2025年12月12日、「The Game Awards 2025」において、『バイオハザード レクイエム』の最新トレイラーが公開された。そこで明らかになったのは、本作における“第2の主人公”として、バイオシリーズの英雄「レオン・S・ケネディ」がプレイアブルキャラクターとして登場するという衝撃の事実だ。
レオンは、幾多の死線をくぐり抜けた歴戦のエージェントであり、その苦労が今作における外見からも垣間見える。対して、FBI分析官でありながら極度のビビリという設定を持つグレース・アッシュクロフトは、あらゆる点でレオンと対照的だ。このダブル主人公体制は、シリーズにおいて極めて大胆な構成といえるだろう。
二人の運命的な遭遇は、やがて世界を震撼させたラクーン事件に隠された真実へと繋がり、忌まわしき災厄の「鎮魂(レクイエム)」を問うことになる。レオンというキャラクターが、自身のキャリアの原点と再び対峙するストーリー構造は、長年のファンにとって特に注目すべき点だ。

本稿では、The Game Awards 2025の開催後に、『バイオハザード レクイエム』開発チームへ実施した合同インタビューの内容を紹介する。この二元的なゲーム設計の意図、グレースとレオンという異質なコンビが織りなすドラマなどについて掘り下げている。
文/kawasaki
── 最新PVにレオンが登場しましたが、シリーズの他のキャラも気になります。
中西氏:
プレイアブルキャラクターという意味で登場するのは、レオンとグレースの2人だけですね。それ以外に関しては、ぜひ、今後をお楽しみにしていただければ。
── レオンがチェーンソーで敵を切るシーンがありましたが、他にもああいったユニークなアクションはありますか?
中西氏:
グレースがバイオRE2のスタイルをベースにしてるのに対して、レオンはRE4のスタイルをベースにしています。なので、体術とか近接攻撃とかはもちろんあります。レオンは年を取って、その間も数々の戦いを経て経験を積んでいますし。
そんなレオンは、現在どういった立ち振る舞いを見せるのだろうか、というのは、本作の大きなテーマです。彼の性格は皆さんご存知だと思いますが、やっぱり誰かを救いたいってモチベーションで行動する中、実際いろんな悲劇も見ているわけで。
いつまでたってもバイオテロはなくならないし、それをじゃあずっと続けてる人ってどういう心境に行きつくのか。戦闘のテクニックも、現在どこまで熟練しているのか。それらをRE4ベースで新しい要素として表現しています。
── グレースで恐怖、レオンで爽快アクションを楽しめるとのことですが、バイオ4みたいに2人で行動するのではなくて、それぞれ単独で進む構成になるのでしょうか?
中西氏:
バイオバードのシリーズでは、2人で遊ぶタイプも色々とやってきましたが、レクイエムのストーリーはあくまで1本です。その1本の中で、レオンのパートとグレースのパートが進行に応じて変わっていきます。
バイオ史上1番の怖がりのグレースと、超ベテラン・レジェンドのレオンという、まったく違う2人がどのように絡んでいくかも、本作の見どころかなと。
── 最新PVで「エルピス」(Elpis)という単語が出てきましたが、これに関して教えてください。
中西氏:
エルピスは、古代ギリシャ神話でさまざまな災厄が飛び出したとされる、「パンドラの箱」に遺された象徴です。一般的に「希望」と解釈されることが多いんですけども、じつはそれだけでなく、「災い」と捉える向きもあるんです。そしてこれが、レクイエムのストーリー上の重要な要素になっています。
グレースは、殺された母の真相を追っていくことになるのですが、そことも絡みます。
また、まだ詳細は言えないのですが、レオンには大きな秘密があって、そこにもエルピスが関わり、重要な意味を持っています。プレイしていく中で、エルピスの秘密を解き明かしていってもらえればと。
── PVでレオンが登場する際に、「この人に任せとけば安心だ」といったシーンがありました。ダブル主人公の2人が、あまりにも対極的だったのが印象に残りました。
中西氏:
ゲームの中での操作パートは、2人がほぼほぼ半分ぐらいになってます。その対照的な2人が絡んでいくのは、全然テンションの違うゲームが2つ入ってるようなもので、我々にとっても大きなチャレンジでした。
グレースは巨大な化け物に追いかけ回されますが、そういったシーンはレオンには合いません。レオンにふさわしい、激しいアクションを繰り広げるシチュエーションを用意しています。
最初は、ここまで差があってプレイヤーはついていけるかな? と不安もしていたんですけど、いざやってみたら、この高低差の差がすごい独特で、トータルですごく楽しめる体験になっていると思います。
この表現で伝わるかわからないですけど、熱いサウナに入った後に水風呂に入るような。ある意味、「ととのい」ですね(笑)。今までのバイオハザードシーズでは実現できていない面白さなので、ぜひ遊んでみてほしいです。
── 今作には3人称視点と1人称視点がありますが、1人称視点ではどのような手触りになっているのでしょうか?
