『刀剣乱舞』ファンがこの3年間で巻き起こした覇業を振り返る。107万円の公式Blu-Rayに約70件の申し込み、刀1本の展示で経済効果が4億円、幻の日本刀復元に4500万円を調達!

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 2015年、女性向けゲーム市場に大きな転機が起こりました。ブラウザゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』(以下、『刀剣乱舞』)のサービス開始です!

 『刀剣乱舞』は擬人化された刀である“刀剣男士”を育成するゲーム。歴史という過去を背負って戦う刀剣男士の生き様に女性たちは魅了され、配信されると瞬く間に大人気に! さらに女性たちはキャラクターだけでなく、刀そのものにまで興味を抱くようになりました。

 そして今年でシリーズは3周年。そのあいだにファンたちが、日本刀業界を一変させる奇跡のような伝説を次々に引き起こしていたことはご存知でしょうか?

 そんな女性たちが──世間では“刀剣女子”と呼ばれ話題にされていますが、女性たちはみずからをゲームでプレイヤーを指す呼称である審神者(さにわ)【※】と呼んでいます──アツすぎる審神者たちが巻き起こした数々の『刀剣乱舞』伝説12件をこの記事では集めました。

 審神者であれば3周年の振り返りとして、そうでない方は奇跡のあれこれを二度見覚悟でご覧ください!

※審神者(さにわ)
『刀剣乱舞』における審神者はプレイヤーを指す(歴史用語とは異なる)。性別は公式言及なし。審神者は刀を目覚ませ刀剣男士にすることができ、拠点となる本丸で彼らを主として束ねている。プレイヤーの数だけ審神者がいるとされており、アニメや舞台も“とある本丸”の話として描かれている。

文/加藤ゆり
構成/かなぺん


【その一】そもそもゲームが始められない! 15時間でサーバー陥落。女性たちは阿鼻叫喚【伝説レベル★☆☆☆☆】

 『刀剣乱舞』【※】が築いた伝説を語る前に、まずは触れておきたい、いや、触れなければならない伝説があります。それが、これ。

 “そもそも、ゲームが始められない!”というもの。
 2015年の配信開始時からプレイしている審神者にとっては懐かしい出来事ではないでしょうか。

※刀剣乱舞-ONLINE-
DMMゲームズとニトロプラスによる、2015年1月14日にサービスを開始したPCブラウザゲーム。歴史に名高い日本刀が付喪神として擬人化されたイケメンの刀剣男士となり、西暦2205年の世界で、歴史の修正を目論む歴史修正主義者と死闘を繰り広げていく。

 情報公開から人気の集中ぶりが激しかった『刀剣乱舞』。2015年1月14日のサービス開始に合わせて、初代サーバー“備前国”と“相模国”がオープンしましたが、これらがわずか6日で陥落。その後、たびたびサーバーが追加されますが、それらも次々と満員に……。
 もっとも息が短かったのが、同年3月10日に追加されたサーバー“備中国”と“豊後国”です。なんと、たった15時間で満員に! これはさすがに早すぎる!


 「お願いだからゲームを始めさせて!」と女性たちは、まだ見ぬイケメン刀剣男士を想い、阿鼻叫喚に。その結果、未使用アカウントがオークションで5000円〜1万8000円という高値で売り出されるまでに至りました……。

 しかし、これはここから始まる伝説の序章にすぎなかったのです……。

【その二】刀剣の関連書籍が次々と重版に。1ヵ月で23万部突破!【伝説レベル★★☆☆☆】

 好きな人のことは、知り尽くしたくなるのが乙女心。そんな審神者たちは出版業界にも衝撃を与えました。

 2014年8月に刊行された『日本刀 妖しい魅力にハマる本』(河出書房新社)の想定読者層はもともと50代男性で、発行部数は10000部と言います。

 ところが……『刀剣乱舞』のサービスが始まるや否や売上が急上昇。それに気づいた出版社が審神者をターゲットにした帯を作成。その結果、95000部の発行と跳ね上がりました。

 同様に新紀元社は、2002年8月に刊行していた『名刀伝』をゲーム配信開始後にSNSで紹介。すると……あれよあれよと売れ始め、発売から13年を経てまさかの重版出来。プレミアム価格の付いた中古書籍の購入を止めるよう、呼びかける事態となりました。

 こうして“出せば売れる”状態になった刀剣本を、不況にあえぐ出版業界が見逃すはずがありません。まさに『刀剣乱舞』特需です。
 2015年1月に発売された『別冊宝島 日本刀』シリーズ第2弾(宝島社)はゲームに登場する刀たちが多数掲載されており、審神者たちの話題に! これらは2014年1月に発売された第1弾と合わせ1ヵ月で23万部を突破半年でシリーズ累計46万部となりました。

