KONAMIのアーケードゲーム『麻雀ファイトガール』をずっとやっている。
“ずっと” と言ってもまだ2周年とかそこらのゲームで、そのうち1.5年くらい遊んだだけなんだけども……。
さらにまあ、ゲーム内容自体は要するに麻雀です。

いま、ネット麻雀ならスマホで『雀魂』をやればそれで充分だろうに、なぜわざわざ、ゲーセンまで行って1回100円払って『麻雀ファイトガール』をやってるかというと……。
このゲームの「キャラクター造形」に心底惚れ込んでいるからなのです。

と、こんな書き出しをするとおそらく皆さんは「やっぱりキャラかよ! このすけべ野郎!」などと好き放題言ってくることであろう。そしてそれは実際否定できないところである。
私は「『麻雀ファイトガール』はド健全なゲームです」とは口が裂けても言えない。全キャラクターに水着が用意されているだけならまあ別におかしなことではないだろうが、このゲームは恐ろしいことに全キャラクターにバニーガールコスチュームが用意されている。
けしからんな……
お前コレはさすがに目のやり場に困るだろうが!!!!
麻雀とバニーガール1mmも関係ねえだろ!!!!
すいません。『麻雀ファイトガール』はいささか “主張” が激しいゲームです。
でもっ、でも違うんですよ! それだけじゃないんですよ!

いや、いやでもこれっていま「全部」そうか。
『アズールレーン』だって『勝利の女神:NIKKE』だって『ブラウンダスト』だって、キャラクターの “主張” が激しいだけじゃないもんな。だからこの弁明は、あまり意味がないのかもしれない。
でも、聞いて下さい。私の話を。『麻雀ファイトガール』についてすごく感心してるところがあるんで、今日はその話をしにここまでやってきたんです。
麻雀ファイトガールのキャラクターたちって “モチーフからの発展がすごく巧み” で、おもしろいんですよ!
忠犬気質の「タテナオリ・セン」

例えば彼女。サービス開始時からいるキャラクターの「タテナオリ・セン」です。麻雀ファイトガールのキャラクターたちはみんな麻雀の「役」をモチーフにしていて、センちゃんの場合は「リーチ」をモチーフにしています。
うん……?
立直(タテナオリ)……千(セン)……?
あ!!!
「立直」は「千」点だからってコト!?
すごい。このネーミングやばくないですか。
ほかにも体中にアクセサリーとして千点棒があしらわれてるのもおもしろいし、あとクセっ毛キャラなんですね。これもなぜかと言うと、リーチって聴牌(てんぱい)→天パ→クセっ毛という連想ゲームの果てに生まれた造形だと思うんです。性格設定もまたいいんですよ。

リーチって、やったらもうどんなに危険牌でもツモ切りして突き進んでいくしかないじゃないですか。おそらくそれを反映してセンちゃんは、「すごく弱気ですぐテンパる(これも聴牌から来ていると思われる)けど、怖がりながらもゴールを見据えたら一直線にそこに向かっていくしかない」という性格になってるんですね。
また、デザインモチーフやそういう内面について「犬っぽさ」が盛り込まれていて、これも「リーチは待つことしかできない→忠犬」という連想から生まれているようです。
いや……すごくないッスか!?
「リーチ」というありふれた概念からここまで広げてキャラクターを作ることができるって……おもしろすぎる!
ぽっちゃり堕天使の「ダブリエル」

先日実装され、そのあまりに挑戦的なキャラクターデザインで話題になった「ダブリエル」もやはりおもしろくて……。
まず彼女のモチーフは「ダブルリーチ」、いわゆるダブリー。ダブリーだから留年していて……あとぽっちゃり!!
名前は当然「ガブリエル」と合体させてるので、天使キャラ!

さらにダブリーは開幕からマジでなにもせずにただツモ切りしていくだけなので怠惰キャラにもなっています。体型ともシナジーがある。

この時点でもかなりおもしろいのですが、私が感心したのは彼女が「堕天使」ということなんですよ。最初は「なんでだろう?」って思ったの。だってガブリエルって堕天使じゃなくない? ルシファーがモチーフならわかるけど……。
よくよく考えると『麻雀ファイトガール』にはすでに天使キャラがいるんですね。「アマト・テンシ」というキャラです。

彼女のモチーフはなにかと言うと「天和」なんですよ!
天和だから天使で、配牌されただけでアガってる役なので、超絶運がいいというキャラ付けになっています。
……あっ!
だからかッッ!
ダブリーは、「配牌時から聴牌」という時点で運がいい役に見えるけど、実際は「天和のなり損ない」なんだッ!
天使のなり損ないだから堕天使なのかッッッッ!!!!!!!!

膝を打った。
ほんとに全キャラがこんな感じで、連想ゲーム連想ゲームで作られていてめちゃくちゃおもしろいんですよ。
感心感心大感心すぎる。
モチーフからの発展が、巧みすぎる!!
私もこう、いやしくも漫画家の端くれでもありまして(キチンとした形の連載はまだできてないし単行本も出したことないので大手を振って名乗ることにおこがましさは覚えるのですが)キャラクターデザインに苦慮することはよくあります。
「なんとなく、こういう外見のキャラクターを作りたいけど、なにを頼りにして考えればいいんだろう」
であったり、逆に
「外見のイメージは完全にできてるし、こいつに担ってほしい役割も考えてあるけど、こいつの性格や生き方ってどういうものなんだろう」
と悩むことはよくあります。そこで「あ、これまで出会った人をモチーフにしよう」とか「ぜんぜん関係ないキャラクターや要素をモチーフにして人間に置き換えて考えてみよう」という考え方でうまいことハマったり、結局そのあたりが思いつかなくて、「うまくいかずにふわっとしちゃったなあ」と後悔することもあります。
そういうキャラクター造形の難しさを日々味わっている身からすると、『麻雀ファイトガール』が「麻雀の役」という、人格がなく、ただのルールでしかない、数字でしかない無機質な概念に文脈を見出して血肉の通ったキャラクターとして見事に昇華しているのが痛快でしょうがないんですよ。
絵や演出が大好きなのは言うまでもないんですが、このゲームでいちばん好きで、尊敬しているのはまさにここです。どうやら最近はプレイヤーがさらに増えているようで増台に次ぐ増台で私はものすごくうれしい!
本当に素敵なゲームなので、ぜひ遊んでみてほしいです。そんじゃ。