『センチメンタルグラフティ』を復活させたのは、作品をピュアな形で愛し続けていた出演声優陣の熱意だった【豊嶋真千子、鈴木麻里子、満仲由紀子、鈴木麗子インタビュー】

 高校3年になる春休み、これまで何度も転校を繰り返した自分の元に届いた、差出人不明の一通の手紙。その手紙には、ひと言──。

 「あなたに、会いたい……」

 手紙の送り主を探すため全国各地を旅する主人公は、思い出に残る12人の少女と再会する──。

 1998年1月22日、『センチメンタルグラフティ』という恋愛シミュレーションゲームが発売されたことを覚えているだろうか。

(画像はセンチメンタルグラフティ20周年プロジェクト公式サイトより)

 このタイトルは、“声優ユニット”という概念が浸透していなかった頃にもかかわらず、“ゲーム発売前から”ラジオ放送やイベントコンサートなど、声優陣「SGガールズ」を軸にしたさまざまなメディアミックスが成功した、異例の展開を見せた作品だった。

 一方、発売延期を繰り返したゲーム自体はというと、事前に展開していたビジュアルとかけ離れたグラフィック、ツッコミどころの多いストーリーやシステムのために、当時のゲームファンからは“好評価”を得ることができなかった、いまひとつパッとしなかったタイトルのひとつとして名を挙げた作品でもある。

ヒロインが暗闇のなかを踊るという内容で、なにかと話題になるオープニングムービー。

 そんな『センチメンタルグラフティ』が生まれてから20年の今、再び動きを見せ始めている。

 ゲームの発売からちょうど20周年となる2018年1月22日、突如として「センチ20thプロジェクト」という名のTwitterアカウントが出現。「あなたに、会いたい…」というツイートが投稿されたのである。

 そして8月2日からは、ツイキャス配信「帰ってきたセンチメンタルナイト20」が始動。
 この番組にて、20周年イベントが2019年1月19日に行われることや、そのイベントに向けて資金を募ることなどが発表され、昨日10月11日には「CAMPFIRE」でクラウドファンディングを開始
 スタートから約10分弱で目標金額の1000万円を到達(別記事参照)した
ことは、「センチ20thプロジェクト」に対するファンの期待値の高さを示していると言えるだろう。

 じつは、これらの活動はすべて「SGガールズ」として活躍していた声優陣の主導によるもの。演者である声優陣が、自身の出演した作品の再始動に向けて“自らアクションを起こす”という動きは、とても珍しいケースといえよう。
 いったい彼女たちを突き動かしているものとは何なのか──今回のプロジェクトのメンバーとなる鈴木麗子豊嶋真千子満仲由紀子、そして鈴木麻里子の声優4人に、作品に対する並々ならぬ愛、そして熱意を伺った。

取材・文/カワチ
編集/なかJ
カメラマン/増田雄介


左から、鈴木麻里子豊嶋真千子鈴木麗子満仲由紀子

声優陣の同窓会が発端となり、20周年の企画がスタート

──1月22日に「センチ20thプロジェクト」のTwitterアカウントが突如できたとき、ファンはとても驚いていました。そして8月2日からはツイキャス始動と、精力的に動かれていますね。

鈴木麗子(以下、麗子):
 ツイキャスは初回の放送のとき、「30人ぐらいが見てくれればいいかな」と思っていたのですが、300人も来てくれてうれしかったです。

鈴木麗子

鈴木麻里子(以下、麻里子):
 最初に(豊嶋)真千子ちゃんから電話で「こういうことをやりたいんだけど……」と相談を受けたのですが、さすがに20年前の作品ですし、ファンの方もそこまで乗り気ではないんじゃないかな、と少し思ったんです。

鈴木麻里子

 ツイキャスをやるときも不安な気持ちでいっぱいだったのですが、たくさんのファンがいてくれて本当にうれしかったです。なかには「20年待ってたよ」というコメントをくださる方もいて、感動しました。

麗子:
 自分たちで配信を準備していることもあり、ツイキャスの開始が20分ぐらい遅れてしまうこともあるのですが、「ゲームも延期で2年間ぐらい待ったから、ぜんぜん大丈夫」とかフォローしてくださってありがたいです(苦笑)。

満仲由紀子(以下、満仲):
 「手作り感こそ『センチ』だよね」とか、ポジティブな発言で支えてくれるんですよね。本当に温かいファンばかりです。

満仲由紀子

豊嶋真千子(以下、豊嶋):
 すべて自分たちでやっているので失敗も多いですし、まともな睡眠時間が取れないほど準備は大変ですが、本当に皆さんの発言に励まされています。

豊嶋真千子

 きっと1月19日のイベントは、自分のテンションが大変なことになっていると思います(笑)。

──本当に体だけは壊さないように気をつけてください……。ところで、そもそもどのようなきっかけで、このプロジェクトは立ち上がったのでしょうか?

