ハーレム主人公が鈍感なのは、女の子の反応を引き出すためだったんだ……!(ターン3~エピローグ)
ターン 3

そう言いつつ、ファルクはひかりの腰に手を回し、抱き上げるように力を込める。
「……あれ?ひかり、体調悪いのか?やっぱり変わってもらうか?」
ここはひとつ、ひかりを刺激してもっと恥ずかしがってもらうか……。
ひかりは慌ててファルクの胸元をギュッと掴み、上目遣いで睨みつけた。その瞳は潤んでおり、怒っているというよりは照れ隠しなのが丸わかりだ。「ちょっとは女の子の気持ちを考えろっての!」
それでも強がって譲ったりしないあたり、本当に嬉しくはあるのだろう。
えぇ……かわいいな……守ってあげなきゃ……。
サディがくすくすと妖艶に笑いながら、からかうように視線を送る。
「私なら、もっと上手に密着してあげるのに。残念だわ」
ララモアが呆れたように腰に手を当てて、ぷんぷんと怒ってみせる。
「女の子を不安にさせないように、しっかりリードしてあげてね!」
ハーレムものは、女の子同士の連帯も見どころのひとつだと筆者は思う。(噛み締めながら)
村長が高らかにスタートの銅鑼を打ち鳴らした。
ひかりは必死にファルクの動きに合わせようとするが、密着した体が擦れ合うたびに「ひゃっ」と小さく悲鳴を上げている。
ターン 4

サディとララモアの言葉でひかりが恥ずかしがっていることに気付いたファルクは、勢いをつけてひかりの体重のほとんどを抱え上げる。
「ほんとごめん、オレとこんなのするなんて恥ずかしいよな……すぐ終わらせるから!」
ファルクはひかりを抱えた状態で、足だけ一緒に動かしながら、一気にゴールへと駆け込んだ。
しかし、ここは自分から察してスマートにエスコートするより、
もっとひかりのツンデレを満喫したい……!
という訳で鈍感路線続行。お前が言うまでこいつは気付かない!
ひかりは振り落とされないよう、必死にファルクの首にしがみついた。耳元で聞こえる彼の力強い心音と、男らしい腕の感触に、彼女の顔は限界まで真っ赤に染まっている。
「すぐ終わらせるって……そういう問題じゃねーだろ! あたしを荷物みたいに抱えやがって……でも、その……落とすなよ!」
村長が興奮気味に旗を振り下ろした。
「なんという力強さ! 彼女の全てを背負って走るその姿、まさに情熱的な愛の体現じゃな!」
サディは妖艶な笑みを浮かべ、ゴールした二人の様子を面白そうに眺めている。
「あんなに密着して走るだなんて、ひかりちゃんには少し刺激が強すぎたんじゃないかしら? 私だったら、もっと上手に体重を預けてあげたのに。本当に残念だわ」
ララモアは呆れたように頬を膨らませつつも、どこか嬉しそうに微笑んだ。
「でも、ちゃんと女の子をリードしてゴールまで連れて行ったのは偉いわね。ほらほら、ひかりちゃんも頑張ったんだから、優しく下ろしてあげなさいよ?」
村長が指差した先には、紐で吊るされた真っ赤な果実がいくつも並んでいた。
「手を使わずに、二人で同時に果実をかじり切るのじゃ! 息を合わせねば成功せんぞ!」
ひかりは吊るされた果実とファルクの顔を交互に見て、再び顔を爆発しそうなほど赤くした。
「ぜ、絶対にわざとだろこの祭り! あ、あたし、こんなのやったことねーし……! ファルク、お前がリードしろよな! 変なとこ噛んだら承知しねーから!」
ターン 5

ファルクはそう言いつつも、真剣に吊るされた果実と自分の口の大きさを見比べている。
それはそれとしてクエストである以上、勝って終わりたい。
ので、しれっと鈍感アピールは挟みつつも、しっかり作戦を立てて挑むことに。
ひかりは両手で真っ赤になった顔を覆い、指の隙間からファルクを睨みつけた。
「だ、だいたいお前の口のデカさなら、果実ごとあたしの顔まで食われちまうだろ! もっと別の方法考えろっての! ……でも、他に手を使わずに固定する方法なんて……ううっ……!」
サディは扇情的に唇を舐め、熱っぽい視線をファルクへと送る。
「ひかりちゃんには少しハードルが高すぎるんじゃないかしら? 恥ずかしいなら、私が代わってあげてもよくってよ。私なら、もっと上手にファルクと息を合わせてあげるわ」
この競技、サディが相手なら間違いなく顔の前に別の部位が触れ合うことになる。
ララモアはぷんぷんと怒りながら、ファルクの背中をペチペチと叩いた。
「女の子と顔を近づけるんだから、もっと優しくロマンチックにリードしてあげなきゃダメでしょ! ほら、ひかりちゃんも覚悟を決めて! あたしがしっかり見守ってるから!」
村長が高らかに開始の銅鑼を打ち鳴らした。
「さあ、第二の課題『ラブラブ果実食い競争』、スタートじゃあ!」
ひかりはギュッと目を閉じると、意を決してファルクの顔へと自分の顔を近づけていく。
「……目、開けんなよ! 見てたらぶっ飛ばすからな! ……いくぞ、せーのっ!」
ターン 6

