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ついにMMORPGになった『Horizon Steel Frontiers』開発インタビュー。NCSOFTがグローバル展開のMMOで目指す新境地とは

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部族のコミュニティを通じての生活系コンテンツを充実

── その、生活系のシステムについて詳しく教えてください。

イ氏:
このゲームの大きな特徴といえるのが、「部族」というシステムです。
これは同じ部族のキャラクター同士がつながり、その繋がりが一時的なものではなく、継続的に続いていきます。たとえば4人程度のパーティーで狩りに行って、それで「さようなら」ではないんです。そこでつくりあげられたコミュニティが生活のほうにも波及し、発展していくんです。

── 部族は、一般的なMMORPGにおける「ギルド」とは違うのですか?

イ氏:
ギルドはプレイヤーが自主的に作り上げるコミュニティですかが、本作の部族はどちらかというと、ゲーム側から用意するものです。

NCSOFTが作る『Horizon』の新作MMORPG『Horizon Steel Frontiers』にはガチャが無い。本当?_006

── 部族では具体的に、どういったことができるのですか?

イ氏:
プレイヤー同士がこの場で出会って共に冒険し成長したり、生活に必要な武器や料理などのアイテムを一緒に作ったり、流通させたりと、ひとつのコミュニティとなっています。

ほら、自由度の高いMMORPGでは、拠点エリアでチャットしたり、採集ばかりしたり、という遊び方もあるじゃないですか。ああいうイメージです。狩り以外のさまざまな活動を通じて、そこで過ごす生活そのものを楽しめるようにしたいです。

── 狩りに出かけずに、完全に村のなかで暮らすこともできるんですか?

イ氏:
それも可能です(笑)。
生活系コンテンツはアイデアがたくさんあるので、ぜひ期待してください。

── ちなみに、部族ごとに違ったストーリーのようなものもあるのでしょうか? 部族間で交流が生じたり、あるいは敵対したり。

イ氏:
はい、その通りです。

バトルシステム、武器について

── Horizonの武器といえば「弓」の印象が強いですが、本作の武器のバリエーションはどのように?

イ氏:
おっしゃるとおり、Horizonといえば原作では多くの人が真っ先に弓をイメージしますよね。でも、それだとMMOとしての多様性がありません。悩んだ部分ですが、近距離と遠距離を半々くらいの比率で検討しています。

今回の動画では弓と大剣が出ていましたが、それ以外でも、大弓、双剣など、近距離6種、遠距離6種を考えており、今後はもっと増やします。

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── 武器だけではなく、道具を使って相手を拘束することで仲間のサポートができる?

イ氏:
はい、そうです。たとえば大規模のレイドモンスターを討伐時は、敵を足止めすることに特化する役割なんかも可能です。
あとは、大勢の弓使いが必要なバトルでは、弓を届ける後方支援役とか、回復ポーションを配達する人とか、そういうプレイスタイルでも楽しめたらいいなって。

── 武器は消耗品なんですか?

イ氏:
まだ決まってはいませんが、それは嫌がる方が多いと思うので、採用しないと思います。どちらかというと、その武器のアップグレードをしたり、もっと良くするための成長素材にしたり、という形を考えています。

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ビジネスモデルについて

── ビジネスモデルに関しては、基本プレイ無料で、バトルパス/シーズンパスが挙げられました。買い切り型にしなかった理由は?

イ氏:
最も大きな理由は、世界中で一人でも多くの人に遊んでもらいたいからです。たとえ売上的に「正解」したとしても、このゲームにおいては、それが正解とは考えていません。たくさんの方がもっと楽しめて、気軽に支払いしていくような形のビジネスモデルにしたい。

オンラインゲームのビジネスモデルは多種多様ですが、グローバルにおけるスタンダードはパス系です。買ってもいいし買わなくてもいい、「優しい」ビジネスモデルにします。

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── パス以外の課金アイテムのプランは?

イ氏:
まだ確定していませんが、いま検討しているもののひとつは、キャラクターのカスタマイズ方面です。キャラクターのデザインができたら、そのプリセットを他のプレイヤーに販売したり、カスタマイズの達人のインフルエンサーが出ていってほしいなと考えています。

ビジネスモデルに関しては、現在は企画段階で、まだまだ変わっていくと思いますが、既存の常識にとらわれないチャレンジをどんどんやってみたいですね。

── たとえば、ある部族ではこんなタトゥーが流行していて、別の部族ではまた違うのが流行している、みたいな?

