仮想世界でアバター即売会、VRChatで開催された『バーチャルマーケット』が試着もできて凄い

 凄い時代がやってきた。3Dアバターを身にまとい、世界中のユーザーと交流することができるVRSNS「VRChat」にて、3Dアバター・3Dモデル展示即売会が開催されたのだ。

 イベントの名は『バーチャルマーケット』。8月26日に実施されたこのイベントは、VR法人HIKKYのメンバーであり、VTuber/Virtual-tainerとして活躍中の“動く城のフィオ氏”主催で、なんと80サークル、2企業が出展した。

西館に東館まで!試着もできる『バーチャルマーケット』会場が凄い

 「VRChat」ではユーザーがWorldと呼ばれる仮想空間を制作することができるが、『バーチャルマーケット』では専用のWorldが作られ、各サークル・企業のブースを配置。

 コミケのように西館と東館の2会場があり、それぞれの会場へはワープポイントで瞬間的に移動することができる。

 このイベントの素晴らしいところは、ただ“見て終わり”ではないところだ。気になったアバターがあれば、全てではないがクリックすることで“試着(自分のアバターが変化する)”ができることだ。

 もちろん鏡も用意されており、試着した自分の姿を確認することができる。そして気に入れば、ブールに貼られているQRコードから購入ページに飛ぶことができる。

 アバター以外にも服や武器、さらにはメロンパンまで展示されており、それらを手に取って鏡の前でポーズを取ることも可能。つまり「このアバターを身にまとって、この武器を手に持って、こんなポーズを取るのはどうだろうか」ということをすぐに確認できるのだ。
 なお、一部3Dモデルにはモーションも搭載されており、モデルとモーションをセットで購入することができる。

 アバターの価格に関しては、おおよそ500円~3000円と手に取りやすい価格帯。また本イベントでは、アートディレクターさわえみか氏と漫画『メイドインアビス』のつくしあきひと氏がたちあげた「モクリプロジェクト」から、つくし氏がデザインした「レッサーモクリ」というキャラクターのアバターが無料で配布されていた。

 この「レッサーモクリ」はHIKKYのVチューバ―「モクリ」によく似たふわふわの生き物で、同社のブースでは「モクリ」、「ノイノイ」、「レッサーモクリ」という3体の3Dモデル、そして資料が展示。

 『バーチャルマーケット』は仮想空間で行われているため、ブース内装の自由度は非常に高いようだ。

『バーチャルマーケット』が与えたもの

 『バーチャルマーケット』は「仮想空間で活躍するクリエイターを繋げる場所作り」というポリシーを元に、企画・運営されており、その役割は十分に果たしていたように思える。だがそれ以上に今回のイベントは、「VRChat」の普及と安全性にも一役買っているのではないだろうか。

 今回は企業が入っている関係もあるが、しっかりと企画、運営、宣伝がされており、事前告知や当日に生放送を実施するなど、「VRChat」と『バーチャルマーケット』を盛り上げようと言う意思が伝わった。
 そして何より驚いたのが、我々メディアに対する対応だ。というのも、実際に運営側と連絡を取り、『バーチャルマーケット』の会場──つまりWorldにアクセスすると、そこはメディアと関係者向けに用意された専用のWorldで、運営スタッフの方がわざわざ会場を説明しながら案内してくれたのだ。たとえばこれが、「東京ゲームショウ」のようなイベントだった場合、ビジネスデイというメディアや業界人向けの期間が設定されているのだが、会場がバーチャルであるならば、このようにミラー会場を用意することができる、ということのようだ。こういった取材対応は大変ありがたく、今回のような取材環境の提供は、イベント後の広まり方に大きく影響を及ぼすだろう。

 そして安全性の部分だが、現在「VRChat」では、不正アバターの利用が問題視されている。自作したアバターであれば問題はないが、例えば規約を無視して3Dモデルを使用したり、無断改変したり、さらには人のアバターを盗用したり、ゲームから3Dデータをぶっこ抜いているパターンもある。

 だが『バーチャルマーケット』で展示されている3Dモデルたちは、「VRChat」で問題なく使用できるものであり、商業利用は可能か、改変は大丈夫か、といった規約もしっかりと明記されている。
 「VRChat」プレイヤーの中には、どのアバターがダメで、どのアバターがOKなのかがわからないというユーザーもいるため、このような機会は大変意味があり、正規アバターを広めるいいきっかけになったのではないだろうか。

 なお、『バーチャルマーケット』のWorldは今後パブリック化される予定だ。こういった取り組みがさらに広まれば、「VRChat」内で実物を確認し、そのまま購入するという文化が定着するかもしれない。

取材・文/クリモトコウダイ

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 現在、「VRChat」というVRSNS上でさまざまなことが起こっている。夏ということで8月にはVR花火大会が開催されたり、ユーザーどうしのVR結婚式が開かれたり、広大なVR世界を冒険する探検隊が活動していたり、VRアスレチック大会やVRクイズ王決定戦なども開催されている。

 驚くべきことに、これらはいずれもユーザー主導のイベントである。彼らの活動をSNSで見るだけでワクワクしてしまうが、いざ自分がその世界に入り込むとなると、いったいどんな世界が待っており、どんな体験をすることができるのだろう。
 またそこで生きる人々はどのような人間なのだろうか。

 ゲームストリーマー赤野工作氏による「特集:漂流する現代日本、仮想現実は労働者の居場所となりうるか」をご覧頂きたい。(編集部)

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取材・文
新聞配達中にトラックに跳ね飛ばされたことがきっかけで編集者になる。過去に「ロックマンエグゼ 15周年特別スタッフ座談会」「マフィア梶田がフリーライターになるまでの軌跡」などを担当し、2017年4月より電ファミニコゲーマー編集部のメンバーに。ゲームと同じぐらいアニメや漫画も好き。
Twitter:@ed_koudai
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