全世界で2000万本以上のセールスを記録するPlayStationの超人気IP、『Horizon』シリーズ。その広大な機械獣の世界が、ついにMMORPGとして新たな地平を切り拓くことがG-Star 2025にて発表された。
開発を手掛けるのは、長年MMORPGの最前線を走り続けてきた韓国の雄、NCSOFT。同社がSIE / Guerrillaとのタッグにより発表した新作『Horizon Steel Frontiers』は、ゲーム業界全体に大きな衝撃を与えた。
「なぜNCSOFTが?」「原作の持つ魅力は失われないのか?」—期待と不安が入り混じるなか、本作の開発総指揮を務めるNCSOFT Chief Business Officerのイ・ソング氏に合同インタビューを敢行したので、その内容を紹介しよう。
伝説的なIPを託された経緯、原作の世界観のMMOでの表現、生活系コンテンツへの注力、そしてビジネスモデルの変革。「リネージュ」シリーズの統括職を歴任した大ベテランが挑む、新天地の舞台裏を深掘りした。
取材・文/kawasaki
HorizonがNCSOFTの手によりMMORPGに
──本日、NCSOFTブースで開催された発表会で、『Horizon Steel Frontiers』がお披露目されました。発表会を終えた感想はいかがですか。
イ氏:
これまでのあいだ、本作を開発していることを隠し通すのがすごく大変だったので、ようやく公にできてスッキリしています(笑)。

── すでに大きな反響となっていますが、周囲の反応はいかがですか。
イ氏:
「あのHorizonがMMOやモバイルになったら、どんなことができるんだろう?」というポジティブな声と、「本当にNCSOFTが完成させられるのか?」という不安の声の両方が届いています。
やっぱりNCSOFTといえば、MMORPGにこだわり続けるメーカーという認知がありますので、びっくりしたという反応が多いですね。
── 今回のMMORPG化の企画は、NCSOFTからSIEに持ちかけたのですか?
イ氏:
2019年頃にSIEの親しい方と、「こういうものをやりたいんだけど、どう思う?」といった連絡をしていました。その方がGuerrillaの方にコネクションをつないでくださり、本格的に企画を動かしました。
そして、ゲームの基本的な方向性について、Guerrillaと3回ミーティングを行った結果、我々のHorizonに対する愛情と本気度を理解してくれました。
「あなたたちだったら信頼してお任せできます」という話をいただいたときは嬉しかったですね。ジム・ライアン(当時のソニーCEO)氏からは、「愛娘を嫁に送り出す気持ちだ」とも言われました(笑)。
Horizonらしさを保ちつつMMORPGに
── 本作の開発にGuerrillaは直接関わっていますか?
イ氏:
開発作業そのものはNCSOFTが行っています。そういったなかで、ストーリーや世界観など、全体的にGuerrillaからのアドバイスや意見をいただきつつ、監修を受けながら進めています。HorizonのIPは確立されており、確固たるアイデンティティと世界観がありますから、それを守ることが大切です。
Guerrillaには、かなり細かな部分まで相談していますよ。向こうも、「Tallneck(トールネック)は絶対に死なせないでくれ!」とかズバズバ言ってくれてます(笑)。
── 『ホライゾン ゼロ・ドーン』や『ホライゾン フォービドゥン・ウェスト』と、世界的なつながりはありますか?
イ氏:
原作の1作目と2作目のストーリーが地続きにつながっています。
今作のストーリーに関しては、NCSOFTが完全に新しく作るというより、Guerrillaの方で根幹となるアイデアをいただき、それを基にして作っています。
1作目と2作目は北方を舞台としていましたが、本作は南方へ向かっていく形です。エリアの気候や景観などは1作目や2作目と大きく違っているので、ファンのかたはそのあたりにも注目してほしいですね。
NCSOFTが得意とするMMO要素をいかに盛り込むか
── 『Horizon』らしさを残しつつMMO化するにあたり、NCSOFTとしては何が必要だと考えていますか?
イ氏:
なんといっても、仲間と協力しながら遊ぶ、マルチプレイの面白さです。
これまでNCSOFTが培った、オンラインゲームならではの多彩なコンテンツをたっぷり盛り込み、他のハンティングアクションに負けないゲームにしたいです。
── プレイ人数はどれくらいですか?
イ氏:
4人パーティーと16人パーティーのシステムは、すでに開発が完了しています。
でも、それだけではなく、たとえばMMORPGの攻城戦のように数百人が一緒に戦うような大規模レイドも企画しています。
── 攻城戦を例に出されましたので念のため確認ですが、PvP系のコンテンツは視野に入れていますか?
イ氏:
個人対個人の、決闘ライクなPvPのアイデアがないわけではないんです。
ですが、今はそこに集中するよりは、他のプレイヤーと協力して狩りをしたり、成長したり、生活したりする楽しさを優先しています。
つまり本作では、戦闘やプレイヤーキャラの成長だけでなく、生活系のコンテンツにも注力しています。




