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基本無料タクティカルFPS『Delta Force』1日のユーザー数が「3000万人」突破。プロデューサーいわく、成長できたのは「いまはまだ最高の状態ではない」とこだわり続けた結果 【TGS2025】

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Team Jadeが開発するタクティカルシューター『Delta Force』が、9月26日にリリースから1周年を迎えた。そのアニバーサリーを祝う配信にてプロデューサーのShadow氏が発表したところによれば、同作の中国国内DAU(日間アクティブユーザー数)が、9月21日に3000万を超えたという。

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▲画像は《三角洲行动》全新烈火冲天赛季,玩点火的, 9月17日正式开启!-新一代战术射击品质标杆-腾讯游戏より

参考までに、昨年度の総務省統計によれば、東京都の総人口が約1400万人(2024年度)なので、そのプレイヤー規模がどれほどのものか実感できるだろう。ちなみに神奈川・さいたま・千葉の三県を加えた首都圏人口で、ようやく3600万人くらいになる。

同作は最大で32vs32の大規模PvPから、小規模チームによる脱出モード、映画『ブラックホーク・ダウン』の物語を下敷きにしたキャンペーンなど、複数のモードを備えており、そのすべてを無料でプレイできる。

日本でも昨年12月にPC版をリリースしたのを皮切りに、スマートフォン版、コンソール版を次々にリリースし、国内での展開も加速している。

今回はその開発を行っているTeam Jadeから、『Delta Force』のプロデューサーであるShadow氏が「東京ゲームショウ2025」にあわせて来日。会場で話を聞くことができた。急成長を続ける『Delta Force』について、その理由を尋ねてみた。

『Delta Force』プロデューサーShadow氏インタビュー|TGS2025_002
▲『Delta Force』プロデューサーShadow氏

取材・執筆/恵那

「最終的には必ずユーザーが望んだものを提供する」ことを目指して歩み続ける

──まずは読者の皆さんに向けて、自己紹介をお願いします。

Shadow氏:
はじめまして。Team Jadeで『Delta Force』のプロデューサーをしているShadowです。このプロジェクトには2020年から参加していて、9月26日にはリリースからちょうど1周年を迎えました。

この1年間で、私たちは日本でも展開を始めることができ、さまざまなことにチャレンジしてきた結果、良い成果を残せてきたと考えています。最近ではPS5やXboxなどのコンソール版もリリースしましたが、今後も日本に向けてより多くの、より優れたコンテンツを提供していきたいと考えています。

──それでは早速ですが、9月21日のニュースで、『Delta Force』中国国内のDAU(1日あたりのユーザー数)が3000万人を超えたと発表されていました。大きな成功を果たせた理由について、どうお考えでしょうか?

Shadow氏:
最大の理由は、たとえ時間がかかっても、最終的に多くのプレイヤーが望むコンテンツを提供するための努力を絶えず続けてきたことだと思います。

『Delta Force』プロデューサーShadow氏インタビュー|TGS2025_003
▲画像はSteam:Delta Forceより

例えば、私たちが最初に『Delta Force』をリリースしたとき、用意していたのはウォーフェアモードとオペレーションズモードの2つの遊び方だけでした。ですがそこから「ホットゾーン」や「ブラックホークダウン」などの新たなモードや新たなマップ、新たなオペレーターなど、新しいコンテンツをどんどん追加していきました。

私たちは各バージョンですべてのコンテンツを更新し、そのたびに以前よりも優れた体験を提供できるように努力しています。『Delta Force』の3000万人のDAUは、なにか1つの成功によってもたらされたものではなく、一歩一歩の堅実な歩みによってもたらされたものだと思います。

──新たなコンテンツの追加やアップデートなどを重ねることがユーザーさんからの信頼や期待につながり、それによってゲームが成長しているということですね。

Shadow氏:
はい。日本でもそうやって堅実で地道な展開を続けていくつもりです。PC版をリリースしたのは昨年の12月ですが、すぐにコンテンツ不足であったり、そのほかの問題にも直面しました。

ですから続く1月にはアップデートを何度も繰り返し、2月末には「ブラックホーク・ダウン」のキャンペーンモードもリリースし、4月にはモバイル版をリリースし、8月にはコンソール版もリリース……というように、新たな展開を進めています。

これらは中国本国のアップデートを追う形で進めていますが、日本は比較的うまく展開できている地域のひとつで、多くの反響をいただいています。

日本向けのローカライゼーションは今後も強化。日本語音声の追加なども準備中

──日本のユーザーさんの反応で多かったのは、どういったものでしたか?

