『アノマリス』の試遊を終えた率直な感想は、「これ、闇の『ロックマンDASH』だ……」だった。
プレイヤーが操作するのは、超常空間「異界」を調査する政府機関の職員──とはいえ、その実態はいつ死んでもいい使い捨ての鉄砲玉。支援はろくになく、頼れるのは銃と暴力だけ。
生き物の気配のない不気味な空間を、自分の足音にビビりながらひとりで進んでいく。カッコいい特殊部隊のつもりで志願したのに、いつのまにか限界リミナル労働をさせられている。なんてことだ。
だが不思議なもので、この理不尽さがどうにも癖になる。過酷な労働環境も、心もとない装備も、いざ異界に踏み込んでしまえば緊張感という名のスパイスに変わり、やってやるよ!という気分になってくる。
というわけで本稿では、そんな「現実じゃなくて本当によかった」なゲーム『アノマリス』のプレイレポートをお届けしたい。
本作の主人公・水無月玲緒奈は、政府系組織「危険区画対策室」の一員として、各地に発生した異常空間「異界」に潜っていくことになる。
言ってしまえば異常空間へ突入する政府機関の兵士なのだが、その扱いは「精鋭特殊部隊」というよりもはっきり“消耗品”。
物語の最初に入った異界では、敵対的な“”アノマリーに遭遇して逃げようとする同僚職員たちに「行きなさい。それしかあなたたちの生き残る道はありません」と一喝。マジの消耗品扱いで、まったく人命が尊重されない。
というか、探索を始めると、内部のアノマリーを活性化させて調査しやすくするために入口は閉鎖。
少し進むと瞬間移動が可能な便利装置「ポータル」が出てくるのだが、「正直なんで動くのかよくわからない」「危ないので使わないほうがいいと思う」みたいなことを言われて正直不安しかない。じゃあどうやって帰ればいいんだというと、「自力で出口を探せ」。無茶苦茶すぎる。
ほかにも無線の向こうでは仲間のダイバーが悲鳴をあげたり、助けを求めたりしているのだが、それに対して返ってくるのは「成果を出せ」という旨のありがたいお言葉だったりする。
そんな労働環境なので、当然ながら探索の途中で武器の弾がなくなったとしても補充なんてあるはずもなく、実は弾がめっちゃ貴重だ。
本作では異界を探索しながら、内部に出現する異形の敵と銃で戦っていくことになるのだが、難易度ノーマルの時点でも敵は妙に固く、何も考えず胴体へバカスカ撃ち込んでいると、本当にあっという間に弾がなくなる。
なので、弾がなくなれば目を皿のようにして異界を探し回るしかないので、ちゃんと敵の弱点を撃つことが大事に。たとえば人型の敵であれば、適当に胴体へ撃つよりもきちんと頭を狙ったほうが効率よくダメージを与えられる。当然、使う弾の数も減る。
ただ逆に言えば、弾の使い方をちゃんと意識していれば十分戦えるので、シビアなアクションが必要になるというより、「雑に戦うと後から自分が困る」タイプのゲームという印象だ。
そしてレオナ自身にも、かなり強力な切り札がある。彼女はアノマリーの力を利用して自らを異形化させることができ、銃撃とは異なる強力な攻撃を繰り出したり、敵の攻撃をパリィしたりすることが可能だ。
特にボス戦では、この異形化能力がかなり重要で、いきなり「じゃあこっちも化け物になるわ」と肉弾戦を始めるのはなかなか豪快だ。
そして個人的に本作を遊んでいて、一番感じたのが、異界を探索している時間が、なんだか妙に『ロックマンDASH』っぽいことだ。
もちろんゲームシステムが似ているという話ではないのだが、プレイしているときの味がかなりそれを思い出すのだ。
音のない巨大な閉鎖空間へひとりで潜っていって、自分の足音や銃声だけがやけに大きく響く感じ。
地上から無線は飛んでくるものの、別に彼らが助けに来てくれるわけではない。それでも完全な孤独よりはマシなので、どうでもいい通信が入るだけでちょっと安心する感じ。
本作の「異界」はいわゆる「リミナルスペース」的な空間になっており、マンションや病院のような見慣れた人工物が、物理法則ごと微妙にねじ曲がっていたり、建物の構造がおかしかったり、説明のつかない物体がぽつんと置いてあったりする。
激烈に怖いホラーゲームというわけではなく、突然でかい音を鳴らしてビックリさせてくるような恐怖より、「なんかここ、嫌だな……」という薄い不安がずっと続くようなところがある。
探索する場所は人間が作ったように見える人工的な空間であり、家具もあれば人間らしい生活感も見えるのだが、人間だけがおらず、逆にそのことが「ここは人間がいるべき場所ではない」という感覚にさせられるのだ。
完全な異世界なら「そういう場所なんだ」と受け入れられるのに、日常によく似ているからこそ異常な部分がやけに目につく。そこには「巨大な怪物が怖い」とは少し違った、人間にはどうしようもないものを目の前にしているような心細さがある。
この「日常と異常のあわい」にひとり取り残される感覚が、本作の探索をかなり魅力的なものにしているように思う。
……と、ここまで書くと、
「政府機関のクズどもに使い捨てにされながら、ひとり異界へ送り込まれる悲惨な少女のゲーム」みたいになってしまったが、実は話を進めていくと仲間たちの人間性もちゃんと見えてくる。
鬼上司には鬼上司である事情もあるらしいし、マッドな博士は確かにマッドだけど、基本的な性質としては善人である。
なお、本作『アノマリス』は、現在TGSで試遊ブースを出展中。豪華なノベルティなども配布されているので、興味があればぜひブースまで行ってプレイしてみて欲しい。
またブースでは本作とあわせて『クライムライト』の試遊も展開中。
こちらもプレイすることでノベルティがもらえるとのことなので、興味がある方はこちらもあわせてご確認いただきたい。












