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『ダンガンロンパ』小高和剛×高田雅史対談。モノクマは発注から5分、テーマ曲は締め切り当日の20分で誕生した(!?) 『ハンドレッドライン』までの舞台裏を音楽と共に振り返る【The Tenth Mosaic対談】

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アウトプットがすべての自分との戦い。オリジナルIPを作り出すために必要だと思うもの

小高氏:
あと、社員たちが言うのは「小高がいちばん働いているから休めない」ということですね。

高田氏:
小高さん、働きすぎなんですよ。いつ連絡してもすぐに返事が返ってくるし、寝ていないんじゃないかってぐらい働くんです。「いつの間にこんなプロットを考えていたんだろう」というのが出てきたりもします。あれはもう、ジャンキーに近いんじゃないかと思いますね。

小高氏:
それが社員たちのプレッシャーになってしまっているかもしれないですね。

高田氏:
それは気を付けないといけませんよね。

小高氏:
ただ、ゲーム作りにはいろんなパターンがあると思います。僕らは今日紹介したように「オリジナルIP」を作っていて、ある意味「属人性」がすごく高いんです。僕が書いたシナリオだからこういうシナリオになる、高田さんが書いた曲だからこういう曲になる。

そういう人になりたいなら、正直、労働時間がどうこうという話ではないんです。本当に「陶芸家」のような気持ちですよね。

高田氏:
つまりは、どこと戦うかですよね。自分との戦いになれば、まず時間は関係なくなる。アウトプットがすべてになるので、そういうふうに働いている人は、うちの会社には確かに多いです。

小高氏:
うちの会社には「いずれ自分も代表作を作りたい」と思っている社員が多いと思うんです。強いるわけではないですが、「自らブラッシュアップしたい」という思いは、すごく強い。

オリジナルIPを作るには、そういうふうに作っていかないといけないかな、と思いますね。

『ダンガンロンパ』小高和剛×高田雅史対談。モノクマは発注から5分、テーマ曲は締め切り当日の20分で誕生した(!?)
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撮影/Kristof Sagna

高田氏:
まさしく「陶芸家」のような感じですよね。できたシナリオを「これじゃダメだ」と壊して、またイチから作り直して「これもダメだ」と繰り返す。より高みを目指して、自分自身と日々戦っている。

それこそ先ほど話にあった、できあがったキャラの性別を「このキャラじゃダメだ」といって変えるみたいなことですよね。

小高氏:
そうですね。しっくりこないまま続けていても、正直テンションが上がらないんです。だから自分が思ういいものを作り続ける。妥協をしていると、結局そのあとテンションが上がらないんです。

逆に、常に制作している時点でおもしろいと感じていると「早く作りたい」となるんです。その状態を作るためには、妥協はできないです。

小高氏「ゲームじゃないと絶対できないトリックができた」──『終天教団』を語る

高田氏:
次は『終天教団』の話ですね。これはまた、ちょっと一風変わったゲームですよね。

小高氏:
アドベンチャーゲームが5本詰まっているというゲームです。だから、曲も数が多かったですよね。

高田氏:
曲の種類が多かったですね。各シナリオによってシステムが違うので、全部別の雰囲気で作りました。

小高氏:
すごくおもしろいゲームで、ルートが全部で5つあるんですが、選ぶルートの順番によって謎の解き方が変わります。いちばん最初にとても重要なことが明かされるルートを選ぶ人もいれば、そのルートを最後に遊ぶ人もいる。本当に何通りもの謎の解き方がある作品なんです。

それと、僕の中では『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』ぶりに「これはゲームじゃないと絶対できないトリックができた」という感触があったゲームです。まだやっていない方は、ぜひ遊んでみていただきたいですね。

『ダンガンロンパ』小高和剛×高田雅史対談。モノクマは発注から5分、テーマ曲は締め切り当日の20分で誕生した(!?)
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(画像は『終天教団』finalトレーラー(Nintendo Switch™/Steam®/DMM GAME PLAYER)より)

