河出書房新社は5月28日(火)、『ビジュアル図鑑 魔導書の歴史』を発売する。
本書は悪魔、天使、霊などを操る技法を記した「魔導書(グリモワール)」の図版を豊富に収録したビジュアル図鑑。呪い、悪魔祓い、精霊召喚、占星術、錬金術、カバラ、風水学など幅広い範囲を内包した魔導書の恐ろしくもロマンあふれる内容を実物写真250点以上とともに紹介する。
「グリモワール」の歴史を理解することはスピチュアルやオカルトなどといったトピックだけでなく、“世界の主要な宗教の影響、初期科学の発展、活字の文化的パワー、読み書き能力の向上、植民地主義の社会的影響、さらには大洋を越えて広がる世界中の難解な文化を理解することと同じである”と序章でも記されている。魔導書はその魔術的な性質上、時代ごとの人間の欲望などを写し出す資料としても興味深いものとなっている。
新石器時代の石斧に刻まれた文字から、980年の「陀羅尼木版画」、1670年頃の『カルトラポウク(魔術の書)』などさまざまな時代、そして西洋だけでなく、アジア、中東、アフリカ、南米などさまざまな地域の魔導書を紹介しており、日本の妖怪(第4章)や、マンガ、アニメも登場するとのことだ。なお、各章に掲載されている図版や解説などは以下のリリース全文にてチェックできる。
価格は税込6490円。創作資料としても必見の1冊となっているので、気になる方はぜひ予約して手に入れてほしい。
リリース全文は以下のとおり。
【池上俊一先生、田畠裕基先生推薦!】豊富な図版で魔術研究の第一人者が徹底的に紐解く!『ビジュアル図鑑 魔導書の歴史』5月28日発売決定!
株式会社河出書房新社(本社:東京都渋谷区 代表取締役:小野寺優)は、『ビジュアル図鑑 魔導書の歴史』(税込定価6490円)を2024年5月28日に発売します。
呪文、護符、呪いなど、自らの欲望を実現させるために、悪魔、天使、霊などを操る技法が描かれた「魔導書=グリモワール」。本書『ビジュアル図鑑 魔導書の歴史』は、古今東西、約3000年にわたる世界のグリモワールの歴史を追いながら、その妖しくも美しい世界を貴重な図版250点とともに紹介する、本邦初のビジュアル図鑑です。
魔導書が表現し記録をしている「魔術」は、オカルティックなものだけでなく、歴史学、社会学、人類学、哲学、民俗学、心理学などに関係するテーマであり、人類の文化や時代を写しとるテーマとも言えます。また、魔導書に描かれる悪魔や精霊などの絵やデザインは内容の理解を助け、かつ、美術的価値もありますが、そもそも魔導書に表現される悪魔や精霊による視覚効果は魔術儀式を行う上で不可欠のものです。そして魔導書が持つ高い芸術性と創造力は時代を超えて伝承され、現代世界においても小説家や漫画家、ゲームデザイナー、映像作家に対して大きな影響を与えており、新たな創作の源となっています。
呪い、悪魔祓い、精霊召喚から、占星術、錬金術、カバラ、風水学など、広範にわたる魔導書の世界。魔術史研究の第一人者によって解説が附された図版を豊富に掲載しておりますので、研究のみならず、創作の資料としてもとても魅力的な内容です。
2024年5月28日刊行の『ビジュアル図鑑 魔導書の歴史』に、どうぞご期待ください。
■本書の特色
魔導書の歴史を網羅した、初めてのビジュアル図鑑。貴重な実物写真250点収録。
西洋だけでなく、アジア、中東、アフリカ、南米など、数千年にわたる世界の魔導書を解説。
魔導書の歴史とともに、筆記や記録方法、印刷の発展史もわかる。
日本の妖怪(第4章)や、マンガ、アニメ(第6章)も紹介。
原書はビジュアルに定評のあるイギリスのクオルト社、アメリカ版は名門イエール大学出版局から刊行。
■推薦のことば
池上俊一先生(歴史学者、東京大学名誉教授。西洋中世史研究)
──魔術入門書にして、ユニークな世界文化史
田畠裕基先生(漫画家。『ブラッククローバー』作者)
──めくるめく魔導書世界(グリモワールワールド)! ブラクロを描く前に読みたかった…!!!