(画像は別冊宝島「日本刀」シリーズ累計46万部突破! 読者の半数が女性|株式会社 宝島社のプレスリリースより)

 このちょっとした特需はなぜ引き起こされたのでしょう? 
 サービス開始当初は、まだゲームを意識した刀剣の特別な展示もされておらず、審神者たちは純粋に刀剣情報に渇望していたのでしょう。

 「もっと刀剣について知りたい!」と書店に殺到する審神者を見て、東京・紀伊國屋書店新宿店は粋なポップを作り、模造刀を展示しました。

 しかし、“出せば売れる”という発想で出版された便乗本には、審神者たちも手厳しくあたりました。


(画像は『日本刀列伝』|英和出版より)

 たとえば2015年4月に刊行された『日本刀列伝』(英和出版)は、“山姥切国広(写し)”の銘を誤植。さらに同銘同流派ではあるものの、ある刀を別の刀をとり違えて掲載など……。

 結果、「『日本刀列伝』に誤植・ミスが多すぎて審神者(腐女子)激おこ」とまとめられる騒ぎにまで発展しました。
 後日、英和出版は公式ホームページで誤植のお詫びや写真についての説明を追記しています。

 審神者の知識欲……畏るべし! こうして知識を蓄えた女子たちは、同人活動などに邁進することになります。

【その三】同人誌即売会が“平成の桶狭間の合戦”化!【伝説レベル★★☆☆☆】

 『刀剣乱舞』は同人誌即売会のエピソードも半端じゃなかった!

 2015年5日5日に開催されたオンリー(そのコンテンツだけの)イベント“百刀繚乱~君の心を白刃取り~”(東京ビックサイト/スタジオYOU主催)が伝説を作りました。

(画像は2015年5月5日(火祝)刀剣乱舞オンリーイベント【百刀繚乱 ~君の心を白刃取り~】東京ビッグサイトにて開催!のスクリーンショット)

 作品を扱うユニットのスペースが数百で上々と言われるオンリーイベントで、まさかの4276スペースの出展! これは仮にサークルチケット合計3枚が消費され、一般参加者を10000人と想定すると……参加者数は20000人をゆうに越す計算になります。

 実際に、当日戦場と化したこのイベントは、今川義元軍の兵力20000人(諸説あり)になぞらえて、“平成の桶狭間の戦い”とネット上で名付けられました。

 ところが、約1年後の2016年5月4日に開催された「超閃華の刻25」(東京ビッグサイト/赤ブーブー通信社主催)は、この記録を1000スペース近く更新する、5200スペースという事態に!

 そう、1年でさらにパワーアップしてしまったのです……。審神者は同人活動のリソースとなる妄想力も偉大だったようです。

【その四】幻の刀剣“蛍丸”の復元ファンディングで、あっさり4500万円集まり達成【伝説レベル★★★★☆】

 『刀剣乱舞』に登場する蛍丸は、幼い姿ながら、大太刀を振り回して敵を一掃してくれる心強い存在として、審神者の母性本能をくすぐる愛らしいキャラクターです。

※蛍丸(『刀剣乱舞』)……『刀剣乱舞』に登場する刀剣男士のひとり(大太刀/来派)。来国俊の作。刃こぼれに蛍が集まる夢を見たあと、刀が治っていたという伝説が名前の由来になっている。キャラクターの性格は自由奔放。
(画像は刀剣乱舞-ONLINE- ARTFX J 蛍丸 | フィギュア | KOTOBUKIYAより)

 しかし刀剣としての蛍丸は、戦後のGHQによる刀狩りに差し出されたあと行方不明となり(諸説あり)、現在では姿を伺うことができませんでした。

 ……そう、最近までは!!

 始まりは2015年11月1日、銘刀“蛍丸”復元のため、刀工の福留房幸氏(以下、福留氏)と興梠房興氏クラウドファンディングを開始します。

(画像は蛍丸伝説をもう一度!大太刀復元奉納プロジェクト始動! – FAAVO美濃國のスクリーンショット)

 支援金額ごとに、プロジェクト記念Tシャツや記念DVD、奉納鍛錬参加権などのリワードを受けられるシステムです。これを知った審神者たちは、「愛しの蛍丸が復元する計画に貢献できる!」と狂喜乱舞。

 「んじゃ、派手に投資しますかっと!」……ということで、募集開始からわずか5時間で目標金額550万を達成。これには当の福留氏も驚き、Facebookで「たくさんの御支援ありがとうございます!」と感想を述べています。

