90年代までのコンピューターゲームのコミュニティを追ったドキュメンタリー書籍「ダンジョンズ&ドリーマーズ」がpdfで無償公開。公開した平松氏は第二版の翻訳にも意欲

 90年代ごろまでのコンピューターゲームを中心にした、クリエイターの活動だけでなくゲームファンを含んだコミュニティ全体の活動を記したドキュメンタリー「ダンジョンズ&ドリーマーズ」(Dungeons & Dreamers)が、日本語版の翻訳者である平松徹氏の手で無料で公開された。
 現在はBoothでのみ配布されており、希望する人は100円をカンパすることもできるようになっている。

 Boothは無料、有料にかかわらずIDの登録が必要となるが、後日カーネギーメロン大学の出版局であるETC Pressでもホスティングされる予定なので、ID登録が面倒な人はそちらで公開されるまで待つといいだろう。

 「Dungeons & Dreamers」はブラッド・キング氏とジョン・ボーランド氏によって2003年に発行され、2004年には平松氏が翻訳した「ダンジョンズ&ドリーマーズ」が日本でも発行された。2014年には第二版となる「Dungeons & Dreamers: A Story of How Computer Games Created a Global」が発行されている。

 電子書籍化にあたり、本書に関わった人々の2018年現在の近況や平松氏による新しいあとがきが加筆されたほか、pdf化にあたって修正も行われている。書籍版から大きく雰囲気の変わった表紙は、リチャード・ギャリオット氏の処女作『Akalabeth: World of Doom』のスクリーンショットが利用されている。

『Akalabeth: World of Doom』のワールドマップが描かれた表紙。ダンジョンズの下に書かれた青い「+」マークが主人公だ。
(画像は「ダンジョンズ&ドリーマーズ」Boothページより)

 本書では「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ」のようなテーブルトークRPGやウォーゲームを通じて作られたコミュニティ、コンピューターゲームを通じてARPANETで繋がった大学生や技術者のコミュニティ、そしてインターネットを通じて『Ultima Online』や『DOOM』に熱狂するゲーマーたちのコミュニティといった、ゲームを通じて形成されたコミュニティに焦点を当てた歴史が綴られている。
 ファンやクリエイターといった分け方ではなく、コミュニティの変遷から見たゲームの歴史を記した本書は、近年日本でも盛り上がりを見せるeスポーツの源流を探る意味でも興味深い。

 本書を読めばコンピューターゲーム文化とは、クリエイターだけ、あるいはゲームファンだけが作ったものではなく、広く社会全体がさまざまな形で関わっていることが分かるはずだ。

リチャード・ギャリオットは『Ultima』開発前に何を? ジョン・カーマックはPC版『スーパーマリオ3』を作っていた? 2003年以前のゲームの動きを克明に記したドキュメンタリー本「ダンジョンズ&ドリーマーズ」が無料公開へ

 なお、今回新たに書き足された「ダンジョンズ&ドリーマーズ」のあとがきでは、平松氏は第二版となる「Dungeons and Dreamers: A Story of How Computer Games Created a Global」の翻訳と出版の許可をすでに得ていることも書かれている。2014年までのコミュニティの変遷がまとめられた第二版は、著者であるキング氏も「はるかに出来が良い」と太鼓判を押しているだけに、日本語で読める日を心待ちにしたい。

 繰り返しになるが、pdf版「ダンジョンズ&ドリーマーズ」は無料で誰もが読むことができる他、Boothを通じて平松氏に100円をカンパすることもできる。本書が気に入った人や、第二版を翻訳中に飲むコーヒー代を奢ろうと思う人は是非支援してほしい。

文/古嶋 誉幸

ライター
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
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