麗子:
 以前からキャストどうしで、仕事先の収録現場で会ったときなどに、「もうすぐ20周年だから、何かやりたいね」という話はしていたんです。きちんとした企画として動けるようになったのは、まちりん(豊嶋)が率先してメンバーに声をかけてくれたり、当時のスタッフと連絡を取ってくれたおかげです。

豊嶋:
 ファンの方たちからも「そろそろ20周年ですね」とか「何かやらないんですか?」という声をかけていただいていたので、何か私たちでできることをやりたいなと思っていました。それで一度、今、集まれるメンバー全員で集まることにしたんです。

満仲:
 それが2016年でしたね。久しぶりに会うメンバーもいるので、お互い近況報告をしたりして。

豊嶋:
 メンバーそれぞれ環境も変わっているので、まず「20周年のイベントをやりたいかどうか」の意思確認をしました。全員『センチ』が好きという気持ちは変わらず、ファンの皆さんにも恩返しがしたいということで「私たちでやれる範囲のことをやろう」という方針が決まったんです。

麻里子:
 規模も予算も未定でしたが、何かやろうということだけを決めて、そのあと“私たちにできること”を模索していったんですよね。

麗子:
 会合のあと、しばらく沈黙してしまっていたのですが、その間は水面下で、オフィシャルで動くにあたっての諸条件などをクリアにしていました。

グッズの制作もイベントの運営もすべて手作り

──そして20週年記念日の1月22日に、満を持してTwitterアカウントを公開した、と。麗子さんがご自身でツイキャスの配信準備をしたり、イベントのフライヤーを作っていたりしているのはTwitterを拝見しているとわかるのですが、改めて本当に声優さん自身で企画・運営しているのだなと驚かされます。

麗子:
 自分たちで広報活動をするとなると、マーケティングがインターネット主体になっていきます。ということで、メンバーの中ではいちばんITに強い私が、実務担当として動くことになるんです。

豊嶋:
 最初は私と麗子ちゃんのふたりで主に動いていたのですが、やることが多すぎて……今はメンバーみんなに書記や会計などいろいろな係を担当してもらっています。

麻里子:
 私は会計係です(笑)。

──麗子さんが早朝の4時にTwitterで作業の進捗をつぶやいていると、皆さんがちゃんと寝ているのか心配になります(苦笑)。

豊嶋:
 この夏は本当に忙しくて、連日午前3時くらいまで作業をしていました……。

麻里子:
 うららん(麗子)は昔からITリテラシーが高かったけど、今はさらにスキルアップしていて、すごく頼りになります。

豊嶋:
 準備しているクラウドファンディングのWebページも麗子ちゃんが作ってくれていますしね。

──そのクラウドファンディングは、どんなものを想定しているのでしょうか?

麗子:
 ファンの皆さんと同じ空間で、当時の思い出を語り合うイベントをやりたいと思っているのですが、ぜひ記念CDなども作りたいので、その資金をクラウドファンディングで募ることにしました。

豊嶋:
 イベントに来られない方もいると思うのですが、そういう方も「応援してよかったな」と思えるようなリターンを用意しています。

麗子:
 当時、『約束』『再会』という2部作のゲームが発表されつつも、『再会』が未発売に終わってしまった経緯がありますが、そのときに収録していた『再会』という曲の音源をCDに収録するんです。
 今回参加できないメンバーの歌声も入っているので、ファンの皆さんにも喜んでいただけるかなと思っています。

麻里子:
 もちろんライブで盛り上がるグッズも用意しています。ツイキャスで盛り上がった「せつなさブレード」もあります!

──12種類の色が搭載されているペンライトですね(笑)。

麗子:
 イベントではトークだけでなく、曲を披露することもできそうなので、「せつなさブレード」があれば盛り上がるかなと思っています。

満仲:
 やっぱり、ツイキャスなどで応援してくださっている皆さんがうれしいと思っていたただけるものを用意するのがいちばんかなと。そこで、甲斐(智久)先生が描き下ろしてくれたイラストを使ったグッズを作ることにしました。

──このインタビューをしている現在は、まだクラウドファンディングのページは公開されていませんが、いちばん高いコースだとどんなリターンが?

