いま読まれている記事

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」。古龍は「まだまだ出ると思います」とのこと。たのしみすぎる【TGS2026】

article-thumbnail-260919m

『ワイルズ』の「正統進化」を掲げる『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』は、新要素「ブーストブレイサー」で14武器種すべてに新アクションをくわえ、「社会性のある群れ」を成す新モンスター「アラケータ」や新拠点「マドイ」を携えて登場する大型拡張版だ。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_001

今回は本作にくわえ、会場で試遊に供されたNintendo Switch 2版『モンスターハンターワイルズ』についても話を聞いた。「いったん動かしてみよう!……全然動かないね」から始まった移植は、いかにして完成に漕ぎつけたのか。そして、ラオシャンロンを皮切りに現れ始めた「古龍」たちの先には、まだ何が控えているのか。

プロデューサー・辻本良三氏、ディレクター・平岡拓朗氏、エグゼクティブディレクター兼アートディレクター・藤岡要氏、Nintendo Switch 2版プロデューサー・砂野元気氏の4名に、それぞれの開発の裏側を語っていただいた。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_002

取材/としあど
文/anymo


「ブーストブレイサー」が生まれた発想の原点

──まず「ブーストブレイサー」について伺います。拡張版でありながら、これまでにないほど大胆な追加要素だと感じました。以前は既存アクションへのプラスアルファが中心で、技そのものが大きく増えることはあまりなかったと思います。今回のように「別作品の新要素」と言えるほどの強化に踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか。

平岡氏:
「要素の大きさ」というのは、僕自身はあまり意識していませんでした。ほかのメンバーは違うかもしれませんが、すくなくとも僕はそこまで意識してはいなくて。

「ブーストブレイサー」を入れようと思ったきっかけは、モンハンのアクションそのものにあります。皆さんもうたくさん遊ばれているので分かると思うのですが、「モンスターの隙に対してハンター側が攻撃を通していく」というのが、モンハンのアクションの基本です。

その攻撃のチャンスにはどういうものがあるかというと、いま言った隙もありますし、罠を作ったり、閃光玉を使ったり、『ワールド』以降なら環境を使ったりしてチャンスを作ることもあります。あるいはモンスターの状態、たとえば怒り状態なら隙が少なくなるけれど、疲れているときなら隙が生まれて殴れる。これが、モンハンのベースだと思っています。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_003

今回の『アセンダンス』も、基本は『ワイルズ』をベースに作っていこうと考えていました。

ただ、この攻撃のチャンスの瞬間を、ほかの手段、つまりプレイヤーが自分から何かをすることで作れないか。それができれば、モンハンのアクションにもうひとつアクセントを加えられるんじゃないか。そこが発端としてありました。

それを突き詰めていった結果が「ブーストブレイサー」です。ブーストゲージが溜まった瞬間に、今ならこの攻撃ができるかもしれない、今なら自分でチャンスを作れるかもしれないと思える、そのきっかけです。

だから「大きい要素を入れてやろう」という発想ではなくて、そういうことを試してみた結果が、今回の「ブーストブレイサー」になった、という感じです。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_004

──『ワイルズ』の最終盤の環境だと、足回りがいいときと悪いときとで、立ち回りの難度にかなり差が出ていた印象があります。そうした部分を「ブーストブレイサー」で改善しようという狙いもあったのでしょうか。

平岡氏:
どちらかというと、「ブーストブレイサー」自体は、14武器種それぞれの特徴や、強い瞬間をしっかり強くするというのが最初のコンセプトでした。だから、足が遅い武器を速くして弱点を埋める、という発想ではなかったんです。

ですが、ブーストブレイサーの中でも「ブースト発動アクション」……使った瞬間にしか出せない特別なアクションについては、そこのリミットは少し外してもいいかもしれない、という話はしていました。

たとえば、普段なら足が遅くて重い武器が、「ブースト発動アクション」で一気に距離を詰められる。普段それをやってしまうと、その武器の体験、コンセプトに反してしまうと思うんです。でも「ブースト発動アクション」というこの一瞬だけなら、リミットを外してもいいのかなと考えました。

