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小説『帰ってきたヒトラー』Kindle版50%ポイント還元セールが実施中。「例のあの人」が現代にタイムスリップし、芸人として大ブームになってしまうという。本国では250万部のベストセラー。笑うな危険

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ティムール・ヴェルメシュの小説『帰ってきたヒトラー』のKindle版が、現在50%のポイント還元セールを実施している。対象となっているのは河出書房新社から発行されている上下巻の書籍を1冊にまとめた、電子限定の合本版。購入金額1408円のうち、半額分の710円がポイントになる。

同書は「もしもアドルフ・ヒトラーが現代に蘇ったら?」という物語を描いた作品だ。執筆されたドイツ本国では賛否両論を巻き起こしながらも250万部のベストセラーとなり、世界中に翻訳されて映画化も果たしている。「笑うな危険」はその映画版のキャッチコピーとしてしばしば語られた文言だ。

第2次大戦での敗北を悟って自殺した……と思われていたヒトラーが、目が覚めるとなぜかそこは2011年のドイツ・ベルリン。周囲の人々の勘違いによって“そっくりさん芸人”だと思いこまれた彼は、巧みな弁説と広報戦略によって、あれよあれよという間に人気コメディアンとして大成功していく。

タイトルや書籍の装丁からもわかる通りのブラックなユーモアと風刺に満ちた物語で、本国で物議をかもしたというのも、さもありなんといったところ。本書の特徴をひとつあげるとすれば、ヒトラーを血も涙もない冷血な独裁者としてではなく、ドイツを愛する非常に人間くさい人物として描いていることだろう。

作中で展開されるその思想は驚くほど過去のものと変わっていない一方で、果断な行動力と巧みな演説能力を備えた本書の主人公は、あまりに魅力的だ。本書の語る物語は、現代を生きる人々が、知識としてどれほど歴史を“知って”いたとしても、抗いがたい面白さに満ちている。そうした意味で、確かに非常に危険な小説だと言えるだろう。

なお、本書がヒトラーの業績や人格を賛美する目的で書かれたものでないことは、念のために一言申し添えておく。

ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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