制作プロダクション・宣弘社は8月12日、同社製作で1972年に放送した特撮テレビ番組『アイアンキング』のネガフィルム(第4話~第6話)が発掘されたことを報告した。
長らく所在不明だったが、同社の玄関前に提供者不明の形でネガフィルムが置かれているのが7月に確認された。調査の結果、経年劣化はあるものの全ての巻が真正であり、昭和100年(2025年)という節目の年に本作の原版素材がすべて揃ったと感謝を述べている。
弊社代表取締役社長小林隆吉よりファンの皆さまへご報告があります。 pic.twitter.com/w7zNU17vlt
— 宣弘社 (@senkosha_Inc) August 12, 2025
本作はエージェント・静弦太郎と、彼のサポート役である霧島五郎が、人型巨大ロボットを操る不知火一族や、怪獣ロボットを操る革命集団・独立幻野党、昆虫怪獣に変身する宇虫人タイタニアンとの戦いに身を投じる作品。番組タイトルにもなっている「アイアンキング」は五郎が変身する巨大サイボーグだ。
後述の都市伝説により暗いイメージが付いているものの、ドラマ全体としては明るいアクション活劇であり、登場人物の軽妙なやりとりが小気味よい作品とされている。

今回のネガフィルム発掘から話が逸れるが、本作はインターネット上で流布されている「最終回でウルトラマンが街を破壊して終わる作品がある」という都市伝説の正体としても有名だ。
この都市伝説には複雑な経緯が存在し、発端は80年代のテレビ埼玉での再放送に遡るとされている。まず、本作は物語の最終盤で敵に憑依されたアイアンキングが、町を破壊し続けるシーンが存在する。
町を破壊したまま当該回は終了となるものの、次回となる最終回でその件が解決して明るく終幕…というのが本来の流れ。しかし、テレビ埼玉の再放送では肝心の最終回が放送されなかったため、アイアンキングが全くの別作品である「ウルトラマン」に見えた視聴者の誤解から、それらしい都市伝説が生まれたとされている。

こういった都市伝説もそうだが、今回のネガフィルムも「提供者不明」であり、何かと不思議なエピソードが尽きない。発掘された経緯を巡り、さまざまな憶測が飛び交っているものの、貴重な素材が日の目を浴びられる状態になったのは間違いないだろう。
宣弘社によると、他にも所在不明の資料が存在するとのこと。『アイアンキング』に限らず宣弘社作品について情報を持ち合わせていれば、ぜひ報告を行おう。