満仲:
 20周年ならではの“20人限定、20万円コース”を考えています。

豊嶋:
 すべてのリターンが付いてくるほか、イベントの最前列チケットが入っていますね。

満仲:
 あとは私たちの直筆の手紙……ラブレターも(笑)。

──ラブレターはいいですね。でも、クラウドファンディングとしては金額設定がかなり堅実ですね。100万円ぐらいのコースで「自宅に招待!」とか「打ち上げに参加!」のようなネタっぽいものを入れようと思わなかったのでしょうか?

麻里子:
 いやいや、20万円のコースでも高すぎて震えているぐらいです。

満仲:
 自宅に招待……? 自宅でお好み焼きを振る舞うだけじゃ納得してもらえないですよね(笑)。

麻里子:
 う〜ん、10人ぐらいお呼びして、いっしょにお店で打ち上げしますか。でも合コンみたいになっちゃう?(笑)

──そこは10人よりも、ひとりにしぼったほうが夢があっていいんじゃないでしょうか(笑)。

麗子:
 そうですね(笑)。「あなただけの打ち上げ」を実現できたらおもしろいかもしれません。でも20万円コースも「これで20万円か……」と思われないような豪華なものにしたので、楽しみにしていただければと思っています。

今だから明かせる?「SGガールズ」として活動していた頃の秘話

──お話を聞いていると、豊嶋さんがリーダーシップを執っているようですが、当時から豊嶋さんがメンバーを引っ張って動くことが多かったのでしょうか?

豊嶋:
 当時はスタッフの方がいたので、リーダーのようなポジションはありませんでしたね。みんな横並びでした。

麻里子:
 でも、いちばん頼りにしてました(笑)。

満仲:
 うん。めっちゃ頼ってました。

麻里子:
 イベントやライブのMCもまちりんがやっていましたしね。みんなをまとめあげるのがうまいんですよ。

豊嶋:
 MCはスタッフに任命されてやっていました。本当はミスやうっかりが多いんですけどね(笑)。

麻里子:
 そこも可愛くて好き(笑)。

──今では『アイドルマスター』『ラブライブ!』といった作品からの声優ユニットがありますが、当時は声優ユニット自体、しかも新人だらけのユニットは珍しかったですよね。

麗子:
 じつはイベントの台本や構成なども自分たちで作っていました。メイクも自分たちでやっていたので大変でしたね(苦笑)。

──せっかくなので、当時のお話も聞いてみたいのですが、今だから明かせる裏話などはありますか?

豊嶋:
 じつは大宮ソニックシティのイベント前日に「うさぎ組」【※】のみんなにドッキリを仕掛けたことがあるんです。

※うさぎ組:
「SGガールズ」のうち、一般公募から採用された6人のこと。メンバーは岡田純子、岡本麻見、鈴木麗子、今野宏美、牧島有希、西口有香。

麗子:
 あった! 神妙な雰囲気でひとりずつ部屋に呼び出されたんですよ!!

豊嶋:
 「ちず(米本千珠さん)が怒っているみたいだから部屋に来るように」って言って。

──姉御の愛称で呼ばれていた米本さんに呼ばれるって怖いですね(笑)。

豊嶋:
 他のメンバーはカーテンの後ろとかに隠れていて、頃合いを見計らった頃に「ドッキリで〜す!」と飛び出していきました。ただ、本気で泣いちゃう女の子もいたので、もっと明るいドッキリにすればよかったなと反省しています。

麗子:
 本当に怖かったですよ!!

豊嶋:
 そのあと、私たちもめちゃくちゃスタッフの人に怒られたから、許して(笑)。

麗子:
 あとは……そうそう、「うさぎ組」のレッスン場がアップフロントプロモーションさんと同じだったのですが、そこで「モー娘。」を出待ちしていたファンに、「モー娘。」と間違えられたことがありましたね(苦笑)。

 そのあと、自分が誰と間違えられたのか、みんなで盛り上がったのですが、ゆっきゅん(西口有香)は「私は福田明日香ちゃんだと思う」と言っていました(笑)。

20年後のキャラクターはどうなっていると思う?

──西口さんといえば、Webメディア「シシララTV」の「七瀬優役の西口有香さんと実況」内で“『2』のオープニングで死んでしまう『1』の主人公が、じつは生きているという幻のエンディングを収録した”と発言をして話題になりましたが、皆さんはそのことを覚えていますか?【※】

9月1日のツイキャスにて、プロデューサーの多部田俊雄氏から寄せられたコメントで正式に「生きている」と発表された

シシララTVの「七瀬優役の西口有香さんと実況」。声優本人がキャラクターの制服を着て、その場で生アテレコすることで話題に。また当時の貴重な裏話も。

豊嶋:
 キャストの中でも覚えている人と覚えていない人がいるんですよ。

──本当に都市伝説みたいですね。

満仲:
 自分は覚えていないんですよね。

麻里子:
 私も生きていると聞いてビックリしました。

麗子:
 ゆっきゅんからその話を聞いたとき、なんとなく収録した記憶があったような気がしたんですよね。当時の台本を見ればセリフが書いてあると思うので、実家に帰ったときに探そうと思っています。

──そもそも皆さんは『2』でいきなり“主人公が死ぬ”という展開を聞いたとき、どう思われましたか?

