ちゃんと善意だった。

念のため袋を破って舐めてみたらしっかりしょっぱかったので、中身も塩みたいです。でも袋の裏を見たら「非食品」って書いてあったから、良い子のみんなはマネしないほうが良いかもしれません。

編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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