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『Dead by Daylight』に新キラーとして『東京喰種』金木研が参戦した経緯を開発陣に聞いてみた。金木のために「赫子」システムを新たに開発、花江夏樹さんのボイスを収録、指ポキモーションまで収録と超気合い入ってる

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3月12日(水)に突如発表された、『Dead by Daylight』『東京喰種トーキョーグール』(以下、『東京喰種』)のコラボ。主人公である金木研が、まさかの「キラー」として登場する本コラボは、大きな話題となった。

『Dead by Daylight』はひとりのキラーと4人のサバイバーで行うオンラインの非対称サバイバルゲーム。プレイヤーはサバイバーならばマップに点在する発電機を修理して脱出を目指し、キラーならばそれを妨害する……というのが大まかな流れだ。

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そんな本作において、キラーは概ねヴィランと言える立ち位置だろう。だからこそ、金木研がキラーとして登場するという発表は驚きを持って迎えられた。恐ろしい罠や武器を駆使してサバイバーを追い詰めていくキラーの存在は、本作の恐ろしさを担う存在であり、「喰種」としての葛藤を抱える金木の姿とはすこし異なるようにも思える。

しかし、今回のコラボにおいて金木は以下のような経緯で『Dead by Daylight』の世界に登場することが明言されている。

金木はジェイソンと呼ばれる喰種から残虐な拷問を受け、辛うじて生き延びつつも彼の精神はすでに限界に達していました。今回のコラボレーションチャプターでは、その拷問から生還した金木を黒い霧が包み込み、エンティティによって儀式の中に解き放たれます。

『Dead by Daylight』での金木は、冷酷な残忍さと底なしの飢えに駆り立てられ、内に秘めた喰種の本質に身を任せます。本コラボレーションチャプターでは、金木をより魅力的なキラーとして登場させ、彼のパワーが持つ恐ろしい性質を前面に押し出しました。

「赫子の触手」を用いた俊敏な移動と、残忍な攻撃でサバイバーを追い詰めていく金木の姿は、ifの世界線の新たな魅力を持っている。『Dead by Daylight』、『東京喰種』のいずれかに触れたことのある方なら、彼がキラーとして登場することが決まるまでの経緯や、本作にどんな「新たな恐怖」をもたらすのか──といった点も気になるだろう。

今回のコラボに際して、クリエイティブディレクターであるDave Richard氏と、ディレクターであるMathieu Cote氏を始めとする開発陣が来日。先ほどの疑問はもちろん、『Dead by Daylight』という作品で、新たなキラーで目指すものまでを伺うことができたので、その様子をお届けする。

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なぜか「フュージョン」のポーズをとってくれるお茶目なDave Richard氏(左)と、Mathieu Cote氏(右)

取材・文/anymo


スピード、機敏性、素早さ、そして流暢な動きにフォーカスした新キラー・金木研。俊敏な動きが新たな恐怖としてサバイバーに襲いかかる

──『東京喰種』というIPとコラボが決まった理由を教えてください。これまでのコラボでは『貞子』『バイオハザード』『ストレンジャーシングス』などホラー作品が主流でした。『東京喰種』はホラー作品であると同時に、少年漫画でもありますよね。

Mathieu Cote氏(以下、Mathieu氏):
非常に興味深いストーリーの作品だからです。キャラクターたちの葛藤や残虐で凶暴な面を描き、かつファンに愛されています。

そして、私達の多くも『東京喰種』が好きなことも理由です。

──『東京喰種』の世界の持つ恐怖は“霧の森の世界にはなかった新鮮な恐ろしさ”であると記載されていました。この新鮮な恐ろしさは、一体なんですか?あわせて、『Dead by Daylight』の作品世界と、この新しい恐怖がどのようなシナジーを生むと考えたのかを教えてください。

Dave Richard氏(以下、Dave氏):
我々は「喰種」を頂点捕食者として設計しました。金木の能力は、スピード、機敏性、素早さ、そして流暢な動きに焦点を当ててデザインしています。サバイバーの観点から言うと、これほど素早く方向転換して瞬時に向かい合ってくるということ自体が、新たな恐怖に繋がると考えています。