麗子:
 もちろんビックリしましたよ。ただ『2』の展開に限らず、当時新人だった私にとって『センチ』のプロジェクトはすべてが斬新でした。

豊嶋:
 発表せずに立ち消えになってしまった展開もたくさんありますしね。

麗子:
 劇場版アニメも制作される予定でしたし……あと、じつは「NHK紅白歌合戦に出演するかも」という話もありました。【※】そんなこともあったので、『2』のときは、すでに驚きに慣れていた部分もあります(苦笑)。

※アニメ・ゲーム企画会社マーカスを設立し、NECインターチャネルの多部田俊雄氏と共同で『センチメンタルグラフティ』を始動させた窪田正義氏による構想。主人公の葬式からはじまる『2』は窪田氏の主導で制作された。

──ところで、皆さんが演じられたキャラクターは10年後にどんな仕事に就いていると思いますか?

麗子:
 晶はヴァイオリニストをやっていてほしいですね。ほかの職業だと夢が破れてしまったようで悲しいです。

遠藤晶

麻里子:
 ほのかは獣医だと思います。他に馬と関係している仕事というと……ジョッキーでしょうか(笑)。

沢渡ほのか

満仲:
 それは予想外すぎる!(笑)

豊嶋:
 晶やほのかは本編で将来の夢が描かれたけど、真奈美は何をしているんだろう?

杉原真奈美

麗子:
 ケアマネージャーとか合っているかも。

豊嶋:
 確かに彼女は主人公から誰かを助けることを教えてもらったので、誰かを手伝ったり助けたりする仕事は合っているかもしれません。

麻里子:
 ピッチちゃんと仲が良かったから、セラピードッグみたいにセラピーバードをやってほしい! 肩に大きな鳥を乗せて(笑)。

豊嶋:
 斬新すぎるでしょ(笑)。

満仲:
 夏穂は実家のお好み焼き屋を継いでいるんじゃないかと思いますね。2号店や3号店ができたりして……陸上も市民ランナーで続けていたらうれしいですね。

森井夏穂

声優陣にとって『センチメンタルグラフティ』とは何なのか

──ここまで話を伺っていると、皆さんからの『センチ』愛がひしひしと伝わってきます。

豊嶋:
 私は演者ですが、『2』の有島モユちゃんを加えた13人のメンバーや大倉らいた先生のシナリオ、甲斐智久先生のイラストが大好きで、自分自身が『センチ』のファンなんです。
 もちろん『センチ』の曲も普段から聴いていて、「そろそろみんなの曲を生で聴きたい」と思うようになってきてしまったほどで(笑)。

麗子:
 私も作品のファンなので、これから作る新グッズに狂喜乱舞しています。

──そこまで思い入れがあるのは、新人だったことや、いきなりイベントやラジオといったメディアミックス展開を体験したという貴重な経験があったからこそかもしれませんね。

麻里子:
 『センチ』のオーディションを受けたときは、まだデビュー1年目の駆け出しで、よくわからないなりにがむしゃらに頑張っていました。当時はこなすだけで精一杯でしたけれど、20年後の今、ファンの皆さんと交流していると改めて『センチ』がとても大きなプロジェクトで、ファンの皆さんに愛されていたコンテンツだったのだなと思い知らされますね。

満仲:
 私はデビュー直後に決まった役でしたが、まさかこんなに大きなプロジェクトで、こんなにいろいろなことに挑戦させていただくとは思っていませんでした。当時もわかっていたつもりでしたが、今振り返ると、とてつもないことに挑戦させてもらっていたのだなと思います。

麗子:
 私にとっては『センチ』の晶は大事なキャラクターで、ずっと彼女に守られているような感じがします。仕事のときに自分の代表作として『センチ』の例を挙げると知ってくださっている方も多く、大きなコンテンツだったのだなと実感します。さらに知っているだけでなく「好きだった」と言ってくださる方が多いのがとても幸せです。

イベントまで突っ走りたい! 応援よろしくお願いします!!

──いま配信しているツイキャスは、イベントの日まで続けていくのでしょうか?

