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『パックマン』最終仕様書、全ページが学会誌に掲載。AI研究の三宅氏らによる開発者・岩谷氏インタビューも

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 人工知能学会が発刊している学会誌の最新号にあたる「人工知能 Vol.34 No.1」にて、『パックマン』の生みの親である岩谷徹氏のインタビューと共に、同作の仕様書が全面公開される。発売日は1月10日、価格は2592円。Amazonで販売されるほか、1月中旬以降はKindleでも購入できるようになる。また同学会が運営するAI書庫でも閲覧可能だ。

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(画像はAmazon | 人工知能 Vol.34 No.1 (2019年1月号)より)

 人工知能学会は、人工知能に関する研究の進展と知識の普及を図り、学術・技術ならびに産業・社会の発展に寄与することを目的とした団体。学会誌「人工知能」を定期的に発行している。その最新号では『パックマン』とAIの関係にフォーカスを当てた特集記事が組まれている。

 そのなかには『パックマン』の生みの親である岩谷徹氏のインタビューが掲載されている。聞き手はスクウェア・エニックスに所属し、人工知能学会誌編集委員を務める三宅陽一郎氏。AIの専門家がゲームAIの原点として、『パックマン』が生み出された背景に迫っている。たとえば当時のナムコの開発体制、そこからなぜ『パックマン』が生み出されたのか。ネオンサインのような迷路のデザインは何から影響を受けているのか、『パックマン』の可愛らしいキャラクターはどこから生み出されているかなどだ。

 興味深いのは、パワークッキーでパックマンとゴーストの立場が逆転する設定は『ポパイ』のほうれん草を食べると、強くなる設定から影響を受けていると岩谷氏が言及していることだろう。任天堂の『ドンキーコング』も『ポパイ』のゲームとして構想がはじまったことを考えれば、ビデオゲームの『ポパイ』からの影響力はとてつもなく大きい。

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(画像は人工知能学会誌 Vol.34 No.1より)

 『パックマン』は日本でも人気だったが、とりわけ火がついたのがアメリカで、爆発的に人気を博した。アーケードで大人気だったが、家庭用移植版となるAtari 2600版は700万本を売り上げたという。
 ただし移植は粗悪で、Atariは1200万本のカートリッジを生産しており、アタリショックの一因となったともいわれている。他にもアニメ化や、「パックマン・フィーバー」という曲が全米チャートに入り込むなど、ゲームを超えて社会現象と化した。

 『パックマン』が当時のアーケードゲームで新鮮に受け止められたのは、レバー操作のみで、ボタン操作をしないシンプルなルール、そして可愛らしいキャラクターだ。
 宇宙戦争もののシューティングが基本だったアーケードゲーム業界に、このような発想は新しく、ゲームに慣れていない層にも訴求した。実際、多くの女性がプレイしたという。

“世界最古”にして現代ゲームAIの先駆。21世紀に『パックマン』が再評価される理由を、作者・岩谷徹氏×AI開発者・三宅陽一郎氏が解説【仕様書も一部公開!】

 最近では映画『ピクセル』に『パックマン』が大々的に取り上げられたことも記憶に新しい。この映画には岩谷徹氏が登場するが、これは本人が演じているものではなく、俳優が演じている。
 ただし岩谷徹氏と映画の主人公たちが出会ったリアクションなど、アメリカでどれほど『パックマン』が熱心にリスペクトされているかの一端は見えるはずだ(なお実は岩谷氏自身も映画内で一瞬だけカメオ出演しているので、探してみるといいだろう)。

 『人工知能 Vol.34 No.1』で三宅氏は、AI研究者・開発者という立場から、岩谷氏から証言をとっている。テクニカルな内容が多いが、岩谷氏はわかりやすくインタビューに答えているので、AIの予備知識がなくても理解できるはずだ。本書を手にとって最新の知見から判明する『パックマン』の先見性に触れてみてはいかがだろうか。

【UPDATE 2019/1/8 7:40】 文章を一部、加筆・修正しました。

文/福山幸司

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著者
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福山幸司
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman

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