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「アキバの神隠し」を複数人の視点で追う長編実写ゲーム『AKIBA LOST』の“異常な規模の制作体制”に迫る。ゲームのクオリティを上げるためだけにTVドラマをつくった

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ゲームのクオリティを上げるためだけに連ドラを一本まるごと作る。

そんな異例の制作形式が選ばれたのが、秋葉原を舞台にした“実写”アドベンチャーゲーム『AKIBA LOST』だ。

“ゲームを最大化するため”という名目で今年1月からドラマが放送。制作には日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビ)と株式会社日テレ アックスオン(以下、AX-ON)が全面的に協力。北山宏光さん、AKB48の小栗有以さんら豪華なキャストが集結した。

“ゲームのためにドラマを作る”とは……
通常のゲーム制作と比較しても、かなりの離れ業だ。

そんな制作体制や豪華出演陣が注目を集めて、日本の一大ゲームイベント「東京ゲームショウ2025」では、ユーザーが未来の期待作にWeb投票する「日本ゲーム大賞2025 フューチャー部門」を受賞した。

舞台となる秋葉原では、6人の少女が消える連続失踪事件「アキバの神隠し」が13年前に発生。作中では、失踪した自身の妹を追うゲームクリエイターの物語が描かれる。「群像劇の実写アドベンチャーゲーム」と聞くと、期待せずにはいられないゲームファンもいるだろう。

構想から約6年、200名以上のキャスト・スタッフが制作に参加開発が進められている『AKIBA LOST』は、9月17日にNintendo Switch、Nintendo Switch 2、PlayStation 5、PC(Steam)で発売予定。この記事では、そんな本作の内容をリリース前に紹介してみよう。

文/TsushimaHiro
編集/ishigenn


失踪した妹を捜すため「神隠し」を追う“実写アドベンチャー”

先述したとおり、本作の舞台は秋葉原だ。

おもに、13年前に“6人の少女が消えた”という連続失踪事件「アキバの神隠し」を追うミステリーものとなっている。もちろん内容はフィクションだが、絵面が実写なこともあり、妙に生々しい設定に見えてしまう。

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(画像は『AKIBA LOST』Steam版の体験版より)
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(画像は『AKIBA LOST』Steam版の体験版より)

ゲームクリエイターである主人公・新城大輝(演:北山宏光さん)は、失踪事件で姿を消した妹を捜索するために奔走。行き詰まった結果、事件を題材にした新作ゲーム「AKIBA LOST」の制作を宣言する。

「事件を題材にした作品の知名度が高くなれば、“アキバの神隠し”が忘れられずにすむかもしれない。そう考えた新城は、妹を見つけ出す最後の望みを、ゲーム制作に託していた。

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失踪した主人公の妹、瑠璃 (画像は『AKIBA LOST』Steam版の体験版より)

ゲームの出演者として集められたのは、メイドカフェで働く女の子をはじめ、地下アイドル、グルメライター、アルバイトの巫女、コスプレイヤー、ゲーム配信者という、秋葉原を象徴する6人の女性たち。

ところがいざゲーム制作がはじまった途端に、新城のもとに「ゲームの開発を中止しろ――さもなくば悲劇は繰り返される。」という脅迫電話が届き、出演者の失踪事件が発生する。

プレイヤーは主人公と6人のヒロインを操作しながら、事件の真相を探ることになる。それぞれの人物が紡ぎ出す物語が交差する、群像劇が描かれるというわけだ。

なお、ドラマ版の物語は本編に取り込まれている。放送された全6話の映像そのものは、DLCとしてゲーム内で再生することができる。

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キャラが濃すぎる「主人公+6人」。AKB48も出演

本作に登場する6人のヒロインは、新城葵役に松村沙友理さん、倉橋佑季美役に田辺桃子さん、黒須萌役に宇垣美里さん、長門ここね役に小栗有以さん(AKB48)、神保千尋役に大原梓さん、遊佐若菜役にMINAさん(East Of Eden)が名を連ねる。

主演の新城大輝を演じるのは、北山宏光さん。ゲーム主題歌「BUGlitch」も担当しており、同曲は6月24日発売のニューアルバム「ULTRActi:on」に収録されている。「BUGlitch」は体験版でも一部が試聴可能だ。

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北山宏光さんが演じる主人公、新城大輝
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失踪した妹・瑠璃。ゲームセンターでちょっと目を離したらいなくなっていた。(画像は『AKIBA LOST』Steam版の体験版より)

北山宏光さんが演じる新城大輝は、架空のゲーム制作会社「シロサワゲームズ」の創業者だ。デビュー作が大ヒットして天才クリエイターと称されている人物だが、その後は不振がつづいていたという。

大輝の末の妹である瑠璃は、13年前に秋葉原で起きた連続失踪事件「アキバの神隠し」の被害者のひとりだった。

警察の捜索もむなしく、妹を探しつづけた大輝は、妹を奪った事件を題材にゲーム制作をするとゲーム発表イベントで宣言する。

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新城葵(演:松村沙友理さん)