「キラーとしてプレイするときの気持ち」に焦点を当てがちですが、キラーを設計する上では「キラーと向き合うサバイバーがどのように感じ、反応するのか」という点も考慮しています。これほどの高スピードでマップを動き回り、もうほぼ同時と言ってもいいぐらいの速度で4名のサバイバーに攻撃をくわえるキラーという存在が、新たな恐怖だと思います。

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──金木がキラーとして登場することは、コラボが決まってすぐに決定しましたか?決定するまでの過程を教えていただきたいです。本作におけるキラーは(一概には言えませんが)ヴィランですよね。彼のダークサイドを拡張させるようなこのアイディアはすごく面白い試みだなと感じました。

Dave氏:
私達は優れたアンチヒーロー、そしてヴィランになりきれる人物が大好きなんです!

早期の段階から、キラーとサバイバーの両方の案を検討していました。ですが最終的には、『東京喰種』のビジュアルにおける特色、一番際立つ「赫子」に焦点を当てるキラーとして登場させることに決まりました。

Mathieu氏:
社内には、「『Dead by Daylight』にこういう要素を組み込めたら面白いんじゃないか」という大量の項目が記されたリストがあります。それについて定期的に話し合い、いろんな要素を追加したり削除したりすることもあり、これはキラーにすべき、サバイバーにすべきスキンにすべきというさまざまなアイディアがあります。

そういったアイディアをコラボ相手・パートナーに提案として持っていきます。「これは私達の提案ですが、どう思いますか?」っていうのをまず聞いてみるんです。もちろん、それが通るときも通らないときもあるんですが、私たちはそれでいいと思っています。

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なぜなら、パートナーの方が『Dead by Daylight』でどんなことをしたら自分のIPのファンが面白いと思ってくださるのかを、いちばん把握しているからです。パートナー様がファンの皆さんが何を求めているのか、どういう表現が面白いのかを把握していますし、「パートナーシップ」を非常に重視しています。

なので、パートナーと協力させていただけること、そしてクリエイティブな皆さんと、ファンの皆さんに喜んでいただけるような作品が作れることを、非常に光栄に思っています。

──『Dead by Daylight』のリアル寄りなビジュアルに溶け込むように、金木のデザイン面でどんな工夫をしましたか?

Dave氏:
このチャレンジに私達の素晴らしいアートチームが立ち向かってくれて、いろんな工夫がありました。

本作はデザインの要素を非常に多く組み合わせることで、準現実的・セミリアルなビジュアルを作り上げています。今回のコラボにおいても「アニメであるルーツを適度に感じさせながら、いかにこの現実的な領域に落とし込むのか」というチャレンジがありました。

そこで、表情の豊かさに注力しています。金木はゲームプレイの中で、非常に表情豊かな瞬間があります。

さらに、「赫子」に関しては多くの労力と時間をかけて、新たにシステムを開発しました。一瞬にして収縮したり延長したり、消えたり現れたりすることができるようなことが可能になっています。

また、このコラボを完成させる要素としてアニメ版の声優・花江夏樹さんがボイスを収録していますし、金木の「指ポキ」モーションも入っています。

Mathieu氏:
一言で言うと……「非常に多才なアートチーム」があればできます!

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──脅威範囲のBGMがすごく印象的なギターサウンドでしたが、どういう経緯で採用されたものなんでしょうか?

Dave氏:
私達のミュージシャンであり『Dead by Daylight』の全ての音楽を作曲している作曲家でもあるMichel F. Aprilさんのおかげです。

彼は、新たな音を探っていく過程が大好きなんです。例えば彼は古いピアノを持っているんですが、弦をハンマーで叩いてみて面白い音を出したり、いろんなギターをちょっとモディファイしてユニークな音を出したり。

Mathieu氏:
彼は8年間ぶっ続けで同じ音楽を毎回毎回作り直してるから、良い意味でクレイジーになって、非常に面白い音を出せるようになっています。

Dave氏:
『東京喰種』という具体的なところですと、アニメのサウンドトラックにも大きく影響を受けています。それらと同様に壮大かつ恐怖に満ち溢れた、エッジの効いた音楽を求めていました。