「うおっ!?ひかり、大丈夫か!?」
体当たりのハーレムも良いものですよね!!!
ひかりは涙目で額をさすりながら、ファルクの胸ぐらを軽く小突いた。
「それに……ち、近すぎなんだよ! あたしの合図でかじるって言ったのに、なんでお前まで思いっきり顔面突っ込んでくんだよ! ……変なとこ、当たってねーだろうな!?」
ララモアが慌てて駆け寄り、背伸びをしてひかりの額を優しく撫でる。
「痛いの痛いの、とんでいけ~! ほら、ひかりちゃん大丈夫? 赤くなってるけど、血は出てないみたいね。ファルクくん、後でちゃんとお詫びしなきゃダメよ!」
サディは口元を隠して上品に笑いながら、二人の様子を面白そうに眺めている。
「でも、せっかく唇が触れ合う大チャンスだったのに、おでこをぶつけるだけで終わっちゃうなんて。ファルクったら、肝心なところで不器用なんだから。残念だわ」
村長が興奮気味に旗を振り、二人の成功を高らかに宣言した。
「少々荒削りじゃが、それもまた若さゆえの情熱じゃな! ファルクとひかりペア、第二の課題もトップでクリアじゃあ!」
村長がニヤリと笑い、ファルクたちを指差す。
「観客の心を打つ、最高の愛の告白を待っておるぞ!」
ひかりはパニックになり、顔から火が出そうな勢いで後ずさりした。
「だ、だいたいあたしとこいつは恋人じゃねーし! 愛の言葉なんて言えるわけねーだろ! ファルク、お前なんとか言えっての!」
というかもうこれ村人が見たいだけじゃん……。
ターン 7

ファルクは軽々とひかりを抱き上げると、レース開始と同時に周囲を引き離す勢いで走り出した。
「べつに『愛』の種類は色々だろ……『ひかり、お前は最高の仲間だ!』」
ひかりの感情を自覚するか、フラグをへし折るか……。
だが、関係を無理に進展させなくてもいいのだ。
男としては微妙かもしれないが、ここは「現状維持」を選択!
ひかりはファルクの腕の中で暴れようとするが、落ちるのが怖くて結局彼の首にしがみついたままだ。耳まで真っ赤に染まった彼女の表情には、恥ずかしさと怒り、そしてほんの少しの落胆が入り混じっていた。
「あーもう、早く降ろせ! 恥ずかしくて死にそうなんだよ!」
村長は感動の涙を拭いながら、力強く頷いた。
「ファルクの魂の叫び、しかと受け取ったぞ! そのままゴールへ向かうのじゃあ!」
サディは呆れたようにため息をつきつつ、面白そうにくすくすと笑う。
「ひかりちゃん、少し可哀想に。私だったら、もっと甘い言葉でとろけさせてあげるのにね」
ララモアはぷんぷんと怒りながら、両手を腰に当てて抗議した。
「女の子をお姫様抱っこする時は、もっと甘くて優しい言葉をかけるのが常識なんだからね! 次からはちゃんと気をつけるのよ!」
村長がバッとファルクたちを指差す。
「数々の困難を強引かつ情熱的に乗り越えた、ファルクとひかりペアじゃあ! 賞品の『永遠のペアリング』を受け取るがよい!」
ひかりは渡された小さな箱を開け、中に入っていた銀色の指輪を見て完全にフリーズした。
「こ、これ、どう見ても結婚指輪みたいなやつじゃん……! 永遠のペアリングって、重すぎるだろ!」
ひかりは震える手で指輪を一つ摘まみ上げ、潤んだ瞳で上目遣いにファルクを見つめた。
「……お前、これ、どうすんだよ……?」
ターン 8