イ氏:
ええ、まさに(笑)。

ただ、ひとつ明確に決めているのは、ガチャは無いということです。

── 『AION2』にもルートボックス(ガチャ)は導入されていませんが、NCSOFTという会社全体で、Pay to Winからの脱却という変化があったのでしょうか?

イ氏:
いえ、それは違います。
プロジェクトによって、ガチャがあった方がいいものがあれば、無い方がいいものもあります。AION2や今回のHorizonは、そうではないということです。

つまり、Pay to Winを盛り込むことで本来のゲームコンセプトが崩れてしまうのであれば、やるべきではない。同時に、Pay to Winにするほうが適切なゲームコンセプトもあるわけです。

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── 売上を最優先ではないということですか?

イ氏:
ええ。じつは、売上の目標額はまだ設定すらしていません。
本作において売上も大切なことは、できる限り多くの方に、このゲームを楽しんでいただきたい。それが最大の目標です。

2010年あたりで流行っていたMMORPG、たとえば『World of Warcraft』とか、『ファイナルファンタジーXI』とか、ああいったMMOの楽しさを、いまの若い世代のプレイヤーに触れてもらい、そして好きになってほしいんですよ。

長年『リネージュ』シリーズに携わった大ベテランが挑む新天地

── NCSOFTがグローバル展開に切り出す第一歩としても期待が掛かる本プロジェクトですが、それを任されるLeeさんについて教えてください。

イ氏:
私はこれまで、『リネージュ』『リネージュM』『リネージュ2M』『リネージュW』などなど、全てのリネージュシリーズのプロジェクトの統括職を歴任してきました。

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── NCさんの看板タイトルにずっと携わられてきたベテランが、まったく違ったことにチャレンジされるわけですね。

イ氏:
はい。こういった経歴なので、本作で「優しいビジネスモデルを実現します」と言っても、「あなたはリネージュをやっていたのに本当に?」って疑われます(苦笑)。

でも私としては、逆に「そういう人が、ここまで言うんであれば信頼してもいいじゃない?」と感じてもらえるのではないかと思っています。その人が命をかけて言っていることだから、信用できるんじゃないかなと。

── NCSOFTという会社にとって、リスキーなチャレンジを行うより、リネージュシリーズを末永く安定させてほしい、というった要望はなかったのでしょうか?

イ氏:
うーん、そうですね……。
私は初めてゲームに触れたのがMSXで、その後はコンソールゲームにどっぷり浸かり続けてきました。今もそうです。

で、NCSOFTのCEOのキム・テクジンも、ゲームを遊ぶのに本気なんですよ。それこそ、出張に行くときにプレイステーション本体を荷物に入れていくぐらいに(笑)。

その2人が、当時『Horizon』にドハマりしていて、「これでMMORPGを作ったら絶対面白くなるよね?」と盛り上がったのが、このプロジェクトのそもそもの発端ではあります。だから基本的に、自分自身が好きなことをやりたいんですよね。

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── プラットフォームに関してはPURPLE(PC)とモバイルで発表されましたが、PlayStation 5版は?

イ氏:
発表会を終えてから、それについてもっとも多く聞かれます(苦笑)。

最初に開発する時にはモバイルとPCだと考えていたのですが、よくよく考えると、PS5版の開発をやらない理由も無いよね、と思っています。発表会では何も言ってなかったんですけれども、いまは社内で協議中の段階です。

── 逆に、その部分が決まっていないのに、SIEと契約できたのが意外です。

イ氏:
技術的な面に限っていえば、PC版からコンソールへの移植はそこまで難しくはないんです。
ただ、仮にNCSOFTが「やりたい」と言ったところで、簡単に実現できるとは限りません。協業を行っているSIEとGuerrillaの方でOKをいただかなければならなりませんから。

── 日本のファンも楽しみにしている一作ですが、日本語のキャラクターボイスは収録しますか?

イ氏:
ええ、もちろん。日本の声優を起用したいと考えています。日本でリリースするときに日本の声優にお願いしないのはありえないでしょう?

── それでは最後に、ひとことお願いします。

イ氏:
今日の発表会でもお伝えしたように、NCSOFTはグローバル展開に注力していきます。もちろん、そのなかには日本も含まれていますので、ぜひ『Horizon Steel Frontiers』に期待してください。

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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