OpenAIは日本時間10月7日、開発者向けカンファレンス「DevDay 2025」を開催し、開発者がAIを活用するための、新たなツールやモデルに関する多数の発表を行った。
開催に際して行われた基調講演では、ChatGPT内でSpotify、Canva、Figmaといったサードパーティ製アプリを直接利用可能にする機能「Apps in ChatGPT」や、AIエージェントの開発を支援するツールキット「AgentKit」、そして高性能モデル「GPT-5 Pro」のAPI提供、動画生成モデル「Sora 2」のAPIプレビュー提供などが明らかにされた。
基調講演に登壇したサム・アルトマンCEOは、OpenAIの技術を利用する開発者が400万人、ChatGPTの週間アクティブユーザーが8億人を超えたことに触れ、「歴史上、何かを創る者(ビルダー)にとって最高の時代だ」と述べ、AI技術がアイデアを製品化するまでの時間を劇的に短縮していると強調した。
You can now chat with apps in ChatGPT. pic.twitter.com/T9Owi3POim
— OpenAI (@OpenAI) October 6, 2025
主要な発表の一つに、ChatGPT上で他社製のアプリを直接利用できるようにする「Apps in ChatGPT」がある。利用者はチャットでの会話を通じて、様々なアプリの機能を直接呼び出せるようになる。
ChatGPTとの連携はシームレスに行うことが可能。会話の流れに応じて最適なアプリが提案されるほか、「Spotify、金曜のパーティー用のプレイリストを作って」のように、利用者がアプリ名を指定して直接機能を呼び出すことも可能だ。

公式サイトでは、具体的な利用シーンとして、簡単な箇条書きを伝えるだけでデザインツール「Canva」がプレゼンテーション資料を自動で作成する例や、引っ越しの相談中に不動産情報サイト「Zillow」の地図をチャット内に表示させ、「庭付きの家だけ見せて」といった言葉で物件を絞り込む例などが紹介されている。
Introducing AgentKit—build, deploy, and optimize agentic workflows.
— OpenAI Developers (@OpenAIDevs) October 6, 2025
💬 ChatKit: Embeddable, customizable chat UI
👷 Agent Builder: WYSIWYG workflow creator
🛤️ Guardrails: Safety screening for inputs/outputs
⚖️ Evals: Datasets, trace grading, auto-prompt optimization pic.twitter.com/pGgNHKOvj3
また、自律的にタスクを実行する「AIエージェント」の開発を支援するツールキット「AgentKit」も発表された。これは、エージェントのロジックを視覚的に設計できる「Agent Builder」、チャットUIを容易に組み込める「ChatKit」、そしてエージェントの性能を評価・最適化するための機能群で構成されており、試作段階から実際にサービスとして運用するまでの移行を支援する。
このツールの効果を示す事例として、公式サイトでは日本のLINEヤフー社(LY Corporation)のケースが紹介されている。同社は「Agent Builder」を活用し、業務アシスタントとなるAIエージェントを2時間未満で構築。これまで別々に行われていたエンジニアと各分野の専門家の作業を単一のインターフェース上に集約できたことで、エージェントの作成から展開までの時間が劇的に短縮されたとしている。

講演では、この迅速な開発能力を実証するように、実際に8分間で公式サイトのAIアシスタントを構築し、公開するデモも行われた。
You can now kick-off tasks in Codex cloud from Slack — just @Codex. It uses context from your conversation, picks the right repo, and answers with a link to the completed task. pic.twitter.com/LIW90qJ3h1
— OpenAI Developers (@OpenAIDevs) October 6, 2025
ソフトウェア開発の分野では、開発エージェント「Codex」がこれまでの試験公開を終了し、正式版として一般提供が開始された。コーディングに特化して訓練された「GPT-5-Codex」モデルを搭載し、新たにSlack連携や、独自のワークフローを構築できる「Codex SDK」、企業向けの管理機能などが追加されている。
公式サイトでは、実際に導入した企業からは具体的な成果が報告されており、Cisco社ではコードレビューの時間を最大50%削減し、Instacart社では技術的負債のクリーンアップを自動化して開発速度を向上させているという。

さらに、中核となるモデルとAPIのアップデートも行われた。最も高性能とされる「GPT-5 Pro」がAPI経由で全ての開発者に提供されるほか、動画生成AIの分野では、最新モデル「Sora 2」のAPIプレビュー提供が新たに開始された。これにより、開発者は自身のアプリケーションに「Sora」の高度な動画生成機能を直接統合できるようになった。


APIでは、迅速な試作向けの高速モデル「sora-2」と、映画のような高品質映像を生成する「sora-2-pro」の2モデルが用途に応じて提供される。また、指定した画像を動画の始点にする機能や、生成済みの動画を部分的に修正する「リミックス機能」も利用可能だ。なお、著名人や実在の人物の生成を禁止するなど、安全のためのガイドラインも設けられている。
このほか、高品質な音声を維持しつつコストを70%削減した小型音声モデル「gpt-realtime-mini」や、同様にコストを80%削減した小型画像生成モデル「gpt-image-1-mini」も発表され、より幅広いサービスでAI機能が導入しやすくなることが示された。
今回発表された各機能の詳細や基調講演の全容は、OpenAIの公式サイトおよび「DevDay 2025」の配信アーカイブで確認することができる。