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傑作アニメ映画『この世界の片隅に』8月1日より再上映が決定。戦時下の広島・呉を舞台に、かけがえのない日常とその中で紡がれる小さな幸せを描く。口コミで爆発的な話題となり、63館→484館へと全国へ広がったヒット作

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監督・脚本:片渕須直、原作:こうの史代によるアニメーション映画『この世界の片隅に』が、今年8月1日より劇場で再上映されることが決定した。

本作は2016年公開の作品で、当初は小規模での上映スタートを切りながらも口コミなどで爆発的な話題となり、最終的に63館→484館まで規模を拡大するなど社会現象化。第40回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位を獲得するなど、批評家からも高い評価を受けた。

『この世界の片隅に』は、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台とした、小さくも温かなかけがえのない家庭を描いた物語。戦争という巨大な物語を背景としながらも、平々凡々な庶民の生活を丁寧に描いており、その中で紡がれる小さな幸福は多くの人々の心を打った。

物語の主人公は広島に暮らす少女・すず。彼女は18歳でほとんど顔も知らない男性の元に嫁ぎ、主婦としての新たな生活に追われながらも、夫・周作とその家族との関係を深めてゆく。折しも戦時下であり、日々戦局が悪化して物資も欠乏してゆく中、それでも一家は工夫と明るさで穏やかな日常を過ごしてゆく。

アニメ映画『この世界の片隅に』8月1日より再上映が決定。戦時下の小さな家庭のかけがえのない日々を描く_001

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徹底してひとりの庶民目線での生活を描いた本作は、戦争を描いた映画としてはふしぎなくらいに穏やかで軽やかな印象を持つ作品だ。それでも物語の通奏低音として響き続ける戦争の影は決して離れることはなく、大きな世界の片隅で営まれているかけがえのない日々に、その空気を漂わせ続ける。そして物語は昭和20年、1945年の夏を迎えることになる。

2025年は終戦から80年を迎える節目の年で、今回の再上演もそれを記念してのもの。主人公のすずが生きていれば、100歳を迎える年だともいう。

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今回の再上映決定に際して、原作のマンガを執筆したこうの史代氏、監督・脚本の片渕須直氏、また主人公・すずの声を好演した俳優・のんさんらからのコメントも発表。本記事下部のプレスリリース全文にて掲載している。

映画は8月1日より、テアトル新宿・八丁座ほか、全国の映画館にて再上映される予定となっている。

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション 終戦80年上映 すずさん百歳の年にふたたび全国で── 2025年8月1日(金)より期間限定上映決定!  描き下ろしキービジュアル解禁! 

監督・脚本:片渕須直、原作:こうの史代
主人公すずの声:のんよりコメント到着!