メイドカフェではたらく女性、新城葵(演:松村沙友理さん)は、主人公である新城の妹であり、秋葉原のメイドカフェで店長として働いている。

彼女は、三兄妹の末っ子である瑠璃が失踪して以降、事件をゲーム制作のネタにしている兄に反発する。しかし、いざ呼ぶと撮影現場にかけつけてくれるなど、2次元美少女級のツンデレ要素が含まれている。

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倉橋佑季美(演:田辺桃子さん)

猫耳風のヘッドセットを身に着けて配信者としても活動しているのは、作中の架空のゲーム会社「シロサワゲームズ」でデザイナーとして働いている倉橋佑季美だ。田辺桃子さんが演じる登場人物である。

本作の主人公・新城のデビュー作である架空のタイトル『ホワイトクラッシュ』のファンで、上京後にシロサワゲームズに入社している。

新城や共同創業者の高澤を兄のように慕っており、彼女もまた、『AKIBA LOST』の登場人物として起用される。なお、配信中にはときおり「東北訛り」がでる一面もある。

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黒須萌(演:宇垣美里さん)

グルメライターの黒須萌を演じるのはフリーアナウンサーの宇垣美里さん。彼女は秋葉原の“食”に特化した専門のグルメライターだ。見た目に反して性格は男まさりで、無骨な愛車を乗り回しているという。彼女も、『AKIBA LOST』の登場人物として起用されたメンバーのひとりだ。

もともとはジャンル関係なくライターとして活動していたが、数年前から秋葉原のサブカルチャーに魅了され、老舗の名店から最新のトレンドカフェ、飲食店まで幅広く独自の切り口で紹介している人物である。

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長門ここね(演:小栗有以さん)

地下アイドルの長門ここねは、現役の「AKB48」のメンバーである小栗有以さんが演じる。ここねは小箱のライブハウスを中心に秋葉原で活動している地下アイドルだ。彼女もまた、『AKIBA LOST』の登場人物として招かれた。

彼女は「ベイビー☆マカロン」という架空のアイドルグループに所属しており、あざといかわいさを全開にした“ザ・アイドル”。売れたいという情熱が人一倍強い人物になっている。

また、オンとオフが明確な人物で、私生活では地下アイドルらしからぬハイブランドの服やアクセサリーを身につけることも多い。

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神保千尋(演:大原梓さん)

秋葉原の神田明神でアルバイトをする巫女・神保千尋は、大原梓さんが演じる。彼女も、「シロサワゲームズ」に招かれたひとりだ。

幼い頃の“ある出来事”をきっかけに神様の存在を信じ、秋葉原という街に深い感謝を抱くようになった。なお、千尋は大のゲーム好きで、難解なアクションゲームでもクリアする腕前を持つという。

落ち着いた物腰でおしとやかな千尋の口癖は、「神です…。」とのこと。

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遊佐若菜(演:MINAさん「East Of Eden」)

コスプレイヤーの遊佐若菜を演じるのは、MINAさん(East Of Eden)だ。秋葉原を拠点に活動するコスプレイヤーで、10年以上前に発売された架空のゲーム「マジカル小学生リリカ」のコスプレ一本で勝負しつづけ、リリカ愛を全身で体現している。

帰国子女でもある彼女は、流暢な英語で海外観光客との交流もこなしつつ、天真爛漫な性格と抜群のコミュ力で「リリカ」のコスプレ街道を全力で疾走中だ。

この「マジカル小学生リリカ」は「アキバの神隠し」事件で失踪した主人公の妹・瑠璃が幼少期から楽しんでいたゲームである。主人公が、「もし妹が生きていたら、“マジカル小学生リリカ”をきっかけに見つけてくれるかもしれない」という祈りを込めて起用した人物だ。

本作の体験版を遊んでみるとわかるが、「マジカル小学生リリカ」の技名にはひとつひとつに意味が込められている。架空のゲームなのに、設定の作り込みがえぐい。

なお、各キャラクターには「バディキャラ」も用意されており、アイドルのおっかけカメラマンやプロデューサー、配信者なども登場する。どれも一癖ある面々となっている。

登場人物の視点を切り替えながら進む“群像劇ADV”

本作はただテキストを読み進めるだけのゲームではなく、物語と群像劇を立体的に表現するため、複数のシステムが用意されている。

同じ時間帯の出来事を複数のキャラクター視点で切り替えながら追う「ZAPPING」システムは、この手のジャンルを遊んだことがない人にとっては非常に新鮮な体験だろう。また、プレイヤーの選択によって物語が分岐し、ほかのキャラクターの物語にも影響を及ぼす「SELECT」システムなども実装されている。

