大日本印刷株式会社とエイベックス・テクノロジーズ株式会社、GMOインターネットグループのGMOペパボ株式会社は5月26日、第三者の著作物を素材に新しいコンテンツを創作する「二次創作」に関する実証実験を5月26日(木)から8月31日(水)の期間で実施する。
本実験は、ブロックチェーン技術を活用して「二次創作」の際に必要な許諾を行い、簡易化することで「二次創作」の促進につながることを実証することを目的としている。
また、企画全体として、今後、「n次創作」のコンテンツ市場を活性化させていくことを目指している。
本企画では大日本印刷株式会社が同社が運営する美術品の画像を貸し出すサービス「イメージアーカイブ・ラボ」にて、古典美術の画像データと本「画像ライセンス(利用許諾)証明書」を有料で配布する。配布された画像は、本企画のみで利用可能だ。
有料で「画像ライセンス(利用許諾)証明書」とともにダウンロードした古典美術の画像データは、ハンドメイド作品を販売するサービス「minne byGMOペパボ」で販売する自作のハンドメイド作品にのみ利用可能となる。
「画像ライセンス(利用許諾)証明書」はエイベックス・テクノロジーズ株式会社が提供するデジタル証明書サービス「A trust (エートラスト)」を活用したものだ。
配布される画像データは国内外の美術館、博物館、ギャラリー等が所蔵する美術作品の「画像データ」を「イメージアーカイブ・ラボ」が提供するもの。
企画の概要およびルールにのっとることで、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』やポール・セザンヌの「林檎とオレンジ」、フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホの『星降る夜、アルル』の高精細な画像データを使用し、「minne byGMOペパボ」にて販売するためのハンドメイド作品を制作可能だ。
なお、利用許諾費用は、ハンドメイド作品の販売価格に応じて設定される。「イメージアーカイブ・ラボ」では、販売総額に応じて異なるライセンス料で権利が販売されている。また、ひとつのライセンスあたり許諾されるのは一種類の作品のみとなっているため注意されたい。
前述の美術作品を初めとする古典美術作品の多くは著作権が失効しており、本企画と無関係に、第三者の著作物の権利を侵害しない形で『モナ・リザ』や「林檎とオレンジ」のパロディーやオマージュをすることは可能だ。「イメージアーカイブ・ラボ」が提供する「画像データ」が第三者の著作物である。
本企画の一環として、7月下旬に公開する「minne ART MUSEUM-世界的名画とハンドメイド」特設ページ内でコラボ作品として紹介する作品の募集と、本企画のポップアップショップにて委託販売を行う作家の募集が実施される。
いずれも本企画の規約に倣って制作されたハンドメイド作品を対象としており、応募方法および規約はminneが公開しているnoteに記載されている。
プレスリリースの全文は以下のとおり
大日本印刷 エイベックス・テクノロジーズ GMOペパボ アート画像を素材にした“二次創作”を促進する実証実験を開始
「minne byGMOペパボ」の作家・ブランドを対象にブロックチェーン証明書を付けて権利を許諾
大日本印刷株式会社(以下:DNP)、エイベックス・テクノロジーズ株式会社、GMOインターネットグループのGMOペパボ株式会社は、個人クリエイターを主な対象とし、第三者の著作物であるアート作品の画像データを素材に新しいコンテンツを創作する「二次創作」に関する実証実験を、2022年5月26日(木)~8月31日(水)の期間で実施します。
本実験は、ブロックチェーン技術を活用してコンテンツ利用に関する正規の許諾を証明することで、個人クリエイターによる「二次創作」の権利取得を簡便化し、「二次創作」の促進につながることを実証するものです。また今後、「n次創作」のコンテンツ市場を活性化させていくことを目指しています。
【二次創作を促進する実証実験開始の背景】
個人クリエイターが第三者の著作物を素材として新しいコンテンツを創作し(「二次創作」)、さらに別の個人クリエイターが二次創作物を素材に別のコンテンツを創作する(「n次創作」)循環の実現は、コンテンツ市場の活性化につながると期待されています。一方で、権利許諾を得るためには煩雑な手続きが必要になり、個人クリエイターが「n次創作」を公開・販売する際の障害となっています。こうした機会損失による潜在市場は1兆4千億円と推定されています(出典: 経済産業省の令和元年度知的財産権ワーキング・グループ等侵害対策強化事業n次創作活動に関する調査)。