「赫子の触手」は強すぎるので、“2回目の跳躍が終わってから”攻撃ができる制限つき

──金木の能力である「赫子の触手」についてです。これは移動速度がものすごい速いのか、それともナースのブリンクのようにサバイバーから見たら瞬間移動しているように見えるのでしょうか?移動距離もすごく長いですよね。

Dave氏:
ブリンクではなく、「非常に素早い移動」です。

最も興味深いのは、赫子は移動先を見つけたら、移動中に次の跳躍でどこに飛んでいくのかを決められるんです。つまり、一つ目の跳躍が終わった瞬間に二つ目の跳躍を始められるんです。だからこそ、動きがすごく速いんです。

この能力は非常に強いので、バランスを取るために最初の跳躍からではなく、2回目の跳躍が終わってからようやくサバイバーの方に攻撃できるようにせざるを得なかったんです。また、サバイバーに攻撃を与えると、3回目の跳躍が可能になって、さらに力を増します。

さらに、ナースのように壁をそのまま通ることはできませんが、ブリンクと少し似ている点として乗り越えが一部可能になっています。

──金木の能力は非常に強力に思えます。サバイバーとはどのようにバランスをとりましたか?より具体的に教えてください。

Dave氏:
「完全な力を発揮するために、キラーのスキルが高くなければならない」という点がバランスのポイントです。「狂化モード」は強力ですが、発動するまでには多くの制限があります。

金木は最初からうまく使うのはすこし難しいかもしれません。ですが、慣れた人の扱う金木はサバイバーにとって非常に大きな脅威になると思います。これも、ナースと似ている点かもしれません。

新しいキラーを設計するときの目的は「常にサバイバーにゲームの新たなプレイを見つけてもらうこと」です。今までのプレイ方法では生存できないので、新しいプレイ方法を見つけて戦略を変えないと生き残れない、ということを目標にしています。

──金木から逃げ切って脱出を成功させるための、サバイバーへのヒントを、すこしだけいただけますか?

Mathieu氏:
サバイバーは「キラーは動きをうまく実行するのが非常に難しい」ということをまず把握することでしょうか。

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キラーの攻撃がどこに当たるのかを予想した上で、方向転換をするのが生存する上で非常に重要なポイントです。

金木の場合は、2回目の跳躍が終わってからでないと攻撃を食らわせることができません。その1回目と2回目の間に自分の方向を変えたり、隠れられる場所を見つけるなりすることがおすすめです。

場合によっては、いちばんの安全地帯はキラーの近くかもしれません

──日本のプレイヤーにこれからプレイする日本のプレイヤーにコメントもそれぞれいただけますでしょうか?

Dave氏:
『東京喰種』を通して、ますます多くの日本人の皆さんにコミュニティに入っていただけることを非常に楽しみにしております。『Dead by Daylight』がもっと知られていくことを願っております。私達はもっと友達がほしいんです!

それから、『Dead by Daylight』は安全地帯、非常に楽しいところです。新しいプレイヤーの皆様は点数だったりスコアだったりにそれほどこだわらず、ぜひ楽しいプレーをしていただけたらと思います。

Mathieu氏:
今回のコラボをきっかけに『東京喰種』を初めて知ったという声もあったんです。プレイヤーの方が新たに迷い込める世界に出会えたということを非常に嬉しく思っております。

ファンの皆様が、今回のコラボでインスピレーションを受けてどんな反応、クリエイティブなことをしてくれるのかを楽しみにしています。

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新キラー・金木研をふくむ、『東京喰種』コラボチャプターは4月3日(木)より配信開始。

木村結衣の「ラビットのコスチューム」コーディネイト
レナート・リーラの「ヒデのコスチューム」コーディネイト
ネア・カールソンの「エトのコスチューム」コーディネイト
金木の「覚醒した喰種」コーディネイト

などのアイテムが登場することも明かされているほか、アンノウン、ジョナ・バスケス、ジェイク・パーク、デイビッド・キング用のベリーレアマスクも実装されるとのこと。

Steam版にてパブリックテストビルドも開催されているので、金木の使い心地が気になるキラーはもちろん、サバイバー陣営も予習として触れておくのもおすすめだ。

編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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