2006年、PS2に向けて『ペルソナ3』というRPGが発売された。
当時の筆者は10代前半で、あまりにもスタイリッシュなBGMやアートスタイルに度肝を抜かれ、深夜に怪異を退治する青春RPGという内容に心を掴まれた。
そのシリーズは記事執筆時点でナンバリングタイトルが『5』まで制作され、多数のスピンオフ作品やソーシャルゲームなども開発・リリースされるなど、『ペルソナ』はアトラスの代表的なタイトルと言える存在感を放っている。
その『ペルソナ』シリーズを大きく発展させたRPG『ペルソナ3』のフルリメイク作品である『ペルソナ3リロード』のNintendo Switch 2版が10月23日に発売を控えている。
今回電ファミでは、9月25日より幕張メッセにて開催されているイベント「東京ゲームショウ2025」にて、『ペルソナ』シリーズを担う重要なお二方にインタビューを実施し、貴重なお話を伺うことができた。
そのお二方とは、アトラスにおいてペルソナ制作をおこなうチーム「P-STUDIO」の総合プロデューサーである和田和久氏と、オリジナル版『ペルソナ3』のテーマソング「Burn My Dread」の作詞を手がけ、『世界樹の迷宮』シリーズをはじめ多くの作品にプログラマーとして参加し、Switch2版『ペルソナ3リロード』ではディレクターを務めた小森祥弘氏だ。
Nintendo Switch 2版の発売が間近へと迫っているこの機会に、新たな世代へとどのように『ペルソナ3』を届けるのか。
また、作り手の考える「ペルソナらしさ」についての話や、「P-SUTDIO」に所属する新たなクリエイターたちに関する話題など、制作チームの内側ならではの貴重なお話を聞かせていただいたので、ぜひ最後まで読んでほしい。
取材・文/TsushimaHiro
編集/うきゅう
「『ペルソナ3』は、初期作の魅力を受け継ぎ今のシリーズを形作った作品。だからこそ、シリーズ未経験の人にも遊んでほしい
──和田さまはアトラスの公式サイトにて、本作を「まだ遊んでない方にむけてもおすすめですよ」とコメントされていましたが、今、未経験の方に『ペルソナ3』をおすすめする理由をお聞かせください。
和田和久氏(以下、和田氏):
理由としましては、『ペルソナ3』がそれまでの『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2』で築かれた世界観や魅力を受け継ぎつつ、現在のシリーズでおなじみとなったゲームデザインやスタイルを大きく広げた作品である、という点が大きいです。自分自身にとっても『ペルソナ3』から新たな方向性でシリーズの開発を再スタートしたという感覚があります。
そういった意味で、初めて触れる方にも入りやすいイトルだと考えています。『ペルソナ3』があったからこそ『4』、『5』といった続編へと展開していく流れが生まれました。
また、ナンバリング作品は、未経験の方にとってはそれだけで高いハードルになることもあります。『3』とついてはいますが、「初めて触れても全然大丈夫ですよ」というメッセージを込めて、あのような発信をしました。
──10月23日に発売を控えているNintendo Switch2 版『ペルソナ3リロード』ですが、「ここだけは見てほしい」制作陣として一推しのというポイントをがもしあれば、ぜひ教えてくださいいただきたいと思います。
和田氏:
やはり携帯モードが魅力となりますね。
Nintendo Switch 2版は、「携帯モードでも快適に遊べるぞ」と自信をもっておすすめできるので、ぜひ多くのユーザーに体験してほしいですね。
小森祥弘氏(以下、小森氏):
『ペルソナ3リロード』の魅力の1つでもある、美しく洗練されたキャラクターの表現やスタイリッシュなUIが、Nintendo Switch 2でもしっかりと再現されているというところのをぜひ見ていただきたいです。
携帯モードでも快適な操作性と高品質なグラフィックを両立しており、Switch2ならではの体験があります。
──Switch 2版を開発する上での苦労はありましたか?
