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狂気を感じるゲーム「カラーコードかるた」の制作者に聞く 「次は本当の狂気を見せてやりますよ」

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 「狂気を感じる」「発想がハイレベルすぎる」――。あるカードゲームがネット上で話題となっている。

 Webページ上で色を指定するための6桁の「カラーコード」を読み札にしてかるたを行うカードゲーム、その名も『COLOR CODE』。「#FF0000」「#808000」といったコードを読み上げ、対応する色をいかに素早く取れるかを競う。

カラーコードを読み上げて色を取る『COLOR CODE』。(遊戯部すずき組ホームページより)

  思わず「なぜそれをかるたにしようと思ったの!?」と反応してしまう、遊び心に溢れたゲームだ。12月11日に開かれたアナログゲーム国内最大の祭典「ゲームマーケット2016秋」にて拡張版も発売され、さらに難易度と面白さが増したこのゲーム。

 どんなきっかけで思いつき、どんな思いが込められているのだろうか。制作者の「遊戯部すずき組」@suzukigume)に話を聞いてみた。


――「カラーコードかるた」、評判はいかがですか?

遊戯部すずき組(以下、すずき組):
 たくさんの人が面白がってくれて、とにかく嬉しいです。「狂気」といろいろな人に紹介してもらったので、期待に応えるべく、次の拡張版では本当の狂気を見せてやろうかと思います。

――どういうところが受けたと思いますか?

すずき組:
 「コードを読んで色を取る」という分かりやすいルールと、カラーコードという「知っている人は知っている」題材でしょうか。学ぶ意欲を引き出すゲームを作ろうと真面目に作ったら、なぜかバカゲーになったのですが(笑)、評判になったことでカラーコードについて再学習してくださった方もいて、「よっしゃ!」という感じです。

狂気を感じるゲーム「カラーコードかるた」の制作者に聞く 「次は本当の狂気を見せてやりますよ」_001
説明書もシュール。(画像は遊戯部すずき組ホームページより)


――制作で苦労したことを教えてください。

すずき組:
 光の色をインクの色で表現するのは至難の技です。#FF00FF(フリージア)と#00FF00(ライム)の2枚は、カッティングシートを自分で切り出して、なんとか蛍光色に見えるように頑張りました。フリージアは水色の上に透明のピンクを張り合わせて作った力作です。第二版では発色の良い印刷になったので、シールはなくなりましたが。

(画像はゲームマーケット公式サイトより)

――累計でどのくらい売れているのでしょうか。

すずき組:
 実は100個ちょっとしか売れてません。カードを箱詰めして、説明書を折って入れて、などを全部手作業でやっていますので、すぐには作れません。

 失敗したものを含めると、現在の赤字は40万くらいです(笑)。でも趣味にお金をかけるってこんなもんですよね……。

狂気を感じるゲーム「カラーコードかるた」の制作者に聞く 「次は本当の狂気を見せてやりますよ」_002
(画像はゲームマーケット公式サイトより

すずき組:
 「楽しくプログラミングやネットワークに関する知識が身につく、知的好奇心を育成するゲーム開発を目指す」ことを目標に掲げています。

 デジタルな知識をアナログゲームで感じることで、関心を持ち、好きなことが増え、楽しく生きる人が増えてくれればいいなと思っています。ゲームには何かを学びたいという意欲を持たせる力があることに、強い可能性を感じています。

――どのように遊んでほしいですか?

すずき組:
 遊び方を自分で考えてるときの方が面白いってことありますよね。なのでルールはかなりシンプルにしてます。カードに書いてあるカラーコードを消してハードモードで遊ぶ人、神経衰弱で遊び始める人などなど、面白い遊び方をしてくれる人がたくさんいて嬉しいです。

 説明書なんて飾りですよ。自由に遊んでください。

――今後の構想について教えてください。

すずき組:
 今回のゲームマーケットでの売り上げを投入して、基数変換をモチーフにしたボードゲーム「3 Bit Robot World G」(仮称)を開発予定です。どんなゲームかはまだ内緒ですが、0や1を集めて基数変換して16進数のカラーコードを作るゲームにする予定です。

 「カラーコードって抵抗器のじゃないのか」という反応を見て、ネタにマジレスしようと思い、抵抗器のカラーコードを使ったゲームを作ろうと思っています。 他にも「この程度なら余裕」といった反応が結構あったので、エンジニア向けすぎて没になった案から新作も作っていきたいです。

カラーコードで抵抗値を示す抵抗器。(画像はWikipediaより)

 色弱を持つ方にも配慮しようと、拡張版では紋を入れて色を想像できるようにしましたが、もう印刷してしまっていた本体にはつけられていません。今後の開発ゲームでは気をつけていきたいと思っています。年2回のゲームマーケットで新作を出すことを目標にしています。

伝統色を採用した拡張版では紋を入れた。(画像は遊戯部すずき組ホームページより)

――「遊戯部すずき組」について教えてください。

「AHA」と「MooMoo-ya」の2人組。(遊戯部すずき組ホームページより)

すずき組:
 「AHA」と「MooMoo-ya」の2人組でやっています。AHAはプログラマー、企画、営業など職業をコロコロ変えて転々としています。2016年春のゲームマーケットからアナログゲームを作るようになりました。「桃太郎電鉄」シリーズが好きで、そこから旅好き、写真好きになりました。

 MooMoo-yaはITエンジニアとして10年以上業界に携わっています。小学生の頃につたない自作ゲームを作ったりテーブルトークRPGにハマったりし、中学では『マジック:ザ・ギャザリング』にどハマりして公式大会にも参加していました。

――他のゲームについても教えてください。

すずき組:
 今回のゲームマーケットで発売した新作が、IT業界のブラックな部分を風刺したカードゲーム『Fat Project』です。

クライアントからの無理難題に応えすぎると赤字案件だが、要求を無視すると仕事がなくなる。(画像は遊戯部すずき組ホームページより)

 最近流行りの「社畜系」「ブラック企業系」のゲームというよりは、要件定義、システム入札、リスクマネジメントといった要素をシンプルにまとめたいと思って制作しました。なので「過労死 Karoshi」のカードを入れるか悩みましたが、「日本の恥だし、なくしていきたい」という気持ちから入れることにしました。

――ゲームを作り始めたきっかけは何ですか?

すずき組:
 2015年秋のゲームマーケットで、ばねゲー部(仮)さん制作の『まいごねこ』を買ったことです。個人で作ったゲームだと聞いて、こんな本格的なゲームが個人で作れるのかと驚いたことから、自分でも作りたいと思うようになりました。

『まいごねこ』。プレイヤーは迷子の子ネコになり、見知らぬ街を巡りながら、記憶をたよりに家を見つけ出す。(画像は公式ページより)

――アナログゲームについてこうなったらいいな、ということはありますか?

すずき組:
 アナログゲームのレンタル屋さんが増えると嬉しいです。『COLOR CODE』は個人の趣味で作ったゲームなので、委託販売先もなかなか見つからず、数量もそんなに作れない状態で、「遊んでみたい」と言ってくださった方が遊べない状況になってしまいました。「試しに借りて、遊んでみる」が手軽にできるといいなと思います。

 あとは100〜300部程度のアナログゲームに対応してくれる印刷業者が増えるとすごく助かります。カードゲームについては比較的対応してくれるのですが、ボードゲームらしい貼り箱の少部数のメニューをWebサイトなどで提示してくれる業者が増えると嬉しいな、と思っています。

――ありがとうございました。今後の新作も楽しみにしています!

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