──その流れで、「ブーストブレイサー」以外の新アクションについても伺います。新しい技を「追加しよう」となったきっかけは、どこにあったのでしょうか。

平岡氏:
武器は14武器種もありますから、もちろん全部を僕が決めているわけではありません。ハンターの武器を担当するメンバーがたくさんいて、その担当者としっかり相談していくんです。

『ワイルズ』で出した各武器種について、「もう少し伸ばせるところはあるか」「もう少し改善できるところはあるか」「さらに何か追加したら面白そうな要素はあるか」。この3つを、ひとつずつ考えていきました。

たとえば、片手剣には「刃薬斬り」という新しいアクションを追加させてもらったんです。刃薬が最初に出たのは『クロス』あたりでしょうか。あのころにもインスピレーションを得ています。

これがあれば、片手剣らしい動き、手数の多さや、器用にいろいろなことができる感じがもっと出せるんじゃないかと考えて制作していました。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_005

──特にこの武器のこの新要素に注目してほしいものはありますか。

平岡氏:
難しいですね……。すごく言われるのはハンマーでしょうか。ハンマーの「飛び込みスマッシュ」は、やっぱりハンマー使いの人がすごく求めていたものを作れたのかな、というところがあります。すごく映えますし、使っていて気持ちいい、使い勝手もいいので、すごく気に入っています。

触ったときに、ハンマー使いでない僕でも思わず使いたくなるものになっているんじゃないかと思います。

──今回の追加で、これまで相殺がなかった武器にも相殺がたくさん加わりました。「相殺」が開発のひとつのテーマだったのかなと思うのですが、そこに定めた経緯があれば教えてください。

平岡氏:
先ほどお話しした「ブーストブレイサー」の発端に少し話を戻しますね。

『ワイルズ』のアクションをベースに制作を進めていく中で、ブーストゲージが溜まった瞬間にプレイヤーの思考が少し変化して、「ゲージが溜まっているから、今ならこの選択肢が取れるかもしれない」と考えていただきたかったんです。まずは選択肢の広がりを作ることが目的でした。

それとあわせて、ブーストを使ったときには、先ほど触れたようにリミットを外すというか、ハンター側が有利と言ってしまうと少し言葉が強いかもしれませんが、無理やり攻撃を通せるタイミングを作りたかったというのもあります。せっかくゲージを使っているので、そういうタイミングも必要かな、という考えもありました。

そうした狙いを踏まえて、「じゃあ、ここに相殺があったほうがいいんじゃない」と一つひとつ積み上げていったんです。そうして出来上がったものを最終的に全部並べてみたら、「あれ、結果として全武器に相殺が入っていたね」ということになりました。

つまり、「相殺を入れよう、だからブーストアクションにしよう」という順番ではなく、ブーストアクションとして今回作りたかった技を追求していった結果、並べてみたら相殺が入っていた……という経緯なんです。そうした「結果としての追加」として受け取っていただければと思います。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_006

──特に新モンスターのアラケータは、相殺を狙いたくなるようなモーションでした。『ワイルズ』のモンスターでもそうでしたが、それがかなり前面に押し出されている印象があって。相殺の追加が結果的なものだったというのは驚きなのですが、モンスターのほうも「結果的に」というところはあるのでしょうか。

平岡氏:
アラケータに関しては……いや、どこまで言っていいんですかね。戦っていただければ分かると思うのですが、難度的にはすごく高いモンスターではありません。

キャラクター性の部分、翼に空気を入れて、圧縮して、吐き出すという機構と、序列で言うところの位置づけを考えると、予兆がちゃんと分かりやすい攻撃をするモンスターとして設計しています。

どういう攻撃が来るのかが分かりやすいというのは、結果的に相殺が取りやすいモンスターになりがちなので、そのように受け取られたのかな、と思います。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_007

掲げたのは「ワイルズの正統進化」

──試遊版のオプションやUIを拝見して、『ワイルズ』で「こうだったらな」と思っていた機能や設定がかなり網羅されている印象を受けました。やはり『ワイルズ』におけるユーザーからのフィードバックをかなり重視して調整を進められたのでしょうか。

平岡氏:
そうですね。まず『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のプロジェクトをスタートするにあたって、僕が最初に掲げたコンセプトであり目標が、「『ワイルズ』をちゃんと正統進化させよう」というものでした。