Shadow氏:
まずネガティブな意見として、チート対策が不十分だという厳しい声を多くいただきました。日本では課題も多くありましたが、対応を重ね、最近は改善の手応えも出始めています。

ポジティブな面では、オペレーターが好評です。代表例は「ハッキングクロー」でしょう。オペレーターをきっかけに、インフルエンサーやコスプレイヤーの方々とのつながりが生まれ、日本の文化圏にも自然に溶け込めてきていると感じます。

──Shadowさんから見て、日本のユーザーさんに共通した特徴や傾向といったものはあるでしょうか?

基本モードではウォーフェアモードを好むプレイヤーさんが多い傾向があるようです。少し前にAsian Champions League 2025という『Delta Force』のアジア大会を開催していたのですが、日本からも一般公募から集まったプレイヤーさんたちが参加していて、そこで非常に良い戦いを見せてくれました。

一方で、今年の8月にPS5版をリリースすると、オペレーションズモードをプレイされる新規ユーザーさんも増えてきています。こちらのモードでは各オペレーターを深く知っておくことが重要ですから、オペレーターに対する理解や認知なども、日本ユーザーさんの間で高まってきていると感じています。

──なるほど。今後の日本展開についてはどうお考えでしょうか?

これから先に向けても、私たちは日本へのローカライゼーションのためにさらなる努力を続けるつもりです。例えば日本語音声への対応などもそのひとつですね。今ゲーム内には英語の音声しかありませんが、日本の声優さんを使ったボイスの実装に向けてもすでに動いています。

さらにオフラインイベントやeスポーツの大会、コミュニティの運用などを通じて、日本のみなさんにより楽しんでいただけるようなプロモーションを展開したいと考えています。IPとのコラボなども増やしていきたいですね。

──コラボの話が出たのでお聞きしたいのですが、『Delta Force』ではこれまで複数のコラボを発表してきましたよね。『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』などはゲームとしての親和性が高いと感じますが、『ソウ』『アークナイツ』とのコラボは不思議な印象です。コラボ先はどのように決めているのでしょうか?

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Shadow氏:
おそらく予想されているとおりなのですが、この3つのコラボはそれぞれ異なる出発点から始まったものです。

まず『アークナイツ』については、実はさまざまな分析の中から、お互いのユーザーさんたちが、それぞれのタイトルに強い関心を持っていることがわかった、ということが背景にあります。

私たちとしてもアニメ風タイトルとのコラボは新たなユーザーさんの獲得につながるのではないかという期待もあり、相手方のチームとの意向がうまく重なってコラボが実施できることになったわけです。

一方で、私たちはグローバルな展開を進めるために、海外で影響力を持つ著名な映画やコンテンツとの協力を模索しており、『ソウ』とのコラボはそうした背景の中から生まれたものでした。『ソウ』は世界的に非常に有名で人気のあるシリーズですし、映画を見たスタッフが同作をとても気に入ったことから今回のコラボが実現しました。

『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』については、Team Jadeスタッフの中に非常に多くのファンがいたことが出発点でした。加えて、同作と『Delta Force』の間の親和性の高さというのももちろんあります。敵地に潜入し、周囲の音をよく聞きながらひっそりと行動していくというゲームプレイは、『Delta Force』のオペレーションズモードの中でもよく似た要素を持っています。

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──なるほど、今後のコラボにも期待したいところですが、どんなIPとコラボするかは、現段階でも決まっていたりするのでしょうか?

Shadow氏:
まだ言えないことばかりです(笑)でも来年のコラボの中では、日本との関わりが深い、日本の皆さんにも喜んでいただけるようなIPも準備している……というところだけはお伝えできます。ぜひご期待ください。

 「いまはまだ最高の状態ではない」ので、そこを目指して不断の努力を続けていく

──FPSというのは、ほかにもさまざまな競合タイトルがひしめいており、ゲームとしては競争の激しいジャンルだと思います。本作以外にも有名なタイトルがいくつもある中、『Delta Force』の強みとはどんなところにあるのでしょうか?

