果てなく広い紺碧の水面と、どこまでも続く群青の空。ふたつが溶け合う水平線に向かい、帆に満杯の風を受けて進む船。海って、冒険のロマン、ありますよね。
海は広くて大きい。でもそれ以上に、「遥か彼方のどこにでも繋がっている場所」でもある。だから海は冒険のイメージとすごく相性がいいし、オープンワールドとも相性がいいんじゃないのかなと思っていた。
そうした海への冒険の憧れを形にしたタイトル、それがこれから紹介する『シー・オブ・レムナンツ』です。
本作は『第五人格』で有名なJoker Studioが開発する新作オープンワールドRPGで、主人公は「海賊」。といっても、略奪や暴力を繰り返す血生臭いタイプの海賊ではなく、『ワンピース』の麦わら一味のような、自由な海の冒険者というほうが本作のイメージには近い。
巨大な船を操り、荒波を越えてたどり着いた島へ上陸・探検し、貴重な財宝を探し出して持ち帰る。海の冒険者のイメージ通り、海というロマンあふれる場所を自由に冒険できるというのが本作の大きな特徴だ。
今回は中国・杭州のネットイース本社にて本作を先行プレイしてきたので、その模様をお届けする。
執筆/恵那
船で”ただ移動する”のが気持ちいい。冒険を求めて波を砕き、島を見つけて探索する
電車やバスや自動車、地上を走る乗り物に比べると、船って単なる移動手段というよりはそれ自体が「どこでもない場所」という感じがする。
船自体は「どこでもない」けど、果てしなく続く水平線を睨みながら、風と舵輪次第でどこへでも行ける。冒険っぽさを固めて水に浮かべたロマンの塊、それが船。本作『シー・オブ・レムナンツ』は、そうした船と海を舞台にしたタイトルだ。
リリース時点で16km×16kmの広さになるというマップは、そのほとんどが海。探索の舞台となる陸地は各地に島として点在しており、プレイヤーは必然的に船に乗って世界中を巡っていくことになる。
そしてこのゲームは、その移動が楽しい。とにかく海が美しい。
陸上を進むゲームと違い、なにもない海をただ進んでいくというのは一見退屈そうにも思えるが、グラフィックの完成度の高さと、波や日の光、流れていく雲の形によって刻一刻と姿を変えていく海は、ただそれだけで冒険心をくすぐられてしまう。
大きな帆に風を受け、遠くに見える雲や、島の影、すぐに辿り着けそうでたどり着かない場所に向かって進んでいくことが、船旅の旅情なのだと感じられる。
もちろん、見つけた島には上陸して探検することも、本作が提供する海の冒険の醍醐味だろう。外から見た景色だけでなく、中の様子も島によってさまざまだ。
のどかな浜辺の村の酒場では酒の飲み比べ対決が起こったり、森の中でオウムに話しかけると音ゲーが始まったりと、さまざま場所にミニゲームが仕掛けられているのも本作の特徴で、とにかく歩けば何かにあたる。
また場所によっては敵対的なキャラクターや生き物たちがいることもあり、戦闘も発生。フィールド上のボスなどを倒したりすることでアイテムが入手でき、それを拠点となる町・オートピアに持ち帰ることで換金できる。これを繰り返していくのが、基本的なゲームのサイクルになるようだ。
また敵が出現するのは何も陸上だけではなく、海で襲撃を受ける場合もある。この場合は船同士の戦闘になり、お互いの火砲による砲撃戦が繰り広げられることになる。こちらの船が攻撃を受けると爆炎と煙で一瞬視界が奪われたり、迫力がある。
この砲撃には2つのモードがあるが、「砲撃モード」の場合はカメラがぐっと船に寄って、まさにいま船に乗り込んでいるような臨場感で大砲をぶっぱなせる。
ゲームが進むと仲間のクルーも増えていき、船の上で誰がどの砲門を操作するのかといったことも設定可能だ。戦闘中によく見ると、担当させた仲間のキャラクターがちゃんと自分で大砲を操作していたりして、こういうのを見るとちょっと嬉しい。
戦闘では「ダイス」の利用が鍵に。うまくボーナスターンを稼げば、敵を一気に倒すことも
先ほどは簡単に流してしまったが、本作の戦闘はターン制のコマンドバトルになっており、通常攻撃と使用後にクールタイムを必要とするスキルを組み合わせて戦っていくというものだ。大きな特徴が画面右に出ている「ダイス」だ。
毎ターン1個ずつ補充されるこのダイスは、使用することでランダムな追加ダメージを与えられるほか、敵が「脆弱性露出」という状態になっている際に使うと、こちらも確率で追加ターンを得ることができる。
敵の数が多い場合でも、連続でボーナスターンを稼ぐことができれば、意外なほどあっけなく決着がつくようなこともあり、うまくハメるような爽快感がある。
ダイスは一度に最大3個まで消費可能で、もちろん個数が多い=出る目の合計値が大きくなるほど、追加ダメージも大きくなるし、追加ターンを得られる可能性も高くなる。毎ターン少しずつ使うか、一気にまとめて使うかはプレイヤーの戦略次第だ。
また、被ダメージや攻撃に寄って溜まるゲージを消費することで使用可能な必殺技は、現在の行動順を無視して割り込むことができる。豪華な演出も相まって、使っていてかなり気持ちのいいものになっていた。