中西氏:
主観視点でも問題なく遊べるように、いろんなところで工夫をしています。今後はショーケース等でレオンのプレイ動画などもお見せする予定なので、そちらをお待ちいただければ。。
── 今作ではレオンが年齢を重ねていますが、どのような方向性で描かれているのでしょうか。
中西氏:
彼が背負ってきたものをゲーム内でどう表現するのかが、本作の大きなテーマになっています。そして同様に大事にしているのは、彼は「イケおじ」であるべき、という部分ですね。
今回のPV発表に向けてものすごい時間かけて準備してきたのですが、まさに期待通りの反応がありました。社内でもレオンファンって結構いるので嬉しかったです。今日はいい酒が飲めるなと(笑)。
それともう1つ言うと、今回ラクーンシティへの訪問は、彼にとってすごく意味があることなんです。彼にとって、やっぱり原点なんですよね。年を経たレオンが、この場所で自分を振り返って何を感じ、どういう行動を取るかっていうのも、大きな見どころの1つになっています。
── 今回、ポルシェとのコラボが発表されましたが、これはどういった経緯で?
熊澤氏:
ちょうど、本作でレオンが車で登場するシーンがあるので、それに合ったコラボ先を探していたんです。それでポルシェさんから快諾いただけた形ですね。本作の世界観に合わせた、とっておきの1台の車を作っているので、どこかでお見せできればいいなと思います。
── バイオシリーズでは、結構いろんな乗り物が壊れる印象がありますが、今回はどうなんでしょう?
中西氏:
どうなるんでしょうね。期待してください(笑)
── 今回、グレースを起用して、ゲーム内での恐怖感を高めようとした狙いについてあらためて教えてください。
熊澤氏:
今回は、グレース編とレオン編で分かれているのではなく、1つの物語にしています。その大きな理由は、グレースの怖がりと、レオンのアクションというまったく違う要素を組み合わせることで、今までのバイオシリーズになかった満足感が得られると思ったからなんです。
── 従来の熱心なファンとは別に、今作で初めてバイオシリーズに興味を持つ人も多いかと思いますが、そういった人に向けてレオンという人物の魅力をアピールしていただけますか。
熊澤氏:
まずお伝えしておくべきことは、別にレオンの過去を全部知っていなくても本作をじゅうぶんに楽しめます。その中で、唯一知っておいてほしいのは、ラクーン事件に深く関わっていて、年を重ねた彼がてこの事件にどう向き合っていくのかが、大きなテーマとして描かれていることです。そこだけ抑えておけば大丈夫ですよ。
中西氏:
1つ確実に言えるのは、レオンはイケメンなんですよ。
見た目のだけの話じゃなくて、性格的にも。
誰かを助けるためであれば犠牲はいとわないし、そのことを本人は奢ってもいない。ほかにも、「その顔でそんなこと言うの!?」といった意外性や、結構軽口を叩くことなんかもありつつ、でもじつは内面にすごく熱いものを持っている。それでいて強く、隙がないという。
今回は年を取って、皮肉とかウィットの部分は磨きが掛かっています。本当、とにかくかっこいいキャラですね。
── そのほか、何かありましたらお願いします。
中西氏:
今回、レオンは過去イチといっていいくらいに追い詰められることになります。ある意味、彼の限界に挑む戦いになるっていうのは、本作における重要な部分かなと。来年1月に予定されているショーケースで、より詳しいゲームプレイの様子などもお見せできればと思うので、ぜひ期待してください!