ただ、「正統進化」という言葉は抽象的で幅が広いので、もうすこし噛み砕いて「具体的に何をするか」と考えたんです。

その結果、『ワイルズ』の中で僕たち自身がいいと思っている部分や、ユーザーの皆さんが喜んで楽しんでくださっている部分はしっかり伸ばしていこう、と考えました。

逆に、僕たち自身が「ここはもうすこしこうすべきだ」と感じる部分や、ユーザーの皆さんから多く寄せられたフィードバックを見て「もっと改善できるのではないか」と思える部分については、徹底的に改善していこうと考えました

そうした取り組みを積み重ねることこそが「正統進化」につながるのではないか、という方針をまず最初に掲げたんです。

その取り組みの中に、UIやオプション設定に関する部分も入っています。もちろん『ワイルズ』のときのフィードバックやユーザーの皆さんの声をしっかり拝見した上で、「こういう機能があったらいいのではないか」と考えていきました。

いただいたご意見のすべてにお応えできるわけではありませんが、「そうした声があるということは、こういうことを求めていらっしゃるのかな」と汲み取り、実現可能であればやってみようと思っています。

そういった改善については、かなり全力でどんどん進めています。ユーザーの皆さんの熱量が非常に高いタイトルですので、その熱にしっかり応えていく。それをチームメンバーと協力しながら取り組んでいくということが、ひとつの軸かなと考えています。

僕は『ワイルズ』本編のチームではなく『アセンダンス』の開発に加わっていたのですが、『ワイルズ』のタイトルアップデートの中でも改修はどんどん取り入れていました。

ただ、システムの根本にかかわるような変更は、腰を据えて時間をかけながら改修を行う必要があります。そうした部分は『アセンダンス』側で引き取って対応する形で進めていきました。

今回大きく変わっていると感じられる部分については、一部ではありますが『アセンダンス』ベースの改修を取り入れられたという側面もあるのかなと思います。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_008

──最近、開発インタビューなどでも「必ずユーザーの遊びの幅を広げることを意識している」というお話をよく耳にします。作品全体としても、それが一貫した方針になっているのでしょうか。単に難易度を上げるのではなく、攻撃の選択肢を増やしたり、ライト層からコア層まで幅広く楽しめるようにしたりと、作り手側がこだわりすぎない方向性を意識されているのでしょうか。

辻本氏:
「こだわりすぎない」というと、我々が思っているものとはすこし違うかもしれません。自分たちが持っているこだわりや、プレイヤーのみなさんに体験してほしい遊び、感じてほしい要素というのは、やはり作り手としてブレずに持っているべきですし、実際に強く持っています。

そのうえで、開発側が意図した体験にアクセスする過程で「操作のせいで伝わりにくい」「せっかく用意した要素に気づかれにくい」「遊んでほしい要素の機能が活かしきれていない」といった部分があれば、そこにしっかり手をくわえていきます。

自分たちが考えているこだわりや体験に、プレイヤーがよりアクセスしやすくする。そこに関しては周囲の意見も柔軟に聞きながら進めていますし、気になる点があれば僕自身も手を入れて、遊んでほしい方向性や感じてほしい体験に合わせていくことも意識しています。

ただ、それは決して自分たちのこだわりを捨てるという意味ではありません。あくまで自分たちの中に「遊んでほしいこと」「やりたいこと」「譲れないこだわり」を軸としてしっかり持った上での取り組みです。

新モンスター「アラケータ」。「社会性のある群れ」というデザイン

──モンスターのお話に戻ります。今回アラケータを試遊させていただきましたが、触る前はPVで見て「名前も分からない謎のモンスターがいるけれど、クルペッコのような存在なのかな」と思っていました。ですが実際はまったく異なり、群れで連携して行動する点が非常に面白かったです。アラケータのコンセプトやアクション、生態的な側面について詳しく伺えますか。

平岡氏:
生態的な部分で言いますと、高所にある新たなフィールドで集団で生活・行動しているモンスターという立ち位置になります。本日すでに試遊していただいているのでお分かりかと思いますが、ボス個体と子分のような存在で構成されています。

『ワイルズ』で例えるならドシャグマのように群れをなすモンスターではあるのですが、ドシャグマはどちらかというと「俺が俺が」と前に出てくるようなキャラクター性を持っています。