Shadow氏:
重要なポイントは3つあると思います。
1つ目の強みは、『Delta Force』は3つのプラットフォーム間でデータを共有できるということです。ユーザーはPC・モバイル・コンソール、すべてのプラットフォームで、いつでも同じデータを使ってゲームにアクセスすることができます。どこでも手軽にゲームにアクセスできるというわけです。

2つ目がオペレーターという存在ですね。オペレーターはさまざまなスキルや個性を持ち、それによって生まれる戦術性が、私たちのゲームをユニークなものにしてくれています。中国の国内でも海外でも、熱心なユーザーさんたちが私たちのゲームについてきてくれるのは、そうしたオペレーターの魅力によるところが少なからずあるでしょう。

3つ目は長期運営の方針を明確にしていることではないかと思います。現在我々は2〜3か月に1回は必ず大型のアップデートを実施し、新たなコンテンツを追加していくだけでなく、既存のコンテンツをさらに進化させたり、ユーザーが求めるコンテンツを把握できるようにも務めています。こうした長期運営のための理念も我々の強みのひとつではないかと思います。

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──同じジャンルのタイトルでいえば、来月には『Battlefield 6』のリリースが控えています。『Delta Force』にとっては強力な競争相手になりえるタイトルかと思いますが、そこに向けてなにか考えていることなどはあるでしょうか?

Shadow氏:
私自身ベータテストに参加しましたが、没入感やクオリティ、設定、新しい試みなど、非常にレベルの高いタイトルだと感じました。競合というより、尊敬すべき存在。我々としても学ぶべき点は非常に多いです。

『Delta Force』は来年以降多くの計画を準備していますが、将来的には全てのモードのゲームエンジンをUnreal Engine 5にアップグレードし、ゲームの品質や体験を一段上に引き上げるつもりでいます。そこで、他のゲームでは見たことがないような体験を生み出せるように努力したいと考えています。

例えば、周年の配信の中で少しだけ公開していたのですが、来年にはウォーフェアのマップとして「地震」をテーマにしたマップを準備しています。これは私たち独自のユニークさを発揮したもので、ユーザーの皆さんにも気に入っていただけると思っています。

『Battlefield』と『Delta Force』は異なる強みを持つゲームです。私たちは自分たちの強みを磨き、唯一無二の体験を提供していきたい。「地震」マップに加え、司令官をテーマにした「ビクトリー・ユナイト」のようなモードやユニークなオペレーターなど、その一例です。

──さきほどと近い質問になってしまうのですが、多くの競合タイトルがあるなかで、『Delta Force』がユーザーに選ばれるために、開発の中で意識されている考え方などがあればお伺いできるでしょうか。

Shadow氏:
我々が社内でずっと言い続けているふたつの言葉があるのですが、ひとつが「こだわり」、もうひとつが「ユニークな価値」というものです。これは社内の理念のようなものだと言っていいかと思います。

「こだわり」は、私たちが制作しているゲームを「将来的に必ず最高の品質にする」というこだわりです。現状には決して満足せず、今はまだ最高の状態ではないと信じる──その姿勢そのものでもあります。

ですからどれだけ時間をかけても、一歩一歩着実に以前よりも品質を向上させていき、より良い体験を創出できるように歩み続けることを目指しています。

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▲画像はSteam:Delta Forceより

もうひとつの「ユニークな価値」というのはシンプルですね。非常にユニークなものを作りたい、ということです。

たとえば牢獄からの脱出をテーマにしたオペレ―ションズのマップ「タイドプリズン」であったり、さきほどもお話した司令官として戦う「ビクトリー・ユナイト」も、そうした理念が目指したユニークさの一例だと思っています。

──ありがとうございます。それでは最後に、日本のユーザーさんに向けて一言メッセージを頂けるでしょうか。

シンプルになってしまいますが、まずは感謝をお伝えしたいです。『Delta Force』をプレイしていただいてありがとうございます。そしてこれまでお話してきたように、私たちは常に歩み続けていきますから、この先もっと『Delta Force』をより良いものにしていきたいと思っています。ぜひご期待ください。

──本日ありがとうございました。

編集・ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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