小森氏:
すでに『ペルソナ3リロード』は多数のプラットフォームで発売されていますが、Switch2版はテレビにゲーム画面を映し出すモードと、携帯モードを切り替えられる点は特別な要素となりますね。
そのふたつのモードはハードウェアの性能が違うのですが、瞬時にそれを切り替えさせるというのは開発の技術面で言うと難度が高かったです。いつでも切り替えられるので、読み込みが入らないじゃないですか。
だから、同じグラフィックで設定を使いつつテレビモードの方はよりクオリティが高い表現をしないといけないので、工夫が必要でした。
『ペルソナ3』の「死を想う」テーマは現代でどう受け止められるのか? 開発者「ユーザーに聞いてみたい」
──オリジナル版の『ペルソナ3』の発売から年月が経っていて、世の中の価値観も変化してきていると思います。本作はテーマの中に「死を想うこと」が掲げられると思いますが、現代ではどのような価値観でこのテーマを受けとめられると考えていますか?
和田氏:
今は、オリジナル版『ペルソナ3』の発売から約20年が経ち、今は“複数の価値観の異なる世代が混在している時代”なのではないかと感じています。だからこそ、本作のテーマをどのように感じ、遊んでくれるのかというのは、ぜひユーザーの皆さんに聞いてみたいところです。
また、オリジナル版をプレイした方も、あらためて遊んでいただけると感じ方も違うのではないかな、と思っています。
自分の感覚ですが、「死」というのは昔から変わらず繋がっている普遍的なテーマだと感じています。むしろ、今だからこそ「死」を「死があることを意識して生きる」ことが必要だと感じています。
──若年層も含めてさまざまな年代のユーザーが増えると思うのですが、これから『ペルソナ3』をプレイする新世代のユーザーに向けてどのようなメッセージを届けたいですか。
和田氏:
「今、この瞬間を大事に生きてほしいな」と思います。それは『ペルソナ3』に元々込められたコンセプトであり、テーマでもあると思います。
「『ペルソナ』らしさ」とはなんなのか? 制作者の考えを聞いてみたところ……「実は、開発現場でもよく問われている」
──よく、世間で言われる「『ペルソナ』らしさ」という概念があると思うのですが、平たく言うと「BGMがキマっている」「UIがオシャレすぎる」「学園で青春」「部活」「交流しながら怪異を退治」「心身ともに成長」というイメージはあると思います。
このように、プレイヤーの側からはさまざまに言われている「『ペルソナ』らしさ」ですが、作り手の目線から見た「『ペルソナ』らしさ」というのはどのようなイメージになっているのでしょうか。
和田氏:
「ペルソナらしさ」って、実は開発現場でもよく問われているんですよ。ただ、やっぱりいろんな視点からの「らしさ」があると思っています。なので、一言で表すのが難しいとも感じています。
シリーズを通したゲームの内容という意味では、今あげていただいたイメージ通りかもしれませんね。その上で僕ら開発陣は、それら本物の「らしさ」というのを醸し出すために考えていることがあります。
まず、各作品の持っている「テーマ」がチーム全体に共有されていて、ゲームの様々な要素がその「テーマ」に紐づいて形成される作品であることはひとつ、大事な要素だと思っています。
もうひとつは、各パートの開発者がそれぞれの想う「『ペルソナ』らしさ」を語れるというのが大事だと思いますね。なんとなく創作の方向性を定めていくのではなくて、”テーマ”を前提に、要は考え抜いた結果、そこに至る理由がある訳です。
──開発者ひとりひとりに、自分なりの「『ペルソナ』らしさ」があると。
和田氏:
そうやって物事を決定していく。という文化が今のスタッフの根底にありますね。その各要素でユーザーに期待される「らしさ」をさらに追求し、考えて練り込んであります。
例えるなら、ラーメンには出汁とかえし(たれ)があるじゃないですか。とんこつスープ、しょうゆ、塩、味噌……味の種類はいろいろあっても、その中でのスープの旨さは出汁で決まると思うんですよ。
同じように、表面上の「らしさ」はなぞるだけで表せても、先ほどお話ししたような思考が出汁としてベースにあることで、本物の「らしさ」を感じていただけるんじゃないかと思っています。
円滑にコミュニケーションをとるために仮面(ペルソナ)を被る。ディレクターの仮面とは
──小森さまは、アトラスの公式サイトにて「人は大人になるにつれて、さまざまな“ペルソナ(心の仮面)”を身につけていきます。僕もこの20年、いろんな仮面をつけて生きてきました。」とコメントしていました。
小森さまはこれまでプログラマーとして『世界樹の迷宮』(※)シリーズをはじめ多数のタイトルに携わってこられていますが、『ペルソナ3 リロード』ではディレクターという新しい仮面(ペルソナ)を被ることになったかと思います。その「仮面」から見えた景色は、どのようなものでしたか?

