Entertainment Software Association(ESA)は、世界最大級のビデオゲーム見本市E3の中止を発表した。出展者や参加者に対してはESAが直接コンタクトを取り、全額払い戻しの措置を取るとのこと。また、6月中に業界の最新情報や発表を紹介できるオンライン体験を公開できないか模索していくという。
2月25日には、E3が開催されるサンフランシスコ市が非常事態宣言を発令し、3月5日には市内で2名の新型コロナウイルス感染が確認されていた。その1日前となる3月4日には、サンフランシスコ市があるカリフォルニア州としても非常事態宣言が出されたことで、ESAは最新の情報を精査し、対応を協議する旨をすでに発表していた。
1995年より続くE3は毎年6月頃に、3日間開催されているビデオゲーム見本市だ。多くのビデオゲームファンにとっては、さまざまな企業が自社の最新情報を伝えるカンファレンスが有名だろう。毎年6月は3日間ライブストリーミングに張り付き、眠れない日々が続くという方も多いはずだ。
元々開発や販売、メディアといったビデオゲームビジネスに関わる人々向けのイベントだったが、2017年より一般参加者にも門戸が開かれた。
25年にわたり開催されたE3は今年、大きな転換期を迎えており、毎年欠かさずイベントに参加してきたジェフ・キーリー氏が初めて不参加を表明。また、iam8bitはE3 2020を前にクリエイティブディレクターを辞することを発表し、E3参加者の個人情報が漏えいする不祥事も起きている。
参加企業の中にも、E3とは違う方法で自社のビデオゲームを広く周知しようとする流れが生まれている。EAは毎年E3と同時期に、自社ゲームを紹介するファン向けのイベント「EA Play」を開催。Sonyも2019年に引き続き参加を見合わせることを海外メディアGamesIndustry.bizに語っている。
Cancel your E3 flights and hotels, y’all.
— Devolver Digital (@devolverdigital) March 11, 2020
E3 2020中止の噂は3月11日から複数の情報源より広まり、毎年E3と同じ時期に自社のカンファレンスを独自に開くDevolver Digitalは「E3の為のフライトやホテルはキャンセルしよう」とツイートして話題に。ほかにも、海外メディアArs Technicaが発表前に「E3 2020はキャンセルとなりました」という記事を公表。業界関係者からも、近くキャンセルの発表があるとの情報が流れていた。
GDCを初め、さまざまなイベントが新型コロナウイルスにより中止が決定されている。一刻も早い事態の解決を願うばかりだ。
ライター/古嶋誉幸