キャラクターの育成はメインとなる職業と、サブ職業を組み合わせ、その方向性によって特徴を決めていく、という昔ながらのTRPGのようなシステム。またサブ職業を選択するには冒険の中で特定のアビリティを取得していく必要もあり、それらの組み合わせによるビルドの自由度はかなり高そうだ。
一方でレベルの上限も最大15とかなり低く、開発者の方によれば、やり方を覚えてしまえば数時間程度もあれば上限まで達するらしい。というのも、本作では職業を変更したくなった場合には一度プレイヤーレベルをリセットする必要があるため、レベル上げに不要なストレスをかけないようにしているのだろう。
同じゲームの中で繰り返しに飽きてしまうのではなく、「別の選択肢」戻ってやり直す、というのは本作のコンセプトのひとつになっているらしく、これはストーリーなどについても近い要素が導入されているらしい。
登場するすべてが「木の人形」。奇妙で愛らしい、独特なビジュアルに
本作の主人公は、記憶を失った船乗りという設定だ。でも、よく見るとこの主人公、というか主人公を含むすべてのキャラが、なんと人間ではない。
「人間ではない」と言うと語弊があるのだが、生身の人間ではなく、童話の「ピノキオ」を思い起こさせる、木でできたマリオネット人形のようになっているのだ。
ゲーム開始時にとある人物に拾われた主人公は、そこでボロボロになった身体(パーツ)を交換してもらうことになり、そこでキャラメイクが可能になっている。
服を着ていない状態をみるとよく分かるように、関節部分がしっかり人形っぽい感じだ。そしてこれ、主人公だけではなく、全てのキャラクターが……というより、あらゆる生き物が木の人形のような身体になっているのだ。
たとえば物語の中で主人公の相棒的ポジションになる女海賊・ロージーも、
バーに入るそのへんのおじさんたちも
あとは人間以外の野生の生き物も、みんな木の人形。クジラもニワトリも、みんな身体のどこかに継ぎ目がある人形なのだ。
もちろんゲーム中で戦うことになる敵のキャラクターや動物たちもそうで、めっちゃワルそうなおじいちゃんも、筋骨隆々の強そうなゴリラも、みんなこんな感じ。
敵とはいえ、なんだかおもちゃみたいで妙な愛嬌がある。『トイ・ストーリー』の仲間たちのような感じで、ちょっと可愛いような気さえしてしまう。
本作を開発するJoker Studioの前作『第五人格』も、サバイバーのキャラクターデザインがぬいぐるみのようになっていたが、本作でもそうしたデザインを引き継いでいるようだ。
ただ、本作の試遊前に行われた開発側の説明会によれば、どうもこの世界がこのような姿になっていることには、なにかしら意味があるらしい、ということも仄めかされていた。このあたりについては、今後物語の中で明かされていくのだろう。
NPCひとりひとりに”人生”を。プレイヤーの選択が街を滅ぼすことも?
開発者による説明会では本作が目指すコアな要素についてもいろいろ聞くことができて、たとえばNPCのこだわりもそのひとつだ。
本作では、最終的には400体のNPCキャラクターに、独自の物語をもたせることを目指して開発されており、単なるゲームの背景ではなく、「現実に生きているキャラクター」だと思ってもらえるようなNPCを作ることを目指しているという。
プレイヤーは彼らとさまざまな関係を構築することができ、それによってそのNPCの物語も変わっていくのだとか。
しかも、ひとりのNPCの運命は別のNPCの運命にも影響しており、例えばあるNPCキャラが死んでしまうと、別のNPCキャラにもその影響がある、といったことも将来的には起こり得る形になるという。
今回のプレイでも、道行くNPCに決闘をふっかけ、勝利するとそのまま相手を送り出す(=殺害する)といったこともできた。キャラクターの生死も含め、プレイヤーの行動に寄って変化していく世界を描くことが、本作のねらいのひとつであるらしい。
今回は試遊ということもあってあまり気にせずにやってしまったが、実際のゲームではNPCたちとの関係性によって、単体のNPCだけではなく、ホームタウンであるオートピアの街自体にも変化が起きるとのことで、NPCを殺害しすぎると町がゴーストタウンとなって滅ぶという未来もあるようだ。
ただ、開発者の方にお話を伺ったところでは、こうしたプレイヤーの選択によって起こった変化は、あとから「リセット」して別の道を歩むこともできるのだという。
さきほどキャラクター育成についてでも書いたが、育成であっても物語であっても、「リセット」してやり直せる自由度をゲーム内に取り込んでいる、というのが本作の大きな特徴らしい。
今回のプレイではNPCの物語的なリセットについては触れられず、開発の方からの話を聞いたのみだったが、実際にゲームがリリースされたあとには、いろいろと面白いことが起こりそうだ。

