(画像はFacebook|福留房幸日本刀鍛錬場 – ホームより)

 このプロジェクトは最終的に総支援者数が3193名、4500万円以上が集まり、達成率はなんと820%に!
 審神者たちの蛍丸への愛は、すさまじかったのです。

 この事件に際し、『刀剣乱舞』の生みの親である株式会社ニトロプラス社長・小坂崇氣(でじたろう)氏もプロジェクトに参加し、最高金額を支援しています。この行動に審神者たちは感涙しました。

 こうして2016年2月に、熊本・阿蘇神社で蛍丸の打初め式が執り行われました。しかし、その2ヵ月後……熊本地震で阿蘇神社が被災。楼門などが大きく倒壊し、蛍丸の奉納先が失われかけたのです。
 ですがその状況下にあっても、復興のシンボルとして蛍丸プロジェクトは進行。結果、蛍丸は600年前の姿に近い形での復元に成功! 2017年6月17日に、同神社に約70年の時を経て再び奉納されました。

 その模様は、2018年2月13日に放送された「高橋英樹×刀鍛冶 伝説の刀“蛍丸”の魅力」(日テレ)でも紹介されています。

 現在も蛍丸復元作業は進められており、刀身以外の拵え(柄や鍔、鞘、下緒【※】など)を制作中。
 さらに、4500万円の支援金の一部は、阿蘇神社復興への寄付金となりました。同時に復元プロジェクトは、資金調達以外にも、全国から蛍丸の資料が集まるという偉業を成し遂げていました。

(画像は高橋英樹×刀鍛冶 伝説の刀“蛍丸”の魅力|日テレNEWS24 のスクリーンショット)

※下緒
刀を帯と結ぶために、鞘に付ける紐のこと。

 何よりこの“蛍丸復元の奇跡”は、伝説の連鎖反応を引き起こすきっかけとなりました。

 そう、審神者たちは気がついたのです。「私達が投資すればさまざまな“刀剣”が復元できるんじゃない?」と……。

【その五】行方不明とされていた“燭台切光忠”発見からの“写し”制作【伝説レベル★★★★★】

 「燭台切光忠が通るところ、審神者が皆萌えて卒倒する」という言葉が過言ではないほど、『刀剣乱舞』の燭台切光忠【※】は絶大な人気を誇っています。

※燭台切光忠(『刀剣乱舞』)……『刀剣乱舞』に登場する刀剣男士のひとり(太刀/長船派)。旧主は伊達政宗。人を斬ったときにそばの燭台まで一緒に切れたため、“燭台切”という名前になった。つねに格好良くあろうと振る舞うキャラクター。。
(画像は刀剣乱舞-ONLINE- ARTFX J 燭台切光忠 | フィギュア | KOTOBUKIYAより)

 2次元ではイケメンのみが許されるだろう燕尾服を華麗に着こなし、意味深な黒手袋と眼帯……。畑当番をさせれば「収穫したら、料理してあげようか」、出陣させれば「かっこよく決めたいよね」とイケメン発言。

 燭台切光忠は、まさにイケメンがイケメンたるゆえんを体現しているキャラクターなのです。

 となれば、審神者の願いはただひとつ、刀の「燭台切光忠に会いたい!」となります。しかし、燭台切光忠は関東大震災で失われたとされており、世間では現存していないとの見解が一般的でした。

 しかし、審神者たちは諦めません。

 『刀剣乱舞』サービス開始から1ヵ月後の2015年2月。
 とある審神者が、関東大震災の『罹災美術品目録』のうち、水戸の徳川侯爵家の項目に燭台切光忠が記載されていることを発見。目録の114ページに“刀剣の全部を焼燬(しょうき)した”と記載されています。

 やはり、燭台切光忠はもう現存しないのか……と心が砕かれそうになるなか、審神者たちにひと筋の希望が見えました。

 水戸・徳川ミュージアムが開催中の展示、“徳川家康公顕彰400年記念「家康公と御三家展」”について同年4月25日にブログを更新したのです。

水戸徳川家伝来の刀剣を調べた書である、武庫刀纂(ぶことうさん)です。

今回の展示では、燭台切光忠の頁を公開中です。

燭台切光忠は関東大震災の際に焼刀となってしまいましたが、

この武庫刀纂には燭台切を写生した図が掲載されています。


(徳川ミュージアムのブログより抜粋 『武庫刀纂』燭台切光忠 「家康公と御三家展」みどころ紹介 その①|徳川ミュージアムのブログ より)