それに対してアラケータは、非常に統率が取れた「社会性のある群れ」という設定にしたらおもしろいのではないかと考えました。ボスが命令を出す、つまりボスが鳴き声を上げると、それを聞いた子分が寄り集まって連携行動をとる。そうした社会性のある群れを形成するモンスターとして制作したい、という思いが発端にありました。

デザインやモチーフの具体的な意図については、藤岡さんのほうが詳しいと思います。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_009

藤岡氏:
突進するモンスターですので、「どこを使って突進させるか」という点からデザイナーと考えを進めていきました。翼がジェット機のように噴射する仕組みにすれば、視覚的にも分かりやすくおもしろいのではないかと思ったんです。

ただ、単に噴射して突っ込んでいくというだけでなく、「どのような形で突進していくのが効果的か」については、デザインチームのほうでかなり試行錯誤を重ねてもらいました。

頭部や側面にあるナックル部分をぎゅっと固めることで、硬質になって突っ込んでくる、といった演出ですね。行動自体は非常にシンプルなのですが、ボスが子分に指示を出すことで揺らぎが生まれたり、大きな攻撃が降り注いできたりします。

1匹単位の挙動としては「突進」というシンプルな構造でありながら、群れとして複合することでゲーム性が生まれる。そうしたデザインを目指しました。早いうちからそうしたモンスターを出したかったので、デザイナーがアイデアを絞り出してくれて今の形にまとまりました。

──翼から噴射するモンスターというと過去作のバルファルクなども思い出されますが、それとは受ける印象がまったく異なりますね。

藤岡氏:
そうですね。あくまで風船のように空気を溜めて噴射するメカニズムに設定していて、一瞬突進するそのタイミングで噴射の力を利用する、というデザインにしています。キャラクターの記号としても視覚的に伝わりやすいと考えました。

突進に移る直前に翼がしっかりと開き、それが一気に圧縮されることで突撃してくる。そうした挙動の表現としても非常に分かりやすいですし、その方向性で進めてみようということで、今回のデザインを採用しています。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_010

「ガーディアン装備」は安易に足さない理由

──『ワイルズ』の段階では、ゲーム全体のボリュームに関してもさまざまな声があったかと思います。『アセンダンス』としての追加要素にあたり、本編や『ワールド』の拡張版『アイスボーン』と比較してどの程度のボリューム感になるのか、お話しできる範囲で教えていただけますか。

平岡氏:
具体的にはなかなかお伝えしにくい状況ではあるのですが。「過去のどのタイトルと同じくらい」という表現は、受け手によって解釈が異なってしまいますから言えないのですが……。

ただ、リリースした段階で十分なやりごたえを感じていただけるようなエンドコンテンツをしっかりと用意したいと考えています。エンドコンテンツに関しては、例えば装備を強化し、その成果をもってさらなる高難度に挑戦していくような体験を作りたいという方針で開発を進めています。

──『アセンダンス』のタイミングから新規で遊び始めるユーザーも多く想定されますが、『ワイルズ』から進めるとなると遊ぶべき全体のボリュームが膨大になります。そのあたりのプレイバランスの取り方について教えてください。過去の『アイスボーン』の際には救済用として「防衛隊派生武器」のような装備が導入されましたが、そうした施策は検討されているのでしょうか。

平岡氏:
今回、『ワイルズ』に関するさまざまなデータを確認しているのですが、本編のストーリークリア率が過去作と比較しても非常に高い水準となっています。

そうした状況を踏まえ、現時点ではガーディアン装備の導入は考えていません。ただ、『アセンダンス』の発売に合わせて新しく遊んでくださるユーザーの方々もいらっしゃるかと思いますので、そうした方々への救済策と言いますか、その先に向けての何らかの施策については検討していきたいと考えています。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_011

藤岡氏:
ガーディアン装備は、『ワールド』や『アイスボーン』の時に救済措置として導入した経緯があります。

良かった点もあるいっぽうで、本来は『ワールド』をプレイしながら徐々にアクションの上達を感じていただけるようなレベルデザインを行っているにもかかわらず、強力な装備で一気に駆け抜けてしまうと、プレイヤースキルが追いつかないまま『アイスボーン』の段階へ突入することになってしまう側面がありました。その結果、難易度のギャップが大きくなりすぎてしまうケースがあったんです。