■本書と魔導書について(「序章」より)
グリモワール(魔導書)の歴史を理解すること。それは、世界の主要な宗教の影響、初期科学の発展、活字の文化的パワー、読み書き能力の向上、植民地主義の社会的影響、さらには大洋を越えて広がる世界中の難解な文化を理解することと同じである。魔導書は、魔術そのものをはるかに超えた内容を表しており、その芸術性はこれまであまり研究されてこなかったが、イラスト、デザイン、想像力における独特の伝統を明らかにしている。本書は、古代中東から古代中国、植民地時代のアフリカから、植民地化された後のアメリカ大陸に至るまで、世界的な視野に立つものである。ここに取り上げるグリモワールには、護符としてのタリスマンや簡単な魔法、さらには精霊の召喚儀式の作法を組み合わせた魔術のマニュアルが含まれる。テキスト形式のものと図説形式のものがあるが、これは、魔術知識の記録を物理的に残す要素と、実際に魔術を実行する要素があるためだ。しかしまた、それらは文字通り、人間の根本的な欲望、感情、恐怖を表現し、悪魔や天使、精霊、神、 難解なシンボルや抽象的な図形の形で描くものでもある。
■目次
序章
概説/魔術とは何か?/芸術としての魔術と、魔術としての芸術
ビジュアル紹介=新石器時代の磨製石斧に文字を書いたもの(2〜3世紀)/エチオピアのキリスト教徒のアミュレット(19世紀)/『メタトロンによって明かされし白魔術と黒魔術による地獄の書』(18世紀後半)/ほか多数
第1章:古代の素材で
解説=概説/初期の筆記技術/新たな筆記技術の登場
ビジュアル紹介=『魔術ハンドブック』(4世紀)/魔法の石碑(前360〜前343年頃)/『死者の書』各種/アラム語の呪文の頭蓋骨(5〜7世紀)/中国の甲骨文字各種(前13世紀頃)/ほか多数
トピックス=パピルス/中国で見つかっている竹簡/コプト魔術
第2章:羊皮紙と書籍
解説=概説/自然魔術、文字、シンボル
ビジュアル紹介=陀羅尼木版画(980年)/『シャムス・アル・マーリフ(知識の太陽)』写本(13世紀初頭)/ラテン語と英語で書かれた羊皮紙の魔道手引書(15世紀)/『護宅神暦卷』(10世紀)/ほか多数
トピックス=羊皮紙と紙の製造/魔術王ソロモン
第3章:印刷と紙
解説=概説/魔女裁判の時代/錬金術と印刷されたイメージ
ビジュアル紹介=『デ・アルキミア(錬金術について:古代哲学者のいくつかの著作)』(1550年)より/『カバラ:錬金術における芸術と自然の鏡』掲載の錬金術の凹版銅版画(1615年)/『ワンダー・ブック(不思議の書)』より手彩色インク画(16世紀後半)/『隠秘哲学の第4の書』(1559年)より/ほか多数
トピックス=ファウスト博士/ドラゴン・ルージュ/フランシス・バレットと『ザ・メイガス』
第4章:手描きは生き続ける
解説=概説/国際的な広がり
ビジュアル紹介=『カルトラポウク(魔術の書)』表紙と装丁(1670年頃)/『ヨハンネス・ファウスト3世博士の美しき地獄の強制の黒魔術と芸術と奇跡の書』(18世紀)より/バタク族のプスタハ(18〜19世紀)より/ほか多数
トピックス=妖怪/ペンシルベニアのパウワウの伝統
第5章:パルプ印刷の力
解説=概説/ヨーロッパでのパルプ印刷の展開/植民地時代後のパルプ印刷物の爆発的増加/カラー印刷の登場
ビジュアル紹介=『大悪魔祓いと祝福の秘密の書』(1908年)より/『長く隠れていた友』表紙(1820年)/『モーセの第6と第7の書』各種(19〜20世紀)/『魔導の大芸術』(20世紀後半)/ほか多数
トピックス=天国からの手紙/ウィリアム・ローロン・デ・ローレンス
第6章:現代のグリモワール
解説=概説/魔術の復興とクリエイティブ産業の関わり/ホラーとファンタジー
ビジュアル紹介=マシュー・コリガン『ネクロノミコン』/ヴェラ・ペトラック『神秘的な魔術シンボルと絵が描かれた古い魔導書』/ジム・イングラム『グリモワール#2』/『キターピ・アジャーイビ・マクルーカート(被造物の驚異の書)』(1906〜21年頃)/ほか多数
トピックス=シジルの生成/「マンガ」と「アニメ」の魔術
参考文献/図版クレジット/索引
■本文より
古代エジプトの「死者の書」より
左:『キターブ・アル・ブルハーン(驚嘆の書)』アラビア語写本(14〜15世紀)、右:『医学論集、天文学と占星術』ラテン語テキスト(15世紀)
ラテン語と英語で書かれた羊皮紙の魔道手引書(15世紀)
左:『ドラゴン・ルージュ』掲載の木版画(19世紀初頭)、右:『クントリンゲンの大魔術師ファウスト博士』タイトルページ(おそらく18世紀後半)
■著者紹介
オーウェン・デイヴィス(Owen Davis)
英国ハートフォードシャー大学の社会史学教授。魔術、幽霊、大衆医学の専門家としてテレビ出演など多数。著書にGrimoires: A History of Magic Books(邦訳『世界で最も危険な書物:グリモワールの歴史』柏書房、2010年)などがある。
■書誌情報
書名:ビジュアル図鑑 魔導書の歴史
著者:オーウェン・デイヴィス
訳者:辻元よしふみ、辻元玲子
仕様:A4変型判(246×190ミリ)/上製・角背/本文256ページ/オールカラー
初版発売日:2024年5月28日
定価:6490円(本体5900円) ISBN:978-4-309-22905-8
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309229058/
出版社:河出書房新社