 「あくまで“焼刀”? つまり……現存するかもしれないってこと?」 と徳川ミュージアムへの問い合わせが殺到。サイトのサーバーはダウンしてしまいます。異例の事態にさぞミュージアムも驚いたことでしょう。

 当時、燭台切光忠のように関東大震災で被災した約200振りの刀剣類は、臨時の箱に入れられており、水戸徳川家が未鑑定のまま所蔵していました。その中に燭台切光忠が現存すると断定できない状態だったのです。

 審神者たちにとってヤキモキした状態が続きます。

 徳川ミュージアムも必死の捜索をしてくださったのでしょう。2015年5月2日には、燭台切光忠と同様に焼刀した脇差しを紹介。
 「燭台切光忠の現状もお察しいただけるかと思います」の一文に、審神者たちは“光忠は現存していたんだ……”と察しました。

(画像は徳川光圀所用 焼刀 脇差 銘 国光|徳川ミュージアムのブログ のスクリーンショット)

 続いて5月5日のブログでは「燭台切光忠も展示できるか現在伺い中です」と……。つまり、これでもう燭台切光忠の現存が確定!
 まさに「そのとき歴史が動いた」という状態です。そして、5月17日からミュージアムで燭台切光忠を人数制限付きの限定公開することが決定されました。

 燭台切光忠は関東大震災で蒸し焼きになっていたのです。黒くなった刀身、火災で熔けた金のはばき【※】を纏う姿……。殺傷能力が失せて武器としての、焼けたため美術品としての、双方の価値を失ってしまい、表舞台から姿を消していた燭台切光忠……。

※はばき
刀身が鞘から抜け落ちるのを防ぐために固定している金具部分。

 それでもファンたちは「光忠に逢えてよかった」と感極まり涙を浮かべました。「その後も展示してほしい」との要望を受け、ミュージアムも公開を決定。さらに同年10~12月にかけて羽田空港でも展示され、来場者数は40000人に上りました。

 燭台切光忠の一件で、被災刀はもちろん、刀剣や美術品は「資金調達が難しく、調査や展示が進まない状態にある」という現実を突きつけられた審神者たち。

 ところが、推しキャラに対して一途になってしまうのが乙女心。「ならば支援するぞ!」と、一斉に立ち上がったのです。

 「キャッシュカードはここにあります!」、「銀行口座と暗証番号を提供したい……光忠だもの」などとツイートしながら徳川ミュージアムへ寄付を始めたのです。

 6月25日には徳川ミュージアムはブログにて「燭台切光忠など被災刀へのご寄附について」を掲載。
 被災刀の専門家調査が始まること、調査終了後はそれらは徳川ミュージアムへ寄贈されることが綴られており、寄付金が被災刀などの保存のための諸費用に充てられることが発表されました。

 ここまでの出来事は、『刀剣乱舞』のサービス開始から、たった半年……審神者畏るべし!

 燭台切光忠というひとりのイケメンキャラクターによってここまで事態は動きました。ですがイケメンが世に与える影響はこの程度では終わりません。レジェンド オブ イケメンは、さらに伝説を巻き起こします。

 2016年2月、徳川ミュージアムが「刀剣プロジェクト」を始動させたのです!

 これにより、水戸徳川家の被災刀である児手柏と燭台切光忠を、現在の名匠が新たに制作することが決定しました。“燭台切光忠の写し”【※】──まさに「夢だけど、夢じゃなかった!」状態!

※写し
現存する実物になぞらえて、形状や図柄などを模倣した作品のこと。なお、元になった刀のほうは本歌(本科)と呼ばれる。

 ちょうどこのときは【伝説その四】で紹介した蛍丸の刀身制作が始まる時期だったということもあり、審神者たちは、「光忠も制作されないかな~」と密かに願っていたのです。

 そして復元プロジェクト始動から約2年後となる2018年1月20日。焼刀の燭台切光忠とともに、写しが公開展示されました。

 審神者たちの力で刀剣の現存が判明し、さらには復元まで完了。これはもう歴史的な偉業と呼べるでしょう。

 これらの復元を契機に、続々と復元された刀にまつわるエピソードを以下にまとめました。復元エピソードのあとには、まだまだ恐ろしい伝説が連なります!

2016年10月28日“獅子王”写し制作始動。2018年4月22日に竹田城へ奉納予定。
2016年冬“薬研藤四郎”復元の依頼より始動、2017年夏完成!