あまりに空気の読めないファルクの発言に、祭典の会場にひかりのビンタの音が響いた──
ひかりはビンタした手をさすりながら、顔を真っ赤にしてファルクを怒鳴りつけた。
「せっかく……せっかく優勝したのに、お前ってやつは本当にムードの欠片もねえ!ちょっとは女の子がどんな気持ちでいるか考えろっての!」
ララモアはぷんぷんと怒りながら、ファルクの足のすねをポカポカと叩いた。
「女の子にペアリングの片方を押し付けるなんて、最低の対応よ!こんなんじゃ、いつまで経っても酒場の看板娘になるお嫁さんなんて見つからないわよ!」
サディは口元を隠して上品に笑いながら、呆然とするファルクに近寄る。
「でも、そんな不器用なところも嫌いじゃないわ。ひかりちゃんがいらないなら、その指輪、私がもらってあげてもよくってよ?私なら両手でも足でも、喜んで嵌めてあげるわ」
村長はなぜか感動の涙を流し、再び旗を大きく振り下ろした。
「喧嘩するほど仲が良いとはこのことじゃ!ファルクとひかりペアに、盛大な拍手を!」
ひかりはそっぽを向きながら、早口でまくしたてた。
「……でも、まあ。今日はその……悪くなかったぜ。お前のおかげで優勝できたのは事実だしな。次からは、もうちょっとマシな言葉を用意しとけよな!」
エピローグ
ララモアは呆れたようにため息をつきながら、ファルクの頬に当てた布を取り替えてあげる。
「でも、ひかりちゃんが本気で嫌がってたら、ビンタじゃ済まなかったかもしれないわよ? 次からは、もっと女の子を優しくエスコートしてあげなきゃダメなんだからね。わかった?」
サディは背後からそっと近づき、ファルクの肩に艶やかな腕を回した。
「ひかりちゃんが素直になれないなら、私がその指輪をもらってあげようかしら? 私とファルクの愛の証として、大切にしてあげるわよ。ねぇ、いいでしょう?」
ひかりは慌てて立ち上がり、サディから指輪を遠ざけるように机の上の箱を引き寄せた。
「だ、だいたい、こいつに指輪なんて百年早いんだよ! あたしが預かっておくから、お前は当分おあずけだ! ……ほら、さっさと寝る準備しろよな!」
ビンタされた事実もしっかりキャラクターシートに刻み込まれてしまう(クエストリザルト)
顔にビンタの跡を付けて終わりという、なんともテンプレな結末になってしまったが、女の子たちの反応を考えれば、これもまた勲章と言えるだろう。
クエストをクリアしたことで、主人公であるファルクは新たに2つのスキルを獲得した。今回手に入れたスキルの内容は以下の通りだ。
◆強引キャリー力
二人三脚やお姫様抱っこ競走で相手をほぼ完全に抱えたままトップゴールするなど、仲間を物理的に支えつつ強行突破する行動が際立った結果得たスキル。相手の体重をものともせず運搬しながら目的を達成する行動にボーナスが付く。
◆奇抜作戦立案
果実食い競争で自分の口で果実を固定させる案や、身長差を力技でカバーする走法など、場の空気やロマンを度外視しても効率優先の独自作戦を次々とひねり出したことで獲得したスキル。常識外れだが突破力のある作戦を思いつきやすくなる。
かなり状況が限定されるスキルになってしまったが、主人公の行動がしっかりとスキルとして反映されている。このパーティなら仲間を抱えて移動することは結構起こりそうだし、悪くないスキルと言えそうだ。
また、クエストの記憶を示す「思い出」については、主人公だけでなく、パーティに参加していた全員に共通のものが付与される。今回のお祭りでの出来事をメンバー全員が覚えていて、他のクエストに行った時にその話を持ち出してくる、なんてことも起こるのだ。
今回手に入った思い出は4つと多めだが、そのうちの1つを紹介する。
◆永遠のペアリングとすれ違い
村の『愛の祭典』で優勝したファルクと暁ひかりは、賞品として銀色の『永遠のペアリング』を授与される。恋人ではないと強く否定してきたひかりは、結婚指輪のような指輪を前に動揺しつつも、震える手で指輪をつまみ上げてファルクの反応をうかがう。しかしファルクは空気を読めず「ひかりが両手に嵌めればいい」と発言してしまい、ロマンチックな雰囲気は一瞬で崩壊する。ひかりは怒りと恥ずかしさからファルクをビンタし、村人たちの前で二人の関係性のズレと、まだ言葉にできない特別な感情が露わになる出来事となった。
ビンタされた事実がキャラクターシートに刻み込まれてしまった……。
良い方に考えると、この思い出を主人公と暁ひかりの2人が共有することで、「永遠のペアリング」の存在がキャラクターに刻み込まれた。つまり、プレイヤーが特にキャラクターの設定をいじらなくても、このまま他の冒険に行けば、リングを持った状態で続きが遊べるのだ。
また、この思い出を持った状態でまた暁ひかりと一緒に冒険に行ったら、今度は別の理由でビンタされるかもしれない。それもそれで、関係性の進展と言えるのだろう……多分。
今回はあえてハーレムを主軸に女性キャラでまとめてみたが、「プリセットキャラに1文書き加える」という遊び方は、なにもハーレムだけに使えるテクニックではない。
たとえば、気の合いそうなキャラに「主人公とは幼馴染」と設定を付けて気の置けない友人のようなプレイを楽しんだり、ちょっと悪そうなキャラに「因縁のライバル」という設定を付けて、青年漫画のような火花を散らすやり取りを楽しんだって良い。
あるいは関係性を追加するのではなく、「悪いやつに追われている」設定を追加した少女キャラを守るプレイをしたり、パーティ全員に「絶賛風邪を引いている」設定を追加して、体調不良の縛りプレイに挑んでみたり……。
同じメンバー・同じクエストでも、ちょっとした一言を足すだけでクエストの雰囲気は大きく変わったものになるだろう。あなたの好みに、あるいは欲望に従って、アレンジを楽しんでみてほしい。
『サーガ&シーカー』はSteamにて配信中。また、公式ポータルサイトでは、有志のユーザーが作成したキャラクターやクエストが投稿されており、無料でダウンロードして利用できる。プリセット作品で物足りなくなったら、ポータルサイトをチェックしてみよう。

