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KADOKAWA、2025年3月期通期決算を発表。昨夏に発生したサイバー攻撃の影響で国内紙書籍とWebサービス部門が打撃を受けるも、『エルデンリング』などがゲーム事業をけん引

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KADOKAWAは5月8日、2025年3月期通期決算を公表。売上高は前年比で7.7%増の2779億円、営業利益は9.8%減の167億円となったことが明らかとなった。

昨夏に発生した大規模サイバー攻撃の影響が大きく、売上高で83億円、営業利益で47億円のマイナスを計上。純利益も同攻撃関連の特別損失24億円などが響き、前期比35.1%減の74億円に落ち込んだ。

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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)
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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)

サイバー攻撃の被害は、とりわけ国内紙書籍(▲36.5億円)とニコニコを中心とするWebサービス(▲39.5億円)に集中。また、ニコニコのクリエイターへの補償や、復旧関連費用として特別損失24億円を計上している。

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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)

サイバー攻撃に関する対応として、同社は都度全取締役で経緯と対応方針を共有し経営判断を実施。法的問題については社外弁護士の意見書も取得して判断したほか、監査法人にも説明を尽くして適正意見を取得しているという。

また外部の大手セキュリティ企業と連携し、「各種サーバ再構築や監視強化等のシステム面でのセキュリティ対応強化」「迷惑メール訓練やコンプライアンステストの中で情報セキュリティに焦点を当てるなど社員教育を実施」など、対策面を強化。監査法人からも「ガバナンス上の問題なし」との適正意見を取得したとしている。

ほか、2024年11月の公正取引委員会による下請法勧告への対応についても発表。遡っての差額支払いや今後の適正な対応の実施などについて報告している。

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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)
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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)

ゲーム事業は売上高335億円(前年比+32.5%)、営業利益95億円(+20.0%)と高成長を実現。牽引役は本編発売から2年目に入った『エルデンリング』と2024年3月リリースのDLC「Shadow of the Erdtree」で、ロイヤリティ収入が前年比+243%に跳ね上がったほか、3月末時点で累計販売本数は3000万本を突破した。

また、4Qでは『エルデンリング』にくわえ、スパイク・チュンソフトが受託開発した『ドラゴンボール Sparking! ZERO』の販売好調により、ロイヤリティ受領等で増収となっている。

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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)
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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)

今後の期待タイトルとしては、フロム・ソフトウェアから『エルデンリング』のスピンオフタイトルとなる『エルデンリング ナイトレイン』(5月30日発売)、およびNintendo Switch 2向け『ELDEN RING Tarnished Edition』(2025年発売)をリリース予定。

また、Nintendo Switch 2向け完全新作『The Duskbloods(ダスクブラッド)』が2026年に発売予定。フロム・ソフトウェアでは、自社パブリッシングの範囲拡大に向けたスキーム整備や、継続的なゲームIP創出に向けたより強固な開発体制の構築が進捗中とのことだ。

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(画像はKADOKAWA「2025年3月期 通期決算説明資料」より)

今後のKADOKAWAのゲーム事業戦略として、ゲームIPの創出力強化と出版・アニメIPのゲーム化促進を進め、ゲームIPの展開拡大・パブリッシング力の強化につなげて、継続成長と収益性向上を目指すという。

ライター
物心ついたころからFFとドラクエと共に育ち、The Elder Scrolls IV: オブリビオンで洋ゲーの沼にハマる。 ゲームのやりすぎでセミより長い地下生活を送っていたが、最近社会にリスポーンした。 ローグライクTCG「Slay the Spire」の有志翻訳者。
Twitter:@Gre_zzz

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