2017年11月“宗三左文字”今川義元愛刀時代の復元にむけてプロジェクト開始
“鶴丸国永”写し制作、2018年1月16日藤森神社に奉納

 と、ここまでは『刀剣乱舞』に登場するキャラクターの元となった刀剣の復元や写しの話でした。
 しかし、ついに審神者たちはゲームを超え、“刀剣業界”そのものの支援を始めたのです!

久能山東照宮の修復プロジェクト

 

 2017年12月5日始動の“久能山東照宮の修復プロジェクト”。この場所には、太刀ソハヤノツルキ【※】が収蔵されています。
 しかし、プロジェクトはそのソハヤノツルキが対象ではなく、久能山東照宮が所蔵する、緊急の修復が必要な刀槍十口(10本)に対しての支援。『刀剣乱舞』ともコラボし、支援するとキャラクターのソハヤノツルキのポストカードなどが提供される仕組みです。

※ソハヤノツルキ
徳川家康が所持していた太刀。家康の死後、本人の意向から静岡・久能山に納められる。現在は久能山東照宮博物館に保管されている。『刀剣乱舞』では擬人化され、刀剣男士のひとりとして登場している。

 目標金額の500万円を約6時間後にらくらく突破。2日後には1000万円集まり、最終的に2941万以上の寄付が寄せられました。

 2017年にもなると、審神者たちは刀剣復元&修復の立派な支援者として成長。『刀剣乱舞』に登場するキャラクターでなくとも守る……というまでに、文化財としての刀への愛情を深めていたのです。

 

天下五剣“三日月宗近”の真打ち完成

 

 そして、さまざまな伝説を作ってきた審神者は、ついに天下五剣の宝刀のひとつ“三日月宗近”の復元を見守ることになります。

 三日月宗近【※1】は『刀剣乱舞』でメインキャラクターとして登場。天下五剣【※2】のひとつで、その中でももっとも美しいとされている刀です。さらにゲーム内では超レアキャラ! 審神者たちにとって、三日月宗近を手に入れるまでの道のりは、とても長くたいへんな日々として記憶されているはずです。

※1 三日月宗近(『刀剣乱舞』)……『刀剣乱舞』に登場する刀剣男士のひとり(太刀/三条派)。平安時代の刀工、三条宗近作の太刀がベースとなっている、平安貴族風の出で立ちをした、究極のマイペースキャラクター。歴史的に古い刀にあたるため、自分のことを“じじぃ”と呼んでいる。
(画像は1/8スケールフィギュア「三日月宗近」特集ページ | オランジュ・ルージュのスクリーンショット)

※2 天下五剣
日本刀の中でもとくに傑作と言われ、天下に知られた名刀のこと。童子切安綱、鬼丸国綱、三日月宗近、大典太光世、数珠丸恒次の五振を指す。

 刀剣としての三日月宗近は、東京国立博物館に所蔵されていますが、長い年月のあいだに刀身はすっかりすり減っていました。そこでついに……ゲーム原作のニトロプラスが「三日月宗近 生ぶ復元プロジェクト」 として制作へと動いたのです。

 この発表に、審神者たちはどよめきました。なぜなら、当時の技術のほとんどが失われているため、三日月宗近の復元は不可能だと長らく言われていたからです。しかし、時代が進むにつれ当時の技法がだんだんと解き明かされ……。

 まずは試作品にあたる“影”【※】を作刀。2017年1月6日に池袋サンシャインシティで開催された“刀剣乱舞-本丸博-”でお披露目展示されました。

※影
神社に奉納する刀は複数打たれることが多く、数本打った刀の中でいちばん出来の良い品を“真打”、残りの刀を“影”と呼ぶ。

 この“影”を経てプロジェクト始動から1年あまり経った後の2月17日、真打完成の報告が審神者たちに届きました。
 さらに、その翌日から開催されるワンダーフェスティバルのニトロプラスブースでお披露目されたのです。

 ワンダーフェスティバルでは“復元 三日月宗近 真打”だけでなく、“太刀 銘 包平”“太刀 銘 備前国長船住長光”“小竜影光(写し)”“短刀 銘 長谷部国重”“短刀 銘 村正”など七振が展示されたのです。

(画像はニトロプラス|ワンダーフェスティバル2018[冬]出展情報のスクリーンショット)

 「ありがとうございます……、ありがとうございます……」
 審神者たちは、神を崇めるかのように……三日月宗近の姿を堪能しました。

 ここまで、審神者たちの刀剣に対する愛情がさまざまな事態を動かしてきた例を見てきました。後半もご覧いただければ、審神者たちの愛がどれだけ強く、惜しみなく、そして無尽蔵なものであるか御理解いただけるのではないでしょうか。

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