小高氏:
その中で、最初に作った曲が『二面性ありし、見ざる女』という曲ですね。

いつもの高田さんの曲とは、違う感じがします。昭和の推理ドラマみたいな雰囲気がありますよね。

高田氏:
こういう曲を作ったのは初めてでした。だから僕としても作っていておもしろかったですね。「またこういう曲を作りたいな」という気持ちがあります。

小高氏:
それで、思い出の曲が『世界の終わり』という曲なんですよね。

高田氏:
この曲は、ゲームを立ち上げると表示される、スタート画面の曲ですね。たとえば本作が店頭で紹介されているときは、ずっとこの曲が流れているんじゃないかと思います。

『終天教団』は宗教が大元にあるゲームだったので、その「宗教っぽさ」もありつつ「どの宗教にも属さない」雰囲気を目指して作りました。

小高氏:
『終天教団』は、もともとインディーで開発するつもりだったんです。

『レインコード』や『ダンガンロンパ』、そして『ハンドレッドライン』も、ストーリードリブンのゲームだけど、ただのビジュアルノベルではないところを追求していました。でも今回は、あえて「アドベンチャーゲーム」を作ってみたかったんです。

インディーで開発するのであれば、題材をかなり尖らせて、コンシューマーじゃ出せないものもやりたいと思いました。そこで「宗教をメインに扱おう」と考えました。そして「バラバラ殺人」ですね。

バラバラ殺人はCEROに引っかかるので、コンシューマーでは出せない。だから、それをやってみようという考えが企画のスタートでした。

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(画像は『終天教団』Steamストアページより)

でも、プロットなどを書いていくうちに、たまたまDMM GAMESさんに見せる機会がありました。そうしたら「おもしろい。ぜひこれやりましょう」と言っていただけたんです。

インディーで開発しようと思っていたけど「お金を出してくれるなら」と、そちらでやることにしました。『ハンドレッドライン』でお金がなくなっていたので、むしろ「渡りに船」でした。

高田氏:
これもすごかったよね。『ハンドレッドライン』を出したのに、すぐに『終天教団』が出ましたから。お客さんからしてみると「いつ作ってたんだ」と感じますよね。

小高氏:
『ハンドレッドライン』も『終天教団』も、最初はもうちょっと離れて発売される予定だったんです。だけど『ハンドレッドライン』がズルズルと後ろにずれ込んでしまったんですよね。

高田氏:
この年、僕はトータルで700曲ぐらい世に出していました(笑)。

でも、『ハンドレッドライン』は、この間舞台も見ましたけど、すごく良かったです。今後が楽しみなIPですね。

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(画像は極限選別演劇『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』公式サイトより)

小高氏:
はい。まだまだ今後『ハンドレッドライン』を盛り上げていく予定なので、安心して周りの人に勧めてください。今後、いろいろ展開していきます。

(了)

来場者の質問に答える──「100エンド」あるゲームは、大変だから作らないほうがいいらしい

──来場者の皆さんからの質疑応答の時間を設けたいと思います。

──『ハンドレッドライン』の100種類のエンドにつながるルートの分岐点の管理は、どのようにされていたのでしょうか。

小高氏:
いきなり「Aくんを殺しますか。Bくんを殺しますか」みたいな選択肢が出ても、ユーザーさんは「もうどっちでもいいよ」と感じてしまうと思ったんです。だから、まず「2周」遊んでもらおうと思っていました。

1周目は『ダンガンロンパ』のように、みんなで生き残って感情移入させる。そのうえで「2周目でどちらを犠牲にするのか迷わせる」と考えていました。

まず僕が「真相解明ルート」というのを書きながら「どちらかを選ばなくてはいけない」というシチュエーションと選択肢をたくさん作っていたんです。僕のシナリオとして12個か13個ぐらい作りました。

そこから先は、打越さんにお任せしました。SFや推理もの、ラブコメなど、いろんな物語になるように分岐をさらに作っていってほしいとお願いしましたね。

だから、僕は本当に最初の選択肢を作っただけで、それ以降は打越さんにやってもらったんです。打越さんも同じように、まず自分のプロットを作って、そのプロットに選択肢をたくさん作って分岐するように設計する。そして、最終的に100エンドになるように微調整する形で進めていたと思います。

今の話を聞いても、何のノウハウにもならないと思います。100エンドあるゲームは、作らないほうがいいですよ(笑)。

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(画像は『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』ストーリートレーラー(Nintendo Switch™/Steam®)より)