安易にそうした救済装備を追加するだけでは本質的な解決にはならない、という懸念もあったため、一度冷静に検討しようということになりました。

ただ、今回に関して言えば、『アセンダンス』をご購入いただければ新要素の「ブーストブレイサー」が最初から解放され、『ワイルズ』のストーリー序盤から使用できる仕様になっています。その段階から活用していただけるため、単純に立ち回りのアクション面にはかなりのブーストがかかっている状態と言えます。

さらに、先ほど触れた高いストーリークリア率のデータも考慮すると、ひとつずつアクションに慣れ親しみながらストーリーを攻略していくこと自体、極端にハードルが高いわけではないと考えています。まずはその設計思想を信じて取り組んでいる、というのが現状です。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_012

ただの「劣化した『ワイルズ』」にはしない

──『ワイルズ』が発表されるまでに、さまざまなタイトルがNintendo Switch 2向けに発表され始め、「『ワイルズ』も展開されるのではないか」と話題になっていました。Switch 2版の対応を最終的に決定されたのは、どのあたりのタイミングだったのでしょうか。

辻本氏:
そうですね、開発現場としてはかなり追い込みながら進めていた部分もあります。「この対応をひとつやれば解決する」というような単純なレベルの話ではないため、懸念点を本当にひとつずつ潰しながら最適化を重ねていった、というのが実情です。

砂野氏:
本格的に手を動かし始めたのは、2025年の6月頃でしたね。

藤岡氏:
そうですね。それ以前にも「対応できないか」という検討自体は何度かあったのですが、専任のメンバーを割くのが難しかった点にくわえ、単純に移植するだけではなかなか難しいものでした。

そのため一時は断念していたのですが、『ワイルズ』本編の開発がある程度落ち着き、動けるメンバーが出てきたタイミングで主要メンバーを集め、「一度本気で移植・最適化に取り組んでみたらどうだろうか」と動き出したのがきっかけです。

辻本氏:
開発が本格化したのは、おそらく1年ほど前、去年の年末前あたりでしょうか。

砂野氏:
そうですね、本腰を入れて取り組み始めたのはそれくらいの時期になります。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_013

──かなり急ピッチなスケジュールで進められた印象を受けます。

藤岡氏:
ある程度動作する可能性が見えた段階で「一気に行こう」という方針でしたので、最初はとにかく入念な検証からスタートしました。

砂野氏:
そうですね。

藤岡氏:
実際に製品として成り立つレベルまで最適化できるかどうかを、まずはしっかりと見極める必要がありましたので。

砂野氏:
「いったんNintendo Switch 2で動かしてみよう!……全然動かないね」という状態からのスタートでしたので、まずはどのようなアプローチが可能か情報を収集し、検証を試みる、という作業を根気強く繰り返していきました。

また、その過程で行うパフォーマンス向上策やリソースの削減処理といった検証自体が、巡り巡って既存プラットフォームにおけるさらなる改善にも活きるのではないか、という見通しも持ちながら開発を進めていました。

辻本氏:
すべての施策が他のプラットフォームに転用できるわけではありませんが、やはりNintendo Switch 2特有の最適化作業も数多く行っています。そうしたハード固有の経験を重ねることで、「この部分を調整すればこう動作する」といったノウハウは、チーム内でかなりできてきたのではないかと思います。

藤岡氏:
そうですね。ゲームエンジン側の軽量化に繋がる処理もありましたので、そうした成果は全体で共有することができました。Nintendo Switch 2向けに移植・軽量化を図ったことで、結果としてゲーム本体側の処理負荷を軽減させる恩恵がありました。

辻本氏:
本当に、スタッフが地道に粘り強くやってくれた結果、みたいな感じですね。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_014

──何か一つの大きなきっかけがあったというよりは、非常に細かな調整を直前まで地道に詰め続けてこられた、という形なのでしょうか。

藤岡氏:
そうですね。一度すべての基準を割り切って、製品としての品質レベルを一旦考慮しない形にしてでも、まずは「実際に動くかどうか」の段階まで持っていかないことには判断がつきません。