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こうの史代による同名漫画を原作に、片渕須直が監督・脚本を手がけた長編アニメーション映画『この世界の片隅に』(2016年公開)が、終戦80年を迎える今年、2025年8月1日(金)より全国にて期間限定で再上映されることが決定。上映にあたり片渕須直による描き下ろしキービジュアルが解禁となりました。また、片渕須直、こうの史代、主人公すずの声を演じた俳優・アーティスト・のんからもコメントが到着しました。
本作は戦時下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きる女性、すずを描いた珠玉のアニメーション映画。公開当初は63館でのスタートながら、戦時中の広島・呉を舞台に描かれるかけがえのない日常とその中で紡がれる小さな幸せが共感と感動を呼び、累計動員数は210万人、興行収入27億円を突破、累計484館で上映される社会現象となりました。さらに、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞ほか、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位など、アニメーション映画としては異例となる日本映画賞を次々と受賞。その評価は海を越え、国際的な映画祭でも高く評価されました。
あれから9年。時は流れても変わらず心に残り続ける物語が、期間限定で劇場の大スクリーンによみがえります。
もし、すずがこの世界のどこかで今も暮らしていたとしたら、ちょうど100歳を迎える今年。
戦後80年という節目に、『この世界の片隅に』が全国で再上映されるにあたって、すずの声を演じたのん「毎日が愛おしくなります。この作品をまだ観たことのない方も観たことのある方もぜひ、劇場のスクリーンで観てみてください。」とコメント。原作のこうの史代からは「描いた時は、細くとも永く親しんでもらえるといいな、と思っていました。映画に関わる皆様が強く育て、高く羽ばたかせてくれました。今はただ頼もしく、誇らしく見守るばかりです。感謝でいっぱいです!」と言葉を寄せました。
さらに、監督・脚本の片渕須直は「この映画が最初に公開されてから9年。世界は戦争から逃れられないでいます。すずさんがそこで暮らしていたささやかな世界の片隅を、そのかけがえなさの意味を、もう一度感じてみたいと思います。」と上映への思いを明かしました。
今回公開された描き下ろしビジュアルは、昭和20年8月――主人公・すずが運命の瞬間を迎える、物語の中でも特別な一場面を切り取ったもの。大切なものを失ったすず。その頭にそっと添えられた優しい手が、胸に深い余韻を残します。すずは、なにを思いなにを見つめているのか。見る者の心にそっと問いかけてくる、印象的な一枚です。
炊事の湯気、絵の具の匂い、笑い声。なにげない日々の中に、たしかにあった命の灯り。
すずが見つめていた“片隅”から、80年の時を経て、いまを生きる私たちへ。
あの感動を、ふたたびスクリーンで。今後の続報にもご期待ください。

◎主人公すずの声:のん コメント
『この世界の片隅に』で北条すずさんの声を演じました。のんです。
すずさんは、絵を描きます。美味しいご飯を食べます。家の仕事をしたり、家族で出かけたり、デートしたりします。日々を過ごしていく中で、現代の日本との違いが浮かび上がってくる。そして、見ていくうちになんでもない日常の幸せに心が溶けていくような心地になりました。毎日が愛おしくなります。
この作品をまだ観たことのない方も観たことのある方もぜひ、劇場のスクリーンで観てみてください。

◎原作:こうの史代 コメント
描いた時は、細くとも永く親しんでもらえるといいな、と思っていました。
映画に関わる皆様が強く育て、高く羽ばたかせてくれました。
今はただ頼もしく、誇らしく見守るばかりです。
感謝でいっぱいです!

◎監督・脚本:片渕須直 コメント
戦時中という時代の中に生きた人々を理解したくてこの作品を作りました。あの日々から80年。そこから地続きに連なる世界に私たちも生きています。すずさんも100歳になって、どこかで暮らしつづけているのかもしれません。 この映画が最初に公開されてから9年。世界は戦争から逃れられないでいます。 すずさんがそこで暮らしていたささやかな世界の片隅を、そのかけがえなさの意味を、もう一度感じてみたいと思います。

◎原作情報

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『この世界の片隅に【新装版】』(ゼノンコミックス/コアミックス)
著者:こうの史代発売:コアミックス ©こうの史代/コアミックス
上巻、下巻好評発売中


どこにでもある毎日のくらし。昭和20年、広島・呉。わたしはここで生きている。
すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19(1944)年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。だが、戦争は進み、日本海軍の根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰してゆく。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20(1945)年の夏がやってきた――。

声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世/ 澁谷天外
監督・脚本:片渕須直 原作:こうの史代「この世界の片隅に」(コアミックス刊) 企画:丸山正雄 監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典 音楽:コトリンゴ プロデューサー:真木太郎 konosekai.jp
製作統括:GENCO アニメーション制作:MAPPA 配給:東京テアトル © 2019こうの史代・コアミックス / 「この世界の片隅に」製作委員会

ライター
ル・グィンの小説とホラー映画を愛する半人前ライター。「ジルオール」に性癖を破壊され、「CivilizationⅥ」に生活を破壊されて育つ。熱いパッションの創作物を吸って生きながらえています。正気です。

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