18禁ゲーム最大手のアリスソフトが、ソーシャルゲームへの参入を計画していることが転職サイト「エン転職」の求人情報から明らかになった。プログラマーを募集中で、求人情報の掲載は2019年1月30日まで。
求人サイトに記載された情報によると、アリスソフトはエロ要素があるソシャゲをすでに開発中であることを明かし、アリスソフトの「ゲーム性の高いエロゲ」という独自性はそのままに、スマートフォンなどのデバイスに最適化を目指すという。この求人サイトには珍しくアリスソフトの開発現場写真や、開発者インタビューも掲載されている。
アリスソフトは株式会社チャンピオンソフトのゲームブランド。チャンピオンソフト名義で日本のビデオゲーム黎明期の1983年からゲームを発売。エニックスや光栄と並ぶ、老舗PCゲームソフト会社のひとつだ。
1989年にはブランド「アリスソフト」を設立。鬼畜戦士ランスを主人公とした『Rance』シリーズをはじめ、人妻に特化し、低価格帯で発売して大ヒットした『妻みぐい』、正義のヒロインが活躍する『超昂天使エスカレイヤー』、伝奇ノベルゲームとして評価が高い『アトラク=ナクア』、戦略シミュレーション『大悪司』など、多数の代表作を手がけてきた。なかでも長らく看板タイトルであった『Rance』シリーズは、昨年に発売した『RanceX -決戦-』にて29年間の軌跡を堂々たる完結でシリーズを締めくくった。
またアリスソフトは業界的に先駆的な取り組みをすることでも知られており、2003年には条件つきでアリスソフトのいくつかのゲームを無償配布を許可する「配布フリー宣言」を発表。『鬼畜王ランス』や『闘神都市II』といった名作を無償で手に入ることができる。
昨年は『イブニクル』をSteamで英語向けに配信。国内のエロゲの売り上げが減っているいる昨今、海外を見据えたアリスソフトの動きはエロゲ業界に新しい風をもたらすかもしれない。
老舗アリスソフトのエロゲー『イブニクル』がSteamで海外向けに配信へ。ゲーム内容に規制は一切入らず
こういった最中、18禁ソシャゲへの参入はアリスソフトの次なる一手といえるだろう。18禁ソシャゲはDMM GAMES、DLsiteにじよめ、TSUTAYAオンラインゲームなどの成人コーナーでブラウザゲームとして展開。DMMでは専門アプリを使ってスマホでプレイできる環境も構築している。最近ではニトロプラスが全面的に監修した『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ> SUICIDE MISSION』が昨年12月にローンチを果たし、好評を博している。アリスソフトがどのようなプラットフォームでソシャゲを展開するのかは不明だが、アリスソフトのゲームを販売しているDMMは予想される候補のひとつだろう。
エン転職の記者の取材によると、多重下請け構造が当たり前のゲーム業界において、ゲームのクオリティを高く保つために、プログラミングをはじめ、サウンドなどもすべて内製化していることが、アリスソフトの長期的なブランド価値の維持に繋がっていると分析している。
そういった意味では、アリスソフトのゲームの魅力のひとつにキャラクターがある。ポップでコミカルな描写された数多くの個性豊かなキャラクターたちが登場し、時にはスターシステム的に世界観を横断して登場する。「いかマン」や「きゃんきゃん」など、モンスターが共通しているのも特徴だ。魅力あるキャラクターに蓄積は、ソシャゲの分野でも存分に活かされるだろう。
文/福山幸司