PBM『蓬莱学園の冒険!』の資料の保存・公開を目的としたアーカイブサイトの制作の企画が持ち上がっている。NPO法人日本PBMアーカイブスは、クラウドファンディング情報サイトCAMPFIREにて資金の提供を呼びかけた。
日本PBMアーカイブスはPBMに関連する様々な情報の収集および蓄積を行い、それらの公開・共有を目的とした団体だ。
当団体は情報公開を目的としたサイト「PBMアーカイブス」の構築を計画中とのこと。サイト構築後の情報公開第一弾として、資料の収集が最も進んでいる『蓬莱学園の冒険!』の資料公開を予定している。基本となる資料公開機能の公開のための120万円を第1目標としており、さらなる拡張機能の実現などを加えた最終目標金額は450万円となっているようだ。
当プロジェクトには小説家の那須きのこ、賀東招二ら『蓬莱学園の冒険!』プレイヤーでもあったクリエイター各位が応援コメントを寄せている。
PBMとはplay-by-mail、すなわち手紙や通信を介してプレイするアナログゲームを指す。
『蓬莱学園の冒険!』はそのなかでも著名なタイトルだ。ゲーム会社「遊演体」の運営する郵送を媒体とするPRGで、1990年から1991年にかけての1年間で開催された。
プレイヤーは自身の分身となるキャラクターを作成し、毎月送られてくるハガキに自分の取りたい行動を記入して郵送する。それが月末に送られてくる会誌「蓬莱タイムス」内の小説およびニュース記事の形で反映され、シナリオが進行する。
運営元とプレイヤーがインタラクティブに作用するRPGだ。現在も根強い人気を誇るTRPGを、テーブル上の対面ではなく郵送を通して行っていたようなものであるといえる。
『蓬莱学園の冒険!』は10万人もの生徒数を誇る超巨大学園を舞台にした、4700人超のキャラクターが登場する群像劇だった。クラブ活動からミリタリーまで、あらゆる要素が複雑に絡み合った混沌としたシナリオが特徴だ。
数多のプレイヤーによる奇想天外な発想のすべてを網羅、把握するのは運営側にも困難を極めたことが伺える。それらの膨大な記録をアーカイブすることには、多大な労力を強いられるだろう。
なお、当プロジェクトはAll-in方式で実施され、もし目標金額に達しなかった場合でも企画は実施される。
募集は5000円から受け付けており、10000円、20000円、40000円、600000円と金額に応じてそれぞれリターンがある。支援者は「PBMアーカイブ」サイト上に名前が掲載されるほか、『蓬莱学園』グッズなどを受け取れるようだ。
最大金額である60000円の支援者は、返礼品に加えて『蓬莱学園の冒険!』グランドマスターの柳川房彦氏によるトークショーへの招待を受けられる。
当プロジェクトは現存のポップカルチャーのある側面に多大な影響を与えていながらも、これまで大々的に語られることが少なかったPBMの奇妙で壮大な歴史を紐解く計画だ。『蓬莱学園』ファン以外にとっても重要なトピックとなるだろう。