ニコニコ動画に投稿された「日本一周RTA」に注目が集まっている。普段はゲームの動画を投稿しているRTA走者・ぎぬさん(@yamabukiginu)による前代未聞のRTAの記録は「74時間37分50秒」。つまり約3日だ。
約34分の動画は全2パートに分かれている。47都道府県を最速で巡るチャートがどのように組まれているか、見どころも含めて紹介したい。
本RTAにおける日本一周の定義は「47都道府県すべてを廻ること」。徒歩はもちろん、地上を走る公共の移動手段を用いる場合は「通過」も到達とみなしている。
一方で飛行機やフェリーなどの陸を経由しない移動手段は、出発と到着を行った都道府県のみ到達扱いになるとのこと。ただし、フェリーは大幅な時間ロスになるため、今回のRTAでは利用していないようだ。

レンタカーなど自分で運転する移動手段は利用禁止。本RTAの性質上、睡眠不足の状態に陥りやすいため、安全を考慮したと理由を明かしている。
なお、あらゆる交通が稼働していない深夜に宿泊を行っているものの、宿泊中もタイマーが止まることはない。就寝は深夜~早朝の僅か数時間の間に行っており、本RTAの過酷さが動画から伝わってくる。

投稿者によると、到達地域を一気に増やすにあたって最も重要な移動手段は「新幹線」だ。複数の都道府県を爆速で通過するため、仮にルートが新しく開通された場合は大幅な記録更新も期待できるという。
事実、本動画の大半が新幹線の乗車中もしくは乗り降りの光景で構成されており、記録に大きく貢献しているのは間違いないだろう。

一方で投稿者が「このRTAで一番の問題児」と評する宮崎県は、新幹線が通っていないという点で難関と化している。さらに宮崎県は陸路の交通機関に乏しいという追い打ちもあり、チャート構築の難易度が高いようだ。
RTA開始早々、7時間弱で4県のみ到達という先が心配になる事態に、視聴者からは「さすが陸の孤島」「どげんかしろ」などのコメントが宮崎県に寄せられている。
(画像は「【RTA】日本一周RTA 74時間37分50秒 part1/2」より)
独自の視点で行われる各地の風景や名所の紹介も本動画の見どころ。特にゲーム『筋肉番付』シリーズのRTAに挑戦してきた投稿者による「世界最古の自作SASUKEセット(兵庫県)」の解説は要注目だ。
一方、最速で移動を行わないといけないRTAのため、車窓から眺める風景以外に観光を満喫できたとは言い難く、投稿者は「単純に日本一周目的でRTAをするのは絶対にオススメできない」と述べている。
(画像は「【RTA】日本一周RTA 74時間37分50秒 part2/2」より)
とはいえ、RTA中の僅かな時間で楽しんでいる各地のグルメが空腹感を刺激する。各都道府県に住む視聴者のコメントからも、普段は知ることがない各地のグルメ比較といった知見を得ることが可能。
「各地のグルメは東京でお金を出せば食べられる」としているものの、現地でしか楽しめない味や空気は確かに存在するかもしれない。今回のRTAでは味わう時間が限られているものの、投稿者の食レポ力も合わさって今すぐにでも旅行に行きたくなる動画だ。

カードゲームのデッキのようになってしまった大量の切符も含めて、通常の国内旅行では中々見れない光景が楽しめる本RTAだが、恐ろしいことに「最速で日本一周する」という括りであれば先駆者は既に存在するという。
今回は普段からゲームの動画を投稿している投稿者が、RTA走者としてレギュレーションを先駆者から踏襲する形で設定し、日本一周の最速チャートを組んだ場合はどうなるかという点で興味深い動画だ。
本記事で紹介しきれなかったスポットや演出なども含めて、リアル「RTA in Japan」とも呼ばれている挑戦の一部始終を是非ご覧いただきたい。