プレイヤーの選択ひとつで結末が突如ゲームオーバーになることもあるので、慎重に選ぶ必要がありそうだ。

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行き詰まったキャラクターのストーリーを別のキャラクターの進行によって解凍する「FREEZE&ACTIVATE」システムも登場する。それぞれ別のキャラクターの物語を進行させることで、行き詰まった人物の物語を先に進めることができるようだ。

このほか、操作キャラクターの目線で360度を見渡せる「360°VIEW」も存在。また、ストーリーを進めていくと「TIPS」が開放される。テレビ業界の用語や、ゲーム内の専門用語、「秋葉原について」など基本的なものから専門的な情報まで、好きなタイミングで振りかえって読むことができる。

体験版では本編で描かれる7日間のうち「1日目」を途中まで遊べる

PS5PC(Steam)、さらにNintendo SwitchとSwitch 2で現在配信中の体験版は、本編の7日間のうち1日目の午前までを、7人のキャラクターの視点を切り替えながら体験できる。

体験版では、事件を追う主人公・新城大輝が消えた妹を捜索するため、事件を題材にしたゲームを発表する場面から物語が開始。さらにゲームに起用された女性たちが紹介されていく。

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(画像は『AKIBA LOST』Steam版の体験版より)

先述した「ZAPPING」によって同じ時間軸の出来事を異なる視点で見る構造や、プレイヤーの選択がほかのキャラクターに影響する仕組みなど、本作のシステムの基本部分に触れられる内容となっている。

この手のゲームを遊んだことがなく、システムに不安がある読者は、この体験版を遊んでみるとよいだろう。体験版で遊んだセーブデータは、製品版にそのまま引き継げる仕様だ。

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約6年の歳月と200名以上のスタッフが関わった“入魂の一作”

冒頭でも述べたように、本作はテレビ局の全面的な協力のもと制作されている。

2026年1月には日本テレビ(関東ローカル)にて“ゲームのクオリティを上げる”ために作られたドラマ版が地上波で放送開始。日本のゲームイベント「東京ゲームショウ2025」では、実写作品としては唯一、「日本ゲーム大賞2025 フューチャー部門」を受賞した。

ゲーム制作を担当するイザナギゲームズは、これまで『ダンガンロンパ』シリーズの小高和剛氏が制作に参加した実写アドベンチャーゲーム『デスカムトゥルー』を手がけたことなどで知られている。

『AKIBA LOST』のディレクター兼プロデューサーを務める梅田慎介氏は、PlayStation Blogに寄せたインタビューで、本作の制作の経緯を明かしている。

構想から約6年。梅田慎介氏は、先述した『デスカムトゥルー』の開発を終えたあと、「次にどんな実写ゲームを作れば、世界中の人たちに受け入れてもらえるのか?」と模索した結果、行き着いたのが以下の4つの方針だったそうだ。

①テレビ局と組んで映像・静止画のクオリティと物量を高める。
②世界中からファンが集まる“秋葉原”を舞台にする。
③個性豊かなキャラクターを切り替える群像劇にする。
④20時間超えの本格的な長編サスペンスにする。

これらの方針を実現するため、約6年の歳月と200名を超えるキャスト・スタッフの力を注いだと梅田氏は振り返っている。

その入魂っぷりはサウンドにも及び、ゲーム内のBGM・SEには、『女神転生』シリーズで知られる増子津可燦氏が参加している。ゲーム音楽ファンも注目の作品だといえるだろう。

なお、追加DLCとして、ドラマ版で使用された22曲と増子津可燦氏のゲームオリジナル曲を加えた全31曲が収録されたオリジナルサウンドトラックが、9月17日より購入可能。デジタルデラックスエディションにも収録されているので、音楽にも注目の方は購入を検討してみるとよいだろう。


『AKIBA LOST』は9月17日に発売される予定だ。体験版はNintendo Switch、Nintendo Switch 2、PlayStation 5、Steamに向けて無料で配信されている。

価格はダウンロード版が5500円(税込)、パッケージ版が6480円(税込)となっている。また、本編にサントラとテレビドラマ版のムービー、ふたつのドット絵衣装セットを収録したデジタルデラックスエディションは、8250円(税込)。

なおダウンロード版とデジタルデラックスエディションを対象に、PS5版は9月16日、Nintendo SwitchとSwitch 2版は10月1日まで10%オフのセールが実施されており、この記事で興味を持った読者は早めに買っておくのがお得だ。

編集・ライター
『MOTHER2』でひらがなを覚え、ゲームと育った生粋のRPG好き。キャラメイクや物語が分岐するTRPG的な体験を好む生態。『Divinity: Original Sin 2』の有志翻訳を経て、『バルダーズ・ゲート3』を独力で全訳し完走。『ゴースト・オブ・ツシマ』の舞台となった対馬のガイドもしている。 Xアカウント(旧Twitter)@Tsushimahiro23
編集者
ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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