──ゲーム未経験の状態から、どうやってゲーム業界に入られたのかお聞きしたいです。

小高氏:
僕の場合は、じつはゲーム未経験ではなかったんです。大学では映画の勉強をしていて、その後にカプコンの子会社のフラグシップという会社で1年だけシナリオを書いていました。

そのときに一緒に働いていた若いシナリオライターとその後もずっと仲良くしていて、彼はフリーの僕に、たまにシナリオの仕事を振ってくれていたんです。それが『探偵 神宮寺三郎』シリーズのアプリ版の仕事です。長らくフリーターではありましたが、この仕事を少しずつやってはいたんです。

それで、いざ就職しようとなったときに、むしろそれしか経験がなかったので、ゲーム会社を受けるしかないと思い「シナリオは書けます。ただ、ゲーム会社に勤めた経験はありません」というかたちで何社か受けて、受かったのがスパイクだったんです。だから、フリーターをやめて入社するときには、普通に入社試験を受けました。

もし未経験だとしても、何か一芸があれば、ゲーム会社に入れることもあると思います。タイミングもありますけどね。ちょうど僕がスパイクに入ったときも、シナリオライターがスパイクを辞めてしまって、いなかったので、そこを埋める形で入りました。

『ダンガンロンパ』小高和剛×高田雅史対談。モノクマは発注から5分、テーマ曲は締め切り当日の20分で誕生した(!?)
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撮影/Alexander Degiorgio

──『ハンドレッドライン』の舞台では舞台オリジナルの音楽がありましたが、高田さんからしていかがでしたか。

高田氏:
『ハンドレッドライン』の舞台の場合は、こおろぎ(興梠俊一)さんという、舞台の音楽をやっていらっしゃる人が作っていたんですが、監修をたくさんしました。

たとえば『ハンドレッドライン』のジャンルの中にはない曲が上がってきたときは「これは作風が違うので」と変えてもらいました。

というのも、『ハンドレッドライン』や版権ものの舞台の場合は、その作品の「空気感」がいちばん大事なんです。

だから、ゲームの中にある空気感をそのまま舞台で出せるように、ゲームの中の音楽のトラックが全部入っているデータを共有して、「細かいフレーズでもなんでもいいので、使えるものは使ってください」とこおろぎさんに渡していました。

こおろぎさんもすごく器用な方なので、コーラスの部分とかのテンポをすごく変えていただいたり、モチーフがあるものは、それを舞台の中でも活かしてもらいました。『ハンドレッドライン』らしい音楽を作ってもらえて、とてもいい演出ができたと思います。

舞台の音楽を作るときは、原作と関係ない曲をつけたりもするらしいんです。でも、自分がちょっとでも携わっているものは、なるべくその作品の空気感を統一するために、監修に入るようにしています。

『ダンガンロンパ』小高和剛×高田雅史対談。モノクマは発注から5分、テーマ曲は締め切り当日の20分で誕生した(!?)
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撮影/Alexander Degiorgio

『ダンガンロンパ』から、町と文化を作り込んだ『レインコード』。そして積み上げてきたシナリオへの自信とともに勝負した100エンドの『ハンドレッドライン』に、「アドベンチャー」としてのトガりを追求した『終天教団』。16年に及ぶ道のりは常人にはマネできないストイックさと、数奇な運命に満ちていた。

小高氏は『ハンドレッドライン』をまだまだ盛り上げていくと力強く語った。設立から10年を迎えるTooKyo Gamesの歩みはこれからも止まることはないのだろう。

『ダンガンロンパ』の物語や音楽のように、月日が経っても私たちの心に残り続ける作品が生み出されていくことへの期待は膨らむばかりだ。

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ライター
RPGにノベルゲー、シミュレーションまで様々なジャンルのゲームを遊び、アニメや小説、スポーツまで関心を向ける雑食系。毎晩、友人たちとゲームをする日々を送っており、高校時代に遊んだ『Apex Legends』を皮切りに『オーバーウォッチ』や『League of Legends』と、対人ゲームの沼を転々としている。癖のあるキャラほど凝る性分で、『オーバーウォッチ』ではレッキング・ボールOTP。

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