今回3社はこの課題に対して、DNPグループがこれまで法人を対象に行っていたアート画像の利用許諾を個人クリエイターに広げ、個人クリエイターが「二次創作」を行える環境を提供し、「二次創作」の促進につなげる実証実験を行います。
【実証実験の概要】
GMOペパボが運営する国内最大*1のハンドメイドマーケット「minne(ミンネ) byGMOペパボ」(https://minne.com/)の作家・ブランド*2を対象に、創作のためにアート画像を貸出するWebサイト「イメージアーカイブ・ラボ*3」(https://imagearchiveslab.jp/)を2022年5月26日(木)に開設します。
「イメージアーカイブ・ラボ」は、フランス国立美術館連合(RMN-Grand Palais)*4が管理し、DNPグループの株式会社DNPアートコミュニケーションズが提供するダ・ヴィンチの「モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)」やゴッホの「星降る夜、アルル」等の画像データを「二次創作」に利用することを許諾します。
作家・ブランドは、「二次創作」したハンドメイド作品を「minne byGMOペパボ」で販売することができます。実証実験における販売期間は2022年5月26日(木)~8月31日(水)を予定しています*5。販売方法など詳細:https://note.minne.com/n/n6ac388a19cf8
「minne byGMOペパボ」に出品する際に、エイベックス・テクノロジーズが提供するデジタル証明書サービス「A trust (エートラスト)」を利用して、ブロックチェーン技術を使った証明書にリンクすることで、正規に画像の利用許諾を受けていることを証明できます。
作家・ブランドに対する利用許諾費用は、ハンドメイド作品の販売価格に応じて設定されます。
一部の「二次創作」ハンドメイド作品は、DNPアートコミュニケーションズが東京・銀座で運営する、世界の美術館・博物館の情報提供やミュージアム・グッズの販売を行う「MMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)」(https://www.mmm-ginza.org/)でも販売する予定です。
*1 ハンドメイド作品の販売を主軸とするハンドメイドマーケット運営会社の公表数値を比較。2021年8月末時点、GMOペパボ調べ。
*2 ブランド : 「minne byGMOペパボ」に登録している個人ではない法人や複数名で活動している作家集団のこと。
*3 イメージアーカイブ・ラボ : エイベックス・テクノロジーズが運営。国内外の美術館・博物館と契約し、アート画像の貸出を行うサービス「イメージアーカイブ」(https://images.dnpartcom.jp/)(DNPアートコミュニケーションズ運営)が「イメージアーカイブ・ラボ」にアート画像を提供します。
*4 フランス国立美術館連合 : ルーヴル美術館やオルセー美術館など30以上の美術館による、美術品の保存や美術館の運営支援を行う組織。
*5 実証実験終了後も、証明書発行から1年間は「minne byGMOペパボ」上で作品の販売が可能です。
【権利許諾するアート画像】
所蔵美術館
ルーヴル美術館
オルセー美術館
オランジュリー美術館
作品
レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)」
「ミロのヴィーナス」
フランソワ・ポンポン「シロクマ」
ポール・セザンヌ「林檎とオレンジ」
フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ「星降る夜、アルル」
エドガー・ドガ「エトワール」
クロード・モネ「日傘を持つ女(左向き)」
クロード・モネ「睡蓮(第一室、朝)」
【サービス事業化までの流れ】
DNPは、2021年12月~2022年1月に、個人クリエイターに、特定のアート画像を利用したハンドメイド作品の創作・販売を促す実証実験を行い、個人クリエイターへのアート画像の権利許諾サービスのニーズを確認しました。
今回はそのニーズに応え、ブロックチェーン技術を実装してコンテンツ利用に関する正規の許諾を証明することで、サービスの有用性と事業性を見据えた実証実験を3社で行います。
さらに本実証実験を踏まえ、多くの個人クリエイターがアートをより身近に感じるとともに、安心して「n次創作」を行える環境を提供できるよう、2023年度のサービスの事業化を目指します。