豊嶋:
 はい。今回の20周年プロジェクトは、イベントを皆さんといっしょに作り上げていく過程も大事にしたいと思っています。旅行に行くのも楽しいけど、その旅行の準備をするのも楽しい……そんな感覚を共有したいんです。

麗子:
 イベントの告知やクラウドファンディングの報告はもちろん、その他にもできることはやっていこうと思っているので、引き続きチェックしてもらえるとうれしいです。

──クラウドファンディング以外に、ファンに手伝ってほしいことはありますか?

豊嶋:
 20周年プロジェクト自体を知らない人も多いと思うので、ぜひ宣伝してほしいですね。ぜひ皆さんと一緒に20周年イベントを成功させられるとうれしいです。

麻里子:
 当時、皆さんに伝えきれなかったこともたくさんあるので、この機会に想いを届けられればと思っています。

満仲:
 メンバーの絆も強くて、2年前に同窓会のように集まったときもみんなが「20周年プロジェクト」に乗り気だったこともすごくうれしかったです。ファンの皆さんもこのイベントをきっかけに、昔の『センチ』仲間と連絡を取ってもらえるとうれしいですね。

麗子:
 今、スタッフとしてイベントを開催したりグッズを作ったりするのはとても大変ですけれど、楽しいです。
 Twitterやツイキャスを見ていると「絵がかわいいから気になった」と言ってくれる新規の方もいるようで、それもうれしいですね。
 『センチ』は幅広い層に応援していただいていたタイトルなので、もしかしたら上の世代の方はインターネットをあまりやっていないかもしれません。そういう方にも、ぜひ声をかけてほしいです。

麻里子:
 そうそう。『センチ』はインターネットが普及していない頃に生まれた作品で、電話や手紙で思いを伝えると言ったアナログの良さがある作品になっています。やったことがない人にも、ぜひプレイしてもらいたいです!(了)

 じつは、このインタビューを行った後の9月11日、リターンの内容を変更することになり、プロジェクト開始日が10月に延期されることになった。一部、内容に不満の声があったのだが、声優陣がその事実を真摯に受け止め、意見を取り入れることにしたという経緯がある。

 「CAMPFIRE」のキュレーターであるbamboo氏はツイキャスのなかで「彼女たち自身には夢を語って欲しい」と語っていたが、確かに普段の彼女たちはあくまでも表に出る演者である。
 本文で「明け方まで作業している」と語っているが、もはやベテランのキャリアを持つ彼女たちが毎日徹夜でイベントの準備をしていることは本来であれば異常であり、そこにある原動力は「ピュアな情熱」だ。

 声優陣は『センチメンタルグラフティ』という作品を愛し続けており、当時のファンに恩返しをしたいという気持ちで動いているのだ。継続して続いていたならまだしも、一度”時が止まっていた”コンテンツに対して、ここまでできるのは作品への愛以外の何物でもないだろう。
 クラウドファンディングの内容に不満が出た後も、彼女たちはその事実を受け止め、「どのようにすればファンが喜んでくれる20周年になるのか」を再度真剣に向き合い、熟考を重ねていた(実際、リターンについてはbamboo氏の本格的な協力も加わり、多くのファンが納得できる内容にアップデートされたようだ)。
 昨夜開始されたクラウドファンディングの好調な滑り出しは、そんな彼女たちの熱意が報われたことを意味し、イベント成功に向けた大きな一歩を踏み出したと言えるだろう。

 『センチメンタルグラフティ』は当時大きなブームとなったこともあり、今ではマイナス面のウワサでしか知らない人も多いかもしれない。しかし一方で、この作品に人生を救われた当時の演者やファンがいたことも事実だ。
 少なくとも20年愛し続けた人たちには、この作品をお祝いする権利がある。

 イベント開催日となる2019年1月19日は、演者とファンの全員で20周年を思いっきり祝おうじゃないか。

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 詳しい応募方法は電ファミニコゲーマー公式Twitter(@denfaminicogame)をチェック!

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ビジュアルノベル好きのフリーライター。さまざまなメディアに記事を寄稿しており、マニアックな知識や小ネタなどで読者を唸らせている。深みのあるゲームが好きかと思えば、「エロければなんでもいい」と豪語する猛者。
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なかJ
「電撃セガサターン」、「電撃PS2」、「電撃オンライン」、「電撃レイヤーズ」、「iモードで遊ぼう!」、「mobileASCII」、「デンゲキバズーカ!!」と数々の媒体を渡り歩いて来た40代ファミコン世代の編集者。好きなハードは「ファミコンバージョンのゲームボーイミクロ」。 
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