そこで、まずは割り切った状態で「とにかく動くところまで持っていってほしい」と指示を出して検証した結果、実際に動いたんです。もちろん、その時点では商品として出せるクオリティではありません。

ですが「動く」という事実が確認できたことで、今度は「そこからどうやってクオリティを引き戻していくか」というフェーズに移行することができました。そこでようやくやるべき課題が明確になり、プロジェクトとしては「これならいけそうだ」「なんとか形にできるかもしれない」という手応えが得られました。

砂野氏:
そうですね。チームとしては一回一回「これならいけるんじゃないか」と思って、辻本さんたちと一緒に確認して、「いや、もう一段階頑張ろう」となることもありました。

藤岡氏:
さすがに「ただの劣化した『ワイルズ』」と言われてしまうようなものを出すわけにはいかない、という危機感がありましたから。

ですが、そこからの開発チームの仕事は本当に緻密で、一度下げたクオリティをどのように引き戻していくかを、まるでパズルを組み上げるように進めてくれました。「この瞬間だけ描画処理を戻す」といったような、ミリ単位の細かなチューニングを積み重ねてくれたおかげで、現在の状態までクオリティを引き上げることができました。本当にスタッフ全員が頑張ってくれましたね。

──実際に体験してみて、フレームレートの違いこそあれど、それ以外の面で違和感を覚えるような部分はほとんどありませんでした。製品版としても「ここが明らかに見劣りする」と感じる部分がない仕上がりですね。

砂野氏:
制作におけるコンセプトとして、先ほど藤岡からもあったように「劣化した」「劣化版」と感じさせるものではなく、Nintendo Switch 2というハードの上でごく自然に『ワイルズ』を楽しんでいただけるクオリティを目指して開発してきました。

ビジュアル面において、PS5 Proなどのハイエンド機と比較すればもちろん差は存在しますが、『ワイルズ』というゲーム体験そのものを損なうことなく、自然に没頭していただけることを重視しています。今、製品レベルになったかな、というものを皆様にお見せできていると感じています。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_015

マドイの新しい料理から、これからの「古龍」まで。今後の展開

──ここで基本的な質問になってしまうのですが、『アセンダンス』において料理要素の追加や新要素はありますか。

藤岡氏:
基本方針として「1つの拠点につき1つの料理」というルールを『ワイルズ』から決めており、これまでもクナファやアズズといった拠点ごとに料理を追加してきました。今回も「マドイ」という新たな拠点が加わりますので、それに伴って料理もひとつ増やす予定です。

──楽しみにしています。現在『アセンダンス』やNintendo Switch 2版など、さまざまな情報が公開されユーザーの期待も高まっています。お話しできる範囲で構いませんので、今後公開予定の追加モンスターや今後の情報展開について、何かヒントをいただけますでしょうか。たとえば……古龍は、まだ登場しますよね?

藤岡氏:
今回はストーリーの軸として、ラオシャンロンを皮切りに古龍が突如として次々と姿を現し始める、という展開が描かれます。

ストーリー上でもそれが重大な事態として扱いたいので、古龍という存在をしっかりと手厚く描いていかないと物語としての説得力が生まれません。そうした意図もあり、古龍はまだ結構控えている状態です。

今回の新古龍である「グンドラージャ」についても、平岡が最後まで諦めずに「そうしたストーリーを展開するのであれば、新しい古龍をしっかりと1体登場させたい」と粘り強く調整してくれた結果、実現しました。これからまだまだ出ると思います、これ以上はなかなか言えないのですが……。

辻本氏:
そういう意味でのヒントと言いますか……じつは、メインモンスターの情報はまだ出していないんです。

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』のメインモンスターは、「まだ登場していない」【『モンハンアセンダンス』インタビュー】_016


ライター
RPGにノベルゲー、シミュレーションまで様々なジャンルのゲームを遊び、アニメや小説、スポーツまで関心を向ける雑食系。毎晩、友人たちとゲームをする日々を送っており、高校時代に遊んだ『Apex Legends』を皮切りに『オーバーウォッチ』や『League of Legends』と、対人ゲームの沼を転々としている。癖のあるキャラほど凝る性分で、『オーバーウォッチ』ではレッキング・ボールOTP。
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