小森氏:
これを語るためには、私がディレクターになる前のプログラマー時代の話から始めたいですね。僕は、ゲーム開発って「もの作り」だと思っているんですよ。なので、プレイヤーと直接向き合うというよりは、ゲームという作品を通して向き合うことができます。
そこではクリエイターとして仮面をつける必要はないんですけど、開発自体はチームで行うので、プログラマーはグラフィックデザイナー、ゲームデザイナー、サウンドデザイナーなど他の職種の方と協力して開発を進めていきます。
その際には、円滑なコミュニケーションを図るために仮面をつける必要があります。
──なるほど、開発者同士にも「コミュ」が発生していたのですね。
小森氏:
そうですね。
プログラマーの時って、プログラムを書いている時間があるじゃないですか。
対象は人ではなくてあくまでコードなので、そこで仮面をつける必要はないんです。なので、プログラマー時代は「自分らしくいられる時間が多かったな」と感じています。
一方で、ディレクターという立場になったら、自分で手を動かして作業する時間がほとんどなくなります。常に人を介して、理想を形にしていくという役割ですね。
僕は本来、すごく臆病で人見知りな性格なんですけど……スタッフと仕事で接する際にはそういうわけにはいかないので、“冷静で積極的な管理を意識したペルソナをつけている”という状況です。
──ディレクターの仮面が必要になったわけですね。
小森氏:
とはいえ、常に仮面をかぶっているわけにもいかないんです。
ゲームを作る上では「クオリティを高くしたい」とか、その作品に込める理想やビジョン・情熱というのは自分自身の本音で語る必要があるんです。自分の本音をチーム全体に共有していく過程では、むしろ仮面を被るんじゃなくて、“自分で向き合わなきゃいけない部分もあるな”とは思います。
──チーム内で、意見が反発することはありましたか?
小森氏:
先ほど話に挙がった「『ペルソナ』らしさ」のように、大きな目標はチーム内で共有するので、そこはちゃんと話しあって「これを目指します」ということが重要だと思います。
その上で、チームメンバーそれぞれに、自分なりの手段や自分の担当範囲に対する理想があったりします。僕はディレクターですが、だからと言って正しいというわけではありません。それぞれがより良いものを目指していくなかで、前提が違うと結論が異なることもありますが、話し合っていけば解決できます。
初代『ペルソナ』からもうすぐ30年。『ペルソナ』シリーズのファンが『ペルソナ』を作る時代に
──初代『ペルソナ』から数えると約30周年を迎えようとしていますが、時が流れるにつれて、ユーザーはもちろん開発メンバーも変化しているのではないでしょうか。おふたりの目線から見て、その作り手たちに変化があるとしたら、どのように作品に反映されていると思いますか。
和田氏:
おっしゃる通りで、今のメインスタッフの大半は、新旧含めて当時『ペルソナ』のユーザーだった人たちがメインです。
──『ペルソナ』ユーザーが『ペルソナ』シリーズの作り手になっている、ということですか?
和田氏:
その通りです。なので、基本的に『ペルソナ』シリーズに対するリスペクトがすごく高いんですよ。もちろん、ユーザーの期待に対しても、ですね。
「作り手である自分たちがユーザーを裏切ってはならない」という、強い使命感をチーム全体が持っていると言えます。チーム全体から覇気を感じていますね。
──ガチの『ペルソナ』ファンが開発チームに参加しているんですね。
和田氏:
はい。だからこそ、彼らは先ほどあった「『ペルソナ』らしさ」についてよく聞いてくるんですよ。
私たち20年、30年選手の開発者は、今までの感覚に刻み込まれたものでゲーム制作していたわけなのですが、スタッフが増えるとみんなにその刻み込まれてきたものを「感覚で理解しろ」というのも、もう「かなり無理がある規模感になってきているな」と感じています。
だからこそ、私たちの感覚をしっかりと言語化して、組織が大きくなってもこれまでのようなクリエイティブの文化を失わないように開発していくことが何より大事なことであると感じています。
昔はクリエイターが作りたいものを開発して市場に投入する傾向が強かったと思うのですが、今のチームは、そこに若いスタッフの使命感が加わることによって、「ユーザーの視点を大切にする精神」が作品に反映されてきているんじゃないかなと、感じています。
──例えば、これから「P-STUDIO」に参加して「ペルソナを作りたい」と言う人が現れるとしたら、何か伝えたいことはございますでしょうか。
和田氏:
おお……伝えたいことって、なんだろうな。
小森氏:
採用基準みたいな話になるかもしれませんね。
和田氏:
今だから言えるのですが、昔のゲーム開発環境は超ブラックだったんですよ。強制的にやらされていたわけではないですが、今からすると信じられないぐらい荒れたひどい環境でした。それはそれで自分は楽しかったのですが。
今は、もう僕らの若い頃とは全然違って、超ホワイトです。育成環境も整ってきていますし、クリエイティブに集中できる組織になってきていると感じています。
とりわけ、「P-STUDIO」はスタッフが自分の個性をしっかりと制作にのせることができる、のせやすい環境にあるのではないかと思っています。ただ……一方で、引いちゃう傾向もあるんじゃないかと。
──「引いちゃう」?
