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勝間和代が若きトランプ氏に挑む――ボードゲームから学ぶ「お金ほど人間を幸せにするものはない」

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現実の不動産投資とリンクするリアルさ

――プレイしてみていかがでしたか?

勝間氏:
 ゲームとしてとてもよくできていると思います。資産価値や収益率を把握した上で、入札にいくらまで出せるか判断するのがシビアですね。人間って自分に余裕があればちょっとした失敗も許容できるんですが、余裕がなくなるとリスクを取りにいけなくなるんですよね。ただあまり多額の資金を投入すると破産するので、そのバランスですね。

――まさに現実の投資とリンクしているわけですね。

勝間氏:
 「トランプカード」という資源がわりと平等に手に入る中で、いかに目的を設定してそれに集中できるかが問われています。あと儲かっている人の足を引っ張ることもできるので、それも現実に近いかもしれないですね。

――なるほど。ゲーム性はどうですか?

勝間氏:
 「トランプカード」の使い方がこのゲームのキモだということはすぐ分かりました。とにかくどんどんカードを使っていこうと。カードや資産を人に奪われる可能性があるので、その前に使わないといけないですからね。3回くらいやればカードの種類も記憶できるし、勝ちパターンが見えてくると思いますよ。5回もやれば必勝法覚えちゃうと思う。

勝間和代が若きトランプ氏に挑む――ボードゲームから学ぶ「お金ほど人間を幸せにするものはない」_002

――そこまで見えるのはさすがです。

勝間氏:
 日本でよく見る人生ゲームには交渉の余地があまりないですけど、一方で「トランプ・ザ・ゲーム」は交渉が上手なら誰でも勝てるようになってます。粘り強く交渉を続けた人が勝つ。いいゲームだと思います。
 自分が有利な立場でも、交渉でふっかけると恨みを買って、次回から自分と交渉してくれなくなっちゃいます。まさに世の中の仕組みのまんまですね。トランプさんは「Fair」という言葉が好きなんですよ。彼はまさに取引でのし上がってきた人ですよね。フェアじゃないと次から取引をしてくれなくなるんですよ。

――フェアであって初めて交渉が成立すると。

勝間氏:
 そういうところがトランプさんらしいゲームですね。不動産って株と違って短期間で倍になったりしないんですよ。年間10%も儲かれば上々です。そんなに急に儲かるわけじゃないんです。不動産やってる人は株とぜんぜん発想が違います。

――トランプ氏もまさに実需を重視してきた人ですからね。

勝間氏:
 昔ラスベガスでトランプホテルに泊まったことがあるんですよ。立派だけど他のホテルより割安なんです。中心街から少し外れたところにあって。そういうところからも商売人としての彼の姿が見えてきますよね。

64階建ての「トランプ・ホテル・ラスベガス」。いかにも豪華なつくりだが意外とお安いとのこと(画像はWikipediaより)。

――それは意外でした。

勝間氏:
 儲かっていない会社の特徴として、自社ビルが都心のど真ん中でやたらと立派というのがあります。どことは言わないですけど。自社ビルをどこに置こうと収益性にはそんなに違いがないですからね。米国の大企業の本社は意外と田舎にあったりします。日本でもこういうゲームを子供の頃からやっていれば、交渉や資産価値についての理解が深まるんじゃないかと思います。

「お金ほど人間を幸せにするものはない」

――日本では子供向けにお金の教育をあまりしませんもんね。

勝間氏:
 馬鹿らしいですよね。お金ほど人間を幸せにするものはないんですから。『欠乏の行動経済学』という本がありますが、人間はお金がないと正常な判断ができなくなってしまうんですよ。目の前の出費のために借金を重ねてしまったり。心が狭くなって、IQまで下がってしまう。

いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』(早川書房、2015)。最新の行動経済学の理論を紹介している。

――お金の使い方がうまいと人生が豊かになりますよね。以前勝間さんが「家事は外注サービスに任せている」とおっしゃっていたのが印象的でした。

勝間氏:
 私、実は最近家事の外注サービス頼むのやめたんですよ。掃除や調理の家電があまりにも便利になりすぎたので。最新の「ヘルシオ」は10万円以上しますけど、音声認識で会話もできるし何から何までやってくれますからね。そういうところを意識するかしないかで生活の質はだいぶ変わってくると思います。

――このゲームではトランプカードや資産を奪われる可能性があるのが面白いところですが、現実でも予想外のリスクはありますよね。

勝間氏:
 私、コインパーキングを2ヶ所持っているんですけど、1ヶ所はもう何回もフェンスを破られて、その修理費で1ヶ月分くらいの利益が飛んじゃうんですよ……。もう1ヶ所は毎月1万円くらいずーっと赤字で、閉鎖するのもお金がかかるので結局放っておいてるんですけど。現地を見に行ったら裏に大きな飲食店があって、そこの駐車場に停め放題なんですよ。こりゃみんな停めないよなーって。あの店どこかに行ってくれないかな、なんて思ったりして(笑)。

ボードゲームカフェへの投資は……?

――不動産投資は変数が多いから難しそうですよね。

勝間氏:
 実はこのボードゲームカフェも内装費をかけすぎちゃったんですよ。ボードゲームカフェという業態だと客単価が安すぎて、ぜんぜん回収できないんだなって作ってから気づきました(笑)。やっぱり実際に投資してみないと分からないことばかりですね。たとえば観葉植物って意外と高くて、おしゃれには一役買ってるんですけど、こんなにすると思いませんでした。

――ゲームはどのくらいあるんですか?

勝間氏:
 数十種類はありますね。うちで買ったもののほかに、お客さんが結構置いていってくれるんですよ。家に置いておくと奥さんに怒られるから(笑)。ここに来れば自分のボードゲームが遊べるぞと、そういうのも多いですね。

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店内には古今東西のボードゲームが揃う。

――お値段はどのくらいですか?

勝間氏:
 使い放題コースでたったの月5400円です。なのでサードスペースとして仕事をしに来るサラリーマンの方もいたりします。

――特に好きなボードゲームはありますか?

勝間氏:
 「カタン」ですね。戦略4割・交渉4割・運2割くらいで、最適なバランスだと思います。ルールを覚えれば簡単に勝てたり、あるいは運の要素が強すぎたりすると面白くなくなってしまいます。

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――そのバランスこそがボードゲームの要点というわけですね。

勝間氏:
 この「トランプ・ザ・ゲーム」もそれと同じくらいの配分なので、よくできていると思います。やればやるほど現実に生かせると思いますよ。ゲームって現実の表象ですから。いかにウィンウィンの交渉を素早く見つけられるかの目が養われると思います。

――このカフェの名前も「ウィンウィン」ですものね。ありがとうございました!

 

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「トランプ・ザ・ゲーム」オリジナル日本語訳(PDF、全13P)。遊ぶ機会があったらぜひプリントアウトして活用してほしい。
プロフィール
電ファミニコゲーマー編集部員。映画を観るのとアナログゲームをするのが好き。最近はチリ映画とアンドールの伝説推し。
Twitter:@_k18

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