和田氏:
はい。『ペルソナ』シリーズへのリスペクトが強すぎるが故に、自分の意見よりも、これまで築き上げてきた伝統とか、そういうものを大事にしがちになってしまって。新しい意見を引っ込めちゃったりするケースですね。
そこは恐れずに、「どんどん積極的に新しい意見を出してもらいたいな」と思います。
──これから「P-STUDIO」にやってくる若い方の価値観も、これからの『ペルソナ』シリーズには必要であるということですね。
和田氏:
もちろんです!
小森氏:
僕は、ひとりのプログラマーとしての意見を述べますね。
僕が若い人に伝えたいのは、ご自身の人生なので、「ここで働きたい」と思うのであれば、その目標を設定してもらって、もしあなたが学生さんであれば、定めた目標に向けて実績を作ると良いと思います。
例えば、「『ペルソナ』ですごいUIを作るプログラマーになりたい!」という方であれば、ぜひ学生の時から自分の思う「すごいUI」を作っていただいて、それを僕たちに見せてほしいですね。
その制作した経験こそが実力の証明にもなり、創作への想いになるので。それを一貫させると、僕たちは「この人は、きっと僕たちと一緒に働いてくれて、長く一緒に熱い思いで作ってくれるな」という風に思いますね。
女性主人公の実装は「ない」。限られた時間と予算の中で、「新しいものを作る」という目標に集中
──いち『ペルソナ』ユーザーとしてお聞きしたいことがあるのですが、『ペルソナ3ポータブル』には女性主人公が実装されていましたよね。あの主人公は、今後『リロード』に登場する予定はあるのでしょうか。
和田氏:
本当に言いづらいのですが……、その可能性は残念ながら、「ない」と言わざるを得ませんね。
もちろん、女性主人公の可能性も同じく企画検討していたのですが、“Episode Aegis”の数倍の時間とコストを要することがわかりまして、現実的ではないと……。
また我々は、他にもさまざまな新しいものにも取り組んでいく使命もあります。『ペルソナ3』でやり残したことは何かと問われれば、この件ではありますが、これからの展開にもご期待いただけるようスタッフが一丸となって様々な取り組みを進めておりますので、どうかご理解をいただきたく思います。
——ハッキリと言っていただけたことで、私を含めファンも血涙を流しながら納得してくれると思います。また「新しいものを作る」という目標があるとのことですが、こちらについてもお聞かせください。
小森氏:
僕は若い頃から心理学に興味がありまして。シリーズのタイトルになっている『ペルソナ』は「ユングの心理学」から来ているんですが、僕自身、15歳の時にたまたまユングの『タイプ論』という本を読んでいたんです。
なので、このゲームとはまったく別口で心理学を学んでいたんですよね。今も心理学の世界には興味をもっているので、さらに追求したいなと思っています。
──心理学の追求ですか。
小森氏:
はい。現在の心理学とか、交流分析という別の心理学もあるんですけど、そういうものを本格的に学んでいます。将来的には、こういった心理学の知識を活かしてゲーム制作にも人間の行動や心理を反映し、よりリアルに描写したいと思っています。
また、人間はそれぞれ違う理想や欲求を持っているので、その理想を叶えられるような魅力的な作品を作りたいと思います。
その上で、できたらその作品を通してプレイヤーに何か気づきや感動を与えられて、その人の人生にちょっとでも良い影響が与えられるようなゲームを作れたらいいなと思います。
僕の自然な欲求はそういうことなんですよ。できる限り。それを商品としてゲームという形にしたいとは思っています。
──小森さんの手がける新作が非常に楽しみです。和田さんは、何か新たに挑戦したいことはございますでしょうか。
和田氏:
ゲーム以外でもいっぱいあるんですけど……基本的にはアトラス全体を盛り上げていきたいという思いが強いと最近感じましたね。本当にもう、体が足りないくらいです。
次から次へと新たな挑戦が打ち込まれてくるので……。
──アトラスとしての挑戦ということですね。
和田氏:
そうですね。そういう意味ではずっと刺激的ではあるので、今はそれを粛々とこなしています。
──最後に、これからNintendo Switch 2版『ペルソナ3リロード』を手にする予定のユーザーに向けて、何かコメントがございましたらぜひよろしくお願いいたします。
小森氏:
僕はSwitch 2版でディレクターとして関わらせてもらったのですが、オリジナル版『ペルソナ3』では主題歌「Burn My Dread」の歌詞を書かせていただき、以降はプログラマーとしてもお手伝いさせていただきました。
私自身、20年越しにまたこうやって『ペルソナ3』に関わる機会をいただいて、正直に言うと「不思議な縁だな」と感じています。
本作を移植・開発した時には別のプラットフォームでは既に発売されていたので、いちプレイヤーとして最初から『ペルソナ3リロード』で遊んだりもしました。その時に感じたのは、細かいところまで丁寧に作られていて、開発者の魂が宿っていると感じたんですよ。
単純に、『ペルソナ3』からリロードになりグラフィックのクオリティが上がっただけではなく、キャラクターのモデルはそれぞれの個性が際立つように作られていたり、メニュー画面もただ使いやすくてオシャレなだけではなく、主人公の心の中を表現しているようなデザインになっています。
そこにはオリジナル版で『ペルソナ3』に関わったスタッフもいますし、新しくリロードで参加したスタッフもいます。
みんながオリジナル版で体験できた感動を大事にしながら、現代に蘇ったのだなと思いました。その感動を皆さまにもお届けしたいという想いから、開発を行いました。ぜひ、遊んでみてください。
和田氏:
ようやくNintendo Switch 2版の『ペルソナ3リロード』を皆さまにお届けできることとなりました。!任天堂のゲーム機で本作を遊びたいという声は私たちにもたくさん届いていたので、こちらとしても「早く届けたい」という思いがありました。
ですので、会社にかけあって第一プロダクションに全面的に協力してもらい、小森氏をアサインしてもらって、我々としても最速のスピードで本作のリリースを実現できました。
オリジナルをプレイした皆さんにも、新たに本作を体験する皆さんにも、きっと楽しんでいただける作品だと自信を持って言えます。ぜひプレイして感想を聞かせてほしいです。どうぞ、よろしくお願いします!

(了)
本インタビューを通じて、筆者は『ペルソナ』シリーズの持つ“引力”の強さにあらためて驚かされた。
筆者は中学生時代に『ペルソナ3』を手に取り、当時のゲーム作品としてはあまりにもオシャレなオープニングアニメと楽曲。そのアートスタイルに度肝を抜かれておしっこをもらしそうになった人間である。
当時の衝撃は相当なもので、今でも鮮明に覚えている。
そこから、ゲームをプレイしていくにつれて主人公は仲間たちに頼りにされるようになり、「自分は、この世界の住人に必要とされているのかもしれない」と思えてきた。
冗談を抜きにして、リアルの生活よりも「ポートアイランドの住人として生きたい」と思えるほどにのめり込んでいたのは確かだ。
クラスメイトや町の住人との交流。部活に恋愛、修学旅行、タルタロスの攻略……そして、最終決戦。すべてが筆者の青春そのものであり、忘れがたい思い出である。
そんな、ごくふつうの『ペルソナ』っ子だった筆者が、まさか大人になって『ペルソナ3』のクリエイターにインタビューをすることになるとは、当時は予想もしていなかった。
さらには、フタを開けてみると、まさか筆者と同じように『ペルソナ』をプレイし熱狂していた同志たちが、『ペルソナ』のクリエイター側にまわっているとは……。
『ペルソナ』というタイトルには、誰かの人生を面白い方向へと変える力がある。シリーズ未経験の方もぜひこの機会に本作をプレイし、作品の魅力と、不思議な引力を体感して欲しい。
Nintendo Switch 2版『ペルソナ3リロード』は10月23日に発売される。無料体験版も配信中だ。